任天堂<7974>は、5月7日、2020年3月期の連結決算を発表、売上高1兆3085億円(前々期比9.0%増)、営業利益3523億円(同41.1%増)、経常利益3604億円(同30.0%増)、最終利益2586億円(同33.3%増)となった。
『ポケットモンスター ソード・シールド』が1737万本の販売を記録する大ヒットとなったほか、3月に発売した『あつまれ どうぶつの森』が1177万本の販売となるなど、Nintendo Switchハードウェア、ソフトウェアの販売が好調に推移したほか、利益率の高いデジタル売上高の割合が増加したことが利益を大きく押し上げた。
■2020年3月期のデジタル売上高は71%増
同社のゲーム専用機における2020年3月期のデジタル売上高は前期比71.8%増の2041億円と大幅に拡大し、ゲームソフト売上高全体の3分の1に達した。
Nintendo Switch用ソフトウェアを中心にパッケージ併売ダウンロードソフトが貢献したほか、インディータイトルを含めたパッケージ版では販売されていないダウンロード専用ソフトの販売、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』や『ファイアーエムブレム 風花雪月』などの追加コンテンツの販売なども寄与したという。
■『あつ森』は発売6週間で日米欧累計セルスルーが1300万本を突破!
3月20日に発売した『あつまれ どうぶつの森』(『あつ森』)は、発売から6週間で日米欧3地域の累計セルスルー(小売店販売数、実売数)が合計で1300万本を越え、Nintendo Switchタイトルの中で最速の出足になっているという。また、早くもニンテンドー3DS用ソフトウェア『とびだせ どうぶつの森』の生涯累計セルスルーを超え、「どうぶつの森」シリーズの中で最も多くセルスルーしたタイトルとなった。
こうした背景には、コロナウイルス感染症の流行による外出自粛に伴う巣ごもり需要が追い風となっていると思われるが、初動のスピードという点ではダウンロード版のデジタル販売の寄与も大きいのではないだろうか。実際、同社も「Nintendo Switchソフトウェアの中で過去に例のないデジタル販売比率を記録」としているが、同社のゲーム専用機のソフト売上高に占めるデジタル売上高の割合も2020年3月期の第4四半期(1~3月)には48.5%と全体の半分近くに達している。
■Switch向け発売済みのソフトの有料・無料アップデートも予定
現時点で、2021年3月期に発売・配信が予定されているタイトルは、Nintendo Switchタイトルは、『Xenoblade Definitive Edition』『世界のアソビ大全51』『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』となっている。また、新規タイトルだけでなく、発売済みのソフトウェアに対しても有料・無料のアップデートを予定しており、『あつまれ どうぶつの森』で季節限定のイベントを続々追加するほか、『ポケットモンスター ソード・シールド』の有料追加コンテンツの配信や、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』の「ファイターパス Vol. 2」に含まれるファイターの配信開始を予定している。
■『ポケ森』のサブスク型サービス実装が寄与
モバイル・IP関連収入等の2020年3月期の売上高は前期比11.5%増の512億円となった。
昨年7月に『ドクターマリオ ワールド』、9月に『マリオカート ツアー』と2タイトルのゲームアプリのサービスが開始となったことに加え、昨年11月よりサブスクリプション型サービス「ポケ森 友の会」を実装した『どうぶつの森 ポケットキャンプ』(『ポケ森』)が売上の増加に貢献した。また、『ポケ森』は、Nintendo Switch用ソフト『あつまれ どうぶつの森』のプロモーションの本格化とともに稼働大幅に増加するという、相乗効果も発揮した。
3月にマルチプレイの機能を追加した『マリオカート ツアー』は、サブスクリプション型サービスである「ゴールドパス」に加入するユーザーが増加した。なお、『マリオカート ツアー』は、米国のユーザーが全体の約3分の1となっており、売上も米国が全体の3分の1以上を占めているという。
■今期は売上高8%減、営業益14%減と減収減益見込む
なお、2021年3月期の連結業績予想は、売上高1兆2000億円(前期比8.3%減)、営業利益3000億円(同14.9%減)、経常利益2900億円(同19.5%減)、最終利益2000億円(同22.7%減)の見込み。前提為替レートは、1ドル=105円、1ユーロ=115円。
業績予想の前提は、生産・販売数量の減少が一定期間見込まれるものの、通期では需要に応じた生産・販売が可能になり、開発中のソフトウェアは予定どおり発売ができるものとしている。
ただし、新型コロナウイルス感染症に関するリスクとして、部品調達や生産、出荷への影響、消費行動への影響、研究開発への影響、外国為替の変動による影響などを上げており、連結業績予想は新型コロナウイルス感染症の影響を受ける可能性があるという。
会社情報
- 会社名
- 任天堂株式会社
- 設立
- 1947年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 古川 俊太郎/代表取締役 フェロー 宮本 茂
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆6718億6500万円、営業利益5289億4100万円、経常利益6804億9700万円、最終利益4906億0200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7974