マイネット<3928>は、5月15日、2020年12月期の第1四半期決算を発表するとともに、オンラインで決算説明会を開催した。発表した決算は、売上高29億1900万円(前四半期比2.6%減)、営業利益2億5700万円(前四半期は1億6200万円の赤字)、経常利益2億5200万円(同1億8800万円の赤字)、最終売益1億8400万円(同2億9000万円の赤字)と黒字転換に成功した。同社が四半期ベースで黒字となるのは、2018年12月期の第4四半期(10~12月)以来となる。
同社では、2019年12月期においては、赤字タイトルを買い取って改修後に収益獲得を目指していく「再設計型」への進出などを行ったが、赤字を計上するなど苦戦。その後、運営タイトルと人員を最適化する構造改革「リカバリープラン」を実施し、事業の立て直しを図ってきたが、ついに待望の黒字転換に成功した。上原仁社長(写真、19年11月撮影)は「リカバリープランは成功した。反転攻勢に向けて順調なスタートが切れた」と胸を張った。
この四半期では、最も大きな取り組みとして、タイトルポートフォリオの改善があげられる。不採算タイトルを閉鎖する一方で、gloopsより「大戦乱!!三国志バトル」と「スカイロック」と良質なタイトルを獲得し、この四半期からフル寄与した。これらの施策は、売上が伸びただけでなく、1億4000万円ほどの増益要因となった。
2つ目の要因は、既存タイトルの収益性が向上したことだ。既存タイトルは、黒字をキープしていたが、2019年では営業利益率が20%を割り込んでいた。RPAとAIを全タイトルに導入し、KPIとコストコントロールを重視する「データドリブン」の運営体制を強化したことで、第1四半期の営業利益は、前四半期比で1億7300万円増えた。目に見える部分としては、外注費やサーバー費用など運営原価の削減が行われたことが確認できる。
3つ目の要因として、全社費用の削減を行ったことがあげられる。2019年第2四半期で7億5600万円あった全社費用を4億9300万円まで減らした。人件費と販売管理費を中心に圧縮を進めていった。
▲運営タイトル数は36タイトルとなった。
▲従業員数。一時は700名に達した規模だが、この四半期末では498人まで一気に減った。昨年12月にグループに加わったgloopsのタイトルの運営スタッフも含まれているという。
事業を立て直したマイネットだが、今後は「第三創業期」と位置づけ、ゲームサービス事業の拡大を図りつつ、新規事業の創出を図っていく方針。新規事業は、AI/5G時代にあわせたもので、AI事業やライツ事業、マーケティング事業、ライブゲーミング事業をすでに展開している。これまでのゲーム運営で培ったデータ分析やプロモーション、ライツなどを活用した事業が多いという印象で、来期以降の成長を担うことになりそうだ。
なお、新型コロナウイルスの影響については、新規事業とタイトルの仕入れに影響が出ているものの、既存タイトルの運営にはプラスの影響が出ているという。足元の収益改善は、いうまでもなく運営手法とKPI管理手法の改善によるものだが、いわゆる「巣ごもり需要」も追い風になっているようだ。
2019年は、「再設計型」の失敗と立て直しで赤字が続くなど苦しい局面が続いていたものの、筋肉質化した組織と効率性を高めたゲーム運営で2020年12月期は好調なスタートを切った。通期業績予想に対する進捗率は、売上高が27%、営業利益が34%、経常利益が35%、最終利益が37%に達したが、2020年12月通期の予想は据え置きとした。このペースで行くと上振れとなる可能性が高い。今後の力強い反転攻勢を期待したい。
(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社マイネット
- 設立
- 2006年7月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 岩城 農
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高87億1700万円、営業利益1億6800万円、経常利益1億2500万円、最終利益1億4300万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3928