ギークス<7060>は、5月21日、2020年3月期の連結決算を発表した。今回は同日に公開された決算説明動画や決算説明資料を参考にしつつ、その内容をまとめてみた。
■IT人材事業の順調な成長が続く ゲーム事業は新規開発プロジェクトが3タイトル進行中
まずはその2020年3月期通期の業績を見てみると、売上高35億4400万円(前々期比16.2%増)、営業利益6億8400万円(同23.7%増)、経常利益6億7500万円(同26.9%増)、最終利益3億9000万円(同5.1%減)となり、売上高と営業利益は過去最高を更新した。
なお、最終利益が減益となっているのは、前々期に関係会社株式売却益を特別利益として計上していた反動に加え、IT人材育成事業を手掛ける海外子会社ネクシードの固定資産の減損損失3400万円を特別損失として計上したためとなる。
IT人材事業は、順調な成長が続いている。2020年3月期は、売上高が前々期比20.8%増の13億2900万円となり、営業利益は同27.1%増の7億1900万円となった。年間業務委託取扱高が過去最高を更新し、受注人月数推移も右肩上がりの成長が続いている。その一方で、「エンジニア獲得費用を抑制した」(曽根原稔人社長)ほか、前々期にシステム投資を実施していた反動があったことが利益率上昇につながった。
続いてゲーム事業は、2019年5月に1タイトルがリリースとなり、2020年1月に1タイトルの新規運営受託を獲得した。一方で、2019年11月に1タイトルの運営を移管し、2020年2月に1タイトルの運営を終了した。また、新規開発プロジェクトが3タイトル進んでおり、今後のリリースに向け順調に開発が進んでいるという。
また、この第4四半期期間(1~3月)は、開発人員にゲーム事業から撤退したモンスター・ラボゲームスから42名の正社員が転籍して加入しており、同事業(子会社G2 Studios)の正社員数は前四半期の162人から213人に急増した。
IT人材育成事業は、海外子会社ネクシードの12月決算分までを計上しており、今回の決算発表分には「新型コロナウイルスの影響はなし」(曽根原社長)となる。ただし、現在は日本からの渡航困難な状況とフィリピン政府からロックダウンによる行動規制が発令されていることで、足元は大きな影響を受けている。前述の減損も保守的にそれを先に織り込んだものとなっている。
動画事業は、売上高は計画を超過するも前々期比2.9%の微減となり、XR周りの研究開発投資が増えたこともあり、利益率も低下した。また、インターネット事業は、運営するゴルフ情報専門サイト「Gridge」のMAU(月次アクティブユーザー数)が70万を突破しているほか、記事+動画制作案件の広告受注増加やイベント開催で増収となり、赤字幅も縮小した。
なお、両事業は今期より統合してx-Tech事業となり、これまで培ったXRを活用した映像制作技術や、ウェブメディア・SNS運用ノウハウを掛け合わせた価値提供に取り組んでいくとしている。
■IT人材事業の売上高成長率9.8%と保守的に予想 新作ゲーム下期リリースで偏重型の計画に
なお、2021年3月期通期の連結業績予想は、売上高42億円(前期比18.5%増)、営業利益6億円(同12.3%減)、経常利益5億8000万円(同14.1%減)、最終利益3億4000万円(同13.0%減)の見込み。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえて、IT人材事業の売上高成長率を「従来の半分程度となる9.8%と保守的に計画」(曽根原社長)しているほか、IT人材育成事業は前述のとおり新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込む見通し。
一方、ゲーム事業は下期に新規タイトルを複数リリース予定でフロー売上が今期より伸びる予想となっている。ただし、リリースが下期のため、同社の今期予想自体が売上高・営業利益ともに下期偏重型となるという。
会社情報
- 会社名
- ギークス株式会社
- 設立
- 2007年8月
- 代表者
- 代表取締役CEO 曽根原 稔人
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高237億3900万円、営業利益9000万円、経常利益8200万円、最終損益14億7300万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7060