【決算レポート】コナミHD、主力のゲームが獅子奮迅の活躍で21年3月期の事業利益は45%増の641億円を達成 新型コロナで苦戦のスポーツやカジノ、AMをカバー

コナミホールディングス<9766>は、5月13日、2021年3月期の決算(IFRS)を発表するとともに、決算説明資料を公開した。発表した連結決算は、売上高2726億5600万円(前の期比3.7%増)、営業利益365億5000万円(同18.0%増)、税引前利益355億8100万円(同17.1%増)、最終利益322億6100万円(同62.2%増)と増収増益となった。日本の会計基準における「営業利益」に近い概念の事業利益は同44.8%増の641億6400万円と大きく伸びた。


・売上高:2726億5600万円(前の期比3.7%増)
・営業利益:365億5000万円(同18.0%増)
・税引前利益:355億8100万円(同17.1%増)
・最終利益:322億6100万円(同62.2%増)


アミューズメントやカジノ関連、スポーツ事業が新型コロナの影響で苦戦を余儀なくされるなか、獅子奮迅の働きを見せたのはゲーム事業だ。"巣ごもり需要"を追い風として、モバイルゲーム、家庭用ゲーム、カードゲームが堅調に推移してカバーし、会社全体として2ケタの増益に導くことに成功した。
 


①デジタルエンタテインメント事業…売上高2041億円(同33.1%増)、事業利益734億円(同70.0%増)
モバイルゲームでは『プロ野球スピリッツA(エース)』を中心に『eFootball ウイニングイレブン2021』『実況パワフルプロ野球』などスポーツ系タイトルが引き続き好調を維持したほか、中国市場向けに「遊戯王 デュエルリンクス」の配信を開始した。

カードゲームでは「遊戯王トレーディングカードゲーム」のグローバル展開を引き続き進めたほか、「遊戯王ラッシュデュエル」の最新テレビCMの放映などで若い世代のユーザーへの訴求を展開した。

家庭用ゲームでは『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』の出荷本数が5月時点の累計で300万本を突破し順調に推移した。

このほか、eスポーツの取り組みとしては日本野球機構(NPB)と共催する「eBASEBALL プロリーグ」2020シーズンの「eクライマックスシリーズ」と「e日本シリーズ」を実施したほか、 「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」のゲーム大会「桃鉄GP」にて著名人限定のエキシビションマッチを開催し大きな盛り上がりを見せたという。
 



②アミューズメント事業…売上高は176億円(同25.6%減)、事業利益24億円(同54.8%減)
アーケードゲームは「武装神姫 アーマードプリンセス バトルコンダクター」が稼働を開始しているほか、「SOUND VOLTEX」シリーズの最新モデル「SOUND VOLTEX -Valkyrie model-」を発売した。また、「FORTUNE TRINITY」シリーズの最新作「FORTUNE TRINITY 精霊の至宝祭」、「アニマロッタ」シリーズの最新作「アニマロッタ アニマと星の物語」が稼働を開始した。

アーケードゲームをPCやスマートフォンでいつでも楽しむことができるサービスの「コナステ(KONAMI AMUSEMENT GAME STATION)」においては、音楽ゲーム「pop'n music Lively」「GITADORA」「ノスタルジア」、メダルゲーム「コナステ メダルコーナー」の配信を開始した。
 


③ゲーミング&システム事業…売上高166億円(同41.4%減)、事業損失20億円(前の期は17億円の利益計上)
スロットマシンでは、「J」カーブディスプレイを特徴とする新型筐体「DIMENSION 49J」をレベニューシェア専用筐体として投入したほか、主力商品のアップライト筐体「KX 43」「DIMENSION 27」及び「DIMENSION 49」の各種筐体の販売、及びパーティシペーション収入を計上した。

また、カジノマネジメントシステムでは、北米と豪州ともに、大手オペレーターへの「SYNKROS」納入が引き続き進んだことに加え、新規に契約を獲得した。
 


④スポーツ事業…売上高364億円(同38.3%減)、事業損失58億円(前の期3300万円の利益計上)
新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う政府による緊急事態宣言の発出や地方自治体からの休業要請などを受け、スポーツクラブ直営施設及び受託施設の臨時休館や営業時間の短縮等により売上高は減少した。

受託施設においても、地方自治体や契約法人などの要請により、施設の臨時休館や営業時間の短縮などを余儀なくされたが、これまで培った運営・指導のノウハウや実績を活かし事業拡大を進めており、新規に川崎市民プラザ、堺市家原大池体育館、大分市大洲総合体育館、船橋市運動公園及び法典公園の業務受託運営を開始した。

その他、コナミスポーツクラブオリジナル動画の無料配信や、アプリと連動した家庭用新型フィットネスバイク「エアロバイク EXS」、オリジナルプロテイン「アスボディ」の販売を開始し、公式オンラインショップにて多彩なホームフィットネス商品を揃えるなど、商品・サービスの充実を図った。

なお、不採算店舗の撤退等による固定費削減を実施し、コスト構造の変革に取り組んでおり、2021年2月に直営施設9店舗の営業を終了するとともに、5月にはさらに16店舗を閉店することを決定した。
 


 
■今期の連結業績見通しは未定

2022年3月期の連結業績見通しについては、現時点において合理的に算定することが困難なことから未定としている。今後、予想の開示が可能となった時点で速やかに公表する。
コナミグループ株式会社
http://www.konami.com/

会社情報

会社名
コナミグループ株式会社
設立
1973年3月
代表者
代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
決算期
3月
直近業績
売上高3603億1400万円、営業利益802億6200万円、最終利益591億7100万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
証券コード
9766
企業データを見る