【決算まとめ③】ゲーム関連企業31社の1-3月…『ウマ娘』がサイバーエージェントにもたらした絶大な収益インパクト グリーとギークスも新作が寄与
主要モバイルゲーム企業の2021年1~3月期の決算の決算を引き続き振り返ってみたい。今回は、各社の売上高と営業利益の状況をまとめてみた。
まずは四半期売上高100億円以上の企業をまとめたグラフを見ると、特筆すべきなのはやはりサイバーエージェント<4751>躍進だろう。同社の前四半期のゲーム事業の売上高は、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>やガンホー<3765>、ミクシィ<2121>と並ぶような水準だったのだが、この1~3月期については、ほぼ倍の水準まで伸長している。
これもひとえに子会社Cygamesが2月24日にリリースした新作『ウマ娘 プリティーダービー』が大ヒットを記録していることがもたらした結果だが、『ウマ娘』はその後もストアランキングの首位を独走するような展開が続いており、3カ月間フル寄与となる次の四半期も同社の業績の好調が続く可能性は高いと思われる。
四半期売上高100億円未満の企業を見ると、KLab<3656>が70億円台から60億円台へと売上を落としている一方、ギークス<7060>の売上高がQonQで約2.5倍に急増している。
ギークスの大幅増収は、ゲーム事業で2タイトルを納品したことによるフロー売上の部分が大きく寄与しているためだが、同社のビジネスモデルでは納品後の運営によるストック売上も計上される形となり、直近のサービス終了の影響で低下していたストック売上が次の四半期以降は回復してくる見通しだ。
次に営業利益の四半期推移に目を移すと、まずは営業利益10億円以上の企業については、11社と前四半期の13社から減少した。これは一過性の費用・損失計上などで、DeNAとセガサミーHD<6460>、コナミHD<9766>の3社が大幅赤字に転落したことが主な要因だ。
一方で、グリー<3632>は、前四半期比で営業利益が3倍になるなどV字型の回復となった。これは1月20日に配信開始した新作『アサルトリリィ Last Bullet』の寄与に加え、広告宣伝費が前四半期比でおよそ半額に抑えられていることもプラスに働いたもようだ。
そして売上高でもその躍進ぶりが目立ったサイバーエージェントは、ゲーム事業の営業利益だけで230億円台という驚異的な数字を記録した。オリジナルIPタイトルでのヒットが利益率にプラスに働くことは周知のことではあるのだが、あらためて『ウマ娘』のもたらしたインパクトの強烈さが実感できる数字と言えそうだ。
営業利益10億円未満の企業については、赤字企業が前四半期の7社から10社に増加した。なお、グラフは赤字幅が数十億円単位と大きい、上記のDeNA、セガサミーHD、コナミHDは除外したものとなっている。
気掛かりなのは、やはり5億円強の営業赤字計上となったKLab<3656>だろう。これは『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』と『テイルズ オブ クレストリア』の2タイトルが想定を下回ったことが大きく、同社は両タイトルの帳簿価額の全額の減損処理に踏み切った。一方で、4月にカジュアルゲームの開発を行うグローバルギアの買収を実施しており、カジュアルゲームでの事業成長というシナリオを今後しっかりと描いていくことができるのかどうかは注目されるところだ。
【関連記事】
【決算まとめ①】ゲーム関連企業31社の1-3月…『ウマ娘』の大ヒットでサイバーエージェントが驚異的な飛躍 『スクスタ』と『テイクレ』苦戦のKLabが低調
【決算まとめ②】ゲーム関連企業31社の1-3月の営業赤字企業は10社と増加が続く DeNAとセガサミーHD、コナミHDが大幅な赤字を計上
まずは四半期売上高100億円以上の企業をまとめたグラフを見ると、特筆すべきなのはやはりサイバーエージェント<4751>躍進だろう。同社の前四半期のゲーム事業の売上高は、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>やガンホー<3765>、ミクシィ<2121>と並ぶような水準だったのだが、この1~3月期については、ほぼ倍の水準まで伸長している。
これもひとえに子会社Cygamesが2月24日にリリースした新作『ウマ娘 プリティーダービー』が大ヒットを記録していることがもたらした結果だが、『ウマ娘』はその後もストアランキングの首位を独走するような展開が続いており、3カ月間フル寄与となる次の四半期も同社の業績の好調が続く可能性は高いと思われる。
四半期売上高100億円未満の企業を見ると、KLab<3656>が70億円台から60億円台へと売上を落としている一方、ギークス<7060>の売上高がQonQで約2.5倍に急増している。
ギークスの大幅増収は、ゲーム事業で2タイトルを納品したことによるフロー売上の部分が大きく寄与しているためだが、同社のビジネスモデルでは納品後の運営によるストック売上も計上される形となり、直近のサービス終了の影響で低下していたストック売上が次の四半期以降は回復してくる見通しだ。
次に営業利益の四半期推移に目を移すと、まずは営業利益10億円以上の企業については、11社と前四半期の13社から減少した。これは一過性の費用・損失計上などで、DeNAとセガサミーHD<6460>、コナミHD<9766>の3社が大幅赤字に転落したことが主な要因だ。
一方で、グリー<3632>は、前四半期比で営業利益が3倍になるなどV字型の回復となった。これは1月20日に配信開始した新作『アサルトリリィ Last Bullet』の寄与に加え、広告宣伝費が前四半期比でおよそ半額に抑えられていることもプラスに働いたもようだ。
そして売上高でもその躍進ぶりが目立ったサイバーエージェントは、ゲーム事業の営業利益だけで230億円台という驚異的な数字を記録した。オリジナルIPタイトルでのヒットが利益率にプラスに働くことは周知のことではあるのだが、あらためて『ウマ娘』のもたらしたインパクトの強烈さが実感できる数字と言えそうだ。
営業利益10億円未満の企業については、赤字企業が前四半期の7社から10社に増加した。なお、グラフは赤字幅が数十億円単位と大きい、上記のDeNA、セガサミーHD、コナミHDは除外したものとなっている。
気掛かりなのは、やはり5億円強の営業赤字計上となったKLab<3656>だろう。これは『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』と『テイルズ オブ クレストリア』の2タイトルが想定を下回ったことが大きく、同社は両タイトルの帳簿価額の全額の減損処理に踏み切った。一方で、4月にカジュアルゲームの開発を行うグローバルギアの買収を実施しており、カジュアルゲームでの事業成長というシナリオを今後しっかりと描いていくことができるのかどうかは注目されるところだ。
【関連記事】
【決算まとめ①】ゲーム関連企業31社の1-3月…『ウマ娘』の大ヒットでサイバーエージェントが驚異的な飛躍 『スクスタ』と『テイクレ』苦戦のKLabが低調
【決算まとめ②】ゲーム関連企業31社の1-3月の営業赤字企業は10社と増加が続く DeNAとセガサミーHD、コナミHDが大幅な赤字を計上
会社情報
- 会社名
- グリー株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656
会社情報
- 会社名
- ギークス株式会社
- 設立
- 2007年8月
- 代表者
- 代表取締役CEO 曽根原 稔人
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高237億3900万円、営業利益9000万円、経常利益8200万円、最終損益14億7300万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7060