KADOKAWA、第1四半期の連結決算は営業利益が63.9%増の58億円 出版とアニメ好調 ゲームはリピート販売減速し赤字に

 KADOKAWA<9468>は、この日(7月30日)、第1四半期(21年4~6月)の連結決算を発表し、売上高520億3400万円(前年同期比10.7%増)、営業利益58億6900万円(同63.9%増)、経常利益61億4400万円(同59.5%増)、最終利益40億2300万円(同63.9%増)と大幅増益を達成した。「収益認識に関する会計基準」を適用しはじめており、従来の方法に比べて、売上高は27億4300万円減ったが、利益については軽微だという。

・売上高:520億3400万円(同10.7%増)
・営業利益:58億6900万円(同63.9%増)
・経常利益:61億4400万円(同59.5%増)
・最終利益:40億2300万円(同63.9%増)

 

同社では、主力の出版事業が紙の書籍・電子書籍ともに好調に推移しているほか、映像事業もアニメの配信収入や、ゲームなどのライセンス使用料が貢献した、としている。ゲームについてはリピート販売が減速し、赤字となった。

[出版事業]

売上高は321億2900万円(前年同期比9.8%増)、セグメント利益(営業利益)は53億8700万円(前年同期比151.3%増)となった。

書籍市場全体が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた前年から回復していることに加え、同社においては新刊の制作が順調に進捗していることや、前年に引き続き返品率が大幅に良化していることが収益貢献した。

また、『魔力の胎動』(一般文庫)、『異世界居酒屋「のぶ」(12)』(コミックス)、『パンどろぼう』(児童書)、『31番目のお妃様(3)』(コミックス)等の販売が好調に推移した。海外事業では、特に北米においてコミックス、ライトノベルを中心として順調に成長している。

電子書籍・電子雑誌は、市場全体の高成長が継続していることに加え、映像化作品に対する需要の高まりや自社ストアであるBOOK☆WALKERにおける新規ユーザー数の増加により好調に推移し、前期から引き続き、四半期ベースで過去最高の売上高を更新した。

なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上に向け、埼玉県所沢市において2021年4月に書籍製造ラインの稼働を一部開始し、文庫やライトノベル、新書、コミックス等のデジタル印刷による小ロット・適時製造を行っている。今後、製造能力の拡大に努めるとともに、物流設備についても将来の稼働に向け、準備を進めている。

[映像事業]

売上高は89億300万円(前年同期比59.2%増)、セグメント利益(営業利益)は10億3800万円(前年同期 営業損失2億6100万円)となった。

アニメ『蜘蛛ですが、なにか?』『聖女の魔力は万能です』や実写映画『ヤクザと家族』『ファーストラヴ』の配信による収入に加え、『Re:ゼロから始める異世界生活』をはじめとした同社アニメIPの他社ゲームへの活用による権利許諾が引き続き収益貢献した。

またデジタル映画鑑賞券「ムビチケ」やスタジオ事業等では、一部で新型コロナウイルス感染症拡大による映画館休業の影響が見られたものの、前年の水準からは大幅に回復している。

[ゲーム事業]

売上高は18億7500万円(前年同期比56.8%減)、セグメント損失(営業損失)は1億1600万円(前年同期 営業利益16億600万円)となった。

『SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE』等、旧作のリピート販売に減速が見られた。また共同・受託開発事業では、新作を発売した前年からの反動と開発スケジュールの見直しにより減収となった。

[Webサービス事業]

売上高は53億7800万円(前年同期比2.8%増)、セグメント利益(営業利益)は5億9900万円(前年同期比15.2%増)となった。

動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が6月末には148万人となり、前年3月末の153万人からは減少となっている。

しかしながら、有料生放送や生放送番組にアイテムを贈る「ギフト」などの都度課金収益の拡大に努め、収益の多様化への取組みが収益に貢献した。各種イベントの企画・運営では、4月開催の「ニコニコネット超会議2021」において一部リアルイベントも開催するなど好評を博し、売上が増加した。

[その他事業]

売上高は54億5500万円(前年同期比24.7%増)、セグメント損失(営業損失)は4億9100万円(前年同期 営業損失3億7100万円)となった。
教育事業においては、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校で生徒数が順調に増加しており、同校等に教育コンテンツの提供を行うドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移した。また、クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営するバンタンでも前年に名古屋校を開校する等の積極的な投資の中で、売上、利益ともに引き続き成長している。

コトビジネスにおいては、角川武蔵野ミュージアム、アニメホテル、イベント事業、飲食事業などの商業施設を展開するところざわサクラタウンが2020年11月6日にグランドオープンし、売上に寄与した。

■2022年3月通期

2022年3月通期は、レンジ予想となっており、売上高2180億円~2280億円(前期比16.0%減~同8.0%減)、営業利益100億円~140億円(同55.0%減~同39.0%減)、経常利益105億円~145億円(同69.0%減~同66.0%増)、最終利益69億円~96億円(同55.0%減~同38.0%減)を見込む。

・売上高:2180億円~2280億円(同16.0%減~同8.0%減)
・営業利益:100億円~140億円(同55.0%減~同39.0%減)
・経常利益:105億円~145億円(同69.0%減~同66.0%増)
・最終利益:69億円~96億円(同55.0%減~同38.0%減)

 

株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2554億2900万円、営業利益259億3100万円、経常利益266億6900万円、最終利益126億7900万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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