【CEDEC 2021】アカツキのシナリオ横串チーム「ROOTS」が多様化するライターへのマネージメント施策を紹介 海外の脚本制作手法「ライターズルーム」をリモートで活用
コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、8月24日~26日の期間、オンラインにて、国内最大のゲーム開発者向けカンファレンス「コンピュータ・エンターテインメント・デベロッパーズ・カンファレンス 2021」(CEDEC 2021)を開催した。
本稿では、8月26日に行われた、アカツキ・ゲーム職能本部 シナリオマネージャーの水野崇志氏による講演「至高のシナリオチームの作り方 ~リモートワークでも導入できる「ライターズルーム」とシナリオ横串チームによるマネージメント~」をレポートしていく。
本セッションでは、ゲームやアニメの制作現場でのチームによる脚本制作の【必要性】と【課題】について説明した。その【課題】の解決方法として、チームで高品質な脚本を作成するために生まれた海外の脚本制作手法「ショーランナー」と「ライターズルーム」の仕組みと導入方法について、リモートワークでの実践例を元に解説。リモートワークでも「ライターズルーム」を実施できるツールの活用法や、チームでの最も大きな【課題】の一つ、メンバー同士のコンフリクトの解決法も紹介している。また、それらを実現可能にしたシナリオ横串チーム「ROOTS(ルーツ)」が4年間実施してきたマネージメントの詳細についても紹介。これら具体例を踏まえて、ゲーム開発でもすぐに活かせる「クリエイティブを高める方法」と「マネージメントによるシナリオチームの安定化」について伝えた。
クリエイティブに関しては、海外の脚本制作術「ライターズルーム」に挑戦。なお、今回はコロナ禍によるリモートワークでの運用となったため、「ライターズルーム」のルールやリモート用のツールなど、そこで培ったノウハウをお伝えしていくとした。
そこで、多様化することで起きている課題のひとつとして、背景が異なるメンバー同士でコンフリクトが起きている事例を紹介した。
さらに、これらの改善を一度に実施すると混乱が生まれてしまうため、フローチャートを作成し、今どういった工程を進んでいるのかを視覚的に分かりやすくして共有。約60工程ある中、半分ほどを埋めながら成長を目指している。
逆に、ショーランナーの独断で決定するため個性が失われてしまう可能性があることや、脚本家同士で認識の齟齬が生まれやすいことを注意点として述べた。
ただし、その際にショーランナーがどのようにアイディアを選んでいくかというところでスキルが問われる。如何に全員が納得する形で説明できるかがショーランナーの腕の見せ所となる。さらに、発言力のある人物がメインとなり、発言者が固定される場合があると懸念点を述べた。この点に関しては、各脚本家の得意・不得意や適性を理解し、参加者の役割を明確にして全員が平等に発言できる機会を作ることである程度防ぐことができると対策を述べた。最後の注意点として、自分のためではなく作品のためにアイディアを出すというスタンスが生まれにくい状況になりやすいため、如何にして全員が全力で全体構成を作っていくかが大切になると話した。
(取材・文 編集部:山岡広樹)
会社情報
- 会社名
- 株式会社アカツキ
- 設立
- 2010年6月
- 代表者
- 代表取締役CEO 香田 哲朗
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高239億7200万円、営業利益26億7600万円、経常利益28億3400万円、最終利益12億8800万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3932