LINE DEVELOPER DAY2021で明らかになった、同社のブロックチェーン/NFT領域の今 10万人以上が初めて暗号資産を保有、ETH互換のブリッジ機能の開発中など
LINEは、11月10・11日にかけてオンライン技術カンファレンスLINE DEVELOPER DAY 2021を開催した。
Opening Keynoteでは、取締役CTOEuivin Park氏などを始め、各分野のスペシャリストが登壇し、過去から現在、未来へと続く同社の技術を紹介した。本稿では、LINE DEVELOPER DAY 2021での「Opening Keynote - 2021」で明らかになった同社のブロックチェーン/NFT領域に関してお伝えする。
登場したのは、LINEの暗号資産事業およびブロックチェーン関連事業を展開するLVCの米山裕介氏だ。
米山氏は、まずLINEのブロックチェーン領域についてのこれまでの歴史を語った。
米山氏によると、同社は2018年にLINE 独自のブロックチェーン LINE ブロックチェーンのリリースそして独自の暗号資産であるリンクのグローバル流通を開始したという。続く2019年には日本で暗号資産取引が行えるサービス LINE bitmax ローンチしている。
2020年には、開発プラットフォームの LINE ブロックチェーンデベロッパーストブロックチェーンウォレット LINE bitmax ウォレットを開始。そしてついに今年2021年には、NFTマーケットを公開している。つまりと、毎年大きなリリースを行い続けている状況だ。
同社が力を入れているブロックチェーン領域ではあるものの、業界全体として大きな課題が2つあると米山氏は言う。1つ目は電力消費で、2つ目はトランザクションフィーやガスなどと呼ばれているブロックチェーン上で取引をする際の手数料の問題だ。
まずは消費電力について、今までブロックチェーン技術の中心はプルーフオブワーク(PoW)と呼ばれる GPU と電力を消費した人がブロックチェーンの組成を承認する権利を手に入れられるというコンセンサスアルゴリズムだった。
これを解決させる代表的な手段としてプルーフオブステーク(PoS)が登場している。PoSはブロックチェーン上に保有している暗号資産やトークンの保有量に比例して権利が与えられるという仕組みになる。
これにより多大な電力を消費する演算強壮に特化したコンピュータは不要となり安定して稼働するコンピュータさえあればブロックチェーンの維持が可能になるというわけだ。この技術は 同社のLINE ブロックチェーン以外だとイーサリアムなどにも取り入れられている。
2つ目の手数料の問題だ。イーサリアムでは手数料が高騰しており利用者の悩みどころになっている。この根本的な原因として米山氏は「ブロックチェーンの単位時間あたりの処理能力の限界に対して、それを超える取引需要が生まれたから」と説明している。
この問題については、この先取引需要が増え続ければ、LINE ブロックチェーンも同様の問題に直面するのだという。そこで現在、ブロックチェーン同士を連結する技術であるインターオペラビリティについても研究開発をしているのだという。
イーサリアムでは需要と供給の市場原理によって手数料を変動させる高騰させるという方法をとっている。一方で LINE ブロックチェーンでは、このような市場原理の導入は行わず、その代わりにインターオペラビリティを利用してブロックチェーン自体を増やすことで処理能力の供給も増やしていくというアプローチし、取引コストを安く抑えながらも発展させることを目指しているとのことだ。
これに加えVerifiable random function(ベリファイブルランダムコレクション。公開鍵の疑似ランダム関数)や、Byzantine Fault Tolerance(ビザンチンフォルトトレナンス)といった分散コンピューティングでの合意形成時に発生するトラブルによる対処システムを持った技術基盤による、コンセンサス・アルゴリズムの開発も進めているのだとか。
また同社のNFTマーケットプレイスにおいても、ユーザーエクスペリエンス(UX)を意識したサービスを構築しているそうだ。
多くのサービスでは NFT を購入するために、まずは暗号資産取引所で暗号資産を購入し NFTマーケットで取引する。NFTはウォレットで保管する。これらの一連の流れは、それぞれ別々のサービス基盤上で運営されていることがほとんどだ。
その一方 LINE ブロックチェーンは LINE プラットフォームと統合された立体的なプラットフォーム上でサービスを提供している。そのためユーザーサービスを提供したい企業、サービスを利用したい人にとっても使いやすい環境を提供することができているという。
実際にLINE ブロックチェーンでは、LINE の公式アカウントに友達登録すれば NFT をプレゼントするというキャンペーンを行っている。 NFTを活用した取り組みとしては国内最大規模で約17万人がNFTを保有することになったそうだ。この中8割以上は暗号資産(仮想通貨)を今まで一度も保有したことがない人だったという。
なお、この先
・NFTマーケットを中心としたウォレットサービスの機能追加
・イーサリアムと互換性を持たせるためのブリッジ機能の新規開発
・スマートフォントラクトを実現するためのWASM Virtual Machine の追加機能の開発
といった機能追加を予定しているという。加えてLINE ブロックチェーンデベロッパーズの REST API の JS クライアントなどをオープンソース化の取り組みにも力を入れているという。
米山氏は、これからもLINE ブロックチェーンを通じて世界中の開発者やユーザーに対して新しい価値を届けたいとコメントしている。
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会社情報
- 会社名
- LINE株式会社
- 設立
- 2019年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 出澤 剛/代表取締役 慎 ジュンホ