【決算レポート】DeNA、第2四半期は営業益6%減の79億円 端境期のゲームと先行投資のライブストリーミングが減益に "赤字"のスポーツでカバーし1ケタの減益にとどめる

木村英彦 編集長
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ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>の第2四半期(2021年7月~9月)の連結決算(IFRS)は、売上収益340億円(前年同期比12%減)、営業利益79億円(同6%減)、税引前利益102億円(同42%減)、最終利益82億円(同11%増)となり、前年同期比で2ケタの減収減益だった。主力のゲームとライブストリーミングが減益となったことが主な要因だ。スポーツについては減収・セグメント損失となった。コロナ感染拡大の影響で業績が悪化したかに見えるが、東京2020の開催に伴って主催試合が減少したことによるもので、これについては別途、補償金を受け取ったという。

・売上収益:340億円(同12%減)
・営業利益:79億円(同6%減)
・税引前利益:102億円(同12%減)
・最終利益:82億円(同11%減)

 セグメント別の状況は以下のとおり。

 

■ゲーム
・売上収益:200億円(同21%減)
・営業利益:31億円(同51%減)

前年同期においては東映アニメーション<4816>との協業タイトル『スラムダンク』のゲームアプリが中国本土を中心に大ヒットし収益拡大に大きく貢献したが、この四半期はそれに匹敵する収益のあるタイトルがなかった。

さらに、新作『東方ダンマクカグラ』と『ドラゴンクエストダイの大冒険-魂の絆-』の先行投資が発生したようだ。両タイトルともに「順調な立ち上がり」で、次の四半期から収益に貢献する見通しだ。

『東方ダンマクカグラ』については、事前のマーケティング活動が奏功し、リリースから想定をはるかに超えるダウンロードとなったという。

『ドラゴンクエスト ダイの大冒険-魂の絆-』についても同様に、「IPとして未知数だったが、ダウンロード数も売上も当初想定を大きく上回るものだった」(同社関係者)との声も聞かれた。

このほか、ポケモンとの協業タイトル『ポケモンマスターズEX』も海外でのローカライズなどの工夫や大型アップデートなどを通じて再成長に入っていることも明かした。月次売上で4月以降は前年比プラスとなっている。

 

■ライブストリーミング
・売上収益:88億円(同51%増)
・営業利益:12億円(同25%減)

国内の「Pococha」の売上収益が順調に伸びたことに加えて、8月から新たに加わった「IRIAM」も貢献した、としている。「Pococha」グローバル版や新ジャンル「IRIAM」への先行投資を行ったこともあり、セグメント利益は減益となったようだ。

国内「Pococha」は、デジタルマーケティングが寄与し、リスナーの獲得が進んだ。アクティビティの高いユーザーが積み上がり、継続率と課金率も向上しているという。「新たな事業として定着している。より居心地のいい場をバーチャルに築くことができている」(岡村社長)。

 

「IRIAM」については、8月に完全子会社となったが、44万ダウンロードを突破するなど順調に成長しているという。両社の経営ノウハウや経営リソースの共有、活用を進めて、さらになる成長を目指していく。

グローバル版「Pococha」は今年5月に米国で開始したが、「(DAU上昇など)徐々に定着している」。今後はまず英語圏を中心にサービスを展開していく考えだ。費用対効果を重視しつつ、機能改善などを行うとともに、体制構築やマーケティングを行っていく考えだ。

 

■スポーツ
・売上収益:36億円(同34%減)
・営業損失:3億円(前年同期は11億円の利益)

東京2020の開催に伴い、横浜スタジアムにおける主催試合が例年よりも少なかった。昨年は35試合だったのに対して、今期は21試合に減少した。この結果として、前年同期から売上が大きく落ち込んだ。ただ、営業補償も受け取っており、それについては別途、その他収益に計上したという。

セグメント損失を計上したが、実態としては良くなっているという。岡村社長は、「今シーズンは、コロナ禍にあっても立ち直ってきたという感触を持っている。体制の筋肉質化もでき、非常にいい形になっている。来シーズンは、観客の制限もなくなれば、以前に実現したような形でのビジネスも成り立っていくのではないか」とコメントした。

 

■ヘルスケア
・売上収益:7億円(同40%増)
・営業損失:2億円(同3億円の損失)

日本テクトシステムは、高齢者の認知機能検査のDXを実現する「MENKYO」が富山県警で試行実験に入ったほか、第一生命HDとの業務提携で2つのサービスを開始した。「SickケアからHealthケアへの転換を実現し、健康寿命を延伸する」の実現に向けて、適切な成長投資を行いつつ、3年以内に大きな損益反転を目指す。

 

■新規事業・その他
・売上収益:9億円(同47%減)
・営業損失:1億円(同1億円の損失)

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
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