【インタビュー】「いちばんやさしいアプリマーケティングの教本」森下明氏に聞く 執筆の経緯とマーケティングの定義

インプレスは、ブシロードで様々なアプリマーケティングを手がけた森下明氏による、アプリマーケターのための単著『いちばんやさしいアプリマーケティングの教本 人気講師が教えるスマホアプリ収益化の大原則』 を、本日2021年12月22日に発売した。

アプリビジネスの第一線で活躍している森下明氏の経験などを基にした、どのような環境下においても、自社アプリの収益化を実現していくための一連の手法や具体的な施策を「アプリマーケティング」として解説している。

本書では、特に力を入れたアプリ内分析と投資回収基準などに実際の業務や立案に役に立つ事例や考え方も詳細に記載されている。現在、刊行を記念して本書の一部を無料公開中だ。


今回、執筆者であり、ブシロードの海外ヘッドクォーターであるBushiroad internationalのモバイル事業責任者として活躍する森下明氏に本著執筆の経緯や内容についてインタビューを行った。


 

アプリマーケティングにおいて立ち返れる教科書となる書籍を

 
――:「いちばんやさしいアプリマーケティングの教本」の刊行おめでとうございます。刊行にあたってインタビューさせていただいた記事についても非常に読み応えがあり好評でした。

わざわざありがとうございます。

▲対談記事では書籍プレゼントキャンペーンも実施中!

――:まず、何故「アプリマーケティング」をテーマに書籍を書こうと思ったのでしょうか。

 
領域がニッチなこともあってか、アプリマーケティングに関して網羅的に学べる書籍が実は存在しないことに気づきました。

また、アプリマーケティングに関わる様々なカンファレンスやウェビナーに登壇する中で、ご質問頂く内容に重複があったり、類似しているような内容が多いことに気づきました。

さらに、広告費の投資回収基準やアトリビューション設定に代表されるようなアプリマーケティング業界独特の商習慣と言いますか常識について「その常識は都合の良い第三者が作り出したものであって、マーケターが自社プロダクトの売上利益を最大化するという観点で間違っているかもしれない」という問いかけをしたいと思ったので執筆することにしました。

つまり「アプリマーケティングについてわからないことが合ったときに立ち返れる教科書を作りたい」という思いで書き始めたのがきっかけです。


――:近藤さん、三浦さんとの対談記事でも言及されていましたが、今一度アプリマーケティングとは何をすることか伺っても良いですか?

本書ではアプリマーケティングを「顧客に価値を提供することを通じて、アプリの売上利益を最大化すること」と定義しています。

ですので、よく勘違いされる「マーケティング=プロモーション」という定義とは異なります。近藤さん、三浦さんとのインタビュー記事でも引き合いに出しましたが「なんちゃらマーケター」と言い張る方の多くが所謂プロモーションだけを生業にしていることが多いため、「マーケティング=プロモーション」というような、特定のHowやWhatの話だと誤解されることが多い印象です。

本来のマーケティングの意味は顧客に価値を提供することを通じて、プロダクトの売上利益を最大化することであり、それを実現するための手法(HowやWhat)は様々なはずです。ですので、いきなり細かな手法の話から入るのは本末転倒だと思います。

正しい考え方としては「我々のプロダクトは誰に貢献(=エンタメの場合、感動や幸せ、ワクワクの提供等)するために存在するのか」といったWhyとWhoを設定し、そのために効果的なHowやWhatに落とし込むという流れであるはずです。

ですので、当たり前ですがプロモーション担当だけが、マーケターでは無いということです。

――:ということは、アプリマーケターというのは極論、アプリビジネスに関わる全てのビジネスマンを対象としているということでしょうか?

はい、おっしゃるとおりです。ですので、本書はプロモーションをご担当されている方だけではなく、アプリの開発や運営に関わるプロデューサー、ディレクター、プランナーの方々なエンジニア、デザイナー、QAやCSに関わる方々など全ての職種の方にご一読頂けるように設計されております。

とはいえ、いきなり業界の常識からかけ離れた内容にしてしまうと実務において役立つ本にならないと思いましたので、主に「プロモーション(WEB広告)」「アプリ内分析」「投資回収」の3点について丁寧に触れております。
 

――:特にここは読んでほしいというポイントはありますか?

まだアプリビジネスに関わり始めたばかりであったり、興味があるという方に関しては1~6章を読んで頂きたいです。アプリマーケティングの全体像とプロモーションの基礎が学ぶことができます。アプリビジネスのキャリアが長い方には7~9章を読んでいただきたいです。

7~9章では、アプリ内分析と投資回収について触れておりますが、特にアプリ内分析においては「課金クラスター分析」や「UIUXフロー分析」を紹介しており、これらの理解が深まることでマーケターの打ち手はかなり増えると思います。

投資回収については、フェーズごとに投資回収基準を分けて運用する意義を述べております。これらに関しては、アプリビジネスを長くされている方にも学びがあるのではと自負しております。

――:ありがとうございました。


来年からは森下氏や様々なマーケターの方々を交えたマーケティング連載企画「森下明のマーケティング 虎の巻」も掲載予定だ。アプリマーケティングに興味のある方は本著も拝読しつつ、企画記事を楽しみにしていってほしい。