KLab、21年12月期の決算は最終損失34億円 既存ゲームが想定上回る速度で減衰 『スクスタ』と『テイクレ』減損損失 EAとの共同タイトルは年内リリース予定

KLab<3656>は、この日(2月9日)、2021年12月通期の連結決算を発表し、売上高238億9500万円(前の期比29.7%減)、営業損失11億0500万円(前の期は21億4900万円の利益)、経常損失10億2800万円(同15億6400万円の利益)、最終損失34億6800万円(同7億6700万円の利益)だった。売上高は予想に沿った着地となったが、営業と経常損失は予想よりも改善した。最終損失は繰延税金資産の一部を取り崩したことで予想を下回ったという。

・売上高:238億9500万円(同29.7%減)
・営業損失:11億0500万円(同21億4900万円の利益)
・経常損失:10億2800万円(同15億6400万円の利益)
・最終損失:34億6800万円(同7億6700万円の利益)

今後数年間のゲーム事業を支える重要なパイプラインの確立に向けて新規IPの獲得に注力したほか、新作タイトルの開発にリソースの注入を行ってきた。既存タイトルにおいては、商材の売れ行きの鈍化と新たな競合タイトルが登場したことによる影響などにより、期初より想定を上回る減衰率で推移し、売上高が大幅に減少した。

(BLEACH Brave Souls)
新機能「アリーナ」の提供を通じて遊び方の幅を拡げるなど、ユーザーへの提供価値の最大化に注力した。また、2021年4月にはダウンロード数が全世界6000万を突破した。売上高については、主に商材の売れ行きが伸びず、前年を下回った。

(キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~)
原作の連載40周年記念に合わせて様々なキャンペーンを実施したほか、原作者である高橋陽一先生監修の新ストーリーの投入などを展開した。また、2021年9月にはダウンロード数が全世界4000万を突破した。売上高については、前年を下回ったものの健闘し、想定の範囲内で推移した。

(ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS)
新たな競合タイトルがリリースした影響などにより、売上高は大幅に減少し、前年を下回った。本作については、2022年1月6日より、パブリッシャーをブシロード、運営をマイネットにそれぞれ移管している。

また、前期においてリリースを計画していた新作タイトル『ラピスリライツ ~この世界のアイドルは魔法が使える~』については、中国での版号審査の遅れなどにより事業計画を変更し、2021年12月14日サービス開始としたことから、業績寄与は限定的となった。

費用面の分析は以下のとおり。

・同社グループ全体で詳細な費用の見直しを継続して実施し、利益の創出に努めた。
・売上原価は211億7500万円となり、前期比21.5%の減少となった。これは主に、売上高の減少に伴い支払手数料等が減少したことによる。
・販売費及び一般管理費は38億2500万円となり、前期比21.0%の減少となった。これは主に、広告宣伝費が減少したことによる。
・特別損失は、16億7900万円となった。これは主に、第1四半期において『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』及び『テイルズ オブ クレストリア』のソフトウエア資産の減損損失を計上したことによる。
・ 第4四半期において繰延税金資産を一部取り崩すこととし、法人税等調整額5億4600万円を計上している。

 

■2022年12月期の見通し
2022年12月期の業績見通しは非開示。

引き続きゲーム及びゲーム周辺事業を軸とした事業運営を推進していく。特にゲーム事業においては、既存タイトルの安定運用によるトップラインの維持に加え、グローバルで高い人気と熱量を有するIPを活用したヒットタイトルの創出に努め、中長期での事業成長を目指す。

さらに、今後はブロックチェーン技術を活用した新たなエンターテインメントコンテンツの創出にも取り組み、同社の第2の事業の柱として成長させることで、企業規模のさらなる拡大を目指していく。

これまで新作タイトルのヒット度合い及び既存タイトルの状況により業績が大きく変動することに鑑み、レンジ形式による通期業績予想開示を採用してきたが、近年はゲーム事業を取り巻く環境の変化のスピードが以前にも増して著しく、短期間でも既存タイトルの動向を精緻に予測することが困難になってきている。

さらに、2022年12月期は、業績への大きな貢献を見込むElectronic Arts Inc.との共同開発タイトルについて、期中のリリースを予定しているものの、現時点ではリリース時期が未確定であることから、業績に与えるインパクトを合理的に算出することが困難となっている。 

KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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