【特集】ヒット作の運営からみるその魅力に迫る…『原神』、その大規模な開発力の他に光る丁寧な運営とは

HoYoverse(miHoYo)より配信されている『原神』。本作は2020年にリリースされ、その圧倒的なクオリティの高さに世界中で話題となった。

昨年においても、多くのユーザーに支持され、米国の調査会社Sensor Towerによるレポートでは年間売上においても約2059億円を突破したと発表された。

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『原神』に関してはもはや説明不要かと思うが、簡単に紹介すると、広大な地「テイワット」を舞台にしたオープンワールド型のアクションRPG。

開発は、『崩壊3rd』のスタイリッシュなアクションで日本でも高い評価を得たmiHoYoになり、スマートデバイスのみならず、PCやPlayStationなど様々なクロスプラットフォームにも対応している。

またそのグラフィックにおいては、ティザームービーが公開された当時から話題となっていた。

リリース後においても様々なエリアを自由に冒険でき、メインストーリーの他にも多彩なミニゲームなどが実装されることもあり、オープンワールドゲームやアクションRPGに慣れない人にも楽しめる要素がふんだんに盛り込まれている。

そんな『原神』だが、2021年においても変わらずの支持を獲得しており、今年に入ってもその勢いは健在だ。同作ではこれまでにどのような施策を行ってきたのだろうか。

そこで、本稿では『原神』の2021年施策について調査した内容を紹介する。『原神』が支持されているのはどういった運営を行なっているのか。その秘密を探ってみる。

調査においては、スパイスマート社の協力にて、最近機能アップデートが行われたマーケティング分析ツール「LIVEOPSIS(ライブオプシス)」を提供いただいたので、こちらを活用する形にて行うことにする。(※本記事内のデータはLIVEOPSISより取得したものになりますが、一部加工して使用しているものもございます)

 

LIVEOPSISについて

スパイスマート社のサービス「LIVEOPSIS」では、ゲームアプリの運用情報の他、各ゲームのTwitterやYouTubeチャンネルのトレンドなども分析することができる。

▲イベントカレンダーでは、本記事のように施策ごとに絞って調査することができる。自社タイトルで行っている施策を他社ではどのように運用しているかも比較分析にも活用できる。上記では、周年にちなんだログイン施策やガチャ施策を調べる際に該当施策のみ表示するようにしている。

▲本記事では活用していないが、リリース前の事前登録動向についても調査可能だ。各社が事前登録施策の主軸と置いているTwitterでのフォロワー獲得推移や、 実際に反響の大きかったツイート内容もキャッチアップすることができる。

本記事の『原神』のように、各タイトルの運営動向やSNS施策についても確認することができ、自社タイトルとの違いなどを比較分析することが可能だ。


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スマホゲームでは一番盛り上がる周年時期の施策…『原神』の場合は?

多くのスマートフォンゲームで盛り上がりをみせるのは周年時期と言えよう。周年施策にてカムバックユーザーにも再びゲームを遊んでもらい、再び次回の周年に向けて運営を行なっているタイトルも多い。それだけ運営型ゲームでは重要な時期となる。

そんな周年施策だが、『原神』ではどのような施策が行われたか。まずはLIVEOPSISのイベントカレンダーを活用して、周年時期における施策の内容を調査・紹介していく。

 

 ▲『原神』の周年期間周辺の施策一覧。(集計期間:8月28日〜10月28日)LIVEOPSISのイベントカレンダーよりゲーム外施策にて絞り込んで調査した施策一覧。

上記の一覧は、『原神』における周年時期にてゲーム外施策の一覧となる。

【周年に関連したプロモーション施策(一部)】
■9月1日 原神1周年記念コンテスト
■9月7日 webイベント「祝福の刻印」
■9月16日 youtube動画「テイワット冒険記念動画 一周年旅手帳」公開
■9月27日 TVCM放映
■9月28日 1周年webイベント「忘れがたき旅」
■10月1日 OOH広告 JR山手線ラッピングトレイン
■10月1日 TVCM放映記念!Twitterキャンペーン


※リリース記事、LIVEOPSIS内イベントカレンダーより抜粋。カレンダーではマウスオーバーにて各施策の詳細情報を確認できる。

同作では、YouTube動画を皮切りに、TVCMと山手線のラッピング広告を実施。SNS上においてはTVCMを記念したキャンペーンも行っていた。また、1周年を記念したコンテストも公式コミュニティ「HoYoLAB」にて実施しており、ゲーム攻略や写真、イラストをユーザー投稿にて実施する企画も行われていた。

▲「HoYoLAB」にて開催された記念コンテスト

▲周年時に放映されたTVCM。

▲OOH広告では山手線ラッピングトレインが行われていた。

 

TVCMについてはその世界観や美麗なグラフィックを押し出した内容となっている。また、『原神』ではTwitterやwebページによるキャンペーンも行われており、周年時期では1周年を祝うキャンペーンが行われていた。

9月28日は1周年を記念したwebイベント「忘れがたき旅」が公開された。こちらは、イベントページにログインすると、プレイヤーがこれまで歩んできた旅、プレイログを振り返られるというもの。

▲『原神』では、webページを活用した施策も行われる。周年時以外にも船を制作や撮影写真のシェアを行うなどの施策が行なっている。


webページによる施策展開は、『原神』ではマルチプラットフォームで展開しており、柔軟に行える施策として実施されていると考えられよう。

そして、webページにてユーザーが投稿する形式にて共有を深める施策が特徴的であった。

▲最近の施策でも、写真投稿を共有する内容であった。(LIVEOPSISイベントカレンダー詳細画面より)


それではゲーム内施策はどうか。次はゲーム内施策を紹介していく。

▲『原神』周年日周辺のゲーム内施策一覧。(集計期間:9月1日〜9月30日)


【1周年期間周辺で行われた主なゲーム内施策(一部抜粋)】
▼セール情報
(9月22日〜10月7日 )
■冒険助力パック 期間限定販売

▼ガチャ情報
(9月21日〜10月12日)
■イベント祈願・「海原に浮かぶ虹珠」:「真珠の智・珊瑚宮心海(水)」確率UP!
■イベント祈願・「神鋳賦形」:「法器・不滅の月華」「片手剣・磐岩結緑」確率UP!

▼イベント情報
(9月21日〜10月12日)
■限定ステージ キャラクターお試し「腕試し」
(9月27日〜10月11日)
■限定ステージ イベント「韶光撫月」
(9月28日〜9月29日)
■連続ログインボーナス「雲流奔星」


周年施策としては、記念ガチャや復刻ガチャ、限定イベントなどが実施されることが多いが、『原神』においてはそういった施策はなく、普段と変わらない運営となっていた。

▲周年時期のゲーム内イベント施策例。

LIVEOPSISイベントカレンダーでは施策情報の詳細も確認でき、告知時のクリエイティブや関連ツイートも確認することができる。

特に1周年として行われた施策として挙げられるものは少なく、9月28日に新しいガチャが実装されるといったこともなかった。

▲『原神』では9月21日にて新しいガチャが実装されているが、周年にちなんだ新しいガチャや復刻ガチャと言うわけではなく、シナリオに登場した新キャラクターの追加となっていた。(LIVEOPSISイベントカレンダー、イベント詳細画面より)

冒頭にもお伝えした通り、スマートフォンゲームにおいては、周年施策にて様々なキャンペーンを実施するタイトルが多い。

『原神』ではマルチプラットフォーム展開や世界配信も行われているという背景も考えられるが、周年施策としてゲーム内の施策などを大きく展開している訳ではなかった。

では、『原神』はゲーム内のイベントや施策をあまり行なっていないのかと言えると、そうとも言えない。ここで改めて、『原神』のゲーム内でのイベントを調査してみる。

同作では、バージョンアップされるたびにメインストーリーが追加されていくというのが習慣となっているが、バージョンアップはおよそ1.5ヶ月の周期にて行われている。

【バージョン一覧】
version1.0リリース日…2020年9月28日
version1.1 「迫る客星」…2020年11月11日
version1.2 「白亜と黒龍」…2020年12月23日
version1.3 「明霄、海に昇りて」…2021年2月3日
version1.4 「風花の招待」…2021年3月17日
version1.5 「塵歌を纏いし扉」…2021年4月28日
version1.6 「真夏!島?大冒険!」…2021年6月9日
version2.0 「鳴神不動、泡影を滅す」…2021年7月21日
version2.1 「韶光撫月の浮世」…2021年9月1日
version2.2 「霧の海と謎の秘境」…2021年10月13日
version2.3 「白雪に潜みし影」…2021年11月24日
version2.4 「流るる星霜、華咲きて」…2022年1月5日
version2.5「薄櫻が綻ぶ時」…2022年2月16日

各バージョン内では、限定イベントやピックアップガチャが各2回ほど実施されるという運営サイクルだ。

▲LIVEOPSIS内『原神』のイベントカレンダーより(集計期間:6月9日〜7月20日)期間はversion1.6 「真夏!島?大冒険!」内の施策一覧。バージョン内でも大きく二つのパートに分かれて施策が展開されているようだ。

1.5ヶ月毎に大規模なアップデートが行われる他、約20日間毎に限定イベントも実施されるといった運営サイクルとなる。サイクルの中では主に以下の内容が実装される。

・ピックアップガチャ :キャラクター、武器ガチャ


1つのバージョンにて、キャラクター・武器ガチャがそれぞれバージョン毎に2回実装される。新ストーリーにて追加されるキャラクターと過去に追加されたキャラクターが復刻としてピックアプされる2種類のガチャが用意される。

・限定イベント:ガチャ追加の新規キャクターお試しプレイイベント


ピックアップされているキャラクターを試遊できるイベント。

・限定イベント:バージョンアップ機能に準じた限定イベント


バージョンアップにて追加された機能を用いたイベントや開放されたエリアでの限定イベントが用意される。こちらも各バージョン毎に2回以上実施される。

・限定イベント:バージョン毎に実装される限定ミッションイベント


『原神』では紀行イベントと呼ばれるミッションイベントがあり、こちらもバージョン毎に限定イベントが用意される。

・ゲーム外キャンペーン1:Twitter施策


主に、バージョンアップデート時などにTwitterアカウントでのプレゼントキャンペーンが実施されることが多い。

・ゲーム外キャンペーン2: webページイベント


webページを活用した施策となり、ユーザー投稿型のイベントが用いられることが多い。

スマートフォンゲームでは、ひと月に2回イベントとピックアップガチャを実施するタイトルも多いが、『原神』では大型アップデートの頻度も高いように思える。メインストーリーの追加の他、ミニゲームの実装など、その内容も大掛かりと言えるものだ。

▲過去のアップデートではタワーディフェンスゲームや軍艦シューティングゲームなど単体でも成立しそうなミニゲームも実装されていた。(Ver1.3公式PVより)

改めて施策をそれぞれ見ていくと、『原神』では周年などの節目を盛り上げるというよりは定期的な大型アップデートを実施することで、ユーザーに新しい体験を提供することに優先しているようだ。

運営方針においては、各社の考えや配信エリア、開発事情によって様々で、『原神』においては世界配信や複数のプラットフォームで展開しているという背景もあるだろうが、”大型バージョンアップを定期的に行う”ことが特徴の一つと言えそうだ。

大規模なアップデートの他に丁寧な運営も光る

周年という節目よりは年間にて大規模なアップデートを実施している『原神』だが、それ以外にも注目できる点もあった。

お知らせなどにも目を向けると、細かいアナウンスやユーザーアンケート実施もこまめに行なっていることがわかる。

▲左図が『原神』内にて行われた告知やお知らせの数で、右図が他作品内にて行われた数。比較してみると、『原神』ではかなりトピックスが多いことがわかる。他にもいくつかのタイトルと比較したが、『原神』ではこまめに告知やアイテム配布を行なっている印象であった。

▲配布についても、運営チームから送られるものもあれば、ゲーム内キャラクターから届くという世界観を踏襲した計らいもあった。

▲ユーザーアンケートも毎月実施されている。

ユーザーアンケートについては、毎月行われており、ちょっとした運営からの感謝としても行われていることがわかる。

また、HoYoverseでは、公式フォーラムも開設している。こちらは、コミュニティサービスと言えるサービスだが、ここではSNSのようにユーザーたちがイラストを投稿したり、公式からの告知などが行われている。

▲公式フォーラム「HoYoLAB」。miHoYo社タイトルのユーザーによる投稿などでコミュニケーションが行われている。

ログインボーナスやマップ、育成計算機など、ゲームプレイにも役に立つ機能も加わっており、ユーザー同士のコミュニケーションでも活用されているようだ。

他にも公式youtubeチャンネルでは、PVの他、キャストインタビューや制作裏話などを配信することにしており、その世界観に浸れるチャンネル運営を意識しているように思える。

▲公式番組と言える「公式ラジオ テイワット放送局」も昨年の11月より開始された。

▲ゲーム関連のYouTubeチャンネルでもトップクラスの登録者数と視聴回数を持つ。

LIVEOPSISでは、ゲームアプリ関連のyoutube動画トレンドも集計されており、各タイトルの投稿傾向なども調査することができる。『原神』は視聴回数や投稿しているyoutuberも多く、ユーザー投稿によるコミュニティ形成もなされているようだ。

『原神』では、その美麗なグラフィックや大規模アップデートによく注目されるが、ユーザーコミュニケーションの場作りやこまめな情報配信や早いアップデートなどもその人気の秘密と言えるのではないだろうか。この2月17日には新しいバージョンも追加され、今年は2周年を迎える年となるが、今後も展開にも注目していきたい。


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