【決算まとめ①】ゲーム関連企業35社の10-12月…増収企業が多数派も利益率は低下 『モンスト』復調のミクシィや『まおりゅう』寄与のグリーが増収増益に
-
主要モバイルゲーム企業の2021年10~12月期の決算を振り返ってみたい。この四半期は、新型コロナウイルス感染症の第5波と第6波の狭間のようなタイミングで、巣ごもり需要はやや後退し、大手ゲーム株を中心に非ゲーム事業の収益回復が目立つ形となった。
また、10月29日にアメリカのFacebookがMeta(メタ)に社名を変更するなど、メタバース関連市場が急速に立ち上がってきたが、この波に仮想空間を提供するようなゲームを提供する企業が乗る動きを大きく示してきたこともこの四半期の特徴的な出来事だったと言えるだろう。
さて、今回も前回までの形と同じく、テーマごとに少し切り分け、この記事では10~12月期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、エイチーム<3662>とgumi<3903>、アピリッツ<4174>、coly<4175>の決算は8~10月期の数字を使用している。
また、これまでと同様にネクソン<3659>はモバイル事業の売上高も掲載し、サイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。
■『モンスト』復調のミクシィや『まおりゅう』寄与のグリーが増収増益に
もともと10~12月期は、クリスマス商戦、年末商戦の時期ということで大手ゲーム株の数字が膨らみやすい四半期となるが、今回は前述のとおり非ゲーム事業が大きく回復した企業も多く、その傾向がさらに強かったと言えるだろう。また、主力の『モンスターストライク』が10月の8周年のイベントなどの貢献で復調する形となったミクシィ<2121>や、バンダイナムコエンターテインメントとの共同タイトル『転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚』が寄与したグリー<3632>も四半期推移で大幅な増収増益となっている。
この四半期決算では、35社中の18社が増収、17社が減収と増収となった企業がわずかに多かった。前述の大手企業などに加え、カヤック<3904>がハイパーカジュアルゲームをけん引役に四半期ベースで過去最高の売上高を達成した。
一方、営業利益については、14社が増益(赤字幅の縮小を含む)、21社が減益となっている。エイチーム<3662>やKLab<3656>が赤字に転落するなど、既存タイトルの漸減をカバーするような新作の開発がうまくいっていないというケースが市場で散見されている。
また、子会社Cygamesの『ウマ娘 プリティーダービー』の貢献で快走しているサイバーエージェント<4751>のゲーム事業も爆発的なヒット状態だった時点からは落ち着いた推移となっており、四半期推移では大幅な減収減益となっている。『ウマ娘』は、メディアミックスでの展開なども合わせ、どの程度の水準で今後推移していくのか、注目されるところだ。
なお、35社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。
増収増益…ミクシィ<2121>、グリー<3632>、コーエーテクモHD<3635>、ボルテージ<3639>、モブキャストHD<3664>、ケイブ<3760>、カヤック<3904>、アピリッツ<4174>、セガサミーHD<6460>、スクエニHD<9684>、コナミHD<9766>
増収減益…ドリコム<3793>、gumi<3903>、モバイルファクトリー<3912>、coly<4175>、イマジニア<4644>、東京通信<7359>、バンダイナムコHD<7832>
減収増益…バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、カプコン<9697>
減収減益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、KLab<3656>、エイチーム<3662>、enish<3667>、コロプラ<3668>、オルトプラス<3672>、アエリア<3758>、ガンホー<3765>、Aiming<3911>、アカツキ<3932>、ワンダープラネット<4199>、サイバーエージェント<4751>、ギークス<7060>、ブシロード<7803>、マーベラス<7844>
会社情報
- 会社名
- 株式会社MIXI
- 設立
- 1997年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 木村 弘毅
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1468億6800万円、営業利益:191億7700万円、経常利益156億6900万円、最終利益70億8200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2121
会社情報
- 会社名
- グリー株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632
会社情報
- 会社名
- 株式会社カヤック
- 設立
- 2005年1月
- 代表者
- 代表取締役CEO 柳澤 大輔/代表取締役CTO 貝畑 政徳/代表取締役CBO 久場 智喜
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高174億6700万円、営業利益10億2100万円、経常利益10億3800万円、最終利益5億1100万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3904