【決算レポート】KLab、第2四半期は『スクスタ』移管の影響などで売上高28%減も営業赤字幅は圧縮 『ラピスリライツ』は減損計上、簡体字版は開発中止に

柴田正之 編集部記者
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KLab<3656>の2022年12月期の第2四半期(4~6月)は、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』(『スクスタ』)の運営を他社に移管して運営タイトル数が減少した影響に加え、『キャプテン翼~たたかえドリームチーム~』(『キャプテン翼』)の周年キャンペーンが前期よりも軟調に推移したことで大幅な減収となった。

ただし、コスト削減および継続的な運営体制の見直しなどの効果により、1Qに引き続き赤字幅は圧縮された。また、経常利益が黒字化しているのは、為替差益として4億6500万円を計上していることが影響している。

売上高42億4600万円(前年同期比28.6%減)
営業損益1億6400万円の赤字(前年同期3億3700万円の赤字)
経常利益2億3400万円(同4億3200万円の赤字)
最終損益1億6500万円の赤字(同3億2100万円の赤字)

なお、最終利益については投資先であるANYCOLOR<5032>の株式を売却し、投資有価証券売却益1億5100万円を特別利益に計上した一方で、『ラピスリライツ~この世界のアイドルは魔法が使える~」のソフトウエア資産の減損損失4億1000万円を特別損失に計上している。

運営タイトルの動向を見ると、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』(『スクフェス』)は、長期的には減衰傾向にあるものの、4月に周年があったことから、JP版とGL版ともに前四半期比で増加するなど堅調な推移となった。また、『BLEACH Brave Souls』(『ブレソル』)は、例年は周年前の買い控えにより軟調傾向となる時期だが、今期は安定的に推移した。

『キャプテン翼』は、前述のとおり、周年キャンペーンに関連するセールスが伸び悩む形となった。『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』(『シャニライ』)は、JP版は「サンリオキャラクターズ」とのコラボ実施により伸長した。

なお、昨年12月にリリースした『ラピスリライツ』については、「会社の想定より悪かった」とのこと。

海外売上高については、この第2四半期は売上高20億3100万円と20億円台を回復したものの、『スクスタ』の移管による運営タイトルの減少に加え、既存タイトルの減衰もあり、例年よりも低い水準で推移となった。

新作のパイプラインに目を移すと、ゲームのパイプラインは新規開発が2本、支援モデルが3本となっている。このほかにカジュアルゲームの開発も行われているほか、現在はPJ化見通しの段階のものも複数ある状況だ。

新規開発は、Electronic Artsとの共同開発タイトルとなるスポーツシミュレーションゲームと、Aiming<3911>と提携してPCおよびモバイル向けに開発中の「ダンまち」を題材としたタイトルの2本となる。なお、前四半期まで開発中としていた『ラピスリライツ』の簡体字版については、パブリッシャーおよび開発会社の都合により開発中止となった。

支援モデルについては、『東方アルカディアレコード』の日本版が7月28日にリリースとなった。そのほか、「ジョジョの奇妙な冒険 黄金讃歌」を題材としたタイトル、「天元突破グレンラガン」を題材としたタイトルの開発が進められている。

また、ブロックチェーン関連事業を手掛ける子会社BLOCKSMITH&Co.によるブロックチェーンゲームのパイプライン本数も開示している。

こちらは、日本発の人気IPを活用したブロックチェーンゲームをThirdverseグループとともに開発しているほか、クイズを解くことにより知識を得ながら報酬を獲得できる、学んで稼げる「Learn to Earn」のブロックチェーンゲーム 『Quizo.ooo』も年内のβ版提供開始を目標に開発が進められている。

グループの動きとしては、7月1日に、子会社アバシー社の全株式を同社の代表取締役である藪内氏に売却し、アバシー社の子会社であるスパイスマート社もグループから除外される形となった。これについては「業績への影響は軽微」(高田専務取締役CFO 高田 和幸氏)としていた。

2022年12月期通期の予想は非開示。合理的な業績予想の算出が困難であるため、としている。なお、今期は新作タイトルのリリースまで厳しい状況が継続する見通しだという。

会社側では、売上は「第2四半期、第3四半期あたりがボトム」としており、業績寄与度の大きい新作のリリースは下期以降となるもようだ。

KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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