ゲーム会社におけるデータ分析の課題とは…シンキングデータ、GTMF内セミナー「ビッグデータの分析手法とPDCAサイクルの回し方」をレポート

去る7月に、ゲーム開発者向けツールとミドルウェアの展示会「Game Tools & Middleware Forum 2023」(GTMF)が東京で開催された。

「GTMF」は、ゲーム開発者がツール・ミドルウェアベンダーと直接意見交換できる数少ないイベントであり、東京のみならず大阪での開催を通じて、全国規模でゲーム開発者とのコミュニケーション関係を構築する役割も担う展示会だ。

当日はCRI・ミドルウェアなどのミドルウェア会社をはじめ、ゲーム・アプリ開発技術のセッションや展示が行われた。

本稿では、シンキングデータの土川氏が登壇した「ビッグデータの分析手法とPDCAサイクルの回し方」のセミナーレポートをお届け。

ゲームにおけるデータ分析の課題やデータ活用エンジン「ThinkingEngine」の紹介、そして導入企業による声を紹介していく。


ゲーム会社におけるデータ分析の課題とは…



まず冒頭に、土川氏からはシンキングデータ社について紹介された。同社は、ゲームに特化したビッグデータ分析プラットフォームを提供する会社で、2022年に日本に本格参入している。

提供されているデータ分析プラットフォーム「ThinkingEngine」はそのサービスの設計思想として、「誰でもデータを扱える」「誰でも高度な分析手法が使える」を挙げ、その利便性や考えに反響もあり、現在では900社以上のゲーム企業がこのツールを使っており、導入企業は5,000アプリ以上になるそうだ。

その他の特徴として、ゲームの開発期から運用期までのあらゆるフェーズ,さらにあらゆるゲームジャンルに対して必要と思われるデータ分析のメソッドが蓄積されているという。

さて、「ThinkingEngine」がなぜ活用されているのかというと、昨今のスマホゲーム市場では、よりユーザーの嗜好に基づいた開発や運営が求められており、データ分析もその一環となるのだが、データ活用においては二つの課題があるからだと土川氏は話す。

その課題とは、「独自データ基盤構築によるデータの複雑化」と「検証すべき仮説を持つ人とデータ分析者の認識ギャップ」だという。

ゲームは日々多くのユーザーが利用しており、その楽しみ方も様々だ。そんな多様なユーザー行動データをゲーム会社は管理していかなければならないのだが、部署やチームによって管理方法が定まっていない企業も多い。

従来であれば、個々の工夫によっても運営できていたが、昨今の競争激化や市場の変化には対応しづらくなっているそうだ。

活用目的が分からず、やみくもにデータを保存するなど、データや管理が複雑化してしまったが故に起きている課題もあるそうだ。

また、いざ分析をゲーム施策に生かそうとしても、適切な仮説立てや分析ができないことも多いという。

というのも、ゲーム分析においては、そのゲーム作品そのものへの理解も必要となり、データの解釈や管理ができる他、ゲーム理解も求められる。

データ分析は他業界でも盛んではあるが、ゲーム理解も備わった人材の確保が難しいというのが実状のようだ。

本来、データ分析は何かしらの仮説があって行うべきであり、その仮説を立てるには作品やその利用者であるユーザー心理などの理解が必要である。

もちろん、ゲーム理解で言えば、ディレクターやプランナーなどのゲーム開発や運営に携わる人であれば、その理解はあるであろう。ただ一方で、そういったスキルを持った人は逆に、分析における知見を持っていないことが多い。だからこそ、認識のギャップが生まれ、適切な分析や施策改善につながらない事態が起きてしまうのだ。

そんな課題を解消するために生まれたのが「ThinkingEngine」だという。誰でもデータアナリストになれるツールとして設計され、ゲームに特化した分析モデルやUI/UXが備わっており、SQL不要で扱える代物となっているそうだ。

「ThinkingEngine」を活用することで、これまで数日かかっていた分析プロセスが数分程度で実現できるそうだ。

土川氏からは、これまでうまく活用できていなかった企業様に、「ThinkingEngine」でデータの力を解き放つことでよりゲーム業界に貢献していきたいとして講演を終えた。

講演の後半では、『クラッシュフィーバー』『アリスフィクション』を手がけるワンダープラネットの執行役員開哲一氏から「Thinking Engine」を採用した背景についても紹介された。

こちらの採用背景については、下記のページでも紹介されているので、気になる人はチェックしてみよう。

▲ワンダープラネット導入事例はこちらより確認できる。

他にも、以下の特設ページではゲーム分析におけるTipsや「Thinking Engine」に関する情報も掲載されている。気になる人はこちらも確認してみよう。