KADOKAWA、第3四半期決算は営業益31%減の133億円と大幅減益…主力の出版で先行投資、『エルデンリング』反動減も

KADOKAWA<9468>は、2月8日、2024年3月期 第3四半期累計(23年4月~23年12月)の連結決算を発表し、売上高1870億2400万円(前年同期比1.4%減)、営業利益133億3400万円(同31.4%減)、経常利益134億0800万円(同37.9%減)、最終利益63億1300万円(同48.1%減)だった。

・売上高:1870億2400万円(同1.4%減)
・営業利益:133億3400万円(同31.4%減)
・経常利益:134億0800万円(同37.9%減)
・最終利益:63億1300万円(同48.1%減)

大幅な減益となったが、出版事業への人員増強や設備への先行投資を行ったことに加え、前年で業績に大きく貢献し『ELDEN RING』の反動減が出た。

 

■出版事業

売上高は1020億6100万円(同1.4%減)、セグメント利益(営業利益)は56億5900万円(同42.8%減)となった。

出版事業では、書籍・雑誌及び電子書籍・電子雑誌の販売、雑誌広告・Web広告の販売、権利許諾等を行っている。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間5500タイトル以上の新作を継続的に発行しており、蓄積した豊富な作品アーカイブが同社グループ成長の原動力となっている。

電子書籍・電子雑誌では、メディアミックス作品を中心として自社ストア・他社ストア向け販売ともに好調に推移し増収となった。

書籍・雑誌では、米国における直近数年間の急激な需要増の反動による書店の発注抑制・返品増が継続したこと等により、海外事業が減収となった。国内では、新規IP数が増加したものの、市場全体の縮小影響が大きかったこと等により減収となった。

新刊では、『パンどろぼうとほっかほっカー』、『メメンとモリ』(児童書)、『山田くんとLv999の恋をする(7)』、『光が死んだ夏(3)』(コミック)等の販売が売上高に貢献した。また、ライセンス収入は増収となった。

費用面では、中長期的な成長を見据えた人員増強、デジタル製造工場・新物流設備への投資等が増加した。

 

■映像事業

売上高は328億2400万円(同5.6%増)、セグメント利益(営業利益)は36億1600万円(同225.2%増)となった。

アニメでは、『【推しの子】』や『陰の実力者になりたくて!』等、人気タイトルの国内配信向けやゲーム・グッズ向けを中心としたライセンス収入が好調に推移し、力強く成長した。実写映像では、『わたしの幸せな結婚』の劇場収入及び二次利用収入並びに『首』の劇場収入が貢献するなか、前期に大型の制作受託案件があったことで売上高は横ばい、利益は前期に評価減計上があったことからの反動により大幅改善となった。

 

■ゲーム事業

売上高は190億7800万円(同18.5%減)、セグメント利益(営業利益)は59億9400万円(同33.9%減)となった。8月に発売したフロム・ソフトウェアの新作『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』の国内外の販売が好調に推移したことに加え、6月に発売したスパイク・チュンソフトの新作『超探偵事件簿 レインコード』も売上高に貢献したものの、前期の『ELDEN RING』の業績貢献が大きかった影響があった。

 

■Webサービス事業

売上高は160億8200万円(同7.4%減)、セグメント利益(営業利益)は10億6700万円(同41.3%減)となった。

動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が12月末には125万人となり、前年12月末から減少となったことに加え、投資効果に鑑み一部広告関連サービスを縮小させたことにより減収となった。利益面では、この減収影響に加え、将来の開発スピードアップやITインフラコスト効率を向上させるための戦略投資の増加等により、減益となった。各種イベントの企画・運営では、黒字化に向けた取り組みとして複数の不採算イベントを中止したことにより減収となったが、この取り組みに加え8月開催の『Animelo Summer Live』の貢献もあり、増益となった。

 

■教育・EdTech事業

売上高は97億9500万円(同5.5%増)、セグメント利益(営業利益)は15億5800万円(同6.8%減)となった。

クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営するバンタンでは、展開地域拡大の貢献に加え、強化を進めている社会人コースを中心とした生徒数増加により、増収となった。一方で、利益面では来期開校の新スクールでの生徒獲得のため積極的に広告宣伝費を投下していること等により、減益となった。

また、ドワンゴによるN高等学校・S高等学校向け事業では、同校の通学コース向け新キャンパス開設等により生徒数が引き続き増加している。

 

■その他事業

売上高は145億9600万円(同15.3%増)、セグメント損失(営業損失)は30億3300万円(前年同期 営業損失27億9500万円)となった。

IP体験施設運営事業では売上高が横ばいとなったものの、一部事業撤退やコスト適正化の効果により利益が改善した。MD事業では、フィギュアの売上拡大が好調に推移しセグメント全体の増収をけん引したものの、新規商品ジャンルへの投資等により微減益となった。また、その他の事業では一部新規サービスの拡大により増収となった一方、同社グループのDX推進を担う機能子会社における減収影響を主因として減益となった。

 

■2024年3月期の業績見通し

2024年3月期の業績は、売上高2524億円(前期比1.2%減)、営業利益158億円(同39.1%減)、経常利益158億円(同40.8%減)、最終利益74億円(同41.6%減)、EPS55.10円を見込む。

・売上高:2524億円(同1.2%減)
・営業利益:158億円(同39.1%減)
・経常利益:158億円(同40.8%減)
・最終利益:74億円(同41.6%減)
・EPS:55.10円

計画に対する進捗率は、売上高74.1%、営業利益84.4%、経常利益84.9%、最終利益85.3%となっている。

・売上高:74.1%
・営業利益:84.4%
・経常利益:84.9%
・最終利益:85.3%

株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2581億900万円、営業利益184億5400万円、経常利益202億3600万円、最終利益113億8400万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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