東宝、24年2月期決算は営業収入16%増の2833億円、営業益32%増の592億円と歴代最高を更新…「名探偵コナン 黒鉄の魚影」など大ヒット作品がけん引

東宝<9602>は、4月15日、2024年2月期(23年3月~24年2月)の連結決算を発表し、営業収入2833億4700万円(前の期比16.0%増)、営業利益592億5100万円(同32.0%増)、経常利益630億2400万円(同31.8%増)、最終利益452億8300万円(同35.5%増)と大幅増益を達成し、そしていずれも最高益を更新した。

・営業収入:2833億4700万円(同16.0%増)
・営業利益:592億5100万円(同32.0%増)
・経常利益:630億2400万円(同31.8%増)
・最終利益:452億8300万円(同35.5%増)

同社では、主力の映画事業で「名探偵コナン 黒鉄の魚影」をはじめ、「君たちはどう生きるか」「ゴジラ-1.0」「劇場版SPY×FAMILY CODE:White」「劇場版ハイキュー ゴミ捨て場の決戦」「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」などの大ヒットで業績拡大をけん引した。

 

■映画事業

映画事業全体では、営業収入は1927億9400万円(前の期比22.0%増)、営業利益は447億0900万円(同53.8%増)となった。

【映画営業事業】
東宝において、ゴジラ70周年記念作品「ゴジラ-1.0」を製作し、日本及び北米等において公開、大きな話題となった。そのほか、共同製作や配給した作品のうち、「名探偵コナン 黒鉄の魚影」が興行収入100億円超えを記録、「君たちはどう生きるか」「劇場版 SPY×FAMILY CODE:White」「キングダム 運命の炎」「劇場版ハイキュー !! ゴミ捨て場の決戦」「ミステリと言う勿れ」「劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』」などヒットした。

また、東宝東和等が配給した「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が大ヒット、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」などヒットした。

これらの結果、映画営業事業の営業収入は465億0500万円(前の期比13.7%増)、営業利益は179億0800万円(同32.3%増)となった。なお、上記営業収入の主な内訳として、映画館への配給が336億3000万円(前の期比25.4%増)、劇場用映画の国内配信が13億3300万円(同60.1%減)となった。

【映画興行事業】
TOHOシネマズ等において、上記配給作品のほか、バラエティに富んだ邦洋画作品を上映した。前期における映画館入場者数は4000万人と前の期比4.2%の増加となった。なお、TOHOシネマズでは、エネルギー価格の高騰や人件費増加等により2023年6月1日から映画鑑賞料金を改定した。これらの結果、映画興行事業の営業収入は784億4000万円(前の期比10.4%増)、営業利益は110億8300万円(同49.9%増)となった。

前期中の劇場の異動については、TOHOシネマズが2023年4月17日に大阪府門真市「TOHOシネマズ ららぽーと門真」(9スクリーン)、11月30日に北海道札幌市中央区「TOHOシネマズ すすきの」(10スクリーン)をそれぞれオープンした。一方、オーエスの経営する18スクリーンは同社グループから外れたことにより減少した。これにより、当企業集団の経営するスクリーン数は全国で1スクリーン増の722スクリーン(共同経営56スクリーンを含む)となっている。

【映像事業】
東宝において「SPY×FAMILY」「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」「ハイキュー!!」「Dr.STONE」「葬送のフリーレン」「薬屋のひとりごと」等、製作出資したTOHO animation作品の国内外の配信・商品化権収入に加え、各種配分金収入があった。パッケージ事業では「すずめの戸締まり」「わたしの幸せな結婚」に加え、TOHO animation作品の「呪術廻戦」「ウマ娘 プリティーダービー」「お兄ちゃんはおしまい!」の販売が伸長した。

出版・商品事業では劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて、TOHO animation作品「劇場版ハイキュー !! ゴミ捨て場の決戦」「劇場版 SPY×FAMILY CODE:White」や「ゴジラ-1.0」「名探偵コナン 黒鉄の魚影」「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」「君たちはどう生きるか」といった同社グループ配給作品の販売が好調に推移した。

また、TOHO animation作品のキャラクターグッズ販売が営業収入に寄与した。ゲーム事業では、TOHO Gamesが「呪術廻戦 ファントムパレード」をリリースし、400万ダウンロードを突破するなど好調に推移した。

TOHOスタジオでは、制作及びスタジオ事業の一体運営を図り、堅調に稼働した。東宝映像美術及び東宝舞台では、映画やTV・CM等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務に関して受注持ち直しの動きに加え、原価抑制に努めた。

これらの結果、映像事業の営業収入は678億4900万円(前の期比47.3%増)、営業利益は157億1700万円(同92.9%増)となった。なお、上記営業収入の主な内訳として、アニメコンテンツの利用が291億7900万円(前の期比66.5%増)、パッケージの販売が70億9400万円(同26.8%増)、映像作品等に係る美術製作が91億6600万円(同7.1%増)となった。

 

■演劇事業

営業収入は201億5300万円(前の期比10.7%増)、営業利益は31億1500万円(同12.3%増)となった。

東宝の帝国劇場で、大人気コミック「SPY×FAMILY」初のミュージカル化を実現し全席完売、日本初上演として話題となった「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」が満席となった。そのほか、「Endless SHOCK(Endless SHOCK/ Endless SHOCK Eternal)」「DREAM BOYS」「チャーリーとチョコレート工場」「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」「ABC座星(スター)劇場2023~5 Stars Live Hours~」「Act ONE」「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」を上演した。

シアタークリエでは「RENT」「She Loves Me」「SHOW BOY」「M.クンツェ&S.リーヴァイの世界~3rd Season~」「のだめカンタービレ」「VOICARION XVII ~ ス プ ー ン の 盾 ~」「Yuichiro & Friends -Singing! Talking! Not Dancing!-」「ATTENTION PLEASE!2」等を上演し、日生劇場では「ラグタイム」「ベートーヴェン」「トッツィー」が大入りとなった。

また、社外公演として「キングダム」「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」等を全国へ展開した。東宝芸能では、所属俳優がCM出演等で好調に推移した。

 

■不動産事業

営業収入は691億4200万円(前の期比3.3%増)、営業利益は176億1000万円(同0.2%増)となった。

【不動産賃貸事業】
新規物件の取得に加え、その他全国に所有する不動産が堅調に稼働し、事業収益に寄与した。一方で、減価償却費等の費用は増加している。賃貸用不動産の空室率は、前期末において0.2%となった。これらの結果、不動産賃貸事業の営業収入は293億8700万円(前の期比4.9%増)、営業利益は115億8800万円(同0.3%増)となった。

【道路事業】
公共投資が底堅く推移したが、建設技能者の不足に加えて、労務費・資機材価格の上昇が継続する等、依然として予断を許さない状況が続いた。このような状況の中、スバル興業と同社の連結子会社は、積極的な営業活動を行うとともに、積算精度の向上や入札における総合評価方式への対応強化を図り受注増に努めたが、前期と比べ採算性の高い工種が減少したこともあり、道路事業の営業収入は292億4500万円(前の期比1.2%増)、営業利益は49億円(同3.8%減)となった。

なお、営業収入の主な内訳は、道路の維持管理・清掃等266億1700万円(前の期比0.7%増)であり、またその他の収益8億1800万円(同2.0%増)が含まれている。

【不動産保守・管理事業】
東宝ビル管理及び東宝ファシリティーズにおいて、人手不足や人件費・原材料費の増加が継続する一方、資材の供給不足等により延期となっていた工事の実施があったほか、新規受注確保に努めた。その結果、営業収入は105億0900万円(前の期比5.3%増)、営業利益は11億2200万円(同21.1%増)となった。

 

■その他事業

東宝共榮企業の「東宝調布スポーツパーク」やTOHOリテールの劇場売店等において、積極的な営業活動に努めた。その結果、その他事業の営業収入は12億5600万円(前の期比8.0%増)、営業利益は1億7400万円(同33.3%増)となった。

 

■2025年2月期の業績見通し

2025年2月期の業績は、営業収入2800億円(前期比1.2%減)、営業利益550億円(同7.2%減)、経常利益570億円(同9.6%減)、最終利益390億円(同13.9%減)、EPS223.50円を見込む。

・営業収入:2800億円(同1.2%減)
・営業利益:550億円(同7.2%減)
・経常利益:570億円(同9.6%減)
・最終利益:390億円(同13.9%減)
・EPS:223.50円