【インタビュー】『CoD:BO6』発売直前! 「オムニムーブメント」の実装理由や武器Lvに関する緩和などについて開発者へ直撃取材!!


2024年10月25日発売の人気FPS『Call of Duty』シリーズ最新作『Call of Duty: Black Ops 6』(以下、『CoD:BO6』)。TreyarchとRaven Softwareが開発を手掛ける本作は、冷戦の終結と超大国となった米国の台頭により特徴づけられる世界政治の転換と激動の時代にあたる、90年代初期を舞台にしたスリル溢れるスパイアクションとなっている。

多くのファンから注目が集まるなか、アクティビジョン・ブリザードは発売に先駆けて日本国内のメディアに向けた合同インタビューを実施。本作のマルチプレイヤーを担当するMatt Scronce氏が、特徴的な要素「オムニムーブメント」についてや、ベータテストからのアップデート要素など、様々な質問について答えて頂いた。

■インタビュイー

Matt Scronce
Associate Design Director | Treyarch
Matt ScronceはTreyarchのアソシエート・デザイン・ディレクターで、現在は『Call of Duty®: Black Ops 6』のグローバルプレイのメカニクスとマルチプレイヤーのデザインを統括している。 2010年のオリジナル作品以来、すべての『ブラックオプス』シリーズの開発をサポートしており、最近では『Call of Duty®: Black Ops Cold War』のリード・ゲームデザイナーを務めた。


――TreyarchとRaven Softwareによる開発は『Call of Duty: Black Ops Cold War』以来、4年ぶりとなりますが、期間が開いた理由を教えて下さい。

Matt Scronce:『CoD』シリーズで使用するエンジンを統一したこともあり開発期間が長めになってしまいましたが、改めて「ブラックオプスとは何か、何を意味するのか」を考えるいい機会となりました。その問い対してとことん向き合った結果、1からゲームを作り直し、動きの滑らかさとリアリティを追求。それが今回の「オムニムーブメント」に繋がっています。武器においても、シリーズファンお気に入りの物から、ブラックオプスらしいプロトタイプの秘密兵器まで用意しています。

――まもなく発売となりますが、開発メンバーとして今どんな心境でしょうか。緊張されていますか? それとも自信と期待感を抱いていますか?

Matt Scronce:どちらの感情もあります。私はこの14年間、『CoD:BO』シリーズすべてのローンチに携わってきました。それぞれの作品に異なる体験を提供し、挑戦し続けてきました。入社前『CoD』シリーズのコミュニティに所属していたこともあり、ファンからの意見や感想は、とても大事に思っています。私は自己肯定感が低いので、やはり緊張もしていますが、『CoD:BO6』が「ブラックオプス」シリーズのなかで最も素晴らしい作品であることに自信を持っています。この週末からプレイヤーの皆さんが遊んでくれることを、心から楽しみにしています。



――βテストのフィードバックを受けて、何か変更したポイントはありますか?

Matt Scronce:大規模かつ驚くような変更点はありませんが、皆さんから頂いた意見を随時反映させて頂きました。あまり表立って伝えてはいませんが、例えば「スカイライン」というステージにおいて、ジャグジーの辺りは隠れる場所が少ないというご意見を頂いたので、少しだけ変更しています。そちらのスクリーンショットはすでに公開しているので、気になる方はチェックしてみてください。武器に関しても、βテスト期間もバランス調整を行い、上手くいったと思っています。今回は開発陣が積極的にテストプレイを行い、お互いに意見を交換し続けてきたことが大きかったですね。そのうえで、自分たちが想定していなかった部分を、プレイヤーの皆さんによって証明して頂けたことを大変感謝しています。結果的に、プレイヤーが見たかったもの、開発陣が見せたかったもの、両方を果たせたと思っています。

――マルチプレイヤーの開発コンセプトについてですが、どういった要素に『CoD:BO6』らしさを定義されていますか?

Matt Scronce:やはり最初に思いつくのは「オムニムーブメント」です。このシステムは本作の根本にあるもので、一度体験されればその新しさに気が付くと思います。ただし、必ず出来なければいけないアクションではないので、ぜひそれぞれのリズムで習得してほしいです。そのほか、戦闘では細かいニュアンスの違いもあり、よりプレイヤーに臨場感やリアリティのある物に仕上がったと思っています。

――「オムニムーブメント」の導入により、マルチプレイにおける体験や戦術にどのような影響を与えると思いますか?

Matt Scronce:その最終的な答えは、プレイヤー自身に委ねられると思います。そもそも「オムニムーブメント」のアイディアは、開発時に「なぜ前にしかダッシュできないんだろう」という疑問から始まりました。そして「現実世界ではどの方向にも素早く移動できるのに、ブラックオプスに登場する運動能力に秀でた特殊部隊員たちが前しかダッシュできないのはおかしいよね」となり、現在の「オムニムーブメント」に繋がりました。今までのシリーズ作品では、手榴弾が投げ込まれた際、プレイヤーは前に進むか、カメラを回して別方向に逃げるか、投げ返すかしかできません。しかし、今作ではカメラはスパイアクションのように、そのままに左右や後方にダッシュして距離を取るという新たな選択肢が生まれ、よりスタイリッシュで華やかなアクションが取れるようになっています。ただし、先述通り「オムニムーブメント」が戦術にどのような変革をもたらすかはプレイヤー次第ですので、こちらとしても楽しみにしています。



――βテストの際、武器レベルを上げるのが過去作と比べると多少ハードに感じました。この辺りは製品版で調整されたり、経験値キャンペーンを頻繁に行うなどの予定はあるのでしょうか?

Matt Scronce:βテスト1周目は(武器レベルの上昇スピードが)遅く感じたので、2周目にはテコ入れしました。プレイヤーや武器のレベルに関しては“必要とした時間”を随時チェックしています。製品版ではβテスト版よりもレベルを上げやすくしていますのでご安心ください。しかし、たったワンマッチで複数のアタッチメントが開放されるようなものではなく、徐々に開放しながらすべてのアタッチメントの経験を積んで頂きたいという願いもあります。この辺りは随時調整するように心がけていますので、ぜひプレイヤーのご意見を聞かせてください。

――本作は「湾岸戦争」の裏舞台をテーマにされていますが、登場する武器は時代背景にあった物をメインに採用されたのでしょうか?

Matt Scronce:我々の武器チームは素晴らしく、歴史的に正しい武器を出すことは大事なので、彼らは多くの資料に目を通しています。そのうえで、見たことのない武器を提供することもブラックオプスらしさのひとつなので、その辺りのバランスは苦労しましたね。結果的に、本作では今まで『CoD』シリーズに出ていない武器を12個実装しています。リアルで見覚えのある武器も、そうでない武器も、どちらも楽しんで頂けると幸いです。

――βテストでは、中・小規模なマップが中心でした。多かったですが、こちらの意図についてお聞かせください。

Matt Scronce:βテストでは凝縮した体験ができるように小さめのマップを多く採用しました。あくまでβテストであるため一部のマップしかお見せしていませんでしたが、全体的なプールで見ると中規模マップが多くを占めています。これまでのブラックオプスシリーズの人気マップを振り返ると、サイズの大きくないマップが支持されていることもあり、意図的にサイズは調整させて頂きました。



――本作のコンバット・スペシャリティは、PERK構築の幅を持たせるユニークなシステムだと思いました。一方で、特定のコンバット・スペシャリティやPERKが強すぎると、編成の幅が狭まってしまう恐れがあると思います。PERK関連におけるバランス調整について、開発チームで意識されていることは?

Matt Scronce:コンバット・スペシャリティというシステムは、私の好きな『Diablo(ディアブロ)』というゲームに、同色のアイテムを装着するとセットボーナスが得られるところから着想を得て、導入に至りました。このシステムによって、PERK構築をより分かりやすく、なおかつ深みが増したと思っています。ただ、我々は常に、プレイヤーの間で「このコンバット・スペシャリティやPERKを“使わなければいけない”」という強要に近い状態に陥ることを、絶対に避けたいと思っています。正直なところ、このコンバット・スペシャリティとPERKのバランスは、開発チーム内でも凄くデリケートな問題でした。我々としては、プレイヤー自身が悩み抜いて、それぞれ自分に合ったPERKを選び、プレイスタイルを確立できるようなバランスになるよう心掛けています。

――リリース前で恐縮ですが、発売後のスケジュールやアップデートについて公開できる情報があればお願いします。

Matt Scronce:開発チームは今週こそローンチに集中していますが、新しいコンテンツやマップ、武器やゲームモードなどもいろいろと考えています。例えば、10月29日にはゾンビチームと共同で作り上げた新モード「インフェクテッド」が登場します。その後もどんどん新しいコンテンツを追加し、常に新鮮なゲームであり続けられるようにしています。


今回のインタビューの締めとして、Matt Scronce氏は「スタジオを代表して、ファンの皆さんが今週末に『CoD:BO6』のマルチプレイヤーを遊んでくれることに、本当にワクワクしています。ぜひとも楽しんでください」と語った。

いよいよリリースとなる『CoD:BO6』。新たなシステムと共に、これまで体験したことのない戦闘で大いに盛り上がりそうだ。

(取材・文 ライター:長戸勲)



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