ブシロードとフロントウイングが贈るビジュアルノベル『花束を君に贈ろう-Kinsenka-』…神鳥夜空役・空賀花さん&ペンギン役・藤沢れい香さんへのインタビューを実施

ブシロード<7803>とフロントウイングが、2025年5月29日に発売したビジュアルノベル『花束を君に贈ろう-Kinsenka-』(以下、『Kinsenka』)。
フロントウイング25周年記念作品第1弾となる本作は、約1.7MB(約80万文字)の大ボリューム。5年ぶりの新作となる「漆原雪人」先生と、ビジュアルノベルゲーム初挑戦となる人気イラストレーターの「さいね」先生というまったく違う魅力・経歴を持つクリエイターがタッグを組んだ珠玉の一作となっている。
▼作品概要
「心」に痛みを感じない少年と様々な悩みを抱えた少年少女たちが『呪詛』と戦い、「心」を学び成長していく青春ストーリー。心の痛みを知らない、残酷な少年、橘才(たちばな さい)。まるで綺麗に取り繕った人形みたいに無口な少女、紅緒祀(べにお まつり)。生まれつき身体の痛みを知らない、繊細な心を持った男の子、鎌原竜起(かんばら たつき)。一つ屋根の下、彼らは『呪詛』と呼ばれる存在と戦い、今日まで知らなかった心を知って、成長を遂げていく。



今回、gamebizでは、『Kinsenka』で神鳥夜空役の空賀花さん、ペンギン役の藤沢れい香さんのお二人にインタビューを実施。『Kinsenka』のシナリオやゲームに触れた感想や、自身が演じたキャラクターの印象などを伺った。
空賀花さんと藤沢れい香さんが『Kinsenka』の魅力を語る!

▲(写真左から)ペンギン役の藤沢れい香さん、神鳥夜空役の空賀花さん。
──まずは『Kinsenka』のシナリオを読んだ感想、ゲームで遊んでみての感想を教えてください。
空賀花(以下、空賀):オーディション時にいただいたシナリオは、夜空さんの前半のシーンの抜粋だったので、私が最初に抱いていた夜空さんのイメージは、「すごく明るくて、あっけらかんとして、頼りない大人」でした。設定に少し不穏な事が書いてありましたが、基本的にはそういう女性なのかなと思っていました。でも実際に演じるにあたりシナリオを読み進めていく内に、夜空さん関連のエピソードがかなり重めでこれはやばいぞとなりました。もちろん他のキャラクターも辛い過去はあるのですが、夜空さんは過去も、そして子ども達と関わっている現代でも色々と辛い事があるので、夜空さんという女性を「私が守らなきゃ」という気持ちになりました(笑)
藤沢れい香(以下、藤沢):私は台本を読ませていただいた時点で、すごく泣いてしまいました。ペンギンは色々と強い言葉を投げかけてくるのですが、何か理由があってこういうセリフを言っているんだな、というものを収録しながらも感じられるお話になっていますし、実際にゲームを遊ばせていただいたら、先程空賀さんも言っていましたが、ペンギンだけじゃなくストーリー全体がバチボコ重いんです(笑) 特に夜空さんが暴力を駆使するシーンなどは空賀さんの演技も相まって……すごく泣きました。いま思い出してもまた泣きそうです。とにかく山場になる場面がたくさんある作品なんです。ゲームをプレイしている時、私はペンギンに感情移入して、そこでもまた大泣きして、終わった頃には鼻が脹れ過ぎて息ができなくなりました。久しぶりに涙腺と鼻の奥にくる作品に出会えました。
──ご自身が演じられたキャラクターの印象や魅力について教えてください。
空賀:無銘荘で過ごしている普段の夜空さんは、子ども達が大事に貯めたお金を借りたり、そのお金を使ってギャンブルに興じているとんでもない大人ですけど、リーダー的な存在で子ども達を導く先生という立場でもあるんです。教壇に立つシーンでは、この夕暮れの世界についてちゃんと説明してくれます。普段は頼りなさそうに見えますが、命を扱うお仕事をしている事もあってすごく真面目でしっかりとした大人ですし、これが最強と言われる所以かという、どこか圧を持ったキャラクターです。

藤沢:いつか小さくて丸いキャラクターを演じてみたいなと思っていたところで『Kinsenka』でペンギン役に選んでいただけてとても嬉しかったです。ペンギンはまん丸フォルムなので、デフォルメチックな喋り方をさせていただいたんですけど、実は人型モードになるシーンがあるんです。本編の収録時に「人型になる」という事を私も伺っていましたが、どの程度人型なのかなと思っていたら、思っていたよりも人型のシーンが多かったです(笑) 内面的な部分ですと、ペンギンは常に一歩引いた位置でキャラクター達と接しているんですけど、割と言葉は強めだし当たりが強いんです。まん丸フォルムだから許されるけど、そうじゃなかったらみんなムカッとなっちゃうぞって思いますね。ただ普段はつっけんどんで、愛嬌だけで生きているペンギンなんですけど、優しい時はしっかりと寄り添ってくれるところがすごく魅力的なキャラクターだと思います。


──キャラクターを演じる上で心掛けたことはありますか? また、どのような役作りをしましたか?
空賀:夜空さんは明るく話しているけど、突然次のシーンでは空気をガラッと変えるといった場面があります。なので、彼女の頼りない大人な面と、しっかりとした真面目な面を演じ分けるように意識しました。大人なのにだらしなくて子ども達がイラっとするギャグシーンが序盤は多かったんですが、「あまりにもイラっとさせたら嫌われちゃうかな」という思いが私の中にあり最初の収録では少し抑えて演じたのですが、ディレクションで「もっとうざく、もっと明るくふざけた感じを出していいよ」と言っていただきまして。改めて完成したゲームを遊んでみたら、「あ、ちゃんとイラっとするわ」って(笑) 夜空さん自身は子ども達が本気で自分に対して引いていたりイラつかれていると思っていない節があるのですが、そこで子ども達たちから「いや、本当に嫌な時ありますけどね」と言われてめっちゃ焦る夜空さんが可愛いので注目してください。
藤沢:私はオーディションの際にキャラクターに属性を付けがちなんです。なので、オーディション用の台本で「おまえ」を「おめえ」みたいな感じで下町、べらんめえ口調にしてペンギンを演じていました。でも本編の台本を読んでいて、「ちょっと違うのかな」と思い口調を修正しましたね。それと役作りに関しては、やっぱり神様だから皆に寄り添い過ぎないように意識しました。ですが、私自身は自宅で台本を読む下読みの段階でもまあ泣いてしまいまして…収録でも涙が出そうになる場面が何度かあったのですが「でもペンギンはここで泣かないよなと」気持ちが高まり過ぎないように平常心を保ってなんとか頑張りました。ただ、その分、最後のシーンだけは感情のままに思いっきり泣かせていただきました。
──ボイス収録時のエピソードなどがあれば教えてください。
空賀:夜空さんは先生という事もあって「呪詛」についてなど、説明セリフが多く、私は知らない言葉だけど、夜空さんは最強の人なのでほとんどの事を知っているから、当然理解している口調になります。でも説明口調で話すだけだとつまらなくなってしまうので、夜空さんらしさも残して、でもきちんと伝わるように説明をして…という試行錯誤に加え、絶対に噛んではいけないので(笑)そこは大前提として自宅でめちゃくちゃ練習して、言いづらいセリフにはマーカーでチェックしました。それから、授業で真面目な話をして暗い空気になった時に「ま、でもそういう事もあるよな」と切り替えられるような演技を収録では心掛けました。また、夜空さんは基本的に後半のシリアスなシーンを除いては真面目になり過ぎない、本心を子ども達に悟られないようにしようという風に演じていたので、そこの塩梅が難しかったですね。あとは私も藤沢さんが泣いたシーンではボロボロに泣いちゃって鼻も詰まっちゃって大変でした。有難いことに、その後はシリアスではなくまたいつもの夜空さんを演じるシーンだったのですぐに気持ちの切り替えができたことと、次のセリフの前に休憩を入れてもらって助かりました(笑)
藤沢:全体的に好き勝手やらせていただいたというのが正直な感想です。声優の仕事って文字情報を立体的にする、平面を三次元(立体情報)にする事だと思っています。文字のままだと味気ないセリフでも、セリフにすることで隣に話しているような印象を与えることができます。さらに、セリフの切り返しの部分にキャラクター性を加味する意味で、笑いやため息のアドリブが結構入っているなと私自身思いました。印象に残っているエピソードをピックアップするなら、勝手に言葉を変えた事と、勝手に泣いた事ですかね。「猫生(ねこせい)」というセリフがありまして、漢字で書いてある(実際のゲームでは漢字で皆さん認識される)し、「ねこせい」より「にゃんせい」のほうが可愛いと思って、何の打ち合わせもせずに読んだら通っちゃって嬉しかったです(笑) 漆原(雪人)先生もめちゃくちゃ喜んでくれたそうで、良かったなと思いました。あと台本のト書きで泣くという指定はほとんどなかったのですが、私は勝手に泣くタイプの役者なので、さっきお話した最後のシーンでは「ペンギンはここで絶対に泣く。何と言われようと泣く」という気持ちで収録に臨みました。
──演じられたキャラクターとご自身の共通点と、逆にこういう部分が自分にはないところで羨ましい、などがあれば教えてください。
空賀:夜空さんはお金を使って賭け事をしています。子ども達から「そんなお金使っちゃダメだよ」と言われた際に「お姉さんが稼いできたお姉さんのお金なんだから、お姉さんがどう使おうがお姉さんの勝手じゃん?」と返すセリフがあるんですけど、それを聞いたときに「あっ、私も言っているな」って(笑) 私は賭け事はしませんが、かなりオタクな人種で周りの人から「何で何回も同じ映画を観に行くの?」「それもう持っているよね?」と言われると「…黙れ、私の人生だ」って思います(笑) あと、グイグイ絡みにいってウザがられたりするコミュ力も、夜空さん程ではないですが私もあるかなと思っています。自分に無い部分・羨ましいところで言うと、夜空さんはすごく強いので、力を持っていることで色々な事があるというのは重々承知ですが、そのパワーが欲しいなと思う事もありますね。
藤沢:共通点…、神様だしペンギンなのであまり無いのですが、強いて挙げるなら人見知りなところですかね。とはいえ、ペンギンは最初がんばれないんですけど、私はペンギンよりはちょっとだけコミュニケーション能力はあるので最初はがんばれます。ただ二回目は目を合わせられなくなっちゃいますね。。。むしろ羨ましいと思う事のほうが多いです。ペンギンは言葉が強くてほぼほぼ本心でしか話しません。本心というのは強い言葉でぶつけるとあまり良くないぞということがありますが、そこはペンギンだから許されているので、愛嬌があるって羨ましいなと思いますね。羨ましいとは少し違いますが、最近水棲生物が好きなので、ペンギンやアザラシを見に水族館に行きたいです(笑)
──作中で印象に残っていたり、個人的に好きなセリフがあれば教えてください。
空賀:夜空さんの本当に重いシーンの中で「生きていくのは痛いんだ」というセリフがあるんですけど、それに続く夜空さんのセリフと地の部分を含め、その一連のシーンすべてが良すぎて収録前に台本をチェックしたときに「良すぎる」と思いました。私はiPadで台本を読んでいるんですけど、そこのセリフをマーカー機能でチェックして、スクリーンショットを撮って、何かあったときに見返しています(笑) そのセリフは収録前も収録後も感情が高まりましたし、いまも印象に残っています。あともうひとつ好きなセリフができまして、霧島梅雨(きりしま つゆ)ちゃんに「おばさんなんだからさ」みたいなことを言われたときに「いやまだ三十路じゃねーし、26だし、ギリギリ二十歳だし」って言うセリフがあるんです。それを聞いて周りが「え、26ってギリギリ二十歳?」という反応になるところが夜空さんを表していて好きなセリフです。私も何歳になってもこの言葉を使おうと思いました(笑)
藤沢:思い出すとまた涙腺が崩壊しちゃうんですけど、本編中で「バカなやつだな」から始まるペンギンのセリフが本当に泣けるんです。漆原先生の書く言葉が本当に優しいんですけど、心臓を殴られるくらい強くて、ボディブローをずっと受けている感じなんです。ペンギンに関しては特にそうで、セリフ自体はそんなに多くはないんですけど、全部の言葉が重いんです。宝石みたいな言葉をボロボロと言っているんですけど「バカなやつだな」から始まる言葉が本当にペンギンを表していて好きだなと思いました。
──空賀さんは趣味・特技に「イラストを描くこと」とありますが、『Kinsenka』のイラストについてどのような印象をお持ちですか?
空賀:オタクって自分で何かを生み出したくなるので、学生時代からイラストを描くことが好きですし、今でもイラストは描いています。さいね先生が描く『Kinsenka』のイラストは、まず祀と才と竜起のメインビジュアルがすごく良いなと感じました。髪の毛の色が全然違うのに、一枚のビジュアルとして統一感があって、紫のオーバーレイだったり、逆光表現を使った光の表現だったり、幻想的でこの世ではない何かを感じさせる雰囲気があると思います。それとキャラクターデザイン・原画のさいね先生が描かれる女子も可愛いんですけど、男の子もちゃんとかっこよく美しく描かれているので、この作品に関わりたいなとオーディションのときに思いました。ゲームをプレイしているとホームページに出ていないイベントCGもたくさん出てきます。祀ちゃんやヒトデナシの素敵なイラストを、絶対みんなゲームをプレイしてギャラリーに飛んでくれよなって感じですね(笑)

── 一方、藤沢さんはプロフィールに着物が趣味とあります。本作に登場する紅緒姉妹の衣装も着物風ですが、実際に着てみるならどちらの衣装を選びますか?
藤沢:だいぶ遠い記憶ですが、着物は確かに趣味でしたね。着付けも自分でやっていましたが、最近着る機会があまりないので忘れちゃいました(笑) 祀ちゃんと紅緒終(べにお つい)ちゃんの衣装はどちらも素敵ですが、個人的には終ちゃんの衣装ですかね。ただ終ちゃんは振袖なので実際着るとなると勇気が必要です(笑) 祀ちゃんの衣装も可愛いですけど、終ちゃんはより着物っぽくて、黒い羽織も私自身着た事がないのでカッコいいなと思います。何より終ちゃん自身が可愛いので(笑)


──最後に『Kinsenka』のファンの皆さん、そしてまだゲームを遊んでいない方に向けてメッセージをお願いします。
空賀:『Kinsenka』は胸を張ってめちゃくちゃおすすめできる作品です。イラストも美しいし、言葉も綺麗です。プレイしていく中でプレイヤー自身の人生に刺さって物語を進めるのが辛くなる方もいらっしゃるかもしれませんが、「まぁまぁとりあえず進めてごらんなさい」という気持ちです。まだ遊んでいない方はぜひプレイしていただいて、もう遊んだ方もすべてを知ったうえでもう一度プレイしてみると「このキャラはこんな思いでこのセリフを」というシーンがたくさん発見できると思うので、ぜひ遊んでみてください。あと私自身遊んでみて思ったことがあって、夜空さんをシステムボイスの音声に設定して音量高めにしていると、めちゃくちゃいいシーンでセーブしようとすると「セーブするぞ!」とでっかい声で言うので、いいシーンではセーブしないか音量を小さめにするのがおすすめですよ(笑)
藤沢:未プレイの方には「…まだやっていないんですか?」というメッセージを送りたいです(笑) インターネットなどで皆さんからの感想をいただくと絶賛の嵐なので、ぜひプレイしていただきたいという気持ちです。文字だけでも泣けるから、心がしょんぼりしているときにプレイすると、涙を流せてすっきりして明日からの活力になると思います。泣けるシーンも辛いシーンもいっぱいあって、そこを乗り越えると「生きよう」という気持ちになれるいいお話になっています。「…まだやっていないんですか?」ということを繰り返し申し上げつつ、ぜひ触ってみてほしいですし、何回やっても楽しめて噛めば噛むほど味わいがある作品になっています。繰り返し遊ぶ中で、ペンギンの味も覚えていただけたらうれしいです。
──ありがとうございました。

Steamでフロントウイング25周年セール開催…『Kinsenka』が10%OFF
2025年8月15日21時~8月29日21時にかけて、Steamでフロントウイング25周年セールが開催され、『花束を君に贈ろう-Kinsenka-』が10%OFFとなっている。
まだプレイしていない人、本インタビューを読んで興味を持った人はこの機会に『Kinsenka』に触れてみよう!
『花束を君に贈ろう-Kinsenka-』
ジャンル:ノベルゲーム
対応言語:日本語、英語、中国語(簡体字)
発売日:2025年5月29日(木)
価格:4,950円(税込み)
販売サイト
Steam:https://store.steampowered.com/app/3470530/Perennial_Dusk_Kinsenka/
DMM GAMES:https://dlsoft.dmm.com/detail/fwing_0045/
DLsite:https://www.dlsite.com/soft/work/=/product_id/VJ01004357.html
©Frontwing ©bushiroad
会社情報
- 会社名
- 株式会社ブシロード
- 設立
- 2007年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 木谷 高明
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高561億7500万円、営業利益48億6800万円、経常利益48億4400万円、最終利益34億1800万円(2025年6月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 7803