
KLab<3656>は、9月10日、GPU AIクラウド事業に参入することを発表した。
KLab GPU AIクラウドサービスは、インターネット経由でNVIDIA製などの高性能なGPU(Graphics Processing Unit)の計算能力・計算資源を貸し出すサービス。AI開発、機械学習、3Dレンダリングなどの、並列処理が必要なタスクに特化しており、必要な時に必要なだけ計算能力を利用できる柔軟性とコスト効率が特徴だ。
KLabは25年のサーバー運用実績と長年のAI研究実績がある
クラウドサービス全盛の現在、ほとんどのゲームやネットサービスの会社はクラウド上でサービス提供しており、自社でサーバー運用する会社は稀になった。
KLabは、状況に応じてクラウドサービスも活用しながらも、創業以来、独自の自前サーバーの運用の実績を積み重ねてきた。ゲーム開発を始める以前のKLabは、高負荷対応サーバーの提供を主要サービスの一つとしており、大手テレビ局による日本初の動画配信サービスや、最大手タレント事務所の公式サイトなど、10万同時アクセスを超える大規模サービスを支えてきた。25年以上にわたり、大きな事故もなくサーバー運用を続けてきた実績は、GPU AIクラウド事業を推進するうえでの技術基盤となっている。
さらにKLabは、AI分野においても積極的に研究開発を進め、AAAI-23などの国際的な学会での論文採択や、九州大学との共同研究などの実績を有している。これにより、最先端技術への理解と応用力を兼ね備えた企業としての地位を確立してきました。研究開発力は単なる技術の先取りにとどまらず、事業への実装力につながっており、今後のGPU AIクラウド事業でも大きな競争優位性を発揮できると考えている。
市場環境
国内のデータセンターサービス市場は2023年に約2.7兆円であり、2028年には約5.8兆円へ倍増すると予測されている(総務省「令和7年版 情報通信白書」)。また、データセンター向けGPUサーバーの市場は2022年の45億円から2028年には16.1倍の725億円に拡大すると予測されている(富士キメラ総研「データセンタービジネス市場調査総覧 2024年版)。
世界的にAI関連の市場は急拡大を続ける一方、日本ではLLMなど多くの製品が米国系Tech企業に寡占されています。その中で日本企業の成長目覚ましいのがAIデータセンター領域となる。
本事業の課題と今後の展開
GPU AIクラウド事業には当然ながら課題もある。代表的な課題は、初期投資が大きいこと、サーバー資産の保有リスク、セキュリティリスクなど。これらのリスクに対処するための業務提携を進め、また対応するためのプログラムを用意している。準備が整い次第、順次発表となる。
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 真田 哲弥
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高83億600万円、営業損益13億4200万円の赤字、経常損益12億8000万円の赤字、最終損益27億8200万円の赤字(2024年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656