【クリエイターの広報術:第6回】やっぱり基本は「5W1H」 ゲームの印象を決定づけるリード文の作り方

インディーゲームクリエイターが自身のゲームを効率よく世に伝えるため、メディア視点から掲載しやすいプレスリリースを紹介する連載「クリエイターの広報術」。前回までは、メディアの目を引くための「画像素材」について解説してきた。しかし、そのゲームが「結局何なのか」を正確に伝えるのはテキストの役割。
特に、ニュース記事の冒頭数行にあたるリード文は、プレスリリースの心臓部とも言える。今回は、忙しい編集者が一瞬で内容を理解できるリード文の書き方に特化して解説する。

冒頭の1行に「5W1H」を凝縮する

プレスリリースにおけるリード文の役割はたった一つ。「この記事を1行にまとめるとどうなるか」を提示すること。

以下の要素(5W1H)を、可能な限り最初の1文に盛り込んでほしい。

Who(誰が): パブリッシャー名、デベロッパー名
What(何を): ゲームタイトル、ジャンル
When(いつ): 発売日、アップデート日、イベント開催日
Where(どこで): 対応プラットフォーム(Steam、Switch、スマホなど)
Why/How(どうした): 正式リリースした、体験版を公開した、大型アプデを実施した

【良い例】
「個人開発の◯◯(Who)は、本日2月25日(When)、Steam(Where)でシミュレーションゲーム『〇〇』(What)の最新体験版を公開(Why/How)した。」

これだけで編集者は「あ、これはSteamの新作インディーの体験版ニュースだな」と即座に判断できる。ここが曖昧だと、最後まで読まないと「何がニュースなのか」が分からず、スルーされるリスクが高まる。

ここで特に意識してほしいのが、「自分たちが何者なのか」をはっきりと伝えること。単に名前を書くだけでなく、完全に1人で作った個人開発なのか、複数人のサークルなのか、あるいは小規模の会社なのか。その属性を明記することで、記事としての信頼性がグッと高まる。

また、これはアドバイス的な一言になるが、もし海外メディアに向けて送る場合は「日本を拠点に開発している」という点を強調するのも効果的だと思う。
私たちが海外のリリースを扱う際も、「ドイツの個人開発者が手がける〜」「シンガポールを拠点にする〜」といった一言があるだけで、信頼感が増すだけでなく、「珍しい国のゲームだな」という興味を引き、掲載へのハードルを下げることは実際ある。


リード文は「メール本文」にも入れておく

これはやっていない人も多いが実は重要。プレスリリースをPDFやWordの添付ファイルだけで送るのではなく、メールの本文の最初にも、このリード文をコピペして載せておいてほしい。

編集者は1日に何百通ものメールを受け取る。添付ファイルを開くというアクションは、私たちにとって実は「5秒のコスト」がかかる重い作業。メールを開いた瞬間にリード文が目に飛び込んでくれば、その5秒を待たずに「この記事を書こう」という意思決定に移ることができる。

【悪い例】
個人開発の〇〇です、新作の「〇〇」を作りました。詳しくは添付ファイルをご確認ください。

メール本文にこれしか書いてないケースも稀にある。これだけだと、スパムメールの可能性まで考えざるを得ないのが正直なところ。

「記事の要約」としてそのまま使えるように

理想的なリード文は、「そのままニュースサイトの概要欄としてコピペできる」ものだ。

「ついに待望の……」
「心を込めて作った……」

といった情緒的な表現は、リード文ではグッと堪えてほしいのが本音。そうした熱い思いは、リード文の後の「本文」や「開発者のコメント」で存分に語るのが、構成としての正解だと思う。リード文はあくまで客観的な事実の要約に徹することがコツ。


編集部からの一言

我々がプレスリリースを読む際、最初に探すのは「この記事の見出し(タイトル)をどう付けるか」というヒントだ。
極論を言えば、リード文は「そのままX(旧Twitter)で140文字以内の告知ポストとして成立するか?」を意識して書いてみてほしい。情報が整理され、無駄な修飾語が削ぎ落とされた140文字の要約があれば、メディア側はそれを微調整するだけで記事を公開できるというわけ。

リード文というテーマからは少し外れるが、ゲームのタイトルが長すぎると困ってしまうケースも。サブタイトルも含めて数十文字に及ぶと、記事の見出し、リード文、Xへの投稿、これらすべてが冗長になってしまう。もちろん、開発者の強い思いを込めたタイトルのはずなので変更は難しいと思うが、公式の略称を添えてもらえると大変助かる。
…もっとも、『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において彼女の内宇宙に生じた摂動』のような、それ自体が圧倒的なインパクトを持ったタイトルならその限りではないが。