KADOKAWA<9684>は、11月6日、2026年3月期 第2四半期累計の連結決算を発表し、売上高1339億3300万円(前年同期比1.8%減)、営業利益55億5000万円(同47.8%減)、経常利益67億7800万円(同30.6%減)、最終利益14億9100万円(同51.8%減)と大幅な減益となった。ゲーム事業と教育・EdTechが増益となったものの、出版事業とアニメ・実写映像の苦戦が響いた。
・売上高:1339億3300万円(同1.8%減)
・営業利益:55億5000万円(同47.8%減)
・経常利益:67億7800万円(同30.6%減)
・最終利益:14億9100万円(同51.8%減)
■出版・IP創出事業
売上高は723億1600万円(前年同期比0.2%減)、セグメント利益(営業利益)は2億5800万円(前年同期比94.1%減)となった。
メディアミックス展開の重要な源泉として年間約6,000タイトルの新規IPを創出しており、これにより蓄積した豊富な作品アーカイブが同社グループ成長の原動力となっている。なお、当中間連結会計期間において創出した新規IP数は対前年同期で9.6%増加した。
書籍・雑誌は、アジアで好調が継続したことに加え、直近1年間に設立した新規拠点の貢献もあり海外事業が増収となった。国内では市場縮小が継続する中、サイバー攻撃による減収影響が大きかった前年同期からは増収となった。
一方で電子書籍・電子雑誌では、前年同期に他社ストア向け販売において速報データに基づく見積計上による増収効果が大きかったこともあり減収となった。また、ライセンス収入も減収となった。
利益面では、電子書籍における減収影響が大きかったことに加え、人件費の増加もあり、セグメント全体として減益となった。
■アニメ・実写映像事業
売上高は210億3000万円(前年同期比20.4%減)、セグメント損失(営業損失)は8億9500万円(前年同期 営業利益36億4000万円)となった。
アニメでは、ラインナップにおける初のアニメ化作品の構成比が高かったことから1作品当たりの売上が減少し、人気シリーズ最新作をはじめとして大型作品が力強く貢献した前期からは減収となった。実写映像では、劇場新作『山田くんとLv999の恋をする』、『見える子ちゃん』などのメディアミックス作品が貢献した一方で、劇場公開済みの複数作品に係る二次利用収入が大きかった前年同期からは減収となった。
利益面では、上記減収要因を中心として、セグメント全体で減益となった。
■ゲーム事業
売上高は165億9400万円(前年同期比8.6%減)、セグメント利益(営業利益)は66億6200万円(前年同期比9.7%増)となった。
フロム・ソフトウェアが発売した新作『ELDEN RING NIGHTREIGN』の国内外の販売が好調に推移したものの、『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』の販売及び『ELDEN RING』本編のリピート売上が好調だった前期からは減収となった。利益面では、一部費用が減少したことにより増益となった。
■Webサービス事業
売上高は111億600万円(前年同期比33.3%増)、セグメント利益(営業利益)は15億6900万円(前年同期 営業損失10億700万円)となった。
動画コミュニティサービスでは、サイバー攻撃による影響が大きく発生した前年同期から増収となった。またイベントの企画・運営でも、「ニコニコ超会議2025」や「Animelo Summer Live2025」の好調等により増収となった。
利益面では、上記増収影響に加え、ITインフラ費用が減少したこと等により、セグメント全体として増益となった。
■教育・EdTech事業
売上高は86億1000万円(前年同期比12.4%増)、セグメント利益(営業利益)は16億6700万円(前年同期比15.2%増)となった。
クリエイティブ分野の専門校を運営するバンタンでは、2024年4月に開校したスクール「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」等や展開地域拡大の貢献により生徒数が増加し、増収となった。また、ドワンゴでは、N高等学校・S高等学校・R高等学校の通学コース向け新キャンパス開設やR高等学校・ZEN大学の新規設立により生徒数が引き続き増加し、堅調に推移している。
利益面では、上記増収影響によりセグメント全体で増益となった。
■その他事業
売上高は69億2800万円(前年同期比11.0%減)、セグメント損失(営業損失)は20億9000万円(前年同期 営業損失24億2200万円)となった。
MD事業では前期に特定のヒット商材があったことにより、減収となった。レクリエーション事業では全国主要都市で開催するIPイベントが好調に推移したこと等により増収となった。それ以外の事業では、ドワンゴがグループ内DXを推進するKADOKAWA Connectedを吸収合併したことに基づく同組織の位置づけ変更の影響が大きく、セグメント全体として減収となったが、同子会社では内部取引が大部分を占めるため連結全体への影響は僅少。
利益面では、レクリエーション事業で横ばいとなった一方で、MD事業では上記減収影響により減益となったが、KADOKAWA Connectedでサイバー攻撃による影響を受けた前期からはセグメント全体で増益となった。
■2026年3月期の見通し
2026年3月期の業績は、売上高2782億円(前期比0.1%増)、営業利益103億円(同38.1%減)、経常利益124億円(同30.1%減)、最終利益49億円(同33.7%減)、EPS33.34円を見込む。株価収益率は90.6倍となる。
・売上高:2782億円(同0.1%増)
・営業利益:103億円(同38.1%減)
・経常利益:124億円(同30.1%減)
・最終利益:49億円(同33.7%減)
・EPS:33.34円
【通期計画に対する進捗率】
・売上高:48.1%
・営業利益:53.9%
・経常利益:54.7%
・最終利益:30.4%
会社情報
- 会社名
- 株式会社KADOKAWA
- 設立
- 1954年4月
- 代表者
- 代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高2779億1500万円、営業利益166億5100万円、経常利益177億4200万円、最終利益73億9200万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9468