【決算レポ】GLOE、25年10月期は過去最高売上で黒字転換…イベント会社から「ゲーミングエージェンシー」への進化が鮮明に

eスポーツ・ゲーム領域を軸に事業を展開するGLOE<9565>は、2025年10月期決算で売上高が前の期比25.8%増となり、グループとして過去最高を更新した。期初は赤字を想定していたものの、結果として黒字化を達成した。同社が掲げてきた事業転換と組織改革が、業績として結実した形だ。

【2025年10月期の実績】
・売上高:28億4300万円(前の期比25.8%増)
・営業利益:1800万円(同11.6%増)
・経常利益:2400万円(同79.4%増)
・最終利益:300万円(同1900万円の損失計上)

 

■苦しい踊り場を越え、成長軌道へ回帰

同社は直近2年間を「踊り場」と表現する。市場環境の変化に直面しながらも、MISSION・VISIONの再定義とともに、事業・組織の両面で試行錯誤を重ねてきた。その成果として、2025年10月期は既存事業の回復に加え、マーケティングエージェンシー領域の拡大が業績を押し上げた。

利益面では、本社移転や拠点集約といった一時的コストを吸収しながらも黒字で着地した。これらのスポット要因を除けば、収益力そのものは確実に回復していると同社は評価する。

【4Qに売上集中も、「納品力の向上」を示す結果に】
サービス別に見ると、イベントサービス・エージェンシーサービスともに堅調に推移。特に第4四半期(9~10月)に売上が大きく集中した。東京ゲームショウ(TGS)を中心に、国内外の大型イベント、インフルエンサー主催イベント、海外タイトルのプロモーション案件などが重なった。

例年「下期偏重」と説明してきた同社だが、今期はその傾向がさらに顕著になった。一方で同社は、この集中を「これまでなら受けきれなかった水準の案件を納品できた証左」と捉える。外部パートナーの活用拡大や体制強化により、納品力そのものが底上げされたという。

【エージェンシー事業が牽引、新規領域は案件数の23%に】
エージェンシーサービスは四半期ベースで過去最高売上を記録。従来のキャスティングやスポンサー仲介に加え、SNSマーケティング、コミュニティマーケティング、OOH、マーチャンダイジングなど、提供可能なソリューションを拡充してきたことが奏功した。
案件数ベースでは、新規領域が全体の23%を占めるまでに成長。単価や収益性の異なる商材を横断的に扱える体制が整いつつある。

【営業利益は4Qで1.4億円、過去最高水準】
原価率は大型イベント増加に伴い一時的に上昇したものの、許容範囲内を維持。販管費はグループ会社増加や人員拡充の影響を受けたが、本社移転関連費用は4Qで沈静化した。
結果として、第4四半期の営業利益は約1.4億円と過去最高を記録した。構造改革の成果が利益面にも明確に表れた格好だ。

 

■26年10月期は「投資しながら増収増益」へ

2026年10月期の業績予想では、売上高33億5,000万円(前期比17.8%増)を掲げ、過去最高の更新を狙う。営業利益については5,000万円を計画。利益を積み上げるよりも、将来成長への投資を優先しつつ、減益は回避するというバランス重視の方針だ。

【2026年10月期の見通し】
・売上高:33億5000万円(前期比17.8%増)
・営業利益:5000万円(同177.8%増)
・経常利益:4000万円(同66.7%増)
・最終利益:600万円(同100.0%増)
・EPS:2.16円

 

【海外展開と内製化がカギ】
eスポーツ・イベントサービスでは、アジアを中心とした海外クライアントの継続開拓を強化。オフラインイベントでは内製対応範囲を広げ、案件ごとの収益性向上と一人当たり納品力の引き上げを目指す。
エージェンシーサービスでは、コミュニティマーケティングやSNSマーケティングを中心に体制を強化。新規事業では、スポンサー広告に依存しないBtoC型モデルの構築を模索する。

 

■中長期ビジョン:「ゲーミングライフスタイル」を軸に3つの成長軸

代表の谷田優也氏は、今後3~5年の成長戦略として以下の3軸を掲げた。

【ゲーミングソリューション事業】
ゲーム特化型のマーケティングエージェンシーとして、広告、イベント、SNS、コミュニティ運営、マーチャンダイジングまで一気通貫で提供。国内外のゲーム企業のマーケティングパートナーとしての地位確立を目指す。

 

【BtoC向けコンテンツクリエイション】
インフルエンサーやストリーマーと共にIPを育成。ミュージカル制作、花火イベント、リアルイベントなど、ゲーム領域発の新たなエンタメ創出に注力する。

 

【新規事業(ライフスタイル領域)】
地方創生、ヘルスケア、人材サービス、アミューズメントポーカーなど、ゲームの可能性を広げる分野へ挑戦。就活イベントでは、初回で約90名が参加し、高い内定承諾率を記録するなど、芽も出始めている。

 

■SCOPが示す「時間」を獲得するメディア価値

特に注目されるのが、ストリーマーコミュニティ「SCOP」だ。234名のストリーマーが参加し、月間視聴時間は約1.7億分に達する。これは全国の映画館シネアド枠(約1.5億分)を上回る規模で、Z世代の可処分時間の約1%をすでに獲得しているという。谷田氏は「リーチする広告ではなく、人々の時間を獲得する媒体」としての成長余地に言及。今後、参加ストリーマー数を拡大することで、広告価値のさらなる向上を狙う。

 

■「イベント会社」からの脱皮、その先へ

GLOEは、かつての“eスポーツイベント会社”という枠を明確に越えつつある。ゲーミング特化型エージェンシーとしてのBtoB事業の深化と、BtoCコンテンツ創出によるIP価値の蓄積。この両輪が噛み合えば、同社の掲げる「ゲーミングライフスタイルを創る会社」というビジョンは、より現実味を帯びてくる。2025年10月期は、その転換点となる1年だったと言えそうだ。

 

GLOE株式会社
https://gloe.jp

会社情報

会社名
GLOE株式会社
設立
2015年11月
代表者
代表取締役 谷田 優也/代表取締役 古澤 明仁
決算期
6月
直近業績
売上高28億4300万円、営業利益1800万円、経常利益2400万円、最終利益300万円(2025年10月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
9565
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