【決算レポ】Link-Uグループ、グローバル×AIで次の成長局面へ 「Crunchyroll Manga」始動、第2四半期以降に本格寄与

Link-Uグループ<4446>は、2026年度第1四半期(2025年8~10月)の決算説明会を開催した。売上収益は10億8900万円、営業損失は4300万円と前年同期比で減収減益となったが、同社はこれを「次の成長に向けた先行投資の期間」と位置付けている。グローバル展開の本格化、AI駆動型開発への転換、IP創出力の強化といった中長期戦略が、具体的な事業成果として立ち上がり始めている。

 

■MAU2000万人、月間5億PVの基盤 IPとテクノロジーを軸にグローバルへ

Link-Uグループは、マンガを中心としたIPビジネスとテクノロジーを両輪に成長してきた。現在、同社が提携・運営するサービスの月間アクティブユーザー数(MAU)は2000万人超、月間閲覧数は約5億回に達する。『俺だけレベルアップな件』などの世界的ヒット作を国内で独占的に流通させてきた実績を持ち、日本にとどまらず、北米、欧州、ブラジル、東南アジアなどへと展開エリアを拡大。同社は現在を「各事業のピースがつながり、次のフェーズへ移行する転換点」としている。

 

■2026年度の重点テーマ グローバル、IP、AIの三位一体戦略

2026年度の事業テーマとして、同社は以下の3点を掲げる。

・グローバルビジネスの加速
・IP創出の強化
・領域拡大×AIによる生産性向上

背景には、国内マンガ市場の競争激化と人口減少、海外における日本IP人気の拡大、国を挙げたエンタメ産業振興、そしてAI技術の急速な進化という4つの大きな環境変化がある。これに対し、出版社との長年の関係性、データセンター構築にまで遡る深い技術基盤、膨大なユーザーデータ、開発から運用・マーケティングまでを一気通貫で行う体制が、同社の競争優位性となっている。

 

■「Crunchyroll Manga」始動 アニメ×マンガの新たな経済圏を狙う

2025年10月9日、Link-Uグループは北米最大級のアニメプラットフォーム「Crunchyroll」と連携し、海外向けマンガサービス「Crunchyroll Manga」をローンチした。これは単なる海外マンガアプリではなく、アニメ視聴から原作マンガへとファンを誘導する“アニメ×マンガ経済圏"の中核を狙う取り組みだ。米メディア『Fast Company』などでも取り上げられ、アニメを起点とした原作マンガ消費の逆流トレンドが注目されている。ローンチ後、配信タイトル数は拡充が続き、出版社・ファン双方からポジティブな反応を得ているという。Link-Uは、このポジションを足掛かりに、日本IP全体の海外展開を担う存在を目指す。

 

気になる業績への反映状況については、第1四半期に多少反映されているものの、本格的な寄与は第2四半期以降になる見通し。

 

■AI駆動型開発で収益構造転換へ 大型受託案件が実現

もう一つの大きな変化が、AI駆動型のシステム開発体制だ。従来の人月ベースの開発から脱却し、AIを活用した24時間稼働型の開発体制へ移行。これにより、2025年8月には約2億円、12月には約1億円規模の大型開発案件を受注した。これまでリソース制約で難しかった長期・大型案件を並行して進められるようになった点は、同社の利益率改善に直結する構造変化といえる。AI活用を全社的に推進するため、Link-U TechnologiesではCAIO(Chief AI Officer)室も新設している。

 

■コンテンツでも成果 国内外でヒット創出の再現性

コンテンツ面でも成果が見え始めている。コンパス社との協業作品は、「コミックシーモア」少女マンガ部門で3作品同時にTOP20入り。さらに海外では、米Amazon(Kindle)のRomance Manga部門で2位・3位を獲得するなど、国内外でヒットを生み出している。翻訳から海外流通、マーケティングまでをグループ内で完結できる体制は、自社IP比率の向上と利益率改善に寄与する。プラットフォーム、技術、コンテンツのシナジーが形になり始めた格好だ。

 

■第1四半期は減収減益 先行投資による「しゃがみ」の局面

2026年度第1四半期の連結業績(IFRS)は以下の通り。

・売上収益:10億8900万円(同14.9%減)
・営業損失:4300万円(同1億2700万円の利益計上)
・税引前損失:4400万円(同1億2500万円の利益計上)
・最終損失:3800万円(同2400万円の利益計上)

 

マーケティング事業における特定顧客との取引縮小に加え、「Crunchyroll Manga」やAI開発への先行投資が利益を圧迫した。

 

ただし、マンガサービス事業の売上は6億6800万円と四半期ベースで過去最高水準を記録。制作事業も2億7800万円と堅調だ。

 

【2026年7月期の見通し】
・売上収益:60億円(同24.1%増)
・営業利益:6億円(同72.3%増)
・税引前利益:5億7900万円(同75.3%増)
・最終利益:3億0800万円(同98.7%増)
・EPS:21.73円

 

■海外売上150%成長を目標 北米・ブラジル・中東へ拡大

今期のKPIとして、同社は海外マンガ事業売上150%以上の成長を掲げる。北米の「Crunchyroll Manga」を軸に、ブラジル(Comikey Brasil)、アラビア語圏(サウジアラビアTarjama社との連携)など、地域展開を拡大。海賊版対策の観点でも「正規に届けること」が重要だと強調した。

 

■未翻訳IP9割に商機 新たなデータ関連サービス構想

説明会では、詳細非開示ながらIP関連のデータサービス構想にも言及した。世界には未翻訳の日本マンガIPが9割以上存在するとされ、翻訳・流通・管理の障壁をテクノロジーで解消することで、新たな価値創出を狙う。既存事業とのシナジーを通じ、業界全体の拡大にも寄与する構想だ。

 

■中計最終年度、次の飛躍へ

2026年度は中期経営計画の最終年度にあたる。第1四半期は赤字となったが、同社はこれを「高く跳ぶための助走」と位置付ける。グローバル展開、AIによる生産性革命、IP創出力の強化という3つの軸がかみ合い始めた今、Link-Uグループは次の成長フェーズへの入口に立っている。

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