テレビ朝日HD、アニメ事業をIP戦略の中核として本格強化へ 「あかね噺」や「おぼっちゃまくん」の海外展開 壽屋との連携によるIP創出も

テレビ朝日ホールディングス<9409>は、新中期経営計画「START UP テレ朝!!(2026-2029年度)」を公表し、同社がアニメ事業をIP戦略の中核として本格強化している姿勢を鮮明した。計画では「アニメIP展開数を2倍」に拡大する方針を掲げており、放送枠拡大、オリジナルIP開発、海外展開、ショートアニメ、AI活用まで含めた総合的なアニメ戦略を推進する。

同社は、新中計における「5つのキーストラテジー」の一つとして「魅力的なIP創出」を掲げ、「【アニメ】IP倍増へ 制作体制強化」と明記。北米やインドなど海外展開の強化も打ち出しており、国内放送ビジネスにとどまらないグローバルIP展開を視野に入れている。

アニメ事業拡大に向け、地上波アニメ枠も強化する。2024年10月と2025年4月に新たな夜帯アニメ枠を設置し、全国ネットのアニメ枠を5枠体制へ拡大。資料では「アニメIPビジネスを強化」と説明しており、テレビ放送を起点に配信、商品化、イベント、海外販売まで含めたIP運営を強める方針だ。

オリジナルIP開発も積極化する。電子書籍関連のBookLiveを2023年4月、フィギュア・プラモデルメーカーの壽屋を2024年4月に持分法適用関連会社化。オリジナル漫画や人気プラモデルIPを活用したアニメ化を推進している。代表例として、壽屋のプラモデルシリーズ「アルカナディア」のアニメ化を進めている。

2026年4月クールでは、『週刊少年ジャンプ』連載の人気落語漫画「あかね噺」をアニメ化した。新設アニメ枠「IMAnimation」で放送しているほか、ABEMAやNetflixで先行配信を実施する。渋谷での大型広告展開や「AnimeJapan 2026」出展、米ニューヨーク・ボストンでの上映会など、国内外で大規模プロモーションを行い、グローバルファンベースの拡大を狙う。

2026年7月クールには、「NUMAnimation」枠で『「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます』を放送予定。同作は「ブックライブ」で2年連続年間ランキング1位を獲得した人気コミックで、グループ連携によるアニメ化案件として位置付けられている。

海外展開も強化する。インド版「おぼっちゃまくん」を海外IP戦略の一例として紹介している。テレビ朝日HDは、既存IPのローカライズや現地展開を通じて、海外市場でのIP収益拡大を進めていく考えだ。

また、ショートアニメ領域にも注力する。グループ会社のシンエイ動画を中心に、キャラクター認知拡大を目的としたショートアニメIPビジネスを拡大。「コウペンちゃん」を日曜朝8時枠で放送しているほか、「しろたん」「ポップパップポルターズ」を2026年秋に幹事作品として展開予定だ。

映画分野でもアニメIPが収益を支えている。2026年2月公開の『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』は、5月6日時点で興行収入41億円を突破した。週末動員ランキングで2年連続V6を記録するヒットとなった。

今後も『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ〜ション』(2026年7月31日公開予定)を控えるほか、シンエイ動画の幹事作品『君と花火と約束と』(2026年7月17日公開)も投入予定。『君と花火と約束と』では、佐藤勝利さん(timelesz)と原菜乃華さんをキャストに起用している。

AI活用にも踏み込む。テレビ朝日HDは新中計で「AIクリエイティブスタジオ」を新設し、「コンテンツ開発」と「ビジネス開発」でAI活用を推進する方針を打ち出した。

その一環として、次世代型スタジオ「TOKYO EPIC」と共同制作した短編アニメ『ハナと不思議な冒険』ではAI制作を試験導入した。同作は「World AI Film Festival 2026 in KYOTO」のAIアニメ部門で審査員特別賞を受賞している。

テレビ朝日HDは、従来の放送局モデルから、アニメIPを軸にした「総合IP企業」への転換を加速させている。特に新中計では、放送・配信・映画・イベント・海外展開・AI活用を横断する形でアニメ事業を成長エンジンに位置付けている点が特徴となりそうだ。

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