
好評放送中のTVアニメ『一畳間まんきつ暮らし!』を軸に、マンガ編集、アニメプロデュース、宣伝のキーマンに迫る本連載。第3回では、ブシロードムーブで宣伝を担当する馬場氏に、プロモーション戦略の全貌を聞いた。放送前からの情報設計やVTuber展開によるファン接点の創出など、作品の世界観を保ちながら話題化を図る実践的な取り組みが明かされる。
■馬場氏プロフィール
株式会社ブシロードムーブ 宣伝プロデューサー
■宣伝担当としての役割とプロジェクトへの関わり
――:馬場さんは普段、どのようなお仕事をされているのでしょうか?
馬場: 主な業務としてはアニメの宣伝を行っております。ブシロードムーブ自体がアニメ作品の製作委員会に出資したり、あるいは製作委員会から業務委託を受けて宣伝業務を担うことが多く、僕は宣伝担当として各作品のプロモーションをお手伝いしています。
――:本作『一畳間まんきつ暮らし!』には、どのような形で関わっているのですか?
馬場: 本作に関しては、ブシロードムーブも出資しており、宣伝や音響といった部分で本作に携わらさせていただいております。僕自身の業務としては、主に宣伝全般を見ています。情報の解禁タイミングの調整や各媒体さんとのやり取り、作品に関する情報の組み立てや世の中への露出のさせ方、それに紐づくキャンペーンなど、作品の「見せ方」について幹事さん(NBCユニバーサル)や、原作の芳文社さんとご相談しながら進めています。
――:このプロジェクトにはいつ頃から参加されているのでしょうか?
馬場: 製作委員会が発足する最初のタイミングは上司が決定し、実務として僕に振られた形ですね。作品の制作が決定し、「さあ動き出そう」という非常に早い段階から参画させていただいています。
■アニメ宣伝の定石と戦略的なスケジュール
――:一般的に、アニメの宣伝はどのタイミングから動き出すものなのですか?
馬場: 宣伝という窓口は、実はかなり序盤から動くことが多いです。例えば「パッケージ(Blu-ray)をいつ出そうか」「音楽情報をどう出そうか」といった制作進行に合わせて、放送タイミングから逆算してスケジュールを組む必要があるからです。
――:かなり早い段階から動かないと、情報解禁が間に合わなくなるわけですね。
馬場: そうですね。製作委員会の大きなミーティングが始まる前に、宣伝の分科会がスタートしていることも多くあります。情報の「最大化」を狙うには、基本的には放送の3ヶ月前から直前1ヶ月くらいの密度を高くする必要があるのですが、水面下では1年前、半年前くらいから動いて、解禁する情報のプランニングを綿密に立てていくのがとても大切になります。
■本作独自の挑戦:VTuber「マリーカ」と「音緒」のリアル展開
――:今回の宣伝施策で、特に力を入れた部分はどこですか?
馬場: 本作で最も特徴的だったのは、「VTuber」としての活動をリアルに展開したことです。原作には「ミューチューブ(μTube)」という配信サイトで配信活動をしているキャラクターが登場します。その設定を現実世界に落とし込み、YouTube上で「マリーカ・ベルツリー」という原作の配信者と名前で実際にVTuber活動を始めました。
――:アニメ放送前から高頻度で配信されていましたよね。
馬場: はい。放送前は週3回(火・水にマリーカ、木に音緒)という、スタッフも死に物狂いの高頻度で配信していました。ありがたいことに原作者のひさまくまこ先生もすごく愛情を持ってくださっていて、毎回欠かさず配信を見てコメントをくれたりもしました。
――:その手応えはいかがでしたか?
馬場: 正直、走り出しは不安もありましたが、第1話の放送後に一気に手応えを感じました。同時視聴者数が一気に倍以上に増えたんです。
アニメは週に1回の放送ですが、その間を埋める「受け皿」としてVTuber活動があることで、ファンの熱量を下げずに次の放送まで繋げることができました。アニメの放送開始後は、火曜・木曜の週2回の配信になりまして、土曜にアニメがあるというサイクルで、作品に常に触れ続けてもらえる環境を作れたのは、宣伝として非常に大きなポイントだったと感じています。
■作品の世界観を守る「1本の軸」と遊び心
――:宣伝を企画する上で、作品ならではの要素をどう落とし込もうと考えましたか?
馬場: 実は、第1話の放送までキャスト名を伏せておくという特殊な見せ方をしていました。キャストのファンにアピールできないという面もありましたが、その分「声だけで誰か当てる」ような楽しさを提供したり、VTuberとしてのキャラクター性を優先したりと、時系列に沿った施策を考えました。
――:SNSでのクイズ企画や、劇中と連動した仕掛けも面白かったです。
馬場: ありがとうございます。例えば、放送前のエイプリルフールでは、急遽ネタを仕込もうと考えまして、配信者の「マリーカ(鈴木万里花)」の苗字にちなんで「鈴を括り付けた木の動画」を4時間流し続けるという、シュールな企画をやったり、第2話で漫画喫茶「ヘッジホッグ」が経営難になるエピソードがあるのですが、それに合わせてヘッジホッグのCMを作成して現実世界でも無駄にお金を使って経営難になっているような見え方になるような工夫もしました(笑)。
――:あの鈴の動画には、そんな裏話があったのですね(笑)。
馬場: 「なんだこれ?」「バカじゃないの?」と思ってもらえたら勝ちだと思っていました。エンターテインメントですから、自分たちが楽しみながら作らないとお客さんにも伝わらない。幹事さんや芳文社さんも「やってみようよ」と快く許してくださる環境だったので、キャラクターや世界観のトーン&マナーを守りつつ、作品と連動した遊び心のある宣伝を全力で展開できました。
■放送の反響と、これからの見どころ
――:第1話では、SNSでもトレンド入りするなど大きな話題になりましたね。
馬場: 深夜帯の放送でしたが、SNSですごく盛り上がっていただいて。ハッシュタグ「#まんきつ暮らし」がトレンド2位に入ったり、「きららジャンプ」が話題になったりと、熱量の高さを実感しました。
――:馬場さんが感じる、アニメ『一畳間まんきつ暮らし!』の魅力とは?
馬場: 女の子の可愛さはもちろんですが、ギャグ要素の強さが魅力だと思います。4コマならではの起承転結が、アニメーションになることでよりテンポよく、明確に面白さが伝わるようになっています。お色気要素も相まって、あっという間に1話が終わってしまうような感覚になれる作品です。
――:最後に、今後の宣伝や放送に注目している方へメッセージをお願いします。
馬場: 6話で出てきた強烈な新キャラクター「剛田魔法桃鈴」のような癖の強いキャラもこの後登場し、さらに賑やかになっていきます。配信やSNSでも「一畳間」らしい、ふふっと笑えるようなネタを仕込んでいきますので、アニメ本編とあわせて、ぜひ最後まで楽しんでいただければ嬉しいです!
■関連サイト
▼公式サイト
https://ichijyoma-anime.com/
▼公式アカウント
https://x.com/ichijyoma_anime
(C)︎ひさまくまこ・芳文社/漫画喫茶ヘッジホッグ
会社情報
- 会社名
- 株式会社ブシロード
- 設立
- 2007年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 木谷 高明
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高561億7500万円、営業利益48億6800万円、経常利益48億4400万円、最終利益34億1800万円(2025年6月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 7803




