
エイチームホールディングス3662>は、2026年7月期第3四半期決算説明会において、M&Aを主軸とした成長戦略を改めて打ち出した。中期経営計画の達成に向けてM&A実行体制を大幅に強化し、新たに「M&A推進室」と「投資委員会」を設置。案件の発掘から投資判断、買収後の成長支援までを一体的に推進する体制を整えた。

同社はこれまで経営戦略室がM&Aと経営戦略を兼務していたが、組織再編によりM&A機能を独立させた。新設したM&A推進室は、戦略機能や組織体制を見直し、M&Aの推進力と実行力を高めることを目的とした専門組織となる。積極的な案件開拓やディール推進を担う役割を果たす。
一方で、投資判断の質を高めるため、代表取締役社長を委員長とする投資委員会も新設した。取締役に加え、外部アドバイザーとしてアドバンテッジパートナーズも参画し、投資規律の遵守やリスク評価、企業価値評価の妥当性などを多角的に審議する。会社側は「全社戦略に合致したM&Aの推進」と「規律ある投資」の両立を目指すとしている。
説明会では、従来の責任者から新体制へ移行したことも明らかにされた。経営陣は、意思決定の高度化とガバナンス強化を通じて、より確度の高い投資を実行できる体制を構築したと説明している。

M&Aの対象については、単なる規模拡大ではなく、「エイチームらしさ」との親和性を重視する方針だ。創業以来培ってきた「創造性」と「技術力」を軸に、独自の強みを持つプロダクトやサービスを展開する企業の取り込みを目指す。具体的には、「継続顧客を持つこと」「市場優位性を有すること」「高い独立性を持つこと」の3点を成長企業の条件として掲げている。

買収後の成長支援では、グループ内資産とのシナジー創出を重視する。代表例として挙げられたのが、エンジニア向けコミュニティ「Qiita」と、2024年にグループ入りしたヘッドレスCMS企業のmicroCMSだ。Qiitaは会員数150万人を抱える国内最大級のエンジニアコミュニティであり、エンジニアが製品選定を行う際の情報接点として機能する。Qiita上での情報発信や事例共有を通じてmicroCMSの認知度向上や導入促進につなげており、実際に業績拡大にも寄与しているという。
説明会では、「技術力はあるが顧客基盤が弱い企業」「サービスは優れているが認知拡大に課題を抱える企業」などに対し、Qiitaを活用したマーケティング支援が有効との考えも示された。

さらに、エンターテインメント事業で培った海外展開ノウハウもM&A後の成長支援策として位置付ける。エイチームはゲーム事業を中心に230以上の国・地域、最大16言語でサービス展開してきた実績を持つ。こうした知見を活用し、海外進出余地のある企業との連携も進める考えだ。
その具体例として、暗号資産ポイントアプリ事業を展開するPaddle社を挙げた。同社は「BitWalk」や「Bit Start」を運営しており、2025年7月には米国版サービスをリリース。エイチームはグローバル展開のノウハウを提供することで、Paddle社の成長加速を支援している。

今回の説明からは、エイチームが単なる買収件数の積み上げではなく、「買収後にどのような価値を生み出せるか」を重視していることがうかがえる。Qiitaによる顧客獲得支援や、ゲーム事業で培った海外展開力の提供など、自社の強みを活用したPMI(買収後統合)を前提としたM&A戦略が今後の特徴となりそうだ。
会社情報
- 会社名
- 株式会社エイチームホールディングス
- 設立
- 2000年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 林 高生
- 決算期
- 7月
- 直近業績
- 売上高239億1700万円、営業利益8億4500万円、経常利益15億8500万円、最終利益10億3600万円(2025年7月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3662




