プラチナゲームズが追求する「全員ゲームクリエイター」ー “アイデアの余白”を広げ、プラチナ品質の3Dアクションを生み出す組織づくり【エンタメ企業図鑑】


ゲーム、アニメ、映像、音楽など、エンタメ業界には多種多様な企業が存在する。一方で、「どんな人が働いているのか」「どんな考え方でモノづくりをしているのか」といった企業の実像は見えづらいものだ。

そこで本企画「エンタメ企業図鑑」は、ゲーム・アニメ・映画をはじめとするエンターテインメントビジネスを支える企業を一社ずつ訪ね、その事業内容や強み、組織カルチャー、そして未来への展望を掘り下げていく連載企画。作品やサービスの裏側で、どんな企業がどのような想いと専門性でエンタメの成長を支えているのか――。読者に「エンタメ業界の今」を立体的に届けていく。

今回登場するのは、プラチナゲームズ株式会社。3Dアクションゲームの開発を強みとするゲーム開発会社で、『The Wonderful 101: Remastered』『ベヨネッタ3』など、数々のアクションゲームを手掛けてきた。直近では2026年に『NINJA GAIDEN 4』を開発。現在も複数の3Dアクションゲームを開発するほか、自社パブリッシングにも挑戦している。

同社が作品づくりで重視するのは、「プレイフィール」「アクションサイクルの面白さ」「抑圧と解放」の3点。アニメーションやVFX、サウンドまで含めた気持ちの良い操作感をベースに、プレイヤーを悩ませ、楽しませるアクションサイクルを構築し、緩急のある体験によって大きな刺激を生み出している。さらに、組織には「全員がゲームクリエイターである」という考え方が根付いている。与えられた仕様をただ実装するのではなく、一人ひとりが「これなら面白そう」と納得するまで議論し、実装の途中でも積極的にアイデアを出す。そこには、職種や経験年数にかかわらず、自らゲームをつくる当事者として関わってほしいという思いがある。

今回は、開発本部 戦略企画室 シニアマネージャー/プロデューサー/クリエイティブオフィサーの中尾裕治氏に、プラチナゲームズが大切にするゲームづくり、若手の育成や裁量の広げ方、そして今後求める人材像について話を伺った。

「プレイフィール」「アクションサイクル」「抑圧と解放」で生み出す刺激的な3Dアクション

ーー:現在の開発体制や、代表的なプロジェクトについて教えてください。

プラチナゲームズは、今年で19年目となる3Dアクションゲームの開発会社です。

直近では2026年に『NINJA GAIDEN 4』を開発しておりました。現在も引き続き複数の3Dアクションゲームを開発しているほか、自社パブリッシングにもチャレンジしており、これまで以上に多くのお客様に3Dアクションゲームの魅力を伝えるべく、日々制作を進めております。

私は『The Wonderful 101: Remastered』『ベヨネッタ3』でプロデューサーを務め、『NINJA GAIDEN 4』ではプロデューサー/ディレクターを担当しておりました。

ーー:作品づくりにおいて大切にしている強み・こだわりは何ですか。

プラチナゲームズでは、主に「プレイフィール」「アクションサイクルの面白さ」「抑圧と解放」の3点にこだわっています。

プラチナ品質のアニメーション、VFX、サウンドなどで構成された、とにかく「プレイフィール」が気持ちの良いアクション体験をベースに、ロジカルに面白さを突き詰め、計算することでユーザーをときには悩ませ、ときには楽しませる「アクションサイクル」を構築します。

そこに緩急を大きく付けた「抑圧と解放」の体験を組み合わせることで、ユーザーのアドレナリンを放出させる。そんな最高に刺激的なゲームを、日々こだわって制作しております。

「全員がゲームクリエイターである」を実践する、アイデアを生み出す文化

ーー:プラチナゲームズでは、「全員がゲームクリエイターである」を掲げています。こちらの考え方は、日々の業務の中でどのように体現されていますか。

「全員ゲームクリエイター」は、プラチナゲームズで昔から今まで続けている、いわば大きなスローガンです。これは制作のあらゆる場面で体現しています。

特に、ゲームデザイナーが仕様を共有し、ディスカッションするタイミングで発揮されることが多いです。「受け身の姿勢」でそのまま受け取って仕事をするのではなく、仕事を渡す側、受け取る側それぞれが「これなら面白そう!」と納得するまで話し合い、実装を進めることで、日々最高品質を一人ひとりが目指すよう考えてもらうようにしています。

また、実装中の提案も積極的に行うようにしたり、ときにはディレクター自らアイデアを求めたりと、とにかく各スタッフが「自分がゲームを構築している」と感じられるように、常に問いかけを続けています。

ーー:専門領域を越えて挑戦したいと考える社員に対して、どのように裁量を広げていきますか。

アイデアについてやり取りする中で、優れたアイデアや考え方を持っているスタッフには、セクションに関係なく部門のディレクターを任せたり、制作物そのものを丸ごと任せたりするなど、多くのチャレンジをしてもらっています。

実際に直近の開発では、エンバイロメントスタッフにステージのディレクションを任せているケースなどがあります。

職種や担当領域だけで可能性を限定するのではなく、「この人なら任せられる」と感じたスタッフには、新たな役割に挑戦する機会を積極的に与えています。

ーー:若手が失敗した際、周囲はどのようにフォローしていますか。

とにかく「なぜ失敗したのか」を考えてもらうようにしています。

それが「自分がそこまで考えていなかったから」なのであれば、次は一段深く考えるようにしてもらい、「締め切りを忘れていたから」であれば、締め切りを忘れないための対策を行うなど、原因のディテールをはっきりさせることで、再発防止をしてもらいます。

「悔やむのではなく、前に進むことを常に考える」。そうした姿勢を身につけてもらえるようなフォローを心がけています。

「アイデアの余白」を広げながら、若手の裁量を段階的に増やす

ーー:入社後、任される範囲や裁量はどのように変化していきますか。

最初は部分的に任せるところや補佐からスタートし、作業を進めてもらいます。

その中で、必ず自分自身が考えることのできる「アイデアの余白」を設け、作業してもらいます。設けた余白に対して、「どうしてそのようにしたのか」を問いながら、「自分自身で考えること」「余白を余すことなく使うこと」「余白を上手に使うこと」について教えていきます。

そして、それぞれが伸びてきたスタッフには、徐々に余白を増やし、自身が考える範囲を増やしていきます。

これを繰り返し、実力がある程度ついたタイミングで、前述の通りディレクションやリードを任せる、という一連の流れで進めています。

最初からすべてを任せるのではなく、本人が考える範囲を少しずつ広げていく。その中で、自分のアイデアをゲームに反映させる経験を積んでもらうことが、クリエイターとしての成長につながると考えています。

ーー:成長を後押ししてくれた先輩・上司とのエピソードがあれば教えてください。

プラチナゲームズに入社して、約半年で『The Wonderful 101: Remastered』のプロデューサーを任せてもらえたことが、一番の後押しだと感じています。

一見大胆な起用にも見えますが、リマスターであること、そして初の自社パブリッシングタイトルであることから、やりがいもありますし、知識を短期で詰め込むには十分な環境だったと感じています。

また、フルプライスタイトルと比較すると中~低予算でもあることから、落ち着いて予算調整などをすることもできました。私自身の大きな成長の転機となったタイトルだと感じています。



「構想」と「優先度」を先に定め、品質とスケジュールを両立

ーー:品質とスケジュール(予算)のバランスをとる上で、どのような工夫をしていますか。

とにかく予算やスケジュールに合わせた「構想」を先に作ることを意識しています。

この構想の解像度が高いほど、詳細であるほど、制作における「ブレ」が発生しにくくなります。昨今はリファレンスも多いため、この手法でどれだけ素早く作り、品質を磨く時間を多く確保するか、という部分が大事だと感じています。

また、制作を始める前に作品における「優先度」をつけることも大事にしています。

「このゲームはグラフィックが大事」「このゲームは武器の多さが大事」など、パッケージングするうえでの商品価値を定める優先度をあらかじめ決め、それを物差しにすることによって、取捨選択する際の迷いを可能な限り減らしています。

ゲーム開発では、限られた時間や予算の中ですべてを同じ水準で追求することは難しいからこそ、「何を大切にするゲームなのか」を先に決めておくことが、品質を守ることにもつながると考えています。

ストイックに「プラチナ品質」を追求するため、ゲームのつくりかたを広く共有

ーー:今後、組織としてどのような人材を求めていきたいですか。

とにかく「クリエイター」として参画したい方、それからコミュニケーションを盛んに取るのが好きな方は、どなたでも大歓迎です。

また今後も、プラチナゲームズはストイックにプラチナ品質のゲームを作っていく集団として活動していきます。このとき、昨今の制作スピードに置いて行かれないよう、正しいプロセスで「きっちり」ゲームを制作していきたいと考えています。

この考えに共感いただける方がいれば、ぜひ応募していただければと思います。

ーー:採用や育成の面で、今後強化していきたい取り組みはありますか。

採用面では、私をはじめとして、主要クリエイター陣でプラチナ流の「ゲームのつくりかた」を広く伝える機会を増やしたいと考えています。

直近では、CEDEC2026による講演を2種展開するなどしており、これからも精力的に取り組んでいきます。

これは内側でも同様で、育成の面でも「アイデアにおける考え方」や「失敗が少なくなる制作プロセス」など、実務におけるより具体的な制作手法を職能問わず継続的に伝えていきたいと考えています。

自分たちが培ってきたゲームづくりの知見を外へ発信するだけでなく、社内でも次の世代へ伝えていく。そうした取り組みを通じて、プラチナゲームズとしてのゲーム開発力をさらに高めていきたいと考えています。

「きっちり、面白いゲームをコンスタントに」――次代を乗り切るためのゲームづくり

ーー:ゲーム業界、特に貴社を志望する方へメッセージをお願いします。

別の質問でも書いたのですが、昨今のゲーム業界は本当にスピードがどんどん早くなり、各社の競争も激化していると思います。

そんな中、プラチナゲームズもこれまで以上に面白い3Dアクションゲームを作り続けられるよう、必死に開発を進めています。

次代を乗り切っていくために我々に必要なのは、きっちり、面白いゲームをコンスタントにリリースしていくことだと考えています。

そのために、日々スタッフが考えながら制作を進めています。

ゲームをつくることが好きな方、アイデアを出すことが好きな方、そして周囲とコミュニケーションを取りながら、一緒に面白いものをつくっていきたい方には、ぜひプラチナゲームズという環境に興味を持っていただければと思います。

各社の皆様、そして弊社で働くことに興味のある皆様は、ぜひお気軽にご連絡いただければと思います!





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