ドリコム、出版・アニメ事業でIP育成を加速 コミック31・ノベル55シリーズに拡大、「汝、暗君を愛せよ」のコミカライズも始動

ドリコム<3793>は、出版・アニメ事業で作品のラインアップを拡充し、IPの創出から育成、収益化までを一貫して手掛ける体制の構築を進めている。2026年9月末時点でコミック31シリーズ、ノベル55シリーズを展開。シリーズ累計100万部を突破する作品も生まれ、自社原作のアニメ化も進めている。一方、2027年3月期第2四半期累計のコンテンツ事業は増収ながら損失が拡大しており、作品の積み上げと投資回収の両立が今後の課題となる。

 

■コミック31シリーズ、ノベル55シリーズに拡大 100万部突破作品も

同社は、ライトノベルやコミックスの刊行に加え、Webマンガサイト「ドリコミ+」の運営、アニメの企画・プロデュース、グッズの企画・販売などを通じて、IPの創出・育成と収益化に取り組んでいる。

2026年9月末時点のシリーズ数は、コミックが31シリーズ、ノベルが55シリーズとなった。刊行を重ねるなかで、シリーズ累計100万部を突破した『婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。』も登場している。

このほか、『ブレイド&バスタード』がシリーズ累計80万部、『99回断罪されたループ令嬢』が40万部、『ド田舎の迫害令嬢』が30万部、『隠れ才女は全然めげない』が20万部を突破するなど、複数の作品で実績が積み上がっている。

内藤裕紀社長は決算説明会で、シリーズ累計100万部を超える作品をカタログとして増やすことが、エンターテインメントビジネスにおける業績の変動リスクを抑えることにつながるとの考えを示した。単発のヒットに依存するのではなく、一定の販売規模を持つ作品を継続的に生み出し、ラインアップ全体を厚くする狙いだ。

その一例として、説明会では『汝、暗君を愛せよ』にも言及した。同作は「このライトノベルがすごい!」で1位に選ばれるなど注目を集めており、2026年10月にはコミカライズの連載も開始している。ライトノベルから漫画へと展開することで作品の読者層を広げ、IPとしての成長につなげていく。

また、アニメ化できる作品については積極的に展開する方針だ。作品の認知拡大に加え、出版や商品化などへの波及効果も見込み、複数の作品を継続的に育成することで収益基盤の強化を目指す。

 

■自社原作4作品のアニメ化を推進 出版から次の展開へ

作品の認知拡大と収益機会の拡張に向けて、同社が重視するのがアニメ化だ。説明資料によると、自社原作では4作品のアニメ化を発表済みで、うち1作品は放送済み、3作品でアニメ化が進行している。また、他社原作についても2作品で取り組んでいる。

自社原作の作品では『エリスの聖杯』が2026年1月から放送されているほか、『ブレイド&バスタード』『99回断罪されたループ令嬢』などのアニメ化が進められている。さらに、他社原作では『片田舎のおっさん、剣聖になる』にゲーム化やコラボライセンスの窓口、出資などを通じて製作委員会に参画している。

内藤社長は、アニメ化などを通じて注力作品の売上規模を拡大する方針を説明。出版で生まれた作品をコミカライズやアニメ化へと展開し、より多くのユーザーに届けることでIPを育てていく考えだ。今後は出版発の作品だけでなく、ゲーム発のIPについてもアニメ化を含む映像展開を検討していくとしている。

 

■上期は25点を刊行、下期は4Q中心 シリーズの積み上げで安定化を目指す

2027年3月期上期の刊行点数は25点で、内訳はコミック17点、ノベル8点と前年同期と同水準だった。売上高も出版事業では前年並みで推移しており、刊行点数は下期、特に第4四半期に多くなる計画だ。

内藤社長は、現状では刊行が第4四半期に偏る傾向があり、四半期ごとの実績が安定しにくいと説明。シリーズ化するタイトルが増えることで刊行スケジュールも安定してくるとの見方を示した。また、オリジナルコミックの展開など、新たな作品づくりも進めている。

こうした取り組みの一つが、オリジナルコミックレーベルや小説コンテストなどを通じたIP創出だ。多くの小さな挑戦を重ねながら作品を生み出し、反応のよいタイトルを育て、アニメ化など次の展開につなげる方針である。

 

 

■コンテンツ事業は増収も損失拡大 投資回収が焦点に

2027年3月期第2四半期累計のコンテンツ事業は、売上高が4億3,872万円(前年同期比35.4%増)、セグメント損失が5億63万円(前年同期は4億5,995万円の損失)となった。

出版事業では前年同期と同水準の刊行を維持したほか、アニメ事業の収益増加や、他社IPを中心とするグッズ販売の伸長が増収に寄与した。一方、アニメ作品の出資金に関する償却費などを計上したほか、出版・アニメ・マーチャンダイジング(MD)や新サービスへの先行投資が続き、損失は拡大した。

MD事業では他社IPを中心としたグッズの企画・販売が伸び、事業立ち上げに手応えが出始めているという。また、新たなサービスとして位置情報連動型のウォーキングポイントアプリを運用するほか、オンラインくじサービス「くるくじ」も開始した。

同社が目指すのは、出版・アニメ・MDをそれぞれ独立した事業として展開するだけでなく、作品を継続的に生み出し、育て、複数の収益機会につなげる仕組みだ。作品数やシリーズ累計部数の積み上げが進む一方、アニメ化などの投資には時間と費用がかかる。今後は、刊行スケジュールの安定化や有力作品の育成を進めながら、先行投資を収益貢献へとつなげられるかが焦点となりそうだ。

 

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株式会社ドリコム
https://drecom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ドリコム
設立
2001年11月
代表者
代表取締役社長 内藤 裕紀
決算期
3月
直近業績
売上高175億4700万円、営業利益4億800万円、経常利益3億1800万円、最終利益2億1300万円(2026年3月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3793
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