ソーシャルゲームやオンラインゲーム関連企業の決算発表シーズンが近づいてきた。7月24日のベクターの第1四半期業績の発表を皮切りに、7月26日にサイバーエージェント、7月30日にドリコム、コーエーテクモホールディングス、カプコンなどが続く予定。本格的になるのは8月からで、8月9日にはディー・エヌ・エー、8月14日にはグリーの発表が予定されている。早期に開示するボルテージが遅めなのは、今回の発表が本決算となるため。
今回のポイントは、引き続きコンプガチャ規制と6社協議会のガイドラインが収益やアクティブユーザー数に与えた影響だろう。当初、影響は軽微としていた会社が多かったが、先日決算発表を行ったKLabは、コンプガチャ廃止の影響は5%程度だったものの、6社協議会のガイドライン対応の影響による売上の低下があったことを明らかにした。KLabの個別要因なのか、業界全体の共通しているのか。またガイドラインへの対応が既存タイトルの運営や、新作リリーススケジュールに与えた影響なども注目される。
もうひとつ、海外展開に関するアナウンスもポイントになるだろう。「Rage of Bahamut」や「Zombie Jombie」など日本企業のコンテンツが海外のアプリマーケットでのトップチャートの上位に入ったことは記憶に新しく、SAPによる海外拠点の開設、M&Aなども増えている。先行投資から少しずつ結果を出していくフェーズに移行しつつあり、タイトルのリリーススケジュールや収益化の見通しなどが焦点になるとみられる。
海外系の機関投資家と会っていると、ソーシャルゲーム関連企業に対する資本市場関係者の評価が変わったことに気づく。年初は、成長セクターという見方が多かったのに対し、5月以降、規制観測によって株価が乱高下するため、サヤ取りの対象として妙味があるという見方が多くなった。国内市場が成熟市場となり、シェアの奪い合いとなりつつあるなか、海外市場を成長ドライバーにできるのか、市場の評価を変えていく意味でも重要となる。
資本市場の評価については、ソーシャルゲームにあまり関係ないと考える人も多いかもしれないが、セクターに対する評価は、直接的には、これから上場しようとする会社への評価に影響が出てくる。いわゆる低株価を放置すると、バリューがつかない状況となるため、上場の可否や調達できる資金規模、引いては成長戦略にも影響が出てくる。この意味で、市場で高く評価を保っておくことには大きな意味がある(もう少ないだろうが、VCからの資金調達にも)。
ちなみに、エイチームやモブキャストは、株価収益率(PER)がそれぞれ19倍、17倍で、5~8倍程度の同業他社に比べて高くなっている。国内大手証券の公開引受担当によると、エイチームは海外市場で結果を出している会社として、そして、モブキャストは収益モデル上、コンプガチャ規制とは無関係ということが認知されているのでは、とのことだった。
脱線してしまったが、決算発表予定一覧は以下のとおり。決算発表の日程は、東証や大証など取引所のサイトに掲示されている予定表や、各社のIRサイトを調べたものをまとめたものだ。昨今の事情から変更されることが多いので、気になる方は、取引所や各社のIRサイトを適宜チェックしていただければ幸いだ。
東証・大証、各社IRサイトで調べた。スケジュールは変わることがあるので、各自、確認されたし。
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751