注目はスマートフォンの普及 大和証券CM、「インターネット・セクターの動向」を発行

 大和証券キャピタル・マーケッツ(大和証券CM)は、12月17日付けで、「インターネット・セクターの動向」と題するレポートを発行した。2010年冬の注目点をまとめたものだ。

 大和証券CMでは、インターネットを巡る環境変化として、当面の注目点は、スマートフォンの普及であると指摘している。従来のモバイル機器よりも、操作性・表現力に優れた機器が普及することにより、提供されるサービスは、より多様でリッチなコンテンツとなるだけでなく、ユーザーの移動中や移動先での利用などを想定した形で進化する、と見ているようだ。電子書籍、位置情報や店舗情報と連動したサービス、マイクロアプリの展開などが注目される、としている。

 また、サブセクターについては、モバイル・インターネットのトラフィックの増加や市場回復を背景に、ネット広告市場は堅調な展開が予想される、とのこと。

 一方、モバイル・ソーシャル・ゲーム市場については、2010年ほどの急速な拡大ではないが、依然として契約数に拡大余地があるため、引き続き成長すると予想している。ただ、パッケージゲーム市場では数年ぶりの新型ハードが投入されるため、一部競合する点には留意する必要があるという。モバイル・ソーシャルが躍進した一因として、伝統的ゲーム市場が製品ライフサイクルの面で停滞していたため、という一面があったためだ。

 こうした観点から個別企業についてコメントしている。

■mixi<2121>

 レーティング「3(中立)」の継続。同社のユーザー基盤は、外から見ても非常に魅力的な資産だが、それを効果的に自社収益に結びつけられるか、今少し推移を見守る必要がある。中期的には海外大手SNSとの連携や、競合状況にも注意。スマートフォン対応は、ブラウザ/ネイティブ双方に配慮した対応をとっている。

■ディー・エヌ・エー<2432>

 レーティング「1(買い)」の継続。重要な海外およびスマートフォン展開について、共通ゲーム開発エンジンの提供と言った具体的、説得力のある戦略が示されている、と高く評価。ただ公取委の立入検査がペナルティ負担に繋がる可能性には注意したい。

■グリー<3632>

 レーティング「1(買い)」の継続。内製ゲームの収益貢献が期待される。課金収益の立ち上がりは緩やかなようだが、タイトル数増加が次第にARPU増ドライバとして顕在化することになるだろう。また、スマートフォン向けの方針も明らかにされた。一歩前進。

■ヤフー<4689>

 レーティング「2(強気)」の継続。インターネット広告は、景気回復に伴い復調するなど事業環境は良好。EC関係も堅調な推移が見込まれる。スマートフォン向けの広告は、まだ顕在化していないが今後収益拡大機会があると予想される。

■サイバーエージェント<4751>

 レーティング「2(強気)」の継続。インターネット広告代理事業は環境は良好で、SAP事業も各プラットフォーム向けで成長中。さらにアメーバ事業も収益に貢献している。スマートフォン向け広告も高単価が期待できるうえ、引き合いも好位置に付けている様子とのこと。

■楽天<4755>

 レーティング「2(強気)」の継続。第4四半期では、楽天市場は順調の様子。さらに海外ECについてもサービス拡充や他地域展開で年率2ケタの取り扱い増が続いており、コスト削減も進展している。次いで成長が期待されるトラベル事業も提携先の拡大や海外向けも環境良好。