「オルトプラス×バンダイナムコゲームス」「オルトプラス×グリー」スペシャル対談2本立て。
オルトプラス×バンダイナムコゲームス
オルトプラス:小林陽介(ビジネス&ディレクション部 部長)※写真左
バンダイナムコゲームス:白陸周佑(第2事業本部 第1ディビジョン 第1プロダクション1課)※写真右
───:まずは両社がタッグを組んだ経緯から聞かせてください。
白陸:「バハムートブレイブ」をプレイしたときに、ゲーム性が担当タイトルのカラーとマッチするなと思いました。たとえば、ターン制で緻密なバトルができるところ。カードの数値を合算させて戦うというゲームが多い中、ユーザーがとことんまでやり込める戦略性の高さには非常に惹かれるものがありました。
小林:バトルシーンは私が手がけたので、その部分を評価されたのは個人的にもうれしかったですね。
白陸:ビジネスパートナーの選定うんぬんの前に、いちゲーム好きとして楽しんでいましたから。かなりやり込んだんじゃないかな(笑)。そこから知り合いを通じて、「一緒に開発をしてみませんか」というお声をかけさせていたただきました。それが、2012年の春です。
───:このオファーが舞い込んできたとき、オルトプラス側はどういった反応でしたか?
小林:「すごい話が来たらしいけど、誰がやるんだ」という感じでした。当初、私は別の案件に関わっていたため、最初のミーティングには参加していなかったんです。でも、リーダーをやりたいという思いをずっと抱えていたので、ぜひこの機会にチームを任せてほしいという申し出を自分から行いました。会社としても、個人としても、大きなチャレンジでしたね。
───:開発はどのようにして進めていったのでしょう? ルールや業務フローなど、それぞれに異なる部分もあるかと思いますが。
白陸:特に大きな問題もなく、すんなりと進めていくことができました。と言うのも、「バハムートブレイブ」のゲームエンジンと、今回お願いしたいタイトルの特性が非常に合っていたため、コンテンツの落としどころが明確だったんです。事前に具体的なイメージを描けていたので、こういう筋道で進めていけば大丈夫だという確信がありました。
小林:私は過去に受託開発の経験もあるのですが、バンダイナムコゲームスさんとの関係においては、指示された内容に従うという感じは全くなかったですね。UIはもちろん、画像1枚、アイテム1個であっても丁寧にすり合わせていきながら、お互いに納得した上で開発を進めていきました。感覚としては、完全に同じチーム。今でも、1日に10回くらいは電話をかけていますよね?
白陸:それくらいのペースですね。本音ベースでオープンに話しながら開発ノウハウを一緒に溜めながら構築している感じです。
■開発したタイトルが成功へ
───:責任者として各々に心がけていたことはありますか?
小林:このプロジェクトが走り出したとき、当社はちょうど採用活動に注力しはじめた時期だったんです。ですからチームが発足したときは、ソーシャルゲームの開発経験がないメンバーが約半分を占めていました。そういったメンバーをまとめながら、チームとしていかに開発を進めていけるか、いかにしてうまく運用ができるかという部分は1つのミッションでしたね。
白陸:私はプロジェクトスタート時に、企画内容を「必ずこうしましょう」と言わないようにしていました。初めから責任者が詳細部分まで決めてしまうと、どうしても全体で意見が出にくくなり、運用コンテンツとして重要な細かな改善が出来なくなってしまう。ですから方向性や必要な要素の決定、最終的なジャッジは行うものの、現場のメンバーがざっくばらんに意見を発信できるような雰囲気づくりは日頃から意識していました。
───:チームのメンバーにとっても貴重な経験になっているのではないですか?
小林:イベントのつくり方なども鍛えられましたし、ものづくりとは何なのかという部分も深められた気がします。たとえば「明日レビューがあるけど、マイルストーンに達していない」というときも、工夫したり考え方を変えたりしながら、何とか課題を解決していきました。「やり方次第では、1日でこんなにものづくりが進むのか」という驚きや発見は、メンバーの意識を少なからず変えたと思います。
───:タイトルのリリース後の反応はいかがでした?
小林:直後は穏やかなスタートだったのですが、イベントの施策や機能の改良を加えながら、1ヵ月後には「よし大丈夫だ」というところまで持っていけました。人気のあるタイトルをお預かりするだけに、これは何とかしなければという責任感はありましたね。
白陸:結果としては想定以上となる規模のタイトルにすることが出来ました。マーケットの発展に合わせて、最短プロセスで手を打っていったのも大きかったように思います。
───:その辺りはオルトプラスならではかもしれませんね。代表の石井様も、ローンチ後にどんどんつくり込んでいくとおっしゃられていました。
白陸:機能改善の細かい部分などにも、みるみるテコ入れが図られていきましたし、何と言ってもスピード感がすごい。これにはビックリしました。
小林:運用に伴っては、チームの人数も徐々に増えていきました。当初は7名でしたが、現在は24名。チームとしては、社内で一番大きいですね。大きなチームを運用していくノウハウやメソッドも、このプロジェクトがあるからこそ得られたものだと言えるでしょう。
白陸:思えば、全てがここ1年間くらいでの出来事。オルトプラスさんのパートナーになってからの日々は、本当に濃厚です。
───:すでにいくつかのタイトルがリリースされていますが、両社の関係性はこれからも続いていくのでしょうか?
小林:こちらさえよければ、永遠に続けていきたいと思っています。
白陸:こちらこそ、何なりとご一緒したいですね。
───:距離の近さはこの1時間でも充分に感じられました。
小林:何か思いついたら、すぐに白陸さんに連絡しますからね。「こんなアイデアが浮かんだんですけど」って。
白陸:私としても24時間、いつでも連絡してくださいというスタンスですから。一緒に飲みに行くことも少なくないですし。
小林:そう言えば、新しいメンバーが加わったんです。今後の飲みの席でご紹介しますよ。
白陸:了解しました。それではまた、近いうちに。
オルトプラス×グリー
オルトプラス:宮田大介(プランニング&オペレーション部 部長)※写真左
グリー:宮木和史(マーケティング事業本部 事業開発部 事業開発グループ マネージャー)※写真右
───:このプロジェクトの概要から教えていただけますでしょうか。
宮木:今回、いろいろな思いがあってこのプロジェクトを推進しているのですが、まず、マーケットの状況として、カードバトルのゲームが躍進したことにより、ジャンルに偏りが出ており、遊びの多様性がなくなりつつあるのを感じております。
こうした状況の中で、今までと同じものの作り方をしていても、それまでの取り組みの延長線上のアウトプットしか出ず、なかなかイノベーションが起こらないと思っております。この状況を打開するために、まずはゲーム作りに対するアプローチそのものを変える必要があり、その手段として、パートナー様と協業で様々なチャレンジを行うという選択をしました。
───:オルトプラスと手を組んだ理由はどの辺りにあるのでしょう?
宮木:まずは、新しいことにチャレンジする文化が根付いていることですね。個人的に印象深かったのが、スマートフォン向けにグリーのプラットフォームがオープンする際に、いち早く参入していただいた点ですね。当時はiOSで動きのある表現を実現するのが難しかったのですが、ものすごい速さでスマホ対応をしていただいたのを覚えております。まさに企業理念を体現されているなと。
宮田:「伊達とノリと酔狂」という言葉ですね。
宮木:その言葉から、勢いある風土がすぐにイメージできました。しかも、ただ前のめりに突っ走るのではなく、ものづくりに対する姿勢にも共感できたんです。代表の石井さんや取締役の鵜川さんがコンシューマーゲームやPCオンラインゲームをつくってこられたこともあってか、サービスとしての側面と、作品としての側面のバランス感覚がすごくいいなと思っていました。
───:今回のお話を聞いたとき、宮田様はどう思われましたか?
宮田:率直に面白そうな取り組みだと思いましたね。当社は設立以来、ずっとソーシャルアプリをつくってきましたが、世界No.1のSAPを目指す中で、今のままだと限界があると感じていたんです。ですから、業界全体を変えていけるような企画に関われるのは、大きなチャンスだなと。
宮木:両社の間柄は、いわゆる受発注の関係性ではありません。プラットフォームそのものに刺激を与えていくための座組みを形成している感じでしょうか。
───:プロジェクトはどのように進めているのでしょう?
宮田:今回のコンセプトは長期間かけて体現していくものですので、まずはゼロベースから両社で戦略を練っていきました。合宿も行ったこともありますし、今はグリーの方たち4名が、当社のオフィスに常駐されています。席も隣り合わせで。新入社員は、宮木さんたちのことをオルトプラスのメンバーだと思っていますよ。
宮木:全体ミーティングや締め会にも参加していますから(笑)。通例だと、電話やメールで連絡を取り合って、週1のミーティングで顔を合わせるくらいなので、この体制は斬新ですね。
■世界中の退屈をなくしたい
───:シナジー効果のようなものは生まれていますか?
宮田:異文化交流に近いですね。ただの掛け算ではない化学反応が生まれていると言うか。もちろん価値観の違いもありますが、そこから新しい可能性も広がっています。
───:たとえば?
宮田:スピード感と勢いを重要視して、良くも悪くも頭で考えると同時に手を動かしてしまうようなオルトプラスと、頭でしっかり考えぬいてから動く頭脳派のグリーさんという組み合わせだと思っているので、同じものづくりの仕方も大きく違うわけです。
宮木:当社の場合、ゲーム作りにおいてもロジカルな面を重要視しますからね。
宮田:ユーザーに向けたサービスである以上、当社でもユーザーのフィードバックである数値分析に基づいた運用をベースとしています。ただ、その中でも予測数値以上の飛躍を狙うために、肌感や閃きに基づく前例の無いイノベーティブなものづくりも重要視しています。今回グリーさんと組んだことで、そういった閃きなどに対しても、「その論拠は何なのか」とロジカルに厳密な詰めを両社で行い、アイデアがより洗練されていく過程を経験出来たのが面白かったですね。
───:リリースはまだ先とのことですが、具体的な内容は固まっているのですか?
宮田:ジャンルはカードゲームですが、従来のものとは遊び方の方向性を少し変えています。プレイヤーの集団同士が戦うGvG(Guild vs Guild)を取り入れながら、これまでのソーシャルゲームの文脈を継承した上でイノベーションを起こしたいと考えています。
宮木:GvGはどちらかというとコアゲーマー向きと言われていますが、ライトユーザーにも手軽に遊んでもらえる要素があることも今回のタイトルの特徴です。
宮田:それでいて、戦略性に富んだバトルなど内容を掘り下げられるだけの深さもあります。ライトユーザーの心をつかみ、コアユーザーをも唸らせる。そんな両面性を兼ね備えたゲームですね。
───:どんなタイトルが生まれるのか、今から楽しみです。最後に今後の展開について教えてください。
宮木:現在は、ゲームエンジンの開発と、そのエンジンを活用したタイトル複数本のリリースを計画しておりますが、それ以外でも、面白そうなことや、両社だからこそできることなどがあれば積極的にチャレンジしたいですね。
宮田:今の社会は世界的に見ても、まとまった余暇の時間が確保しにくくなっていて、たとえば2時間の映画をゆっくりと鑑賞するのも難しい人たちが増えています。そんな状況に向けて僕たちがチャレンジしているのは、たった5分間の細切れの時間さえあれば人の心を動かすことのできるエンターテインメントを提供することだと思っています。ゲームエンジンの開発はその手段の1つにすぎないので、世界中の退屈を無くすために幅広くエンターテイメントを追求していきたいですね。せっかくグリー×オルトプラスというエキサイティングな座組なので、人々の想像を良い意味で裏切っていけたらと思っています。
───:ありがとうございました。
会社情報
- 会社名
- グリー株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコエンターテインメント
- 設立
- 1955年6月
- 代表者
- 代表取締役社長 宇田川 南欧
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高2896億5700万円、営業利益442億3600万円、経常利益489億5100万円、最終利益352億5600万円(2023年3月期)
会社情報
- 会社名
- 株式会社オルトプラス
- 設立
- 2010年5月
- 代表者
- 代表取締役CEO 石井 武
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高43億8700万円、営業損益5億5600万円の赤字、経常損益5億2200万円の赤字、最終損益4億2000万円の赤字(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3672