【インタビュー】「まあ揉めますよね」…国内RPG制作会社の雄・スクエニと大手SAP・オルトプラスの両社が腹を割って語る『エンペラーズ サガ』開発秘話


スクウェア・エニックス<9684>が提供する本格カードRPG『エンペラーズ サガ』。

本作は、2012年9月にGREE版の提供開始を皮切りに、2013年11月にMobage版、dゲーム版とマルチプラットフォームとしても展開し、いまでは登録者数100万人という大台を突破している。なお、開発は『バハムートブレイブ』や『精霊ファンタジア』などを手掛けたオルトプラス<3672>が担当。

そこで本稿では、スクウェア・エニックスから『エンペラーズ サガ』のプロデューサー・市川雅統氏、オルトプラスから事業部長の宮田大介氏、そして同作のリーダーを務める楢山哲弘氏に、開発の経緯や“こだわり”、マルチプラットフォーム展開の意図など、インタビューを行ってきた。

これまで多数の有名RPGを手掛け、家庭用ゲーム制作会社として知られているスクウェア・エニックスと、大手ソーシャルゲーム会社として名を馳せるオルトプラスの2社。お互い培ってきたノウハウが異なるためか、なにやら開発中は双方の意見が“ぶつかり合った”とのこと……。

今回のインタビューで、包み隠さず語ってくれた。

 

■そもそも『エンペラーズ サガ』とは


本作は、全世界累計出荷本数990万本突破の『サガ』シリーズ最新作。一国の皇帝となったプレイヤーは、他国の皇帝と協力しながら、シリーズ歴代の戦士たちや、かつて宿敵だった者とも協力して、世界の平和を守るために戦っていく。

ガチャやクエストで収集した配下となる家臣(キャラクターカード)を育成しながら、ストーリー性のあるクエストを進めていくのが魅力。さらに、バトルでの「陣形」「連携技」や強化時の「閃き」などシリーズならではの要素も当然入っている。

また、クエスト中に出現する「アビスゲート」では、侵入後3分以内にボスを倒して封印することで、レアカードなど様々なアイテムが入手できるのも特徴的。なお、イベントなどはGREE版が先行している。
 
 

■文章や数字だけでも楽しめる作品を――


株式会社スクウェア・エニックス
第10BD 特モバイル二部 プロデューサー
市川雅統氏(写真右)

株式会社オルトプラス
第1事業部 事業部長
宮田大介氏(写真左)

株式会社オルトプラス
第1事業部
『エンペラーズ サガ』リーダー
楢山哲弘氏(写真中央)
 

――:本日はよろしくお願いします。まずは『エンペラーズ サガ』の立ち上げ当時からお話いただければと思います。

市川雅統氏(以下、市川氏):元々僕は家庭用ゲームの部署にいたのですが、ちょうどモバイルの部署に移ったばかりのときに、最初にオルトプラスさんにコンタクトをとったのが全ての始まりです。まだ当時は『エンペラーズ サガ』ではなくて、純粋に「オリジナルタイトルを作れないか」という提案で伺いました。


――:オルトプラスさんを候補に挙げた決定的な理由は、なんだったのですか? 

市川氏:2011年の当時は、まだスマホゲームが今ほどの勢いはなく、ガラケー(フィーチャーフォン)のゲームが主流でしたよね。その際に、オルトプラスさんの『バハムートブレイブ』をガラケーで遊んだときに、すごく軽くて楽しめたんです。そして、オルトプラスさんに初めてお会いしたとき、CEOの石井社長と、COOの鵜川さんから、『バハムートブレイブ』“専用のエンジン”を開発し現状の軽さを実現していることや、「テキストだけでも面白くなるような作品を目指している」ということをお聞きしたりと、すごく共感できるようなところがあったのが依頼したきっかけです。


――:文章や数字を目で追いかけているだけでも楽しいと?

市川氏:そうです。たとえば、絵は全くの仮でも文章やヒットポイント(HP)などの数字だけでバランスを取って面白いものを目指すということです。この発想というのが、家庭用ゲーム作品を手掛けていた当時、仮のポリゴンで銃を撃っても楽しいアクションゲームを作る発想に似ていると思いました。テキストと数字だけで遊ばせるというのは、骨組みだけでも面白いことにも繋がり、何かピンとくるものがありましたね。


――:なるほど。では、そこからどのようにして『エンペラーズ サガ』に繋がったのでしょう。

市川氏:じつは『エンペラーズ サガ』ですが、元々別のプロデューサーが担当していました。すでに私が参加する前に、2011年のTGS(東京ゲームショウ)で発表されてて、リリース間近ではあったのですが、直前でクオリティアップが必要との判断になり、一回開発がストップになったんです。

そして一度作り直すことになり、私がピンチヒッターとして参加した経緯があります。そのため、『エンペラーズ サガ』のロゴや世界観、皇帝のキャラクターなどは、前のプロデューサーが手掛けました。そして、『エンペラーズ サガ』の制作を進める際に、ちょうど接触のあった有力なソーシャルゲーム会社であるオルトプラスさんにお話しました。


――:それでオルトプラスさんに白羽の矢が立ったと。

宮田大介氏(以下、宮田氏):はい。当時オルトプラスでは、『バハムートブレイブ』の制作チームと『ダービーズキングの伝説』の制作チームがありましたが、『サガ』シリーズのIPが舞い込んで早々にプロジェクト化しました。以前開発されていた時の資料などもいただいていましたが、世界観やシナリオなども含めて、全てリセットしました。


――:シナリオから全て最初から全て作り直したのですね。

市川氏:そうです。本作でシナリオを担当した「とちぼり木」と話をして、作り直しました。そこでは、「まず『ロマンシング サ・ガ』1~3だけのキャラクター全員が出てくるシナリオ設定にしよう」など、一から決めていきましたね。また、世界観の定義書となる“バイブル”も作りました。


――:『サガ』シリーズといえば、生みの親である河津秋敏さんですが。

市川氏:もちろん開発期間中は、毎週話をしていました。随時シナリオや世界観のチェックもしてくれましたが、かなり自由にやらせていただいたと思います。プロデューサー視点の話から企画レベルの話まで、「現状こういうふうになっています」という報告や相談などもしていましたね。やはり相談する身としては、社内にレジェンドのクリエイターがいるというのは、本当に幸せな環境ですよね。


――:そうでしたか。では、もろもろの世界観などの定義書をいただいたオルトプラスさんは、どのようにして開発を進められましたか?

楢山哲弘氏(以下、楢山氏):バイブルをいただいてからは、開発メンバー全員でこれまでの『サガ』シリーズを遊び直しました。四六時中、プレイと制作を交互に繰り返して、メンバー間では「どこまで行った?」とかを話しながら“『サガ』シリーズとは何か”というところからみんなで突き詰めていましたね


――:ちなみに『エンペラーズ サガ』では、開発がオルトプラスさんで、スクエニさんはプロデュース的なポジションですか?

市川氏:じつは一緒に作っています。

宮田氏楢山氏:そうですね。

市川氏:おもに弊社はシナリオとグラフィックなどを担当して、Flashやシステム開発などはオルトプラスさんです。分業しながら一緒に作っています。

宮田氏:当時は、ゲームの方向性などを決めるのに対して、毎回スクウェア・エニックスさんに来社していただきました。それこそ何時間にも及ぶ超ロングミーティングのなかで、一緒にアイデア出しをしていましたね。


――:会議はスムーズでしたか? 

市川氏まあ揉めますよね(笑)

一同:(笑)。
 

 
 

■目指すは業界No.1――だからこそお互い本気でぶつかる


――:結構衝突などがあったのですね(苦笑)。 

市川氏:僕らが、ソーシャルゲーム作った経験がそこまで多くなかった部分もあると思います。

宮田氏:我々も『エンペラーズ サガ』ほどの規模は、会社としてもやっていなかったんですよ。


――:お互い初めてのこともありますが、各々の分野で実績があると思います。スクエニさんとしては、演出や世界観も含めて、ゲーム内容を突き詰めたかったということでしょうか。

市川氏:そうです。それにその当時のソーシャルゲームの側替えみたいなことは、やりたくなかったですね。何か違うものを作りたいと思っていたんですよ。


――:対してオルトプラスさんは、ソーシャルゲームの法則に沿いたかった?

宮田氏:はい。あんまり大きく変えてしまうと、工数を含めてリスクになる可能性もありました


――:なるほど(苦笑)。 

市川氏:いや、本当に揉めましたよ。今では信頼できるパートナーですけどね。

宮田氏:そうですね。現在はお互い信頼関係を築き上げているので、上手くいっていますが、当時は『バハムートブレイブ』のエンジンに『サガ』シリーズのIPが加わることで、それこそ業界No.1取ってやる気持ちで制作に臨んでいました。創業から数年そこらのオルトプラスが、ゲーム業界で何十年もやってきているスクエニさんに対して、「こっちのほうがソーシャルゲームとして正解ですよ」とぶつかっていくわけです

市川氏:もうね、めちゃめちゃ腹立つんですよ(笑)

一同:(笑)。

市川氏:いや、これは褒め言葉で! 本当に真っ向勝負で戦ってきてくるんです。恐らく全てスクウェア・エニックス側で制作、運営をやっていたら、それはそれで人気が出ていなかったと思います。


――:ちなみに、どんな内容の衝突があったのでしょうか? 

市川氏:やはり一番は「これまでの『サガ』シリーズのイラストではなく、別のイラストを用意してくださいスクエニさん」と言われたことですね。まずそれだけで2日ぐらいは話しましたよ。

宮田氏:ソーシャルゲームでは、リアルテイストや萌え絵のように多種多様なイラストのほうが、母数としては大きいんですよね。面白くて、なおかつ人気が出るものを作ることに対して真正面だったんで、もう愚直に伝えた感じですね。また、当時はフィーチャーフォンが主流であったため、せっかくの『サガ』シリーズのイラストを台無しにしてしまう恐れがあったことも理由のひとつです。いまでは高解像度のスマートフォンでイラストの魅力を引き立たせることが可能になりました。

楢山氏:弊社としてもNo.1を狙っていたこともあり、『サガ』シリーズのファンにはもちろん、シリーズを初めて触れる人にも『エンペラーズ サガ』を楽しんでいただくために、本当に大きなマスを考えておりました。『サガ』シリーズのファンには、これまでの作品の絵は親しみやすいかもしれないですが、そうじゃない人にとっては今の絵のほうが受けるんじゃないかと思った結果です。


――:それは確かに揉めそうですね……。

市川氏:でもお互い本気ですからね

宮田氏:あとチュートリアルも揉めましたよね?

市川氏:揉めたねー。


――:ほかにもあるんですね…!? 

市川氏:「チュートリアルが長い、もっと短くしないとユーザーさんが離れていってしまう」と。

楢山氏:本来ならばチュートリアルで世界観を伝えて、きちんとユーザーさんの心を掴まなければいかないのですが、ソーシャルゲームではチュートリアルを短くして早々に本編・マイページに到着するほうが大事になるんですよ。

市川氏:じつはチュートリアルでは、最初にプレイヤーが負けるんです。これは原作を踏襲している形の演出なのですが、「そこは離脱ポイントになる」とか言われたり。


――:うーん、難しいですね(苦笑)。意見としては、どちらも本当に正しいですよね。

宮田氏:考えたアイデアのなかでも、眠ったアイデモも数知れず……です。

市川氏:あとバトル中の「閃き」だ。


――:まだあるんですね(苦笑)。 

市川氏:新たなスキルを覚える「閃き」という、『サガ』シリーズではお馴染みのシステムがあるのですが、当初本作では同じカードが交わる際に閃いてスキルを覚える流れになっていて、戦闘中には発動しない仕様だったんですよ。

ただ、その理屈も分かるんですよ……カードを得たときに合成され、それが新スキルを覚える「閃き」に繋がるというのを、ひとつに絞ることでゲーム性としては複雑化しませんからね。ちなみに、バトル中に閃くのは、「奥義」というまた別ものになります。
 
 
▲バトルシーン(写真左)とスキルの閃きシーン(写真右)。


――:しかし、結果的に入れてみていかがですか。

市川氏:最初は「奥義」と「閃き」の違いが気付かないかもしれませんが、おおむね支障はないようです。それにバトル中に閃いたほうが、やはり『サガ』シリーズらしいですよね。

楢山氏:今思えば成功したポイントではありますよね。それから『サガ』シリーズらしいと言えば、「陣形」のこともありましたね。


――:「陣形」は滞りなく?

宮田氏:いや、リリース直前……数週間前に導入が決まりました(苦笑)。やはり『サガ』シリーズには「陣形」が必要だとスクエニさんとの話合いで決まり、急遽制作しました。

市川氏:陣形のデータは弊社で作っているのですが、実機などの仕組みやシステムとかは、オルトプラスさん。

楢山氏:直前でバトルFlashを全面変えて……。

市川氏:思えば両社とも無茶を言い合っていましたね……(苦笑)。

 

■“シリーズ生みの親”が自ら筆を取る豪華なシナリオ


――:配信開始後、ユーザーさんからの反響はいかがでしたか。

市川氏:意外にも『サガ』シリーズのファンが多かったのは驚きました。そもそも『サガ』シリーズは、『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』がニンテンドーDSでリメイクされて以来、アーカイブスを除いて新作は出ていません。言わば、その間、ずっと空白の期間があったことになります。『エンペラーズ サガ』はソーシャルゲームではありましたが、実際の配信開始後、たくさんのシリーズファンのお客様にプレイしていただいています

楢山氏:そうですね。また、これまでの『サガ』シリーズのイラストも結果的にコアユーザーさんから大変好評をいただきました。そのため、いまでは最高レアリティのレジェンドレアなどは、『サガ』シリーズのイラストでラインナップしています。

宮田氏:ユーザーのみなさんが、本当に『サガ』シリーズに対する愛情が深くて、想像以上でした。

市川氏:そこは想像してくださいよ!(笑)

宮田氏:いや、想像していたんですけど、思っていた以上に(笑)。そういう意味では、改めて『サガ』シリーズというIPの凄さ、人気ぶりを再確認させてもらいました。


――:配信開始後は、運営としての舵取りはいかがでしたか。

市川氏:2012年9月に配信開始したのですが、『サガ』シリーズファンのみなさんにとって親しみやすいイラストは、2013年の1月、2月ぐらいには一通り揃いました。そこから「どうしようか…」という話になった2013年3月のときに、河津による『ロマンシング サ・ガ3』を題材にした描き下ろしシナリオを取り入れました


――:反応はどうでしたか。

市川氏:良い評価をいただきました。やはりオフィシャルとして河津秋敏自らが筆を取って、『ロマンシング サ・ガ3』で語られなかった側面を、いまになって遊べることはファンの皆様にとっても嬉しいことだったと思います。そのあたりからシナリオを重点的に見せていこうとゲームも変えていきました

宮田氏:配信開始当初は、まだまだ『サガ』シリーズのIPを使ったよくあるソーシャルカードゲームでしたが、運用を重ねてユーザーさんの意見なども取り入れて、試行錯誤しているうちに『エンペラーズ サガ』という独自の世界観が築けてきたと思っています。

市川氏:これって難しいことだと思うんですよ。『サガ』シリーズという世界観のなかに、シナリオ書いて、絵が揃って、きちんとシステムが乗らないと成立しない……だけど、オルトプラスさんという有力なソーシャルゲームを手掛ける会社と分業していることで、とてつもないスピード感で実現できています。

楢山氏:本作はイベントの投入が早いこともあり、スピード感を持ってFlashなどを手がけています。とはいえ、Flashのアニメーションには相当力を入れていますね。絵コンテはスクウェア・エニックスさんから送られてくるのですが。

市川氏:それをアニメーションにして、3倍ぐらいの高いクオリティで返してきてくれるんですよ
 
 
▲静止画で恐縮だが、1枚絵を巧みに動かして、アニメーションを描く。


――:そこまでこだわってくれるんですね。

宮田氏:こだわっていますね。また、アニメーションにも力は入っていますが、それが上手くシナリオと交わっているところも魅力です。そもそもモバイルのRPGで、あんまり感情が高ぶることってないじゃないですか? 『エンペラーズ サガ』では、ホロリときたりするイベントも結構あって……。

市川氏:『サガ』シリーズを知らない人でも、楽しめると思います。


――:ユーザーさんの意見も見られているんですか。

市川氏:いろんな掲示板やコミュニティ、Twitterなどもチェックして、シナリオなどもそれに沿って変えることもあります。また以前、河津に対する質問コーナーなどをゲーム内で募集したことがありました。思えば、元々家庭用ゲームを作っている我々からすると、ユーザーさんと双方向で何かをしようとしたのは、あんまりなかったですね。

さらに、これまで『サガ』シリーズはオンラインになったことが無いので、そういう意味では『エンペラーズ サガ』のゲーム内は、シリーズのファン同士が集まれる良い場所にもなっています


――:そういえば本作はGREE版を皮切りに、いまではMobage版やdゲーム版でも出ていますが、マルチプラットフォームのきっかけは何だったんでしょう? 

市川氏:様々な経緯があります。なかでも先行しているGREE版のシナリオは、大変良い評価をいただいていますが、これはイベントシナリオのため、期間限定で繰り返し遊べないんですよ。だからこそ、GREE版で見逃した人が、Mobage版やdゲーム版を通して遊べるようにした、というのが経緯のひとつではあります。

――:なるほど。Mobage版とdゲーム版は、GREE版のシナリオを追いかける形で見返すことができますね。

 

■ゲームはもちろん、運営・開発チームも“『サガ』らしい”


――:さて、開発中は様々な衝突もありましたが、現状はいかがですか。

楢山氏すごく良い関係を築けています

市川氏:それは良かったです(笑)。私も少しずつ現場を離れて、統括という立場で見ている形にはなりますが、良くやっていただいています。

もちろんサービスを運営していくためには、毎日のように改善などのクオリティアップを話し合いますが、もうお互いが信頼してやれている状態なので作業もスムーズですね。なかなかここまで会社同士がぶつかり合うのは、無いんじゃないですか?

宮田氏:スクウェア・エニックスさんはゲーム会社としての歴史が長いのに対して、オルトプラスは出てきたばかりのソーシャルゲーム会社……。ポッと出の会社が生意気言うことに対して、普通であれば突き放すところを、きちんと受けていただいたこともありました。

楢山氏:今でも1日前に「これお願いできますか?」と、たまに無茶を言ってしまうこともあるのですが、そこもなんとかクリアーしていただいたり、逆にスクエニさんからソーシャルゲームとしてのノウハウなどを提案いただいたりとか、本当に双方で上手くまわっています。

市川氏:そう言っていただけると、嬉しいですよね。こちらとしては、オルトプラスさんが考えるチャレンジングなイベント内容に驚かされます。キャラクター投票をランキング形式で載せるというのは、こちら側の提案ですが、それに対して誰が1位になるかを予想する「ベット」の要素を付け加えるなど、我々では思いつかない発想が魅力ですよね。


――: 2014年は『サガ』シリーズが生誕25周年ですね。今後『エンペラーズ サガ』は、どのような展開になっていくのでしょうか。

楢山氏:GREE版は、2014年2月にイベントシナリオ第2部が終了して、新たに第3部へ突入します。すでに第3部は作り始めて、世界観も固まっていますが、これまでの第1部、第2部に負けないほど面白く手がけていますので、どうぞご期待ください。
 
 
▲ゲーム内のキャラクター同士による会話シーン。


宮田氏:『エンペラーズ サガ』は、ユーザーさんひとりひとりの意見が反映された作品になっています。これからも本作の世界観が成長していき、ユーザーさんと共に物語の続きを紡いでいきたいと思っています。そして10年後には、ユーザーさん同士で「あんなイベントシナリオあったなぁ……」と、『エンペラーズ サガ』ネタだけで忘年会が繰り広げられるようなタイトルになるよう、誠心誠意やっていきますので、今後ともよろしくお願いします。

市川氏:先ほども話しましたが、イベントシナリオは期間限定です。言わば『サガ』シリーズの生みの親である河津秋敏自らが書いたシナリオにしても、いま僕らが力を入れているシナリオにしても、クオリティの高いFlashアニメーションにしても、その瞬間遊ばないと…もう遊べない可能性があるのです。

なんて勿体無いものを手掛けているんだ……と思いつつも、やはり瞬間瞬間で楽しんでいただくことが、いまのソーシャルゲームの魅力だと思っています。本当に贅沢なタイトルとなっておりますので、ぜひ、遊んでください。いましかないので


――:おっしゃった“瞬間”、“いましか楽しめない”など、なんか皆さん自身が“『サガ』らしい”ですよね。……登場人物みたいです(笑)。

市川氏:本当、我々の制作工程はフリーシナリオもいいところですよね(笑)。ユーザーさんの声でシナリオが変わったり、Flashなどのクオリティもレベルアップしたりとね、我々も成長していっています。衝突も多々ありましたが、ソーシャルゲームの会社さんと、家庭用のゲーム会社が組んで作った幸せな形のひとつではあったのかなと思いました。お客様に喜んでもらうことが一番ですからね。

宮田氏:ここまで本音でやりあう関係ってなかなか無いですよね(笑)。

市川氏:(苦笑いしながら宮田氏に目を向ける)

一同:(笑)

――:本日は、ありがとうございました。
 

紆余曲折を経て、完成までたどり着いた大人気RPGシリーズの最新作『エンペラーズ サガ』。その道のりは長く険しかったかもしれないが、スクウェア・エニックスとオルトプラスの両社による揺るぎない想いが衝突したからこそ、こんにちの登録者数100万人突破という大台に繋がったのかもしれない。

本作は、家庭用ゲームからモバイルソーシャルゲームへと形は変われども、『サガ』シリーズ特有の世界観やシステムをきちんと踏襲している。ましてや、シリーズ生みの親・河津秋敏氏が執筆・監修するシナリオを、定期的に体感できる贅沢さも兼ね備えている。

その瞬間瞬間で描かれた情緒豊かな儚さを持つ『エンペラーズ サガ』は、シリーズ生誕25周年となる2014年で大きな展開を迎えるようだ……。すぐさま目の前に立って見届けたい方は、イベントシナリオが先行するGREE版で、少し前から追憶したい方は、Mobage版とdゲーム版で触れてみよう。

公式サイト



■関連サイト

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Mobage版

dゲーム版


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株式会社スクウェア・エニックス
https://www.jp.square-enix.com/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス
設立
2008年10月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高2428億2400万円、営業利益275億4800万円、経常利益389億4300万円、最終利益280億9600万円(2023年3月期)
企業データを見る
株式会社オルトプラス
http://www.altplus.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社オルトプラス
設立
2010年5月
代表者
代表取締役CEO 石井 武
決算期
9月
直近業績
売上高35億1600万円、営業損益4億5200万円の赤字、経常損益4億1600万円の赤字、最終損益4億5200万円の赤字(2024年9月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3672
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