独特の成長を成し遂げて、複雑で、かつ、多様性の高い中国市場。
各キャリアや各SNS上で無数のアプリストアを構築しており、公式App StoreやGoogle Playの普及率が圧倒的に低いという世界でも類をみない市場だ。
この市場において、それでもなお勝負を挑み続けている日本企業がある。
今回、IVSでは、セッション7「中国スマホゲーム市場の可能性」に、スピーカーには
セガネットワークスは、現在、「Paymium(有料ゲームアプリ)」、「Hi-end F2P(ネイティブゲームアプリ)」、「Rich-Web/Browser(ブラウザゲームアプリ)」で多種多様なゲームアプリを提供しており、前期第4四半期の売上高は76億円以上で推移している。
▲ セガネットワークス四半期ベースの売上高遷移。前期第4四半期の売上高76億円以上で推移。
セガは、中国に2拠点をもつ。ひとつは上海拠点で、もうひとつは北京拠点だ。
上海スタジオは、2002年にオフショアなスタジオとして設立。上海スタジオでは、アーケードゲーム、家庭用ゲーム、PCゲーム、スマートフォンゲームを網羅する。里見氏は、同スタジオについて、「ここからアーケードゲームを中心に中国向けタイトルはいくつか出している」と述べたものの、「まだヒット作が出ていない状況」と中国市場に向けたゲームアプリ開発の難しさを語った。
一方、北京スタジオは、2004年に設立され、今年10周年を迎える。北京スタジオでは、「一部のタイトルは独自でもつくっているが、キータイトルは現地の開発者と組みながらつくっている」(里見氏)という。これは、里見氏によれば、「今までにセガとして何年も中国でチャレンジしてきて、失敗してきた」ことからの学びであるそうだ。
里見氏によれば、中国市場に進出する際に、「現地の企業は赤絨毯で迎えてくれて、中国に進出してくれと言ってくれる」が、実際のところは政府からのゲーム配信に関するライセンス取得など様々な要因で、スムーズに行かない場面も多いと言い、日本企業が中国市場へ進出する際に大きな障壁があることを語った。
日本では誰もが知るであろう”セガ”でさえ、中国市場の複雑性という壁の前では、パブリッシャーに自社の”セガ”という名前を使ったビジネス展開は事業スピード・事業スケールの両方の面で困難が多かった。
そこで、里見氏は、「名を捨てて実を取る」ことを決めて、中国の現地のゲーム会社をパブリッシャーとして、同社のゲームを中国市場へ提供することを決めたのだという。
▲ セガネットワークス、中国語圏提供アプリポートフォリオ
▲ セガネットワークス、海外展開アプリのランキング
同社によれば、日本向けのコンテンツを海外向けに展開する際には、
特に、同社が中華圏の諸国に向けて、現地のパブリッシャーと協業して提供するゲームアプリの中でも、「今後は『チェインクロニクル』と『ぷよぷよ!!クエスト』に注力していく」(里見氏)という。
『ぷよぷよ!!クエスト』は、パズルゲーム『ぷよぷよ』の基本ルールをそのままにスマートフォン向けに最適化された操作性で、連鎖の爽快感がたのしめるパズルRPGゲーム。同作は、5月6日付けで累計ダウンロード数が900万を超える。(関連記事)
同社は、『ぷよぷよ!!クエスト』のアジア展開において、2月7日付けで、NHN Entertainmentと運営ライセンス契約締結を発表しており、今後、韓国、中国大陸、台湾、香港、マカオ、東南アジアなどで順次サービスを展開予定だ。(プレスリリース)
一方、『チェインクロニクル』は、暗黒の魔物たちから最果ての大陸「ユグド」を守るために立ちあがったひとりの戦士となり、それぞれに物語を持つ仲間たちとともに冒険していく、チェインシナリオRPGゲーム。同作のダウンロード数は、現在、250万を超える。(関連記事)
同社は、『チェインクロニクル』のアジア展開において、2013年12月2日付けで、盛大遊戯(シャンダゲームズ)と運営ライセンス契約を締結しており、2014年中に中国大陸、台湾、香港、マカオ、韓国で『チェインクロニクル』のサービスを順次開始する予定だ。(プレスリリース)
2014年の中国モバイルゲーム市場規模は3000億円とされており(関連記事)、今年中には米国を超えるモバイルゲーム大国になるともいわれている大注目の市場だ。
それだけに、日本だけではなく、海外のゲーム会社の中国市場への進出は増加することが見込まれるが、中国ならではの規律、文化や慣習などを考慮すると、一筋縄で進出できるほど容易い市場でないことも確かだ。
だからこそ、現地の企業とのパートナーシップや過去の海外進出における経験や知見を活かして、その地域に合わせた戦略をもって、新しい市場へ挑むことが重要になるのだろう。
IVS特集記事は今までに、
の4本を公開しており、今回が5本目の記事となるが、この記事をもって3日間にわたる「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」取材レポート記事を完結したいと思う。今回の記事執筆にご協力いただいた、各セッションのご登壇者、IVS主催者のIVPのみなさんに、この場で改めて心より御礼を申し上げたい。
IVSでは、モバイルゲーム業界などインターネット業界を代表する成長企業の経営者や経営陣などのキーパーソン650名が一斉に集い、現状や今後について語られたが、
そして、運営スタッフや関係者をはじめとしたみなさんの温かくきめ細やかな対応がすばらしく、充実した3日間を経験することができ、この場をお借りして感謝の気持ちを述べたいと思う。
各キャリアや各SNS上で無数のアプリストアを構築しており、公式App StoreやGoogle Playの普及率が圧倒的に低いという世界でも類をみない市場だ。
この市場において、それでもなお勝負を挑み続けている日本企業がある。
今回、IVSでは、セッション7「中国スマホゲーム市場の可能性」に、スピーカーには
- 株式会社gumi 代表取締役社長 國光 宏尚 氏
- 株式会社セガネットワークス/株式会社サミーネットワークス 代表取締役社長CEO 里見 治紀 氏
- Tencent Games Vice President Peng Lu 氏
- Qihoo 360 VP of Mobile Game Division Brian Jiang 氏
- インフィニティ・ベンチャーズLLP 田中 章雄 氏
○ セガネットワークス 里見氏 「名を捨てて実を取る」
セガネットワークスは、現在、「Paymium(有料ゲームアプリ)」、「Hi-end F2P(ネイティブゲームアプリ)」、「Rich-Web/Browser(ブラウザゲームアプリ)」で多種多様なゲームアプリを提供しており、前期第4四半期の売上高は76億円以上で推移している。
▲ セガネットワークス四半期ベースの売上高遷移。前期第4四半期の売上高76億円以上で推移。
セガは、中国に2拠点をもつ。ひとつは上海拠点で、もうひとつは北京拠点だ。
上海スタジオは、2002年にオフショアなスタジオとして設立。上海スタジオでは、アーケードゲーム、家庭用ゲーム、PCゲーム、スマートフォンゲームを網羅する。里見氏は、同スタジオについて、「ここからアーケードゲームを中心に中国向けタイトルはいくつか出している」と述べたものの、「まだヒット作が出ていない状況」と中国市場に向けたゲームアプリ開発の難しさを語った。
一方、北京スタジオは、2004年に設立され、今年10周年を迎える。北京スタジオでは、「一部のタイトルは独自でもつくっているが、キータイトルは現地の開発者と組みながらつくっている」(里見氏)という。これは、里見氏によれば、「今までにセガとして何年も中国でチャレンジしてきて、失敗してきた」ことからの学びであるそうだ。
里見氏によれば、中国市場に進出する際に、「現地の企業は赤絨毯で迎えてくれて、中国に進出してくれと言ってくれる」が、実際のところは政府からのゲーム配信に関するライセンス取得など様々な要因で、スムーズに行かない場面も多いと言い、日本企業が中国市場へ進出する際に大きな障壁があることを語った。
日本では誰もが知るであろう”セガ”でさえ、中国市場の複雑性という壁の前では、パブリッシャーに自社の”セガ”という名前を使ったビジネス展開は事業スピード・事業スケールの両方の面で困難が多かった。
そこで、里見氏は、「名を捨てて実を取る」ことを決めて、中国の現地のゲーム会社をパブリッシャーとして、同社のゲームを中国市場へ提供することを決めたのだという。
▲ セガネットワークス、中国語圏提供アプリポートフォリオ
▲ セガネットワークス、海外展開アプリのランキング
- 現地言語に翻訳
- 現地のプレイヤーの嗜好やプレイ環境に合わせたゲーム運営
- 現地のプレイヤーの嗜好やプレイ環境に合わせたプロモーション
- 一部地域ではキャラクターボイスも現地言語対応
特に、同社が中華圏の諸国に向けて、現地のパブリッシャーと協業して提供するゲームアプリの中でも、「今後は『チェインクロニクル』と『ぷよぷよ!!クエスト』に注力していく」(里見氏)という。
『ぷよぷよ!!クエスト』は、パズルゲーム『ぷよぷよ』の基本ルールをそのままにスマートフォン向けに最適化された操作性で、連鎖の爽快感がたのしめるパズルRPGゲーム。同作は、5月6日付けで累計ダウンロード数が900万を超える。(関連記事)
同社は、『ぷよぷよ!!クエスト』のアジア展開において、2月7日付けで、NHN Entertainmentと運営ライセンス契約締結を発表しており、今後、韓国、中国大陸、台湾、香港、マカオ、東南アジアなどで順次サービスを展開予定だ。(プレスリリース)
一方、『チェインクロニクル』は、暗黒の魔物たちから最果ての大陸「ユグド」を守るために立ちあがったひとりの戦士となり、それぞれに物語を持つ仲間たちとともに冒険していく、チェインシナリオRPGゲーム。同作のダウンロード数は、現在、250万を超える。(関連記事)
▲ 会場で放映された中国語圏向け『チェインクロニクル』の紹介動画より。
同社は、『チェインクロニクル』のアジア展開において、2013年12月2日付けで、盛大遊戯(シャンダゲームズ)と運営ライセンス契約を締結しており、2014年中に中国大陸、台湾、香港、マカオ、韓国で『チェインクロニクル』のサービスを順次開始する予定だ。(プレスリリース)
○ セッションをおえて…
2014年の中国モバイルゲーム市場規模は3000億円とされており(関連記事)、今年中には米国を超えるモバイルゲーム大国になるともいわれている大注目の市場だ。
それだけに、日本だけではなく、海外のゲーム会社の中国市場への進出は増加することが見込まれるが、中国ならではの規律、文化や慣習などを考慮すると、一筋縄で進出できるほど容易い市場でないことも確かだ。
だからこそ、現地の企業とのパートナーシップや過去の海外進出における経験や知見を活かして、その地域に合わせた戦略をもって、新しい市場へ挑むことが重要になるのだろう。
○ IVS取材をおえて…
IVS特集記事は今までに、
の4本を公開しており、今回が5本目の記事となるが、この記事をもって3日間にわたる「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」取材レポート記事を完結したいと思う。今回の記事執筆にご協力いただいた、各セッションのご登壇者、IVS主催者のIVPのみなさんに、この場で改めて心より御礼を申し上げたい。
IVSでは、モバイルゲーム業界などインターネット業界を代表する成長企業の経営者や経営陣などのキーパーソン650名が一斉に集い、現状や今後について語られたが、
- 高い目標をもち、現状から一歩踏み出して、前へ進むこと
- そのために今何ができるのか、ということを問いながら、仲間たちとともに挑戦し続けること
そして、運営スタッフや関係者をはじめとしたみなさんの温かくきめ細やかな対応がすばらしく、充実した3日間を経験することができ、この場をお借りして感謝の気持ちを述べたいと思う。
会社情報
- 会社名
- 株式会社セガ
- 設立
- 1960年6月
- 代表者
- 代表取締役会長CEO 里見 治紀/代表取締役社長執行役員COO 内海 州史/代表取締役副社長執行役員Co-COO 杉野 行雄
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1916億7800万円、営業利益175億3900万円、経常利益171億9000万円、最終利益114億8800万円(2023年3月期)