サムザップ『戦国炎舞-KIZNA-』(以下、戦国炎舞)は、毎日、3回開催される白熱したリアルタイムバトル「合戦」が楽しめることで人気となっているが、その「合戦」の中で随時披露されるアニメーション演出も人気の一因となっている。今回、サムザップのアニメーターにインタビューを行い、制作秘話やリリース以来のアニメーション演出の移り変わり、サムザップの強みなどについてざっくばらんに語ってもらった。
■アニメーションはゲームの看板・盛り上げ役
YU:『戦国炎舞』ではアニメーションや演出全般を担当しております。
TOYO:Flashアニメーターです。新作タイトルを中心にエフェクトやモーション関係を担当しています。
―――:そもそもなんですが、『戦国炎舞』におけるアニメーションの役割を教えてください。
YU:『戦国炎舞』では1日3回、リアルタイムバトル「合戦」が開催されますが、そこでキャラクターがスキルを使うとアニメが再生し、ゲームをより深く遊んでいただけるようになります。ある種のゲームへの入り口のような存在ですね。例えば、合戦中に満を持してスキルを使って、何の演出もなく、数字だけ100万と出ても遊ぶ側からすると味気なくて続けるのがきついですよね。
『戦国炎舞』のリリース時、リアルタイムバトルゲームがすでに提供されており、差別化のひとつとして、スキルにムービーを導入しました。その結果、他のタイトルと違ったポイントとして注目されたと思います。いままでのゲームにないエフェクトをつくろうとしてしましたから、お客様から見たことのない演出だねとお褒めの言葉をいただくととても嬉しいです。
TOYO:アニメーションは、看板のような存在です。スマートフォンのゲームは、ダウンロードしてから10分が勝負で、そこでお客様にどれだけアピールできるかが重要です。特に一番最初に見せるアニメーションは最も重要な看板です。当社は、AdobeのFlashで、アニメーションを作っていますが、外部の方と新規タイトルの話をしている時、ムービー専用ツール「Adobe After Effects」で作っているのかと聞かれたこともありました。Flashでここまで作りこんだアニメーションは珍しいそうです。
■ブラウザゲームのノウハウを活用、表現の制約がなくなり自由に
―――:Flashで作ったのは、ブラウザゲームのノウハウを活用したいという考えなのでしょうか?
YU:そうです。ブラウザゲームで蓄積した技術やノウハウを活かせますから使わない手はありません。『戦国炎舞』のプロジェクトの立ち上げ時は、すでに市場にはリアルタイムバトルゲームが複数配信されており、迅速にリリースする必要がありました。別の技術を採用したら学習時間が必要ですので、すぐにリリースすることは不可能だったはずです。Flashは色々なことができて、ほんとうに便利だと感じます。
―――:ブラウザゲームから培ったノウハウを使われたとのことですが、ネイティブになってなにか変わったことはありますか?
YU:やはりブラウザの制約を受けないことですね。端末によってブラウザの性能が異なり、厳しい制限のなかで作らざるを得ませんでした。特にフィーチャーフォン向けだと100kb制限がありました。アプリになることで、ブラウザの問題を気にせず、作りたいものが作れるようになりました。
TOYO:自由なモノづくりができるようになったのが大きいです。従来の感覚だと出力できないクオリティでも動いてくれます。私はコンシューマーゲームの開発に携わっていたときもFlashも使っていましたが、スマートフォンアプリでも同じにやれるようになりました。iPhone 6では、コンシューマーゲームでのプロダクトをそのまま移植できるどころか、おそらくそれ以上のことができるだろうと思います。
―――:アプリになったことで自分たちの考えていた表現ができるようになったわけですね。
TOYO:ただ、なんでもかんでもできるようになったと思って容量を使いすぎると、今度はお客様のダウンロードする量が増えてしまいます。ですから、抑えるべきところは抑える必要があります。とはいえ、表現の幅がものすごく広がり、3Dもできるようになり、作り手としては本当に楽しいですね。
YU:私も気合を入れて作ったら、容量が大きすぎてエンジニアから「実装しましたが、動きません」といわれたことがあります。やりたいことと容量のバランスはいまでも課題です。「これで動いてくれたら、最高に気持の良い演出になるのに…」というものを減量していくプロセスはつらいです。ですから、そうならないように、実機で確認して処理落ちがあるかどうか、もしあるようならばデータを減らして調整し、事前に対応します。
TOYO:私の場合は、同じタイミングでの表示物が多すぎて、Flashのデータを実機用のデータに変換できないことがありました。その時は、表示物を減らすような対応ではなく、表示するタイミングをちょっとずらすことで対応しました。「ここまでならできる」という限界がわかってきましたので、そうした問題が回避できるようになりました。
YU:サムザップではこれまでAdobe Airを使っていましたが、新規タイトルではUnityを使っています。アニメーターの仕事は、他のスマートフォンゲームと同じく演出やエフェクト、キャラクターのモーションを作ることですが、Flashだけではできなかったことができるようになりました。もちろん、技術習得は大変なのですが、作っていて楽しいです。
■各業界のスペシャリストが集まり表現の幅が広がる
YU:2Dのアニメーション・演出が強いですね。それを支えるスタッフ構成がユニークで、ゲーム業界出身のアニメーターだけでなく、アニメ業界の出身者も在籍しています。各自が得意とする演出手法や技術を持ち込んでおり、ゲーム内での演出の幅がとても広がりました。それぞれ得意分野を持つスタッフが集まっていますので、全員が力を合わせれば、もっとすごいことができると期待しています。
―――:スペシャリストが集まっていて切磋琢磨できる点も魅力と。
TOYO:そうですね。私はもともと3Dをやっていましたが、2Dに戻りたくなって、サムザップに入りました。3Dではたいていキーフレームを使いますが、Flashでも同じようにキーフレームを使っているんです。その意味で、扱うアニメーションが2Dになっただけで、特に違和感なく入れました。
―――:アニメ業界から入った方もすんなり入れたんですか?
YU:入社後、すぐに『戦国炎舞』チームの中核メンバーになっています。アニメーション演出の基本がわかっている人なので、ゲーム開発で気をつける点などを伝えただけで順応してくれました。
TOYO:アニメーションの強みとは少し異なりますが、見た目や演出が派手な点も当社の強みです。実は当社のディレクターの中には、アニメーター出身者が在籍していて、見た目や演出へのこだわりが強いです。仕上がりが派手になりますので、私たちも作っていてワクワクします。
■リリース時に比べて多様なアニメ演出が可能に インプットも重視
YU:初期に比べるとかなり変わっています。アニメーターが演出を考えて提案していますが、担当者の個性が強く出ます。当初は、闇の中から般若のお面が出てくるなどパンチの効いた演出が多かったのですが、最近ではお客様が増えてきたこともあり、わかりやすくてポップになってきました。初期のおどろおどろしさは鳴りを潜めました(笑)
TOYO:アニメ調とよばれるグラフィックのカードも沢山でてきましたし、カードイラストの幅の広がりとともに、アニメーション演出の幅が広がっていると感じますね。美麗系からファンタジーっぽいもの、アニメ調、リアル系まで幅広い演出ができるようになってきました。
―――:アニメーションはアップデートのたびに追加していくのですか?
YU:アップデートでユニットが新しく追加されるたびにアニメーションも追加しています。毎回、新しく演出を考えるのですが、腕の見せどころなので皆、気合を入れつつ、楽しんで作っています。
―――:表現の幅を広げるために心がけていることはありますか?
TOYO:社内で行われている共有会で、新しい技術を持っている人に講師をお願いして教えてもらっています。また技術的な部分で困っている人がいたら、わかる人が講師になってレクチャーや技術共有を行って問題解決しています。私自身もFLASH等の講師側になって技術共有しています。
YU:あとインプットを重視しています。これをやっておかないと、出力できるものがなくて苦労します。やはりゲームで遊ぶことが一番勉強になりますが、皆ゲームが好きなので、日常的によく遊びます。ゲームルームが社内にあるので、休み時間中などに遊んだりもします。私個人としては、実写映画を見ることが多いですね。だから「闇から般若のお面が急にでてくるという演出を好むんですが(笑)。
TOYO:私は、自分が取り組んでいるゲームに近いジャンルの作品を見るようにしています。例えばリアル系のゲームだと、ハリウッドの映画などを中心にみると参考になります。いまはアニメ系の仕事をやっていますので、テレビアニメなどを多く観ています。その作品への興味の有無に関わらず、放送されたものは全部録画してチェックします。膨大な量ですが、「この表現いいな」と思ったら、コマ送りで写真撮影して記録します。
■合戦が楽勝の時にぜひチェックしてほしい
―――:普段のインプットがとても重要ですよね。ゲーム内で使っている演出で注目してほしいポイントは。
YU:まずは戦闘中の臨場感ですね。『戦国炎舞』は一人称視点となっているため、あたかも自分が軍配の出しているように、画面下からでてくるような演出になっています。合戦をしているという臨場感を出すために取り入れました。
TOYO:『戦国炎舞』では、新機能はガンガン取り入れられています。例えば、戦国大合戦に「陣形」が導入されましたが、それに伴い、アニメーション演出も実装されました。アニメーターについては新しい表現も入りますので、お客様にはちょっとでも注目してもらえると嬉しいですね。
―――:合戦って、ユーザーさんからすると演出をじゃまに感じる人もいるかと思うのですが。
YU:そういう方もいらっしゃるかと思いますので、タップでスキップできるようにしています。合戦で勝つことがゲームの目的なので、そちらを優先していただけるといいと思います。演出をスキップできないゲームは最悪だと思いますから。
ただアニメーション演出は、みるだけでも面白いので、作っている側としては最初の1回くらいは見ていただけると嬉しいです。また初めて遊ぶ方がアニメーションをみて面白さを感じてくれれば、役割を全うできたと感じます。『戦国炎舞』で用意されているスキルのエフェクトは200種類以上ありますから、余裕があるときにひとつずつチェックしていただくのも楽しいかと思います。
TOYO:お客様からすると、合戦で勝つことがとても重要ですからスピード重視で、演出をスキップされるのは当然です。たとえば、合戦で余裕があるときに見てもらえるといいのかなと思います・・・が、油断して負けないようスキップは使ってください(笑)
■グループ企業とも連携
―――:とはいえ、ボタンを押したら数字が出てくるだけというのは味気ないですからね。「演出をスキップする」という行為もゲームを楽しむ重要な要素なのかもしれませんね。ところでサイバーグループとの連携はなにかされていますか?
TOYO:技術的なことや、行き詰まったときは、グループ内の会社に聞きに行くことはあり、だいぶ助かっています。グループ会社には、ネイティブゲームの開発に関して、当社よりも経験やノウハウを多く積んでいる会社がありますから、すぐに解決します。逆にこちらは表現方法についてアドバイスや意見を求められることが多いですね。
YU:『戦国炎舞』のリリース前は、グループ内でもAdobe Airを初めて使いましたし、世界的にも制作事例が少なくて大変でした。試行錯誤を繰り返して本当に苦労しましたので、グループ会社と助け合えるのは本当にありがたいことです。グループ内でのつながりが以前よりも強くなっており、いまではライバルであり、仲間であるといった関係ですね。
―――:サムザップで働くことの楽しさ、面白さはどういった点ですか?
YU:サムザップは、1年ごとにチャレンジングなことが起きている会社です。『戦国炎舞』のリリース時はネイティブゲームで、しかもやったことのないリアルタイムバトルでした。いまも平行して複数のタイトルをつくろうといった試みをやっています。個人個人が作業員になることがなく、ミーティングでも意見が言えます。非常に良い土壌・文化なので、会社の規模が大きくなっても守りたいなと思いますね。
TOYO:世の中、「私はこんなに頑張っているのに認められない」という会社は珍しくないと思うんですが、サムザップでは周りからすごく見られていて、実績を上げたときは勿論、いいものを作った時や、小さな実績、チームを盛り上げる頑張りを必ず認めてくれます。日報でコメントを書く欄があるのですが、心配事をちょっと書くと、いろいろな人から声をかけられます。みんな、本当に優しいです。いろいろな会社を見てきましたが、働きやすくて、そして働きがいのある会社だと思います。
―――:ありがとうございました。
■関連サイト
■アニメーションはゲームの看板・盛り上げ役
YU:『戦国炎舞』ではアニメーションや演出全般を担当しております。
TOYO:Flashアニメーターです。新作タイトルを中心にエフェクトやモーション関係を担当しています。
―――:そもそもなんですが、『戦国炎舞』におけるアニメーションの役割を教えてください。
YU:『戦国炎舞』では1日3回、リアルタイムバトル「合戦」が開催されますが、そこでキャラクターがスキルを使うとアニメが再生し、ゲームをより深く遊んでいただけるようになります。ある種のゲームへの入り口のような存在ですね。例えば、合戦中に満を持してスキルを使って、何の演出もなく、数字だけ100万と出ても遊ぶ側からすると味気なくて続けるのがきついですよね。
『戦国炎舞』のリリース時、リアルタイムバトルゲームがすでに提供されており、差別化のひとつとして、スキルにムービーを導入しました。その結果、他のタイトルと違ったポイントとして注目されたと思います。いままでのゲームにないエフェクトをつくろうとしてしましたから、お客様から見たことのない演出だねとお褒めの言葉をいただくととても嬉しいです。
TOYO:アニメーションは、看板のような存在です。スマートフォンのゲームは、ダウンロードしてから10分が勝負で、そこでお客様にどれだけアピールできるかが重要です。特に一番最初に見せるアニメーションは最も重要な看板です。当社は、AdobeのFlashで、アニメーションを作っていますが、外部の方と新規タイトルの話をしている時、ムービー専用ツール「Adobe After Effects」で作っているのかと聞かれたこともありました。Flashでここまで作りこんだアニメーションは珍しいそうです。
■ブラウザゲームのノウハウを活用、表現の制約がなくなり自由に
―――:Flashで作ったのは、ブラウザゲームのノウハウを活用したいという考えなのでしょうか?
YU:そうです。ブラウザゲームで蓄積した技術やノウハウを活かせますから使わない手はありません。『戦国炎舞』のプロジェクトの立ち上げ時は、すでに市場にはリアルタイムバトルゲームが複数配信されており、迅速にリリースする必要がありました。別の技術を採用したら学習時間が必要ですので、すぐにリリースすることは不可能だったはずです。Flashは色々なことができて、ほんとうに便利だと感じます。
―――:ブラウザゲームから培ったノウハウを使われたとのことですが、ネイティブになってなにか変わったことはありますか?
YU:やはりブラウザの制約を受けないことですね。端末によってブラウザの性能が異なり、厳しい制限のなかで作らざるを得ませんでした。特にフィーチャーフォン向けだと100kb制限がありました。アプリになることで、ブラウザの問題を気にせず、作りたいものが作れるようになりました。
TOYO:自由なモノづくりができるようになったのが大きいです。従来の感覚だと出力できないクオリティでも動いてくれます。私はコンシューマーゲームの開発に携わっていたときもFlashも使っていましたが、スマートフォンアプリでも同じにやれるようになりました。iPhone 6では、コンシューマーゲームでのプロダクトをそのまま移植できるどころか、おそらくそれ以上のことができるだろうと思います。
―――:アプリになったことで自分たちの考えていた表現ができるようになったわけですね。
TOYO:ただ、なんでもかんでもできるようになったと思って容量を使いすぎると、今度はお客様のダウンロードする量が増えてしまいます。ですから、抑えるべきところは抑える必要があります。とはいえ、表現の幅がものすごく広がり、3Dもできるようになり、作り手としては本当に楽しいですね。
YU:私も気合を入れて作ったら、容量が大きすぎてエンジニアから「実装しましたが、動きません」といわれたことがあります。やりたいことと容量のバランスはいまでも課題です。「これで動いてくれたら、最高に気持の良い演出になるのに…」というものを減量していくプロセスはつらいです。ですから、そうならないように、実機で確認して処理落ちがあるかどうか、もしあるようならばデータを減らして調整し、事前に対応します。
TOYO:私の場合は、同じタイミングでの表示物が多すぎて、Flashのデータを実機用のデータに変換できないことがありました。その時は、表示物を減らすような対応ではなく、表示するタイミングをちょっとずらすことで対応しました。「ここまでならできる」という限界がわかってきましたので、そうした問題が回避できるようになりました。
YU:サムザップではこれまでAdobe Airを使っていましたが、新規タイトルではUnityを使っています。アニメーターの仕事は、他のスマートフォンゲームと同じく演出やエフェクト、キャラクターのモーションを作ることですが、Flashだけではできなかったことができるようになりました。もちろん、技術習得は大変なのですが、作っていて楽しいです。
■各業界のスペシャリストが集まり表現の幅が広がる
―――:サムザップとしての強みはどういった点にあるでしょうか。
YU:2Dのアニメーション・演出が強いですね。それを支えるスタッフ構成がユニークで、ゲーム業界出身のアニメーターだけでなく、アニメ業界の出身者も在籍しています。各自が得意とする演出手法や技術を持ち込んでおり、ゲーム内での演出の幅がとても広がりました。それぞれ得意分野を持つスタッフが集まっていますので、全員が力を合わせれば、もっとすごいことができると期待しています。
―――:スペシャリストが集まっていて切磋琢磨できる点も魅力と。
TOYO:そうですね。私はもともと3Dをやっていましたが、2Dに戻りたくなって、サムザップに入りました。3Dではたいていキーフレームを使いますが、Flashでも同じようにキーフレームを使っているんです。その意味で、扱うアニメーションが2Dになっただけで、特に違和感なく入れました。
―――:アニメ業界から入った方もすんなり入れたんですか?
YU:入社後、すぐに『戦国炎舞』チームの中核メンバーになっています。アニメーション演出の基本がわかっている人なので、ゲーム開発で気をつける点などを伝えただけで順応してくれました。
TOYO:アニメーションの強みとは少し異なりますが、見た目や演出が派手な点も当社の強みです。実は当社のディレクターの中には、アニメーター出身者が在籍していて、見た目や演出へのこだわりが強いです。仕上がりが派手になりますので、私たちも作っていてワクワクします。
■リリース時に比べて多様なアニメ演出が可能に インプットも重視
―――:2Dやアニメーション演出に強いとのことですが、『戦国炎舞』のリリース当初と比較して、演出で変わったことはあったんですか?
YU:初期に比べるとかなり変わっています。アニメーターが演出を考えて提案していますが、担当者の個性が強く出ます。当初は、闇の中から般若のお面が出てくるなどパンチの効いた演出が多かったのですが、最近ではお客様が増えてきたこともあり、わかりやすくてポップになってきました。初期のおどろおどろしさは鳴りを潜めました(笑)
TOYO:アニメ調とよばれるグラフィックのカードも沢山でてきましたし、カードイラストの幅の広がりとともに、アニメーション演出の幅が広がっていると感じますね。美麗系からファンタジーっぽいもの、アニメ調、リアル系まで幅広い演出ができるようになってきました。
―――:アニメーションはアップデートのたびに追加していくのですか?
YU:アップデートでユニットが新しく追加されるたびにアニメーションも追加しています。毎回、新しく演出を考えるのですが、腕の見せどころなので皆、気合を入れつつ、楽しんで作っています。
―――:表現の幅を広げるために心がけていることはありますか?
TOYO:社内で行われている共有会で、新しい技術を持っている人に講師をお願いして教えてもらっています。また技術的な部分で困っている人がいたら、わかる人が講師になってレクチャーや技術共有を行って問題解決しています。私自身もFLASH等の講師側になって技術共有しています。
YU:あとインプットを重視しています。これをやっておかないと、出力できるものがなくて苦労します。やはりゲームで遊ぶことが一番勉強になりますが、皆ゲームが好きなので、日常的によく遊びます。ゲームルームが社内にあるので、休み時間中などに遊んだりもします。私個人としては、実写映画を見ることが多いですね。だから「闇から般若のお面が急にでてくるという演出を好むんですが(笑)。
TOYO:私は、自分が取り組んでいるゲームに近いジャンルの作品を見るようにしています。例えばリアル系のゲームだと、ハリウッドの映画などを中心にみると参考になります。いまはアニメ系の仕事をやっていますので、テレビアニメなどを多く観ています。その作品への興味の有無に関わらず、放送されたものは全部録画してチェックします。膨大な量ですが、「この表現いいな」と思ったら、コマ送りで写真撮影して記録します。
■合戦が楽勝の時にぜひチェックしてほしい
―――:普段のインプットがとても重要ですよね。ゲーム内で使っている演出で注目してほしいポイントは。
YU:まずは戦闘中の臨場感ですね。『戦国炎舞』は一人称視点となっているため、あたかも自分が軍配の出しているように、画面下からでてくるような演出になっています。合戦をしているという臨場感を出すために取り入れました。
TOYO:『戦国炎舞』では、新機能はガンガン取り入れられています。例えば、戦国大合戦に「陣形」が導入されましたが、それに伴い、アニメーション演出も実装されました。アニメーターについては新しい表現も入りますので、お客様にはちょっとでも注目してもらえると嬉しいですね。
―――:合戦って、ユーザーさんからすると演出をじゃまに感じる人もいるかと思うのですが。
YU:そういう方もいらっしゃるかと思いますので、タップでスキップできるようにしています。合戦で勝つことがゲームの目的なので、そちらを優先していただけるといいと思います。演出をスキップできないゲームは最悪だと思いますから。
ただアニメーション演出は、みるだけでも面白いので、作っている側としては最初の1回くらいは見ていただけると嬉しいです。また初めて遊ぶ方がアニメーションをみて面白さを感じてくれれば、役割を全うできたと感じます。『戦国炎舞』で用意されているスキルのエフェクトは200種類以上ありますから、余裕があるときにひとつずつチェックしていただくのも楽しいかと思います。
TOYO:お客様からすると、合戦で勝つことがとても重要ですからスピード重視で、演出をスキップされるのは当然です。たとえば、合戦で余裕があるときに見てもらえるといいのかなと思います・・・が、油断して負けないようスキップは使ってください(笑)
■グループ企業とも連携
―――:とはいえ、ボタンを押したら数字が出てくるだけというのは味気ないですからね。「演出をスキップする」という行為もゲームを楽しむ重要な要素なのかもしれませんね。ところでサイバーグループとの連携はなにかされていますか?
TOYO:技術的なことや、行き詰まったときは、グループ内の会社に聞きに行くことはあり、だいぶ助かっています。グループ会社には、ネイティブゲームの開発に関して、当社よりも経験やノウハウを多く積んでいる会社がありますから、すぐに解決します。逆にこちらは表現方法についてアドバイスや意見を求められることが多いですね。
YU:『戦国炎舞』のリリース前は、グループ内でもAdobe Airを初めて使いましたし、世界的にも制作事例が少なくて大変でした。試行錯誤を繰り返して本当に苦労しましたので、グループ会社と助け合えるのは本当にありがたいことです。グループ内でのつながりが以前よりも強くなっており、いまではライバルであり、仲間であるといった関係ですね。
―――:サムザップで働くことの楽しさ、面白さはどういった点ですか?
YU:サムザップは、1年ごとにチャレンジングなことが起きている会社です。『戦国炎舞』のリリース時はネイティブゲームで、しかもやったことのないリアルタイムバトルでした。いまも平行して複数のタイトルをつくろうといった試みをやっています。個人個人が作業員になることがなく、ミーティングでも意見が言えます。非常に良い土壌・文化なので、会社の規模が大きくなっても守りたいなと思いますね。
TOYO:世の中、「私はこんなに頑張っているのに認められない」という会社は珍しくないと思うんですが、サムザップでは周りからすごく見られていて、実績を上げたときは勿論、いいものを作った時や、小さな実績、チームを盛り上げる頑張りを必ず認めてくれます。日報でコメントを書く欄があるのですが、心配事をちょっと書くと、いろいろな人から声をかけられます。みんな、本当に優しいです。いろいろな会社を見てきましたが、働きやすくて、そして働きがいのある会社だと思います。
―――:ありがとうございました。
(編集部 木村英彦)
■関連サイト
会社情報
- 会社名
- 株式会社サムザップ
- 設立
- 2009年5月
- 代表者
- 代表取締役 日高 裕介
- 決算期
- 9月