【大手ゲームソフト決算まとめ】6社中5社が営業増益に スクエニとバンナムの存在感際立つ コーエーテクモ、コナミも好調【追記】
第3四半期の決算発表シーズンが終わったが、今回は、家庭用ゲームソフト大手6社の第3四半期(2014年4~12月期)をまとめておこう。本業の儲けを示す営業利益が前年同期を上回ったのは6社中、5社だった。
前年同期(2013年4~12月期)で増益となったのは6社中、3社にとどまったことを考えると、全体的には良好な状況であったといえるだろう(持株会社は、社名から「ホールディングス」は省略もしくはHDとした)。
(注2)前期比で%表記のないものは前期実績である。
(注3)△は赤字であることを示す。
今回最も好調だったのは、営業利益が90%増と驚異的な伸びを達成したスクウェア・エニックスだろう。スマートフォンアプリがアプリストアの売上ランキングの上位に複数入っているだけでなく、『戦国IXA』や『ファイナルファンタジーXIV』と『ドラゴンクエストX』などオンラインゲームの運営なども好調だった。
コナミも30%を超える増益を達成した。ゲームを中心とする「デジタルエンタテインメント事業」がけん引した。これまでネイティブアプリへの対応に遅れが見られた同社だが、『ワールドサッカーコレクションS』や『実況パワフルプロ野球』、『プロ野球ドリームナイン』などがヒットした。スポーツのコナミの面目躍如といったところだろう。
また、経営統合以来の過去最高業績を達成したコーエーテクモホールディングスも見逃せない。オンラインゲームやモバイルコンテンツが伸びたことに加え、家庭用ゲームソフトも好調に推移した。両事業部門が伸ばして収益が拡大した珍しい。
■バンダイナムコが他社を圧倒…売上高・営業利益の比較
続いて売上高と営業利益を比較してみよう。売上高・営業利益が飛び抜けて大きいのは、バンダイナムコである。営業利益に至っては、2位以下の倍以上の規模になっている。
さらにガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>、ミクシィ<2121>、コロプラ<3668>を追加したものが以下のグラフとなる(ガンホーとコロプラは、4~12月期の数字を集計)。3社は売上高の比較では上位には入らないが、営業利益の比較では上位に飛び込んでくる。ガンホーがバンダイナムコを抑えて首位となり、ミクシィはバンダイナムコに続く3位、コロプラが4位となった。
■スマートフォン・オンラインゲームは安定した収益源に
データを開示している会社が少ないが、大手ゲーム会社におけるオンラインゲームやスマートフォンアプリ、ソーシャルゲームの役割をあらためて確認したい。バンダイナムコとセガサミー、コーエーテクモのパッケージソフトとオンラインコンテンツの四半期別売上高の推移を比較したものが下のグラフとなる。どの会社も共通しているが、パッケージソフトは年末や期末の商戦に収益が集中するのに対し、オンラインコンテンツは年間を通じて振幅が少なく、安定した収益をもたらしていることがわかる。そして多かれ少なかれ会社全体の収益を押し上げる存在となっている。特に目新しいものではなく、おおむね通説あるいは直観に沿うものといえよう。
■各社の状況
(1)バンダイナムコ<7832>
売上高が前年同期比で11.2%増の4091億円、営業利益が同11.4%増の476億円だった。「妖怪ウォッチ」や「機動戦士ガンダム」、「仮面ライダー」、「烈車戦隊トッキュウジャー」などを中心とする玩具事業が収益拡大のけん引役となった。一方、コンテンツ事業は減収減益だった。『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストシューターズ』『ONE PIECEトレジャークルーズ』などソーシャルゲームやスマートフォンアプリは好調だったが、家庭用ゲームソフトの売上高が減少した。
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バンダイナムコHD、3Qは11%増収、11%経常増益で着地…「妖怪ウォッチ」など好調でトイホビー事業がけん引 コンテンツ事業はアプリゲーム好調
【バンダイナムコの四半期別売上高・営業利益の推移(億円)】
(2)セガサミーホールディングス<6460>
売上高が前年同期比12.0%減の2675億円、営業利益が同65.1%減の162億6400万円だった。主力の遊技機事業でパチスロ遊技機の新タイトルの投入数が減少し、販売台数が低調だった。他方、ゲームソフトや玩具、映像商品を手がけるコンシューマ事業は、パッケージゲーム分野と玩具が低調だったものの、デジタルゲーム分野が堅調に推移した。
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セガサミーHD、第3四半期は売上高12.0%減、営業益65.1%減…事業構造改革の影響織り込み通期予想の下方修正を実施
(3)コナミ<9766>
売上高及び営業収入が前年同期比0.0%減の1558億円、営業利益が同31.7%増の97億円だった。主力のデジタルエンタテインメント事業が好調に推移した。家庭用ゲームソフトの販売本数が減少したものの、『実況パワフルプロ野球』や『ワールドサッカーコレクションS』などのモバイルゲームが引き続き堅調だった。
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コナミ、第3四半期は営業利益31.7%増と2ケタ超の大幅増益に…『実況パワフルプロ野球』や『ワサコレ』などモバイルゲームが引き続き堅調【追記・グラフ追加】
(4)スクウェア・エニックス<9684>
売上高が前年同期比16.0%増の1188億円、営業利益が同89.6%増の148億円だった。主力のゲームソフト事業が好調だった。『戦国IXA』や『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』が引き続き好調に推移したほか、『スクールガールストライカーズ』『ファイナルファンタジー レコードキーパー』『乖離性ミリオンアーサー』などが寄与した。また『ファイナルファンタジーXIV』と『ドラゴンクエストX』のほか、『キングダムハーツ -HD 2.5 リミックス-』など家庭用ゲームソフトも好調だった。出版やライツ関連も収益を押し上げ要因となった。
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スクエニHD、第3四半期は営業益89.6%増、四半期純利益110.8%増に…デジタルエンタテインメント事業が売上高33.4%増、営業益107.6%増と好調
(5)カプコン<9697>
売上高が前年同期比36.4%減の478億円、営業利益が同14.1%増の97億円だった。パチスロ新型機の発売延期などに加え、前年同期に大ヒットした『モンスターハンター4』の反動もあって減収となった。しかし、売上原価の圧縮や販管費の抑制に加え、高採算の家庭用ゲームソフトのダウンロード販売の増加が収益性の向上につながった。
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カプコン、第3四半期は36%減収も営業益は14%増を達成…コスト削減や採算性の高いDL販売の増加で収益性改善
(6)コーエーテクモ<3635>
売上高は前年同期比5.9%減の240億7500万円、営業利益は同35.7%増の48億5800万円だった。利益は経営統合以来の最高を更新した。家庭用・オンラインゲームともに過去最高益を更新した。海外で『戦国無双4』を発売し好評を博したほか、任天堂と共同で企画・開発し9月に発売した『ゼルダ無双』もワールドワイドで出荷が100万本を突破し、引き続き好調な販売だった。「100万人の信長の野望」などの「100万人」シリーズや、オンラインゲーム「信長の野望 Online ~覚醒の章~」なども堅調だった。
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コーエーテクモHD、第3四半期累計の連結業績は営業益が前年同期比35.7%増、経常益は22.4%増…経営統合以来の最高益ペースを継続
前年同期(2013年4~12月期)で増益となったのは6社中、3社にとどまったことを考えると、全体的には良好な状況であったといえるだろう(持株会社は、社名から「ホールディングス」は省略もしくはHDとした)。
【大手ゲーム会社の売上高・営業利益比較】
(注1)コナミはSEC基準のため、経常利益はない。(注2)前期比で%表記のないものは前期実績である。
(注3)△は赤字であることを示す。
今回最も好調だったのは、営業利益が90%増と驚異的な伸びを達成したスクウェア・エニックスだろう。スマートフォンアプリがアプリストアの売上ランキングの上位に複数入っているだけでなく、『戦国IXA』や『ファイナルファンタジーXIV』と『ドラゴンクエストX』などオンラインゲームの運営なども好調だった。
コナミも30%を超える増益を達成した。ゲームを中心とする「デジタルエンタテインメント事業」がけん引した。これまでネイティブアプリへの対応に遅れが見られた同社だが、『ワールドサッカーコレクションS』や『実況パワフルプロ野球』、『プロ野球ドリームナイン』などがヒットした。スポーツのコナミの面目躍如といったところだろう。
また、経営統合以来の過去最高業績を達成したコーエーテクモホールディングスも見逃せない。オンラインゲームやモバイルコンテンツが伸びたことに加え、家庭用ゲームソフトも好調に推移した。両事業部門が伸ばして収益が拡大した珍しい。
■バンダイナムコが他社を圧倒…売上高・営業利益の比較
続いて売上高と営業利益を比較してみよう。売上高・営業利益が飛び抜けて大きいのは、バンダイナムコである。営業利益に至っては、2位以下の倍以上の規模になっている。
【大手6社の売上高比較(単位:億円)】
【大手6社の営業利益比較(単位:億円)】
【大手6社の営業利益比較(単位:億円)】
さらにガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>、ミクシィ<2121>、コロプラ<3668>を追加したものが以下のグラフとなる(ガンホーとコロプラは、4~12月期の数字を集計)。3社は売上高の比較では上位には入らないが、営業利益の比較では上位に飛び込んでくる。ガンホーがバンダイナムコを抑えて首位となり、ミクシィはバンダイナムコに続く3位、コロプラが4位となった。
【大手6社+3社の売上高比較(単位:億円)】
【大手6社+3社の営業利益比較(単位:億円)】
■スマートフォン・オンラインゲームは安定した収益源に
データを開示している会社が少ないが、大手ゲーム会社におけるオンラインゲームやスマートフォンアプリ、ソーシャルゲームの役割をあらためて確認したい。バンダイナムコとセガサミー、コーエーテクモのパッケージソフトとオンラインコンテンツの四半期別売上高の推移を比較したものが下のグラフとなる。どの会社も共通しているが、パッケージソフトは年末や期末の商戦に収益が集中するのに対し、オンラインコンテンツは年間を通じて振幅が少なく、安定した収益をもたらしていることがわかる。そして多かれ少なかれ会社全体の収益を押し上げる存在となっている。特に目新しいものではなく、おおむね通説あるいは直観に沿うものといえよう。
【バンダイナムコのパッケージトとオンラインコンテンツの比較(単位:億円)】
【セガサミーのパッケージとオンラインコンテンツの比較(単位:億円)】
【コーエーテクモのパッケージとオンラインコンテンツの比較(単位:億円)】
【セガサミーのパッケージとオンラインコンテンツの比較(単位:億円)】
【コーエーテクモのパッケージとオンラインコンテンツの比較(単位:億円)】
■各社の状況
(1)バンダイナムコ<7832>
売上高が前年同期比で11.2%増の4091億円、営業利益が同11.4%増の476億円だった。「妖怪ウォッチ」や「機動戦士ガンダム」、「仮面ライダー」、「烈車戦隊トッキュウジャー」などを中心とする玩具事業が収益拡大のけん引役となった。一方、コンテンツ事業は減収減益だった。『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストシューターズ』『ONE PIECEトレジャークルーズ』などソーシャルゲームやスマートフォンアプリは好調だったが、家庭用ゲームソフトの売上高が減少した。
【関連記事】
バンダイナムコHD、3Qは11%増収、11%経常増益で着地…「妖怪ウォッチ」など好調でトイホビー事業がけん引 コンテンツ事業はアプリゲーム好調
【バンダイナムコの四半期別売上高・営業利益の推移(億円)】
(2)セガサミーホールディングス<6460>
売上高が前年同期比12.0%減の2675億円、営業利益が同65.1%減の162億6400万円だった。主力の遊技機事業でパチスロ遊技機の新タイトルの投入数が減少し、販売台数が低調だった。他方、ゲームソフトや玩具、映像商品を手がけるコンシューマ事業は、パッケージゲーム分野と玩具が低調だったものの、デジタルゲーム分野が堅調に推移した。
【関連記事】
セガサミーHD、第3四半期は売上高12.0%減、営業益65.1%減…事業構造改革の影響織り込み通期予想の下方修正を実施
【セガサミーの四半期別売上高・営業利益の推移(億円)】
(3)コナミ<9766>
売上高及び営業収入が前年同期比0.0%減の1558億円、営業利益が同31.7%増の97億円だった。主力のデジタルエンタテインメント事業が好調に推移した。家庭用ゲームソフトの販売本数が減少したものの、『実況パワフルプロ野球』や『ワールドサッカーコレクションS』などのモバイルゲームが引き続き堅調だった。
【関連記事】
コナミ、第3四半期は営業利益31.7%増と2ケタ超の大幅増益に…『実況パワフルプロ野球』や『ワサコレ』などモバイルゲームが引き続き堅調【追記・グラフ追加】
【コナミの四半期別売上高・営業利益の推移(億円)】
(4)スクウェア・エニックス<9684>
売上高が前年同期比16.0%増の1188億円、営業利益が同89.6%増の148億円だった。主力のゲームソフト事業が好調だった。『戦国IXA』や『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』が引き続き好調に推移したほか、『スクールガールストライカーズ』『ファイナルファンタジー レコードキーパー』『乖離性ミリオンアーサー』などが寄与した。また『ファイナルファンタジーXIV』と『ドラゴンクエストX』のほか、『キングダムハーツ -HD 2.5 リミックス-』など家庭用ゲームソフトも好調だった。出版やライツ関連も収益を押し上げ要因となった。
【関連記事】
スクエニHD、第3四半期は営業益89.6%増、四半期純利益110.8%増に…デジタルエンタテインメント事業が売上高33.4%増、営業益107.6%増と好調
【スクエニHDの四半期別売上高・営業利益の推移(億円)】
(5)カプコン<9697>
売上高が前年同期比36.4%減の478億円、営業利益が同14.1%増の97億円だった。パチスロ新型機の発売延期などに加え、前年同期に大ヒットした『モンスターハンター4』の反動もあって減収となった。しかし、売上原価の圧縮や販管費の抑制に加え、高採算の家庭用ゲームソフトのダウンロード販売の増加が収益性の向上につながった。
【関連記事】
カプコン、第3四半期は36%減収も営業益は14%増を達成…コスト削減や採算性の高いDL販売の増加で収益性改善
【カプコン四半期別売上高・営業利益の推移(億円)】
(6)コーエーテクモ<3635>
売上高は前年同期比5.9%減の240億7500万円、営業利益は同35.7%増の48億5800万円だった。利益は経営統合以来の最高を更新した。家庭用・オンラインゲームともに過去最高益を更新した。海外で『戦国無双4』を発売し好評を博したほか、任天堂と共同で企画・開発し9月に発売した『ゼルダ無双』もワールドワイドで出荷が100万本を突破し、引き続き好調な販売だった。「100万人の信長の野望」などの「100万人」シリーズや、オンラインゲーム「信長の野望 Online ~覚醒の章~」なども堅調だった。
【関連記事】
コーエーテクモHD、第3四半期累計の連結業績は営業益が前年同期比35.7%増、経常益は22.4%増…経営統合以来の最高益ペースを継続
【コーエーテクモの四半期別売上高・営業利益の推移(億円)】
(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1524億1000万円、営業利益570億8100万円、経常利益594億2200万円、最終利益433億7400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
- 設立
- 1975年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3563億4400万円、営業利益325億5800万円、経常利益415億4100万円、最終利益149億1200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9684
会社情報
- 会社名
- コナミグループ株式会社
- 設立
- 1973年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3603億1400万円、営業利益802億6200万円、最終利益591億7100万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
- 証券コード
- 9766
会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高845億8400万円、営業利益284億9400万円、経常利益457億4100万円、最終利益337億9200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコホールディングス
- 設立
- 2005年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 川口 勝
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆502億1000万円、営業利益906億8200万円、経常利益1041億6400万円、最終利益1014億9300万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7832
会社情報
- 会社名
- セガサミーホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4678億9600万円、営業利益568億3600万円、経常利益597億7800万円、最終利益330億5500万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 6460