【座談会・2本立て】若手からベテラン、CTOまで…6名でAimingを語り尽くす


※SBヒューマンキャピタル株式会社提供の記事

『剣と魔法のログレス いにしえの女神』をはじめ、本格MMORPGでソーシャルゲーム業界を席巻しているAiming。前回、代表の椎葉氏にインタビューを行った際には、「とにかく面白いゲームをつくりたい」「ゲームをむちゃくちゃする人が偉い」「リアルタイムでの同期にこだわる」などの企業哲学を深く知ることができた。今回は、現場のメンバー6名にインタビューを敢行。前回と今回を併せて読めば、Aimingの全貌が立体的に見えてくるに違いない。それでは、濃厚な座談会、2本続けてどうぞ。

【前回記事】
代表・椎葉氏が、企業哲学から開発環境、未来像までをノンストップで語る

 
 

≪第一部≫



▲左から佐野氏(企画)、岩野氏(エンジニア)、下川氏(プロデューサー)
※記事中は敬称略

──:まずは現在担当されていらっしゃるタイトルと、ご自身の役割から教えてください。それでは下川さんからお願いできますでしょうか。

下川:私はログレスですね。ブラウザ版の頃から関わっているので、かれこれもう5年くらいになりますね。ブラウザ版の頃はプランナーのリーダーでした。スマホ版の開発に着手しだした頃からディレクターになり、運営がはじまったくらいからプロデューサーになったというのが大まかな流れです。

佐野:へぇ、ログレスの歴史と共にキャリアアップされてきたんですね。

下川:そうそう。そう言えば、一緒に話すのははじめてだっけ?

佐野岩野:はい。はじめまして(笑)。
※下川氏は大阪オフィス、岩野氏と佐野氏は東京オフィスに在籍。

岩野:ブラウザ版って、今と全然違いますか?

下川:今改めて振り返ると、MMORPGというジャンルについて勉強不足過ぎたかなと思う。コアなゲーマーには楽しんでもらえたかもしれないけど、ライト層への配慮が足りなかった。「どういう風にユーザー同士でコミュニケーションを取って遊んでもらうか」という導線をうまく設計できず、仕組みが複雑になっていたから。

佐野:そういった課題を全て踏まえた上で、スマホ版をつくりこんでいったわけですね。

下川:「ここはダメだ」って部分に次々と手を入れていった。UIの設計にはじまり、もう何から何まで。たとえば、PCのキーボードとタッチパネルだと、まず画面遷移のルールが違う。タップの方がウィンドウを開閉しやすいとか、その辺も手探りでしたね。
 

あと、隙間時間でもプレイできるように、PC版だと20~30分かかるようなイベントを5分程度にカスタマイズするとか。とにかくユーザーの裾野を広げることを心がけながら、複雑な手順を取っ払っていった。ユーザー同士がゲーム内で出会って、お互いに承認して、みんなで戦いに行く。その面白さをシンプルに打ち出しながら、みんながコアユーザーになってくれればいいなって。もしかして、俺ばっかり喋り過ぎですか?


──:大丈夫です(笑)。それでは岩野さんの仕事をお教えいただけますでしょうか。

岩野:入社時はWeb系のフロントエンジニアだったんですけど、そこからどんどん幅を広げています。Aimingは意思表示をすれば、それを汲み取ってくれる会社なので。今は2つのプロジェクトを掛け持ちしていて、1つはゲームクライアントやAPIサーバなどの開発、もう1つではデザインとシステムのつなぎこみを担当しています。両方、ユニティです。

下川:新規タイトル?

岩野:はい。企画段階からアサインしていただいて。ゼロからゲームをつくることができるのは貴重な体験ですね。レビュー会を開いてプロトタイプをみんなでプレイしながら、企画もエンジニアも関係なく、意見を交わし合っています。

佐野:レビュー会ではいろいろありますよね。たとえば、開発途中でいきなり「あれ、これ面白くないかも」ってなることもあるし。

岩野:そこから仕様がひっくり返ることはよくあるよね。開発側としては大変だけど、ポジティブに捉えている。やっぱり、納得できるものをユーザーに届けたいから。

下川:Aimingのエンジニアはみんなゲームを熟知しているから、ディスカッションが建設的なのよ。自分の手間を度外視して、ゲームの面白さを追求するというスタンスのもとで意見交換をしてくれる。「こっちの方が面白いから変えよう」という声が上がったときも、反射的に否定されない。企画側としては非常にうれしいな。

佐野:むしろ、開発側から「これ、面白くないよね」って声が上がることもあるくらい。企画側としては、ちょっとへこみますけど(笑)。みんな、クリエイターである前にゲーマーでもあるから、意識せずともユーザー視点に立てるんでしょうね。


──:佐野さんはプランナーとして、現在はどういった業務に携わっていますか?

佐野:タイトルとしては「Lord of Knights」と、新規プロジェクトの2本です。「Lord of Knights」では企画リーダーをやらせてもらっていて、スケジュール管理や新しいコンテンツの立案をメインに、仕様書の作成や確認など、いろいろと関わっています。

下川:リーダーにして若いけど、入社してどれくらい?

佐野:約3年ですね。入社してからずっと「Lord of Knights」を担当していたので、前のリーダーがプロジェクトを移るときに抜擢してくれたのだと思います。

岩野:佐野君、そもそも最初はアルバイトだったもんね。

佐野:当時は一杯迷惑をおかけしました(笑)。今振り返れば、とにかくがむしゃらでしたね。「仕様書つくらせてください」「その機能開発に関わりたいです」など、前のめりに突っ走ってきました。経験がなくても、責任ある仕事に携われるチャンスがあるので、みすみす見過ごすわけにはいかないなと。

岩野:若手に権限を委譲する風土は昔からあるよね。特に「Lord of Knights」は全体的に若いメンバーが集まっていると思う。

佐野:ベテランの人たちと比べて経験値は少ないですけど、その分、とにかくみんなで考えることを大切にしています。どこを改善すべきか、どうやったら売上がアップするのかなど、常にみんなで話し合っていますよ。今まででユーザーに刺さったなと思う企画は、1対1で対人戦を行う「デュエル」。プレイヤーが個人で参加できるイベントで、今ではゲームに欠かせない要素になっています。


──:それぞれの役割が分かったところで、お三方が求める人材についても伺いたいと思います。下川さんはどうですか?

下川:佐野君の「みんなで」という言葉とも共通するんですけど、チームの情報共有はAimingでは鉄の掟です。「他のメンバーがどんなことを考えているのか」を横軸で共有し、チーム全体で意識統一を図ることは欠かせませんね。そうしないと、たとえば、敵と武器のテイストがバラバラになってしまうということが起こり兼ねませんから。

本当はもっと効率的な方法があるとは思うんですけどね。話し合いに時間をかける分、作業時間が圧迫されますから。でも、今は泥臭く顔を突き合わせながら、たくさんの言葉を交わし合う時期なんだと思います。
 
 

佐野:それに関連して言うと、私も別のプロジェクトのメンバーに意見を求めるときがあります。「今回のキャンペーン、いちユーザーとして教えて」という風に。「しぶいんじゃね?」と言われることもありますけど、貴重な意見として前向きに取り入れています。

下川:大阪でも同じで、別のプロジェクトのメンバーがミーティングに集まってくることはよくある。

岩野:私も同意見です。エンジニア同士でも技術共有などは頻繁に行っていますから。エンジニアとしての観点でもう1つ追加するとすれば、ものづくりが好きな人ですね。「仕事だからものをつくる」のではなく、プライベートでもものづくりを楽しめる人。Aimingのエンジニアはたまに、居酒屋にPCを持ち寄って、みんなでカタカタと制作物をつくっているんですよ。「黙々会」って呼ばれているんですけど。

下川:お酒飲みながらつくれるのかー。

岩野:最終的にお互いに見せ合って成果報告をするっていう。私もいろいろつくっていますよ。昔流行っていたフリーゲームのクローンとか、JavaScriptのNode.jsを使用したライブラリとか。つくったらコードを公開しています。仕事うんぬんではなくて、もう完全な趣味です。

佐野:企画側としては、たくさんのゲームで遊んでいることはもちろん、「なぜ楽しいのか」を細分化できる人が理想ですね。裏側を論理的にひも解きながら、そこにはどういう要素があって、なぜユーザーに受けるのかを解析できる人。そういうタイプなら、Aimingでの活躍の場は開けていると思います。

──:話は尽きませんが、そろそろ時間が迫っているので、一部はここでお開き。ここからはメンバーを入れ替え、第二部をお送りいたします。

 

≪第二部≫



▲左から遠藤氏(運営)、瀧岡氏(運営)、小林氏(CTO)
※記事中は敬称略

──:こちらもまずはそれぞれの役割から教えていただけますでしょうか。それでは小林さんからお願いできればと思います。

小林:エンジニアのマネジメントがメインですね。採用から人員配置、対外的な技術アピール…、コードは最近あまり書けていないかな。プレイヤー的な側面よりも、メンバーの内発的なモチベーションを引き出しながら、成長を後押しする役割を主に担っています。


──:成長の後押しというのは、たとえば研修を開くとかそういうことですか?

小林:私、研修があまり好きじゃないんですよ。会社側から一方的に教えている感じがして。情報に触れられる場づくりは行いますが、あくまでも個人の適性を見出すためのものですね。そこで資質や志向性を把握し、それを伸ばしていくことを心がけています。やらされ仕事になるのは避けたいので。むしろ成長というのは、その人のやりたいことでしか実現し得ないと思っています。

瀧岡:うちのエンジニアって、プライベートでもいろいろつくっているから、そこから適性が透けて見えることもありますよね。

小林:そう言えばこの間、仕事終わりにシューティングゲームをつくっているメンバーもいたな。でも、そこから「ユニティがやりたいのかな」という潜在的な願望が読み取れるんですよ。採用においてもそうで、学歴や資格ではなく、制作物の内容で熱意を判断しています。「ゲームづくりが好きだ」という想いは、表面上の言葉ではなくて、アウトプットや行動に自ずと表れますから。

遠藤:仕事の制作物じゃない方が、その人の本質が出ますよね。

小林:そう。プライベートの制作物の方がプロダクト愛は出る。仕事だと、ある種の強制的な状況下でつくっているわけだから、凝ったり練ったりするのは当然なんですよね。


──:遠藤さんは現在どういった仕事に関わっていらっしゃるのですか?

遠藤:今は新規タイトルの進行管理ですね。各部署との調整だったり、内容の改修だったり。一応運営なんですけど、他社よりも業務は多岐にわたるかもしれません。いちから仕様書をつくることもありますから。

瀧岡:企画と運営にボーダーがないよね。部署としても統合されましたから。

遠藤:瀧岡さんの方がもっと業務が幅広いですよね。傍から見ていると、もはや1つの職種名ではくくれませんよ。

瀧岡:設立当初から在籍しているからね。スケジュールを組んだり、数字まわりを管理したり、マーケティングの計画を立てたり、他社の担当者の方と折衝したり。リリース済みのプロジェクトを担当することもあれば、新しいプロジェクトに関わることもあるし。いろいろなことを並行して要領よく手がけるのは、割りと得意だと思う。未経験入社だったけど、今の仕事にプラスアルファとして別の仕事にも少し携わってみるって感じで、コツコツと積み上げてきた感じがする。

遠藤:「やりたい」っていう現場の声に対して、本当にノーが出ない会社ですよね。私はそれを魅力に感じています。もともとはユーザーとしてAimingのタイトルをプレイしていたんですけど、「コアなゲームをつくっているな」ってところから調べていく中で、若いメンバーでも責任ある仕事を任されることを知り、そこに惹かれたんですよ。今後もやりたいことはあって、自分が発案者になって、企画をいちから立ち上げたいなという思いも抱いています。はじめの種となる部分をつくってみたいなって。

小林:おぉ、期待してるよ!

遠藤:神ゲーが降りてきたら、ぜひ提案します(笑)。


──:素朴な疑問なのですが、入社してからゲームが嫌いになることはないのですか? 仕事にしたことで、趣味として捉えられなくなるというか。

遠藤:少なくとも、私のまわりにはいないですね。みんな、仕事中もがんがんプレイしていますし。
 
 

小林:仕事にしたことでゲームを嫌いになる人って、制作過程での諸々が原因なんだと思います。ゲームをつくるときって、目標が漠然としているんですよ。銀行のシステムのように、明確な着地点が決まっていない。「面白い」は、言語化して仕様書に落とし込めるものではありませんから。だから、途中でいろいろな軋轢が生まれて、空中分解しやすいんですよ。それでストレスフルになって、ゲームそのものを遠ざけるようになるという現象が起きるのかなと。

瀧岡:Aimingはそこに気を配っていますよね。みんながバラバラにならないように。

小林:プロジェクトのスタート時に、モデルとなり得るゲームをみんなで一緒にプレイして、共通言語をつくっているんですよ。それによって、アイデアをすり合わせるときにも「あのゲームのあの感じで」という風に、議論の抽象化を防げる。ただ、Aimingのタイトルは1年以上の長期スパンでつくることが多いので、進行過程で共通言語のブラッシュアップはしていますよ。その場合も、モデルとなり得るゲームを見つけています。アプリに限らず、PCでもコンソールでも何でもいい。国籍も問いません。とにかく何かしらの具体性を共有することが重要なんです。

瀧岡:だからなんですかね。一度会社を去っても戻ってくるメンバーが多いのって。

小林:戻ってくるメンバーは多いよね。さっき言ったように、バラバラになることなく、みんなで一体となってものづくりに取り組めるからなんじゃないかな。外に一度出ることで、その良さを改めて実感するというか。あとは、1つの組織の中で、エンジニアリングの幅を広げられるのもあると思う。Web、ユニティ、リアルタイム通信という3つの技術を備えた中で、MMORPGっていうリッチコンテンツをつくれる環境ってそうそうないから。

遠藤:企画や運営側からしても、その環境はありがたいですよ。思考の幅が制限されませんから。だから、あらゆる方面にアンテナを張って情報収集している方は向いていると思います。斬新なアイデアであっても、それを具現化できる技術力があるので、いろいろな感性が活きやすいんじゃないかな。

瀧岡:特に運営は技能面の採用ハードルが低いから、そういった志向性は大きなポイントだね。Aimingという会社をきちんとリサーチした上で、自分の特性がどういう形でプラスになるのかを提示できる方なら、経験は問いません。

私も遠藤も、未経験出身ですしね。設立1年目から新卒採用を行っているように、未経験を育てていくカルチャーは根付いていますよ。


──:エンジニアはどうですか? 先ほど「プライベートで何かをつくっている人」という話が出ましたが、それにプラスして求めているものはございますか?

小林:1つの技術にこだわるのではなく、「新しいものを触りたい」という好奇心を持って、最先端の技術を貪欲に取り込める姿勢ですね。Aimingはその都度、時代に適合した技術を活用できる会社でありたい。技術は日進月歩なので、現状にあぐらをかいていると、業界の転換期に置いていかれる可能性って大いにあり得ますから。

あと、これまでのキャリアの中で思うのが、他社から信頼を寄せられるためにもっとも必要なことって、結局はチームとしての総合力なんですよ。特にMMORPGは規模が大きいので、1人のエンジニアが尖っていてもうまくいきません。たとえば、最初Aという方向に進んでいたけど、途中でBに転換することもある。

その場合、Aに費やした努力は報われなくなってしまうけど、そこで腐らずに、「チームとしてBに進むのは正しいよね」という思考を持ってほしいんですよ。ときにはチームを進化させるために自己否定をするっていう。どれだけ人数が増えても、そういう組織でありたいですね。

遠藤:みんな、プロジェクトを自分だけのものにしないですよね。だからこそ若いメンバーにもどんどん裁量が与えられるんだと思います。

瀧岡:採用には熱を入れている会社ですので、まずはチャレンジしてほしいですね。
 
 

小林:うん。両想いになって、お互いに気持ちよく仕事ができる人と出会いたいね。

──:本日は長丁場、ありがとうございました。