サイバーエージェント、今期はAbemaTVに200億円規模の赤字が出る先行投資 藤田社長「目標の1000万WAUはメディアとしての出発点」
サイバーエージェント<4751>の藤田晋社長(写真)は、本日(10月27日)、東京都内で開催した証券アナリスト・機関投資家向け決算説明会で、注力中の「AbemaTV」のダウンロード数が960万件に到達し、来週中にも1000万件を超えるとの見通しを示した。
ダウンロード数だけでなく、実際の利用状況を示すアクティブユーザー数も拡大している。MAU(月次アクティブユーザー数)は593万人、WAU(週次アクティブユーザー数)が290万人、DAU(日次アクティブユーザー数)も100万人規模になっているという。「サッカー日本代表戦の中継や、有名なタレントに出てもらえば、短期的に数字は伸びるだろう。当社は、それよりも視聴習慣をいかに作るかを重視している」という。数字は継続的に積み上がっており、「狙ったとおりになっている」。
またユーザー属性についても、当初多かった35-44歳の比率が低下し、20代を中心とする若年層が増えている。Google Analyticsでは17歳以下の数字が取れないため、実際にはさらに高い可能性があるという。AbemaTVはもともとテレビを見ず、スマホを利用する若者向けのサービスとして考えたものだったが、狙い通りになりつつある。ドラマの配信を強化した結果、女性比率も35%に上がった。
同社では、引き続き「200億円規模の赤字を許容するレベル」の先行投資を行いサービス拡充を図る。投資の内訳は、番組制作費に40%、外部からのコンテンツ調達に40%、サービスの広告宣伝に18%配分する予定。時期は明言しなかったが、当面は1000万規模のWAUを目指す方針。
ただし、1000万WAUは、最終的な目標値ではなく、あくまでマスメディアとしての出発点となる数字と捉えているそうだ。「宣伝費や制作費を削れば、収益はすぐにでもトントンにできるし、利益も出せるだろう。WAU1000万でなければ、そうする価値がないということ」と事業の将来性に期待を示した。
なお、WAUが足元で停滞しているように見えるが、スタッフが交代で夏休みを取っており、番組編成や広告宣伝をいったん落ち着かせているため。人手がいるビジネスなので、「適度に休みをとってもらわないといけない」。年末年始の特別編成や宣伝活動の強化で年末に再度の上昇を狙う。
(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751