メタップス<6172>は、2月23日、東京都内で、ゲームデベロッパーに向けのセミナー「~世界で戦う!~月商150億円スーパータイトルの海外戦略」を開催した。セミナーでは、中国と韓国、台湾からのゲストが登壇し、各国の市場環境と攻略のための戦略を語ったほか、ワンダープラネットの久手堅氏が海外進出にあたっての取り組みを語った。今回、中国市場に関する講演をレポートする。
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中国最大級ゲーム情報サイトを運営し、ゲームパブリッシングやe-Sports事業を展開している任玩传媒CEOのGuangyu Zhang氏(写真)が「日本ゲームが如何に中国で成功できるのか~中国の最新ゲーム市場動向と政府の規制~」と題して講演を行った。
講演の冒頭、日本のアニメやゲーム、コミックスの影響を受けて育ったユーザーが多いのにも関わらず、なぜ日本のゲームアプリが中国で成功を治めるのが難しいのか、という問題提起から始まった。日本のアプリストアの売上ランキングでTOP10に入るようなゲームアプリが多く進出したものの、大きな成果を収めるに至っていない。そして、日本のゲームアプリを"パクった"ゲームが成功している。
▲モンスターストライク、剣と魔法のログレス、白猫プロジェクト、パズル&ドラゴンズなど日本の有力タイトルですら相次いで撤退を余儀なくされた。
その理由として、台湾市場の講演でも話題に出たが、ゲーム開発のスピードの遅さを指摘した。中国ユーザーのコンテンツの消費速度は世界一で、日本のゲーム会社の慎重なアプローチ方法では「ユーザーへの反応やスピードが遅いと感じる」という。中国のゲームで1週間で終わることが、日本では1ヵ月近くやることもあるという。この結果、初動は良好だったのに、ユーザー離れが起きてしまっていると指摘した。
また、市場環境の違いも大きな要素だ。日本も含む多くの国では、App StoreとGoogleがメインだが、中国のアプリマーケットは100を超えているという。日本企業にとっては100のマーケットに対して個別対応する必要があり、大きな負担になっている。また、現地企業と組むことが必須だが、信頼できるパートナーを探すことも同じくらい重要になっている。
ゲームの文化の違いも無視できない要素である。中国のゲームユーザーは現実的で、お金を払って自分のキャラクターが強くなる、あるいは格好良くなることを求めている。対して、日本は体験やコレクションを重視する傾向にある。このため、日本の感覚でアイテム販売を行った時、「お金を使っても強くなれないとわかった瞬間、ユーザーはがっかりしてやめてしまう」。
最後に社会環境の違いをあげた。これはマーケティング施策に影響するものだが、中国のプレイヤーは、ゲーム以外の娯楽として「三次元のほうが人気がある」という。リアリティ番組やドラマ、バラエティ番組を楽しむ時間が多い。それに対して、日本は漫画やアニメなど二次元を好む傾向にある。マーケティングもアニメとのコラボよりも、現地の人気俳優の起用などが重要になるそうだ。
ただ、こうしたなかでも日本のアプリの成功事例が生まれている。それは『Fate/Grand Order』だ。「Fate」は、中国国内でも人気があることもあり、中国最大の二次元のサイト「ビリビリ」のユーザーにフォーカスしてプロモーションを行なっていったという。ローカライズのスピードも非常に早い点も評価されているという。三次元の有名な俳優をイメージキャラクターとして起用した。
最後に、「中国市場で成功を治めるには、中国の風土に合わせて日本からのプロダクトを変えていく必要がある。そのためには信頼できるパブリッシャーを見つけることが大事だ」と述べて講演を終えた。
(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社メタップス
- 設立
- 2007年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 山﨑 祐一郎
- 決算期
- 12月
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 6172