【インタビュー】タイトルの特徴に合ったコミュニティサービス「BONDO」とは…SNS連携による拡散力でユーザー継続率UPに貢献


人との繋がりを中心に輪を広げる特徴があるソーシャルゲームだが、如何にユーザー同士を繋いだところでそこからコミュニティとして発展させていくのは中々難しいもの。そこで、今回は、ゲームタイトル専用のコミュニティサイト作成サービス「BONDO」をご紹介。ゲームコミュニティの運営により、ゲームプレイヤーの継続率向上に貢献しながら、作成後のコミュニティ運営までもサポートしてくれる。
 
これまでにも、コミュニティを提供するサービスはいくつかあったが、「BONDO」のサービスはゲームに特化した作りをしていて、ゲームコミュニティとしては従来のコミュニティサービスにないものとなっている。
 

今回は、「BONDO」の開発者である、しくみ製作所 事業担当の穂積俊平氏と、セールス&マーケティング担当の林成順氏に「BONDO」というサービスの特徴と、他コミュニティとの差異について詳しいお話を伺ってきた。
 
▲しくみ製作所 事業担当の穂積俊平氏(写真右)と、セールス&マーケティング担当の林成順氏(写真左)。
 

タイトル専用の”コミュニティ”を作り、維持する

 
──:まず、「BONDO」とはどういったサービスなのか改めてお聞かせください。
 
穂積俊平氏(以下、穂積):BONDOは、ゲームタイトル専用のコミュニティを構築するサービスです。ゲームは通常、広告費をかけて人を集客しますが、受け皿となるものがなく、ユーザーと繋がり続ける方法はゲーム内の企画のみに終始しがちです。BONDOは、その受け皿としての「コミュニティ」を開発し、ユーザーの継続率アップに貢献します。
 
事例としては、現在、SEGAさんやスクウェア・エニックスさんにもご利用いただいています。最近では、SEGAさんの『三国志大戦』というアーケードゲーム専用の「桃園」というコミュニティサービスを作成しました。これが、ゲーム毎にコミュニティを作るBONDOにおいて提供しているサービスの一例となります。
 

──:BONDOにはどのような特徴がありますか。
 
穂積:BONDOには3つの大きな特徴があります。「カスタマイズ性が高い」こと、「Twitterでの拡散力が強い」こと、「BONDO側でコミュニティマネジメントまで行う」こと、の3点です。
 
まずカスタマイズについてですが、タイトル毎にコミュニティの機能をカスタマイズできます。BONDOを利用してコミュニティを作る際は、ベースとなる部分とは別に、タイトルに合わせて専用の機能を開発して付けられるのです。投稿、サークル、掲示板、イベントといったものは基本機能となります。それに加えて、先ほど紹介した「桃園」の例になりますが、独自の機能として「トレード」や「店舗」という機能を導入しています。カードゲームである『三国志大戦』ではカードを交換したいという需要が高く、トレードはかなり使用率の高い機能になりました。ゲームの筐体にもトレード用の機能は付いているのですが、ゲームセンターに行かないと確認できないのでハードルが高いという側面がありました。なので、コミュニティにトレード機能を搭載することで気軽に情報をチェックできるようにし、ユーザーの需要を満たしています。

 
▲カード情報についても、最新のものが表示されるようになっている。
 
──:追加する機能はゲームに合わせて変えられるのでしょうか?
 
穂積:はい。メーカーからご要望をいただくだけでなく、弊社で実際にゲームをプレイして「こういう機能があったらいいんじゃないか」という案を提案させていただいております。基本機能は出来上がった状態から始められるので、自前で何もないところからから作るよりは安く速く作れ、企業から見ても実験しやすい形になっていると思います。
 
 
林成順氏(以下、):基本機能については、BONDOの母体となるコミュニティサービスがPvPやGvG形式のゲームコミュニティだったので、一緒に遊ぶプレイヤーを探す機能やチーム作成機能に長けたものとなっておりました。基本的な機能でコミュニティを作る場合、リリースまでのスピード感は最短1ヶ月となっています。そこからどのような機能を追加するかは、企業がユーザーをどう誘導したいかという相談内容によります。

 
──:「Twitterでの拡散力」についてはいかがですか。
 
穂積:Twitterとの親和性が非常に高いという点については、そもそもユーザーがTwitter上でよく情報交換をしているという背景があります。動画サイトや攻略サイトなど、様々なところに情報が分散しておりますが、最終的に最も情報が集約しているのはTwitterです。
 
そこで、BONDOではサービスへのログインをTwitter前提にし、コミュニティ内の情報をTwitterへ拡散しやすくしています。ユーザー同士のチーム結成を活性化するためにも、SNS拡散できた方が良いと考え、Twitterに情報が広がる設計に力を入れています。

 

▲Twitterでは、ユーザーが投稿した記事や開催されるイベントについての情報が呟かれている。
 
:ユーザーは、コミュニティの中でチームを作ったり、攻略記事を書いたりできますが、それをシェアボタンひとつでTwitterに拡散できます。
 
穂積:また、SNS連携は従来のコミュニティとの差別化にもなっており、数値的にもTwitterからの流入ユーザーは多いです。コミュニティ内の様子を外部コンテンツであるTwitter上に流すことで、タイトルの既存ユーザーをコミュニティ外からコミュニティ内へ引き込むことはもちろん、ゲームに触れたことのない人にもリーチできるようにしました。
 
:コミュニティサービスには、各企業が自分たちで持っているサービスや「ゲーマー向けSNS」のような形のものがありますが、BONDOはその中間にあたります。各社ともコミュニティサービスを作りたいという想いはあると思うのですが、開発と運営には大変な手間がかかります。コミュニティ運営が大事なことは分かっているけど、具体的な数字としても表れ辛く、手を入れにくい部分です。長期的にプレイヤーと繋がるために必要となるのがコミュニティであり、そこに対してのサービスがBONDOということになります。

 
 

スマートなコミュニティマネジメントを手助けする「IRIS」

 
──:3つ目の特徴についてはいかがでしょうか。
 
穂積:最後の三つ目となる特徴は、Twitter運用=コミュニティマネジメントも付いてくるサービスであるという点です。
 
:最近では、タイトルごとに公式Twitterアカウントを設立することが定石とされていますが、タイトルの公式アカウントは別でコミュニティ用のTwitterアカウントを設立し、コミュニティ内の情報を発信します。内容としては、「昨日こういう記事が盛り上がりました」、「対戦を募集しているチームがあります」といったコミュニティ活動の情報が主になります。コミュニティは場を作るだけでなく、中で何が起こっているかを分かるようにしないと盛り上がらない傾向があります。作るだけでなく、運用も重要であるというのが弊社としての考え方です。

 
 
穂積:そのため、スマートなTwitter運用を根付かせるために下記4つのサポート”IRIS”を行っています。

 

▲I=イニシエーター、R=リサーチャー、I=イグナイター、S=サポーターからなる"IRIS"。それぞれの内容は上記の通り。
 
穂積:そのほか、コミュニティ運営をしていると、どうしても炎上することがあります。そういった場合は、コミュニティ内のことであればIRISで対処し、企業に相談する必要がある場合は共に解決法を探します。連絡の取りやすい環境はチームごとに作っておりますので、そちらで即時対応ができるようにしています。
 
 
自身の体験から生み出された「BONDO」
 
──:そもそも、BONDOはいつ頃からサービスを始めたのでしょうか?
 
:2015年9月にプロトタイプとなるものができました。もともとは、穂積がとあるゲームで一緒にプレイできる友人を可視化できなかったことからオンラインで人を集めようと考えたところが発端です。ゲームを楽しむうえで必要な機能として、友人やチームを作り、他のチームと戦う際に必要なものを搭載しました。
 
穂積:大会を主催する際は、告知だけでなく当日のトーナメント表まで運営できるようになっているので、人が集まれば簡単に大会が開催できる仕組みになっています。
 
BONDOとして初の試みとなったタイトルは、SEGAインタラクティブの『ワンダーランドウォーズ』というアーケードゲームのコミュニティサービス「ワンダー部」です。これを2016年の夏にパッケージ化し、現在はスクウェア・エニックスの『ガンスリンガー ストラトス』のほか、外資系タイトルまで含めトータルで6つほどのコミュニティを運営しています。
 
:また、現在は複数のソーシャルゲームの企業様からもBONDO導入についてお問い合わせを頂いています。
 
穂積:ユーザー主導でコンテンツを作って遊ぶコミュニティが形成できれば、無理なアップデートやイベントを行わずともユーザーとの繋がりができることから、開発陣の負荷軽減にも繋がり、ソーシャルゲーム運営としては非常に有益です。TCGを主としたPvPのソーシャルゲームが沢山リリースされていますので、そういったジャンルのゲームは相性が良いと思います。PvPソーシャルゲームはオンラインイベントとも相性がいいので、BONDOを導入し、ぜひユーザーの維持とコミュニティの拡大につなげていただければと思います。


──:プラットフォームとしては幅広く活用できるサービスに思えますが、主にどういったタイトルに向けて展開していきたいですか?
 
穂積:先程も申し上げましたが、PvPのゲームです。対戦相手を探したり、攻略の話し合いをしたり、人と交流を持つことで楽しみが助長されるようなタイトルとは特に相性が良いと思います。さらに理想を述べるなら、個人戦よりチーム戦のタイトルがより盛り上がる傾向にありますね。
 
ビジネスモデルとしては、やはりゲーム内課金システムが実装されているタイトルと相性が良いです。これは、ユーザー同士の繋がりができることで継続率が上がり、持続的に金銭が動くようになるので時間が経つほどメリットが大きくなります。

 
 
■SNSを経由する分散型コミュニティ
 
──:コミュニティ運営を検討しているタイトルに向けて、「BONDO」ならではのアピールポイントはありますか?
 
穂積:先ほど特徴のひとつとしても挙げさせていただきましたが、最も重要なのは”Twitterと繋がっている”ということです。ゲームのコミュニティに入っても常にチェックしているわけではありません。その点、Twitterは閲覧している時間が長いので、如何にそこからBONDOのコミュニティにユーザーを引っ張ってくるかが重要だと考えています。コミュニティの中にコンテンツを作るのは大事ですが、さらにそのコンテンツを人の多いSNSに持って行ける形を作ることが設計思想として大切ではないでしょうか。僕はこれを“分散型コミュニティ”と呼んでいます。
 
──:BONDOを使用されているユーザーからの反響はいかがですか。
 
穂積:「コミュニティに入ったからゲームを続けている」という継続性に関わるプラスのご意見をいただきます。他には、「日記を書けることが嬉しい」、「交友関係が広がった」という声や、中にはコミュニティでの出会いをきっかけに結婚された方までおられるという話です。

──:メーカーとしては、どういった時期に導入するのが良いのでしょうか。
 
: PvPやGvGが実装されているタイトルについては、リリース当初から導入いただくのがベストだと考えています。対戦要素はエンドコンテンツとして追加でリリースするというタイトルであれば、実装のタイミングでも良いと思います。特にソーシャルゲームは立ち上がりの動向が読みにくい傾向にありますので、リリースから半年ほど経ってユーザーに普及した時期にご相談いただくのも良いのではないでしょうか。
 
 
──:そのほかのメリットについてはいかがでしょうか?
 
穂積:ゲームに対するユーザーの意見などは、コミュニティ内のみに留まらず各所から情報を集めており、定例会議でお伝えするようにしています。他にも、細かいポイントがあります。
 
 
経営陣への報告も意識した数値の管理
 
──:では、その細かいポイントについてもお伺いできますか?
 
穂積:まず一番は、数値を意識して運用している点です。定例会議でKPIの数値や理由に至るまでをしっかりと報告しています。ゲーム側で実施した施策がコミュニティに影響をもたらしたか、コミュニティ内の機能を追加したことでゲームに影響があったか、といった話です。数字に関しては専用のダッシュボードページを作成しており、PVや登録ユーザー数の即時確認はもちろん、週単位や月単位でサマリーできます。
 
あとは、一部カスタマイズが必要となりますが、ゲームタイトルと連動させることが可能です。ユーザープロフィールや称号、ゲーム内での強さを表す指標などをコミュニティ内に連携できます。画像やデータについても、自動で最新のものを発信できます。

 
──:今後の展望についてお教えください。
 
穂積:現在は、アプリの制作を進めています。コミュニティで成立したチームやイベントのやりとりはTwitter上でパブリックにする必要がないので、コミュニティ内で完結できるよう、チーム内とイベント参加者とのやり取りがスムーズに行えるようにする予定です。また、プッシュ通知によるコミュニケーションの強化はwebにない大きな強みになると考えています。
 
その他、コミュニティ内で頑張っている人を「コミュニティリーダー」として取り上げるようなデザインにしたいと考えています。多数の投稿を行っている人や、大会を主催している人をピックアップし、ゲームと連動してプレゼントを行えると良いなと。既に、特定のツイッターアカウントをフォローし、コミュニティに登録した方にゲーム内プレゼントを配布するという類似したシステムは「キャンペーン機能」として搭載されています。

 
──:それでは、最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
 
穂積:メーカーの皆さんに訴えたいBONDO最大のメリットは”ユーザーの継続性”です。BONDOでは、今回ご紹介させていただいた従来のコミュニティとの3つ違い、Twitter運用におけるIRISにより、ユーザーの継続率アップを実現しています。
 
:コミュニティの重要性は感じているが、具体的に何をしたらいいか分からないという方はまだまだいらっしゃると思います。弊社には、そういった部分を解決するために蓄積したノウハウがございますので、まずは気軽にご連絡をいただき、情報交換をさせていただければと思います。

 
――:本日はありがとうございました。
 


 ■関連リンク

 

BONDO(ボンド)



© sikmi Inc. All Rights Reserved