【決算まとめ】ゲーム関連企業32社の4-6月…『ドッカンバトル』のアカツキと『A3!』のアエリアが躍進 エイチームは売上高100億円に肉薄 グリーもヒット量産
4~6月の決算発表シーズンも終了し、主要モバイルゲーム企業の2017年4~6月期(一部2~4月期と3~5月期)決算が出そろった。そこで今回もゲーム関連企業32社分の決算の状況をチェックしてみたい。
なお、今回より『A3!』の貢献などでスマホゲームを軸とした業績の好転ぶりが著しいアエリア<3758>を加えた一方、昨年11月に『エレメンタルストーリー』を除く全てのゲームタイトルに関する事業とそれに関わる人材を譲渡し、収益の大半がSHOPLIST事業によるものとなったクルーズ<2138>を比較の整合性の観点から外している。
また、これまでと同様に決算期の都合で、gumi<3903>とエイチーム<3662>の数字は2~4月期と2ヶ月前の数字となっているほか、gloopsなどを含むネクソン<3659>のモバイル事業の売上高も掲載し、サイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。
今回の決算では、32社中、増収が13社、減収が19社と前四半期(増収15社、減収17社)と比べても減収企業が増加した。これは大手ゲーム各社が例年の傾向どおりに季節要因でこの四半期は減収傾向となったほか、ミクシィ<2121>、ガンホー<3765>、コロプラ<3668>などモバイルゲーム大手も苦戦する企業が目立ったことが大きい。
さらに、利益面についても赤字計上企業が前四半期と同じ9社となるなど高止まりし、18社が減益(赤字幅拡大や赤字転落を含む)となるなどトータルとして見ると、苦戦が目立つ形となっている。
ちなみに、32社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。
増収増益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、グリー<3632>、KLab<3656>、エイチーム<3662>、モブキャスト<3664>、アエリア<3758>、シリコンスタジオ<3907>、アカツキ<3932>、LINE<3938>、セガサミーHD<6460>
増収減益…オルトプラス<3672>、ケイブ<3760>、モバイルファクトリー<3912>
減収増益…ボルテージ<3639>、バンダイナムコHD<7832>、スクエニHD<9684>、コナミHD<9766>
減収減益…ミクシィ<2121>、アクセルマーク<3624>、コーエーテクモHD<3635>、enish<3667>、コロプラ<3668>、イグニス<3689>、ガンホー<3765>、ドリコム<3793>、gumi<3903>、カヤック<3904>、Aiming<3911>、エディア<3935>、サイバーエージェント<4751>、マーベラス<7844>、カプコン<9697>
それでは、まずは四半期売上高100億円以上を抽出して並べたグラフを見てみたい。このグラフを見ると、おおむね前回の1~3月期決算と並びが近い形となっているが、コーエーテクモHDが前年同期比でも減収となり、このグラフから姿を消す格好となっている。そのほか、グリーとガンホーの売上高の差が大きく縮まったのも注目されるところだろうか。
次に四半期売上高100億円未満の企業を見ると、エイチームが過去最高の四半期売上高を更新し、売上高100億円の大台に肉薄してきた。また、アカツキが売上高40億円台に乗せて、KLabやマーベラスの背中をとらえてきたほか、今回よりこの決算まとめに加えたアエリアもそのアカツキに続く規模の売上高を計上している。
続いて四半期営業利益20億円以上の企業をまとめたグラフを見てみよう。ミクシィが大幅に利益を減らした一方で、大手ゲーム各社の利益率が改善し、その差が大きく縮まっている。また、アカツキが営業利益20億円台に乗せて、コロプラとグリーに迫る格好となった。アカツキは売上高に比べて利益の伸びが大きくなっているが、これは同社の業績をけん引する『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の配信元がバンダイナムコエンターテインメントであるため、同社にとっては売り上げがネット計上となることが影響していると言えよう。
四半期の営業利益20億円未満の企業では、こちらもエイチームが営業利益17億円台と好調だったほか、アエリアもそれに続く利益額を計上した。一方でこの四半期はAimingが大幅な赤字を計上した。主力の『剣と魔法のログレス いにしえの女神』の後退に加え、パイプラインの大幅な見直しを行ってからの新作リリースに向けた過渡期ということで、先行費用が目立つ格好となっており、この赤字はこの四半期だけの一過性と言い切れないところがありそうだ。
なお、前述の通り赤字計上企業は前四半期と同じ9社となった。過去12四半期の推移における上限での横ばい推移となっており、現状は収益性に課題をかかえた企業が多いと言えるだろう。なお、前四半期の黒字から赤字に転落したのはイグニスとケイブで、逆にセガサミーHDとボルテージは黒字を回復する結果となった。
次は、モバイルゲーム大手の売上高推移と営業利益推移をまとめたグラフを見てみよう。この四半期は3四半期ぶりの減収となり、営業利益も大きく回復した前四半期に対してその前の期と同水準まで大きく落ち込む結果となった。前四半期の業績を大きくけん引したミクシィが、この四半期はその反動減で大きく落ち込んだことがストレートに反映されている。ミクシィはこの四半期の主力タイトル『モンスターストライク』(以下『モンスト』)の状況を通常期の運用レベルと位置付けており、あえて言うならば前四半期がイレギュラーなレベルで好調だったと見るべきだろう。
続いて上場SAPの売上高推移は、4四半期連続の増加となった。ただし、今回から集計に加えたアエリアの寄与度が大きく、それを除くとほぼ横ばいの推移といいった感じになる。アエリアのほかでは、エイチームやアカツキ、KLabといったところが増収に寄与している状況だ。
一方、営業利益の推移は、こちらもほぼ横ばいに近い推移ながら2四半期連続の増益となっている。しかし、前述の通り赤字企業数は前四半期と変化がなかったことから、企業間の収益性の差がやや定着しつつある状況とも言えそうだ。
ここまで市場全体の状況を見てきたが、企業間の収益力の差が前四半期と比べても拡大した感は強い。ちなみに増収増益となった企業は10社に対し、減収減益となった企業は15社あり、ある程度季節要因はあるとは思われるが、苦戦した企業が多かったのも事実だろう。
そうした中で前四半期に続きグリーがはっきりと上向いてきたのは、注目すべきところだろう。ブラウザゲームの代表格の1社とも言える同社のネイティブゲームへの転換の成功は、市場の変化が山場を越えてきた証左にも見える。
続いて、各社の個別の状況を見てみたい。今回は大手ゲーム各社が季節要因の影響を大きく受けていることもあり、減収となった企業が19社と大勢を占めている。大手ゲーム各社については、下記の記事を参照していただきたい。
▼大手ゲーム各社まとめ(参照)
ゲームソフト大手、第1四半期は6社中4社が営業増益 コナミとスクエニはモバイルゲームけん引 カプコンはライセンス収益で黒字転換に
・ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>
第1四半期(4~6月)は、前四半期比4%の増収、同42%の営業増益となったが、これはスポーツ事業がプロ野球のシーズンインとともに伸びた影響が大きい。ゲーム事業のみを見ると、同11%の減収、同22%のセグメント減益となっているが、これは前四半期は2月に配信開始した『ファイアーエムブレムヒーローズ』が大きく貢献し、売り切り型の『スーパーマリオラン』も寄与していたことを踏まえると、おおむね順調と評価することができそうだ。次の四半期は新作『歌マクロス』の動向が注目されよう。
・グリー<3632>
第4四半期(4~6月)は、新作4タイトル(『シノアリス』『アナザーエデン』『ダンまち』『シンフォギア』)が全てアプリストアの売上ランキングでTOP20に入るなど好スタートを切ったこともあり、ゲーム事業が大きく伸長し、業績はQonQで大幅に改善した。さらにこれらの新作タイトルのうち3タイトルは6月に配信開始ということで、フル寄与となる2018年6月期の第1四半期(7~9月)のゲーム事業は、引き続き好調な推移になってくることが予想される。
・KLab<3656>
主力の既存タイトルの好調で、第2四半期(4~6月)は、売上高が前四半期比8%増、営業利益は同10%と増収増益を達成した。さらに新作『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』は、6月13日に配信開始となり、第2四半期は半月分寄与した格好になるが、その後の推移から見ても第3四半期期間も一定以上の寄与が期待できそうだ。なお、今夏配信開始としている『うたの☆プリンスさまっ♪Shining Live』の開発も予定通り順調としている。
・エイチーム<3662>
第3四半期(2~4月)は、売上高が前四半期比21%増の99億700万円と100億円の大台に肉薄し、営業利益も同2.3倍の17億4800万円と大幅な増益を達成した。『ユニゾンリーグ』と『ヴァルキリーコネクト』(以下『ヴァルコネ』)の海外展開、特に『ヴァルコネ』の海外展開が大きく伸長したことがその最大の要因だ。ただし、続く第4四半期は、ライフ事業とEC事業の第3四半期が繁忙期だった反動からQonQで減収減益となる見通しとしている。
・モブキャスト<3664>
ブラウザゲームが苦戦したものの、『モバプロ2 レジェンド』や中国版の『モバサカChampion Manager』の好調でネイティブゲームの売り上げが伸びたことで、第2四半期(4~6月)は売上高が前四半期比1%増の6億8400万円となり、営業損益は前四半期の2億4900万円の赤字から2億2500万円の赤字にやや縮小した。なお、プロスポーツを題材にした作品が増えていることに伴い、減価償却費やロイヤリティの支払いが増加していることや広告宣伝費が増加していることで営業赤字計上が続く形となっている。
・アエリア<3758>
2017年12月期の連結業績予想を再上方修正するなど、子会社リベルの主力タイトル『A3!(エースリー)』の好調が同社の業績を力強くけん引している。営業利益は当初の6億円予想から17億円、35億円とまさに様変わり様相となっており、積極的に進めるM&Aによる費用増を踏まえても当面は好サイクルが続いていく可能性が高そうだ。
・シリコンスタジオ<3907>
第2四半期(3~5月)の売上高は17億8100万円(前四半期比21%増)、営業損益は1億3500万円の赤字(前四半期2億9800万円の赤字)と大幅増収・赤字幅縮小という結果になった。そうした中で、コンテンツ事業は期中に『刻のイシュタリア』と『逆襲のファンタジカ』をマイネット<3928>グループの新設子会社S&Mゲームスに譲渡した一方、『ブレイブリーデフォルト フェアリーズエフェクト』(配信はスクウェア・エニックス)が好調な滑り出しとなっており、1つの端境期を迎えた格好だ。
・アカツキ<3932>
バンダイナムコエンターテインメントとの協業タイトル『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』が米国やフランスなど海外8つの国と地域のセールスランキングで首位を記録するなど好調に推移したこともあり、第1四半期(4~6月)の海外収益は売上高が3.2倍、営業利益が3.6倍と急拡大した。その結果、全体でも売上高は4四半期連続で過去最高、営業利益は7四半期連続で過去最高を更新した。ただ、『ドッカンバトル』の比重がかなり大きく、それに続くタイトルの立ち上がりが待たれるところ。
・LINE<3938>
第2四半期(4~6月)は、売上収益は前四半期比2%増の397億円、営業利益は同3.6倍の146億円となった。ただ、この増益幅はカメラアプリケーション事業の子会社から持分法適用関連会社への承継に伴い発生したイレギュラーなものとなる。LINE広告は好調を維持しているが、コンテンツでゲームが特に縮小傾向にあることはやや気掛かりと言えよう。
・オルトプラス<3672>
第3四半期(4~6月)の売上高は前四半期比4%増の7億9300万円となり、QonQベースでは4四半期連続の増収、過去最高の売上高を達成した。期中はKADOKAWAとの協業タイトル『結城友奈は勇者である 花結いのきらめき』(『ゆゆゆい』)を6月8日にリリースし、約20日分が売上高に寄与した。一方で、『ゆゆゆい』やそのほかの新作開発費用などが膨らんでいることもあり、赤字幅は拡大した。『ゆゆゆい』がフル寄与する第4四半期はこうした収益性がどの程度改善するか注目したい。
・ケイブ<3760>
第4四半期(3~5月)は、売上高7億5400万円(前四半期比9%増)とQonQで増収となったものの、営業損益は前四半期の5000万円の黒字から1億7000万円の赤字に転落した。これは、3月に行ったテレビCMやリアルイベントなどの費用が発生したため。主力の『ゴシックは魔法乙女』は、韓国及び台湾・香港・マカオへの配信を2017年中に行う計画であり、国内と同様の成功を収めることができるのかにも関心が募るところ。
・モバイルファクトリー<3912>
主力の位置ゲームは過去最高の売り上げを達成したものの、タイトルで明暗分かれる結果となった。暗の部分と言えるのが『レキシトコネクト』で、売上・KPIの数字が社内で設定している基準に達していないとの判断から早期の償却を行った。そのため、第2四半期(4~6月)の営業利益は前四半期比25%減の1億6900万円にとどまっている。なお、第3四半期以降は、『駅メモ!』にリソースを集中し、成果点を設定した広告などに費用をかけて取り組んでいく方針だ。
・ボルテージ<3639>
第4四半期(4~6月)は、売上高が前四半期比5%減の19億6300万円と23四半期ぶりとなる20億円割れとなった。基幹シリーズのIPタイトルや新シリーズ・実験作の不調が響いた格好だ。一方で、営業利益は新シリーズや実験作の立ち上げが第3四半期で進んでいたこともあり、前四半期の1億1000万円の赤字から1億6200万円の黒字に転換している。なお、5月1日には、新ブランド“ボルテージドリーム”の第一弾タイトルとなる『アニドルカラーズ』の事前登録を開始している。
・ミクシィ<2121>
第1四半期(4~6月)は、売上高が前四半期比24%減の482億円、営業利益は同37%減の202億円と大幅な減収減益となったが、これは周年や年末年始イベントで前四半期が絶好調だった反動によるところが大きい。『モンスターストライク』を含むエンターテインメント事業は、特に目新しい材料も悪材料もなく、会社側は通常期の運用レベルと位置付けている。新作『ファイトリーグ』は課題を改修を経て、その後大型プロモを展開する方針だ。
・アクセルマーク<3624>
第3四半期(4~6月)の売上高は7億6200万円(前四半期比17%減)、営業損益は1億8100万円の赤字(前四半期6200万円の赤字)と減収、赤字幅拡大となった。主力のゲーム事業で開発を進めているゲームタイトルの費用が先行したとしており、おそらく先般配信開始となったばかりの『ディアホライゾン』(配信はスクウェア・エニックス)などの開発負担がかかっていたものと思われる。
・enish<3667>
第2四半期(4~6月)の売上高は前四半期比14.3%減の8億9400万円と20四半期ぶりに10億円を割り込んだ。また、営業損益は2億3000万円の赤字とQonQで赤字幅が拡大した。売り上げ減少の要因は、ブラウザゲームの『プラチナ☆ガール』をビジュアライズへ譲渡したことも影響している。開発中の新作『欅のキセキ』は2017年秋にリリース予定で、下期に寄与してくることが予想される。
・コロプラ<3668>
第3四半期(4~6月)は、売上高109億円(前四半期比15%減)、営業利益24億円(同33%減)とQonQで2ケタ超の減収減益となった。主力タイトルである『白猫プロジェクト』の不振と新作タイトルの投入の遅れで売上高が下ブレし、コスト抑制・削減に引き続き取り組んだものの、それをカバーするには至らなかった。新作は3本がリリースを控えている段階にあるが、これらの本格寄与は来期になってくるもようだ。
・イグニス<3689>
第3四半期(4~6月)は、売上高が前四半期比で9%減の12億8100万円、営業損益が7200万円の赤字(前四半期4700万円の黒字)と減収・赤字転落となった。主力タイトル『ぼくとドラゴン』の落ち込みに加え、新プロダクト・新規事業の開発・立上げに向けた研究開発費や、『with』を中心とした広告宣伝費、体制強化に伴うオフィス増床関連費用など費用が先行した。第4四半期は『ぼくとドラゴン』の落ち込みが一過性のものなのかどうか真価が問われるところだ。
・ガンホー<3765>
主力タイトルの『パズル&ドラゴンズ』の売り上げ減少が続き、第2四半期(4~6月)は、売上高234億円(前四半期比8%減)、営業利益93億円(同8%減)と減収減益になった。今夏に『ディバインゲート』の新章「ディバインゲート零」をスタートしてテコ入れを図るが、第3四半期も既存タイトルによる展開が基本となり、漸減傾向になりやすいものと思われる。
・ドリコム<3793>
第1四半期(4~6月)は、QonQで見ると、売上高は前四半期比5%減、営業利益は同91%減となった。売上高はおおむね横ばい推移と言えるものの、競馬シーズンに合わせて『ダービースタリオン マスターズ』の積極的なプロモーションを実施したことにより、費用が増加した。また、費用面では開発力・運用力強化に向けた採用費の増加も影響している。なお、期中は『みんゴル』(配信はフォワードワークス)と『週刊少年ジャンプ オレコレクション!』(配信はバンダイナムコエンターテインメント)がリリースとなっており、その第2四半期以降への寄与に注目したい。
・gumi<3903>
第4四半期(2~4月)は、売上高72億600万円(前四半期比4%減)、営業利益4億0900万円(同39%減)と減収減益となった。新規タイトルの開発強化などに伴い人件費と外注費が増加したことが大幅な減益の要因。足元の新作は『スマッシュ&マジック』と『セレンシアサーガ』が配信開始となっており、『ブレイブフロンティア2』の開発動向が次の注目ポイントとなってきそうだ。
・カヤック<3904>
「Lobi」の収益構造の転換を進めていることもあり、第2四半期(4~6月)はQonQで減収減益となった。なお、バンダイナムコエンターテインメントが事前登録を実施中の新作『機動戦士ガンダム 即応戦線』の開発を担当していることが明らかとなった。
・Aiming<3911>
第2四半期(4~6月)は、主力タイトル『剣と魔法のログレス いにしえの女神』がQonQで6億6300万円の減収となったこともあり、大幅減収・赤字幅拡大という結果になった。新作『CARAVAN STORIES』の開発は順調で、その他のタイトルも同様に開発は順調に進んでいるとのことだが、業績は今期の下期がボトムとなる展望であるなど、回復にはもう少し時間がかかることになりそうだ。
・エディア<3935>
第1四半期(3~5月)の売上高は前四半期比33%減とQonQで大幅な減収となり、営業損益は900万円の赤字から8500万円の赤字に赤字幅が拡大した。ゲームサービス事業で、不採算タイトルのサービスを終了したことによる売上高の減少が大きく、新作の開発費用など先行投資による負担も利益面に影響した。「らき☆スタ」や「けいおん!」などで知られる堀口悠紀子氏がキャラクター原案を担当している位置情報×ゲームの新サービス『MAPLUS++(※仮称)』の開発動向は第2四半期以降もじっくりと注目したい。
・サイバーエージェント<4751>
第3四半期(4~6月)は、売上高が前四半期比4%減の895億円、営業利益は同17%減の65億円となり、ゲーム事業を見ても売上高は同6.7%減の334億円、営業利益は同12.9%減の68億円と減収減益になった。『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』が四半期決算にフル寄与したものの、既存タイトルの売り上げが減少した。ただし、7月は既存タイトルも好調な推移となったもようで、回復が期待できそうだ。新作は『神式一閃 カムライトライブ』と『セブンズストーリー』『プリンセスコネクト!ReDive』の合計3本が第4四半期に配信開始となる見込み。
・マーベラス<7844>
音楽・映像事業が絶好調だが、 『Fate/EXTELLA』の大ヒットの反動や主力タイトル『剣と魔法のログレスいにしえの女神』の苦戦で、第1四半期の売上高は前四半期比37%減、営業利益は同63%減となった。なお、PCブラウザゲーム『天歌統一ぷろじぇくと』の収益を軌道に乗せることができず、サービスの終了を決定し、開発費用を一括計上したことも減益の要因となっている。
こうして決算全体のまとめ記事を書いていて、あらためて感じるのは『モンスト』と『パズドラ』の2強時代は終焉を迎え、各社のタイトルが覇を競い合う戦国時代のような様相を呈してきたことだ。実際に好決算を発表した企業の新作タイトルを見ると、この四半期のストアランキングを賑わせたタイトルも多い。
そうした中でも、この四半期はIPタイトルでは『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の開発を担うアカツキ、オリジナルタイトルでは『A3!(エースリー)』を子会社リベルが展開するアエリアが大きく躍進した。
また、前述のとおり、グリーがヒットタイトルを量産しており、今後はサイバーエージェントと同じような成功モデルとなっていくことも期待されそうだ。
なお、『モンスト』と『パズドラ』だけでなく、『白猫PJ』や『ログレス』も一時の勢いは無くしつつあり、市場が大きな新陳代謝のタイミングを迎えているとも考えられるのではないだろうか。
(編集部:柴田正之)
なお、今回より『A3!』の貢献などでスマホゲームを軸とした業績の好転ぶりが著しいアエリア<3758>を加えた一方、昨年11月に『エレメンタルストーリー』を除く全てのゲームタイトルに関する事業とそれに関わる人材を譲渡し、収益の大半がSHOPLIST事業によるものとなったクルーズ<2138>を比較の整合性の観点から外している。
また、これまでと同様に決算期の都合で、gumi<3903>とエイチーム<3662>の数字は2~4月期と2ヶ月前の数字となっているほか、gloopsなどを含むネクソン<3659>のモバイル事業の売上高も掲載し、サイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。
今回の決算では、32社中、増収が13社、減収が19社と前四半期(増収15社、減収17社)と比べても減収企業が増加した。これは大手ゲーム各社が例年の傾向どおりに季節要因でこの四半期は減収傾向となったほか、ミクシィ<2121>、ガンホー<3765>、コロプラ<3668>などモバイルゲーム大手も苦戦する企業が目立ったことが大きい。
さらに、利益面についても赤字計上企業が前四半期と同じ9社となるなど高止まりし、18社が減益(赤字幅拡大や赤字転落を含む)となるなどトータルとして見ると、苦戦が目立つ形となっている。
ちなみに、32社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。
増収増益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、グリー<3632>、KLab<3656>、エイチーム<3662>、モブキャスト<3664>、アエリア<3758>、シリコンスタジオ<3907>、アカツキ<3932>、LINE<3938>、セガサミーHD<6460>
増収減益…オルトプラス<3672>、ケイブ<3760>、モバイルファクトリー<3912>
減収増益…ボルテージ<3639>、バンダイナムコHD<7832>、スクエニHD<9684>、コナミHD<9766>
減収減益…ミクシィ<2121>、アクセルマーク<3624>、コーエーテクモHD<3635>、enish<3667>、コロプラ<3668>、イグニス<3689>、ガンホー<3765>、ドリコム<3793>、gumi<3903>、カヤック<3904>、Aiming<3911>、エディア<3935>、サイバーエージェント<4751>、マーベラス<7844>、カプコン<9697>
■エイチームが売上高100億円の大台に肉薄
それでは、まずは四半期売上高100億円以上を抽出して並べたグラフを見てみたい。このグラフを見ると、おおむね前回の1~3月期決算と並びが近い形となっているが、コーエーテクモHDが前年同期比でも減収となり、このグラフから姿を消す格好となっている。そのほか、グリーとガンホーの売上高の差が大きく縮まったのも注目されるところだろうか。
次に四半期売上高100億円未満の企業を見ると、エイチームが過去最高の四半期売上高を更新し、売上高100億円の大台に肉薄してきた。また、アカツキが売上高40億円台に乗せて、KLabやマーベラスの背中をとらえてきたほか、今回よりこの決算まとめに加えたアエリアもそのアカツキに続く規模の売上高を計上している。
■アカツキの営業利益がコロプラとグリーに迫る
続いて四半期営業利益20億円以上の企業をまとめたグラフを見てみよう。ミクシィが大幅に利益を減らした一方で、大手ゲーム各社の利益率が改善し、その差が大きく縮まっている。また、アカツキが営業利益20億円台に乗せて、コロプラとグリーに迫る格好となった。アカツキは売上高に比べて利益の伸びが大きくなっているが、これは同社の業績をけん引する『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の配信元がバンダイナムコエンターテインメントであるため、同社にとっては売り上げがネット計上となることが影響していると言えよう。
四半期の営業利益20億円未満の企業では、こちらもエイチームが営業利益17億円台と好調だったほか、アエリアもそれに続く利益額を計上した。一方でこの四半期はAimingが大幅な赤字を計上した。主力の『剣と魔法のログレス いにしえの女神』の後退に加え、パイプラインの大幅な見直しを行ってからの新作リリースに向けた過渡期ということで、先行費用が目立つ格好となっており、この赤字はこの四半期だけの一過性と言い切れないところがありそうだ。
なお、前述の通り赤字計上企業は前四半期と同じ9社となった。過去12四半期の推移における上限での横ばい推移となっており、現状は収益性に課題をかかえた企業が多いと言えるだろう。なお、前四半期の黒字から赤字に転落したのはイグニスとケイブで、逆にセガサミーHDとボルテージは黒字を回復する結果となった。
■モバイルゲーム大手は減収減益 前四半期の『モンスト』好調の反動が響く
次は、モバイルゲーム大手の売上高推移と営業利益推移をまとめたグラフを見てみよう。この四半期は3四半期ぶりの減収となり、営業利益も大きく回復した前四半期に対してその前の期と同水準まで大きく落ち込む結果となった。前四半期の業績を大きくけん引したミクシィが、この四半期はその反動減で大きく落ち込んだことがストレートに反映されている。ミクシィはこの四半期の主力タイトル『モンスターストライク』(以下『モンスト』)の状況を通常期の運用レベルと位置付けており、あえて言うならば前四半期がイレギュラーなレベルで好調だったと見るべきだろう。
続いて上場SAPの売上高推移は、4四半期連続の増加となった。ただし、今回から集計に加えたアエリアの寄与度が大きく、それを除くとほぼ横ばいの推移といいった感じになる。アエリアのほかでは、エイチームやアカツキ、KLabといったところが増収に寄与している状況だ。
一方、営業利益の推移は、こちらもほぼ横ばいに近い推移ながら2四半期連続の増益となっている。しかし、前述の通り赤字企業数は前四半期と変化がなかったことから、企業間の収益性の差がやや定着しつつある状況とも言えそうだ。
■減収企業が19社と大勢占める QonQでグリーの上向き転換が鮮明に
ここまで市場全体の状況を見てきたが、企業間の収益力の差が前四半期と比べても拡大した感は強い。ちなみに増収増益となった企業は10社に対し、減収減益となった企業は15社あり、ある程度季節要因はあるとは思われるが、苦戦した企業が多かったのも事実だろう。
そうした中で前四半期に続きグリーがはっきりと上向いてきたのは、注目すべきところだろう。ブラウザゲームの代表格の1社とも言える同社のネイティブゲームへの転換の成功は、市場の変化が山場を越えてきた証左にも見える。
続いて、各社の個別の状況を見てみたい。今回は大手ゲーム各社が季節要因の影響を大きく受けていることもあり、減収となった企業が19社と大勢を占めている。大手ゲーム各社については、下記の記事を参照していただきたい。
▼大手ゲーム各社まとめ(参照)
ゲームソフト大手、第1四半期は6社中4社が営業増益 コナミとスクエニはモバイルゲームけん引 カプコンはライセンス収益で黒字転換に
■増収増益組
・ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>
第1四半期(4~6月)は、前四半期比4%の増収、同42%の営業増益となったが、これはスポーツ事業がプロ野球のシーズンインとともに伸びた影響が大きい。ゲーム事業のみを見ると、同11%の減収、同22%のセグメント減益となっているが、これは前四半期は2月に配信開始した『ファイアーエムブレムヒーローズ』が大きく貢献し、売り切り型の『スーパーマリオラン』も寄与していたことを踏まえると、おおむね順調と評価することができそうだ。次の四半期は新作『歌マクロス』の動向が注目されよう。
・グリー<3632>
第4四半期(4~6月)は、新作4タイトル(『シノアリス』『アナザーエデン』『ダンまち』『シンフォギア』)が全てアプリストアの売上ランキングでTOP20に入るなど好スタートを切ったこともあり、ゲーム事業が大きく伸長し、業績はQonQで大幅に改善した。さらにこれらの新作タイトルのうち3タイトルは6月に配信開始ということで、フル寄与となる2018年6月期の第1四半期(7~9月)のゲーム事業は、引き続き好調な推移になってくることが予想される。
・KLab<3656>
主力の既存タイトルの好調で、第2四半期(4~6月)は、売上高が前四半期比8%増、営業利益は同10%と増収増益を達成した。さらに新作『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』は、6月13日に配信開始となり、第2四半期は半月分寄与した格好になるが、その後の推移から見ても第3四半期期間も一定以上の寄与が期待できそうだ。なお、今夏配信開始としている『うたの☆プリンスさまっ♪Shining Live』の開発も予定通り順調としている。
・エイチーム<3662>
第3四半期(2~4月)は、売上高が前四半期比21%増の99億700万円と100億円の大台に肉薄し、営業利益も同2.3倍の17億4800万円と大幅な増益を達成した。『ユニゾンリーグ』と『ヴァルキリーコネクト』(以下『ヴァルコネ』)の海外展開、特に『ヴァルコネ』の海外展開が大きく伸長したことがその最大の要因だ。ただし、続く第4四半期は、ライフ事業とEC事業の第3四半期が繁忙期だった反動からQonQで減収減益となる見通しとしている。
・モブキャスト<3664>
ブラウザゲームが苦戦したものの、『モバプロ2 レジェンド』や中国版の『モバサカChampion Manager』の好調でネイティブゲームの売り上げが伸びたことで、第2四半期(4~6月)は売上高が前四半期比1%増の6億8400万円となり、営業損益は前四半期の2億4900万円の赤字から2億2500万円の赤字にやや縮小した。なお、プロスポーツを題材にした作品が増えていることに伴い、減価償却費やロイヤリティの支払いが増加していることや広告宣伝費が増加していることで営業赤字計上が続く形となっている。
・アエリア<3758>
2017年12月期の連結業績予想を再上方修正するなど、子会社リベルの主力タイトル『A3!(エースリー)』の好調が同社の業績を力強くけん引している。営業利益は当初の6億円予想から17億円、35億円とまさに様変わり様相となっており、積極的に進めるM&Aによる費用増を踏まえても当面は好サイクルが続いていく可能性が高そうだ。
・シリコンスタジオ<3907>
第2四半期(3~5月)の売上高は17億8100万円(前四半期比21%増)、営業損益は1億3500万円の赤字(前四半期2億9800万円の赤字)と大幅増収・赤字幅縮小という結果になった。そうした中で、コンテンツ事業は期中に『刻のイシュタリア』と『逆襲のファンタジカ』をマイネット<3928>グループの新設子会社S&Mゲームスに譲渡した一方、『ブレイブリーデフォルト フェアリーズエフェクト』(配信はスクウェア・エニックス)が好調な滑り出しとなっており、1つの端境期を迎えた格好だ。
・アカツキ<3932>
バンダイナムコエンターテインメントとの協業タイトル『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』が米国やフランスなど海外8つの国と地域のセールスランキングで首位を記録するなど好調に推移したこともあり、第1四半期(4~6月)の海外収益は売上高が3.2倍、営業利益が3.6倍と急拡大した。その結果、全体でも売上高は4四半期連続で過去最高、営業利益は7四半期連続で過去最高を更新した。ただ、『ドッカンバトル』の比重がかなり大きく、それに続くタイトルの立ち上がりが待たれるところ。
・LINE<3938>
第2四半期(4~6月)は、売上収益は前四半期比2%増の397億円、営業利益は同3.6倍の146億円となった。ただ、この増益幅はカメラアプリケーション事業の子会社から持分法適用関連会社への承継に伴い発生したイレギュラーなものとなる。LINE広告は好調を維持しているが、コンテンツでゲームが特に縮小傾向にあることはやや気掛かりと言えよう。
■増収減益組
・オルトプラス<3672>
第3四半期(4~6月)の売上高は前四半期比4%増の7億9300万円となり、QonQベースでは4四半期連続の増収、過去最高の売上高を達成した。期中はKADOKAWAとの協業タイトル『結城友奈は勇者である 花結いのきらめき』(『ゆゆゆい』)を6月8日にリリースし、約20日分が売上高に寄与した。一方で、『ゆゆゆい』やそのほかの新作開発費用などが膨らんでいることもあり、赤字幅は拡大した。『ゆゆゆい』がフル寄与する第4四半期はこうした収益性がどの程度改善するか注目したい。
・ケイブ<3760>
第4四半期(3~5月)は、売上高7億5400万円(前四半期比9%増)とQonQで増収となったものの、営業損益は前四半期の5000万円の黒字から1億7000万円の赤字に転落した。これは、3月に行ったテレビCMやリアルイベントなどの費用が発生したため。主力の『ゴシックは魔法乙女』は、韓国及び台湾・香港・マカオへの配信を2017年中に行う計画であり、国内と同様の成功を収めることができるのかにも関心が募るところ。
・モバイルファクトリー<3912>
主力の位置ゲームは過去最高の売り上げを達成したものの、タイトルで明暗分かれる結果となった。暗の部分と言えるのが『レキシトコネクト』で、売上・KPIの数字が社内で設定している基準に達していないとの判断から早期の償却を行った。そのため、第2四半期(4~6月)の営業利益は前四半期比25%減の1億6900万円にとどまっている。なお、第3四半期以降は、『駅メモ!』にリソースを集中し、成果点を設定した広告などに費用をかけて取り組んでいく方針だ。
■減収増益組
・ボルテージ<3639>
第4四半期(4~6月)は、売上高が前四半期比5%減の19億6300万円と23四半期ぶりとなる20億円割れとなった。基幹シリーズのIPタイトルや新シリーズ・実験作の不調が響いた格好だ。一方で、営業利益は新シリーズや実験作の立ち上げが第3四半期で進んでいたこともあり、前四半期の1億1000万円の赤字から1億6200万円の黒字に転換している。なお、5月1日には、新ブランド“ボルテージドリーム”の第一弾タイトルとなる『アニドルカラーズ』の事前登録を開始している。
■減収減益組
・ミクシィ<2121>
第1四半期(4~6月)は、売上高が前四半期比24%減の482億円、営業利益は同37%減の202億円と大幅な減収減益となったが、これは周年や年末年始イベントで前四半期が絶好調だった反動によるところが大きい。『モンスターストライク』を含むエンターテインメント事業は、特に目新しい材料も悪材料もなく、会社側は通常期の運用レベルと位置付けている。新作『ファイトリーグ』は課題を改修を経て、その後大型プロモを展開する方針だ。
・アクセルマーク<3624>
第3四半期(4~6月)の売上高は7億6200万円(前四半期比17%減)、営業損益は1億8100万円の赤字(前四半期6200万円の赤字)と減収、赤字幅拡大となった。主力のゲーム事業で開発を進めているゲームタイトルの費用が先行したとしており、おそらく先般配信開始となったばかりの『ディアホライゾン』(配信はスクウェア・エニックス)などの開発負担がかかっていたものと思われる。
・enish<3667>
第2四半期(4~6月)の売上高は前四半期比14.3%減の8億9400万円と20四半期ぶりに10億円を割り込んだ。また、営業損益は2億3000万円の赤字とQonQで赤字幅が拡大した。売り上げ減少の要因は、ブラウザゲームの『プラチナ☆ガール』をビジュアライズへ譲渡したことも影響している。開発中の新作『欅のキセキ』は2017年秋にリリース予定で、下期に寄与してくることが予想される。
・コロプラ<3668>
第3四半期(4~6月)は、売上高109億円(前四半期比15%減)、営業利益24億円(同33%減)とQonQで2ケタ超の減収減益となった。主力タイトルである『白猫プロジェクト』の不振と新作タイトルの投入の遅れで売上高が下ブレし、コスト抑制・削減に引き続き取り組んだものの、それをカバーするには至らなかった。新作は3本がリリースを控えている段階にあるが、これらの本格寄与は来期になってくるもようだ。
・イグニス<3689>
第3四半期(4~6月)は、売上高が前四半期比で9%減の12億8100万円、営業損益が7200万円の赤字(前四半期4700万円の黒字)と減収・赤字転落となった。主力タイトル『ぼくとドラゴン』の落ち込みに加え、新プロダクト・新規事業の開発・立上げに向けた研究開発費や、『with』を中心とした広告宣伝費、体制強化に伴うオフィス増床関連費用など費用が先行した。第4四半期は『ぼくとドラゴン』の落ち込みが一過性のものなのかどうか真価が問われるところだ。
・ガンホー<3765>
主力タイトルの『パズル&ドラゴンズ』の売り上げ減少が続き、第2四半期(4~6月)は、売上高234億円(前四半期比8%減)、営業利益93億円(同8%減)と減収減益になった。今夏に『ディバインゲート』の新章「ディバインゲート零」をスタートしてテコ入れを図るが、第3四半期も既存タイトルによる展開が基本となり、漸減傾向になりやすいものと思われる。
・ドリコム<3793>
第1四半期(4~6月)は、QonQで見ると、売上高は前四半期比5%減、営業利益は同91%減となった。売上高はおおむね横ばい推移と言えるものの、競馬シーズンに合わせて『ダービースタリオン マスターズ』の積極的なプロモーションを実施したことにより、費用が増加した。また、費用面では開発力・運用力強化に向けた採用費の増加も影響している。なお、期中は『みんゴル』(配信はフォワードワークス)と『週刊少年ジャンプ オレコレクション!』(配信はバンダイナムコエンターテインメント)がリリースとなっており、その第2四半期以降への寄与に注目したい。
・gumi<3903>
第4四半期(2~4月)は、売上高72億600万円(前四半期比4%減)、営業利益4億0900万円(同39%減)と減収減益となった。新規タイトルの開発強化などに伴い人件費と外注費が増加したことが大幅な減益の要因。足元の新作は『スマッシュ&マジック』と『セレンシアサーガ』が配信開始となっており、『ブレイブフロンティア2』の開発動向が次の注目ポイントとなってきそうだ。
・カヤック<3904>
「Lobi」の収益構造の転換を進めていることもあり、第2四半期(4~6月)はQonQで減収減益となった。なお、バンダイナムコエンターテインメントが事前登録を実施中の新作『機動戦士ガンダム 即応戦線』の開発を担当していることが明らかとなった。
・Aiming<3911>
第2四半期(4~6月)は、主力タイトル『剣と魔法のログレス いにしえの女神』がQonQで6億6300万円の減収となったこともあり、大幅減収・赤字幅拡大という結果になった。新作『CARAVAN STORIES』の開発は順調で、その他のタイトルも同様に開発は順調に進んでいるとのことだが、業績は今期の下期がボトムとなる展望であるなど、回復にはもう少し時間がかかることになりそうだ。
・エディア<3935>
第1四半期(3~5月)の売上高は前四半期比33%減とQonQで大幅な減収となり、営業損益は900万円の赤字から8500万円の赤字に赤字幅が拡大した。ゲームサービス事業で、不採算タイトルのサービスを終了したことによる売上高の減少が大きく、新作の開発費用など先行投資による負担も利益面に影響した。「らき☆スタ」や「けいおん!」などで知られる堀口悠紀子氏がキャラクター原案を担当している位置情報×ゲームの新サービス『MAPLUS++(※仮称)』の開発動向は第2四半期以降もじっくりと注目したい。
・サイバーエージェント<4751>
第3四半期(4~6月)は、売上高が前四半期比4%減の895億円、営業利益は同17%減の65億円となり、ゲーム事業を見ても売上高は同6.7%減の334億円、営業利益は同12.9%減の68億円と減収減益になった。『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』が四半期決算にフル寄与したものの、既存タイトルの売り上げが減少した。ただし、7月は既存タイトルも好調な推移となったもようで、回復が期待できそうだ。新作は『神式一閃 カムライトライブ』と『セブンズストーリー』『プリンセスコネクト!ReDive』の合計3本が第4四半期に配信開始となる見込み。
・マーベラス<7844>
音楽・映像事業が絶好調だが、 『Fate/EXTELLA』の大ヒットの反動や主力タイトル『剣と魔法のログレスいにしえの女神』の苦戦で、第1四半期の売上高は前四半期比37%減、営業利益は同63%減となった。なお、PCブラウザゲーム『天歌統一ぷろじぇくと』の収益を軌道に乗せることができず、サービスの終了を決定し、開発費用を一括計上したことも減益の要因となっている。
■まとめ
こうして決算全体のまとめ記事を書いていて、あらためて感じるのは『モンスト』と『パズドラ』の2強時代は終焉を迎え、各社のタイトルが覇を競い合う戦国時代のような様相を呈してきたことだ。実際に好決算を発表した企業の新作タイトルを見ると、この四半期のストアランキングを賑わせたタイトルも多い。
そうした中でも、この四半期はIPタイトルでは『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の開発を担うアカツキ、オリジナルタイトルでは『A3!(エースリー)』を子会社リベルが展開するアエリアが大きく躍進した。
また、前述のとおり、グリーがヒットタイトルを量産しており、今後はサイバーエージェントと同じような成功モデルとなっていくことも期待されそうだ。
なお、『モンスト』と『パズドラ』だけでなく、『白猫PJ』や『ログレス』も一時の勢いは無くしつつあり、市場が大きな新陳代謝のタイミングを迎えているとも考えられるのではないだろうか。
(編集部:柴田正之)
会社情報
- 会社名
- グリー株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632
会社情報
- 会社名
- 株式会社アエリア
- 設立
- 2002年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 長嶋 貴之/代表取締役社長 小林 祐介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高226億7100万円、営業利益4億7300万円、経常利益7億5200万円、最終利益4億8000万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3758
会社情報
- 会社名
- 株式会社エイチーム
- 設立
- 2000年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 林 高生
- 決算期
- 7月
- 直近業績
- 売上高239億1700万円、営業利益5億6200万円、経常利益6億900万円、最終利益9億5300万円(2024年7月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3662
会社情報
- 会社名
- 株式会社アカツキ
- 設立
- 2010年6月
- 代表者
- 代表取締役CEO 香田 哲朗
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高239億7200万円、営業利益26億7600万円、経常利益28億3400万円、最終利益12億8800万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3932