【モバイルファクトリー決算説明会】『駅メモ!』は地方創生やエンゲージメント重視の取り組みを推進 新作は「来期に向けて開発中」(深井氏)
モバイルファクトリー <3912> は、10月20日、東京都内で決算説明会を開催した。同日発表した2017年12月期の第3四半期累計(1~9月)の連結決算は、売上高17億4700万円(前年同期比18.0%増)、営業利益5億4500万円(同18.2%増)、経常利益5億3200万円(同15.1%増)、四半期純利益3億6700万円(同20.4%増)となった。
説明会では、同社の宮嶌代表取締役CEOは今回育休を取得中であるため、深井取締役が壇上に立ち、今回発表された2017年12月期第3四半期(1~9月)決算における注目のポイントを説明した後、質疑応答が行われた。その質疑応答の内容なども踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
■プロモ体制刷新し、『駅メモ!』のユーザー数拡大に注力
まずは第3四半期期間(7~9月)の業績を四半期推移(QonQ)で見てみると、売上高は前四半期比4.2%減の5億6800万円、営業利益は同11.8%減の1億4900万円、経常利益は同4.5%減の1億4900万円、四半期純利益は同3.7%減の1億300万円となった。
同社は、この第3四半期からプロモーション体制を刷新しており、これまでよりも積極的にユーザー獲得へと動いた結果、主力タイトルである『ステーションメモリーズ!』(以下『駅メモ!』)は、「ユーザー数が伸び、足元10月も過去最高のDAU(日次アクティブユーザー数)を更新している」(深井氏)とのこと。ただ、その一方で、ユーザー数の拡大を最優先し、現状は課金ユーザーを増やしていくような施策には積極的には注力しておらず、課金率が相対的に低下したことが減収という結果につながった。
一方、利益面については、その積極的なプロモ展開により、広告宣伝費が前四半期の8600万円から1億4600万円に増加したことが大きく影響した。なお、前四半期に5000万円を計上した減価償却費については、この四半期は400万円に減少している。
■『駅メモ!』はDAUが過去最高に エンゲージメント重視の取り組みも推進
次に同社の主力サービスである位置ゲームの状況を見てみよう。位置ゲームの第3四半期期間の売上高は前年同期比で2600万円の減収となった。前述のとおり、『駅メモ!』はDAUこそ過去最高の更新基調が続いているが、まだ新規ユーザーが課金ユーザーへと育ってきていないことで、既存ユーザーも含めた課金率が低下しているようだ。
なお、もう1つの重要指標である継続率については「目に見えて落ちてはいない」(同)としており、まずはユーザーが定着するという形では同社のプロモーション方針の変更は順調な成果を残し始めていると言えそうだ。
また、『駅メモ!』については、奈良県とのコラボイベントの実施に加え、嵯峨野観光鉄道や北神急行電鉄とのコラボイベントも開催するなど地方創生の取り組みが順調に進んでいる。また、エンゲージメントを重視した取り組みにも注力しており、この四半期はコラボカフェの実施やコミカライズなども行った。
■新作は「来期に向けて開発中」(深井氏)
なお、2017年12月期通期の連結業績予想については、従来予想から変更なく、売上高24億8600万円(前期比20.0%増)、営業利益7億6100万円(同24.6%増)、経常利益7億4700万円(同22.2%増)、当期純利益5億1600万円(同25.4%増)の見込み。
新作については、「来期に向けて開発中」(同)とし、今期は新たな動きはないようだ。
第3四半期実績で見た通期予想対比の進捗率は、売上高が70.3%、営業利益が71.7%、経常利益が71.2%、当期純利益は71.2%となっており、会社側ではおおむね計画通りの推移としている。
■まとめ
『駅メモ!』における積極的なプロモーション施策はアクティブユーザー数の増加という形で確かな成果を発揮しているようだ。ちなみに同社は第4四半期も「効果さえあえば躊躇なく(広告宣伝費を)出していきたい」としており、今後もアクティブユーザーの順調な拡大が続きそうだ。
その一方、課題となるのはこの獲得した新たなユーザーをどう課金ユーザーに育てていくかであり、そのステップを意識した施策に進むタイミングを同社がどこに設定してくるかも第4四半期以降の注目ポイントとなってこよう。
(編集部:柴田正之)
会社情報
- 会社名
- 株式会社モバイルファクトリー
- 設立
- 2001年10月
- 代表者
- 代表取締役 宮嶌 裕二
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高33億7000万円、営業利益9億4500万円、経常利益9億4000万円、最終利益ゼロ(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3912