【Aiming決算説明会】『ログレス』は「ユーザーの熱量が減少している」(椎葉社長)ことが課題 『キャラスト』は海外版と家庭用ゲーム版の開発も進行中


Aiming<3911>は、4月27日、東京都内で2018年12月期の第1四半期(1~3月)の決算説明会を開催した。説明会に先立ち発表された第1四半期決算は、売上高19億6900万円(前年同期比4.2%減)、営業損益6億7800万円の赤字(前年同期1億3400万円の赤字)、経常損益6億9200万円の赤字(同1億2700万円の赤字)、最終損益6億9400万円の赤字(同1億2900万円の赤字)と減収、赤字幅拡大という結果になった。

決算説明会では、同社の椎葉忠志社長(写真)がまずは説明を一通り行い、その後に質疑応答が行われた。今回はその内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■QonQでは『キャラスト』のフル寄与で増収に


まずは業績を四半期推移(QonQ)で見てみると、売上高は前四半期比6.9%増、各利益項目は赤字幅縮小となった。売上高がQonQで増収となったのは、昨年11月28日に配信開始した最新作『キャラバンストーリーズ』(以下『キャラスト』)が前四半期は約1ヵ月分の寄与だったのに対し、この第1四半期は3ヶ月分フル寄与したことが大きい。ただその半面、主力の『剣と魔法のログレス いにしえの女神』(以下『ログレス』)は、昨年12月に周年イベントを実施した反動により売上高が減少した。
 

続いて売上原価と販売管理費の推移を見ると、売上原価が約2億円減少しているのが目立つ。これは、『キャラスト』リリースに向けて膨らんでいた外注費が通常化したことに加え、IPコラボの減少による版権使用料の減少、ライセンスインタイトルの契約金の一部の償却がなくなったことなどが影響している。

また、広告宣伝費は、『キャラスト』のTVCMを展開したものの、その他タイトルの広告宣伝費を抑制したことでトータルでは前四半期比で9400万円減少した。前四半期は『ログレス』の周年イベントの広告を実施していたことによる反動減という部分も大きいようだ
 
 

■『ログレス』は「DAUは上昇傾向も売り上げが伸びず」(椎葉社長)


次に各タイトルの状況を見てみたい。主力タイトルの『ログレス』は、「DAUは上昇傾向も売り上げが伸びてない」(椎葉社長)という状況だ。「ユーザーの熱量が減少している」(同)と分析しており、その熱量を高めるような施策をどう展開するかが大きな課題となっている。

また、英語版『ログレス』については、運営体制の大部分をフィリピン子会社に移管するなど、コストの適正化を目指した取り組みを進めているという。
 


一方、最新作の『キャラスト』は、4月3日に100万DLを突破したものの、「堅調にとどまっている」(同)とし、特に売り上げ面で期待していた水準には達していないもよう。こうした状況を改善すべく、4月19日にPC版の配信を開始したほか、現在は海外版と家庭用ゲーム版の開発も進めているという。海外版は中国向けを視野に入れており、台湾向けを自社配信、中国本土向けを現地パートナーを通じて行うことを目指しているとのこと。
 

 

■プロジェクトの見直しでパイプラインは6本から5本に減少


新作のパイプラインは、「3月くらいからプロジェクトの見直しを行った」(同)結果、これまでの6本から5本に減少した。「Aimingと開発会社で共同で開発を進めていたタイトルを他社に譲渡する方針」(同)だという。

また、大手ゲーム会社と共同開発の大型MMORPG、自社開発のMMOSRPG、アニメ系IPタイトルはこれまで通り2018年内の配信予定であるものの、自社開発のMMORPGタイトルとゲーム系IPタイトルが2019年配信予定にリリース時期が変更となった。タイトルのクオリティアップに取り組んでいるほか、家庭用を含めた市場全体のリソース不足も開発人員の確保という点で大きな課題となっているとのことだ。
 

一方、サービス中タイトルの整理やコストの適正化にも踏み込み、『ルナプリ from 天使帝國』と『ひめがみ絵巻』、そして繁体字版『ぐるぐるイーグル』のサービス終了を決定した。さらに国内版『ぐるぐるイーグル』のサービス移管も決定したほか、 『幻塔戦記グリフォン~新章~』のサービスについても移管を予定しているという。
 

■『キャラスト』のプロモを引き続き積極的に実施


なお、2018年12月期通期の連結業績予想は非開示としており、同社は第2四半期累計の業績予想を開示。第2四半期累計は、売上高38億6800万円(前年同期比6.9%増)、営業損益10億6100万円の赤字、常損益10億7900万円の赤字、最終損益10億8300万円の赤字を見込んでいる。

また、これを四半期推移で見ると、第2四半期期間(4~6月)は売上高18億9800万円(前四半期比3.6%減)、営業損益3億8300万円の赤字、経常損益3億8600万円の赤字、最終損益3億8800万円の赤字の見込みとなる。既存タイトルのKPI推移を考慮して減収を予想し、赤字幅は縮小するものの、引き続き『キャラスト』のプロモーションを積極的に実施することで赤字計上が続く計画となっている。
 

なお、四半期ベースでの黒字化については、「具体的に答えることはできないが、今後予定されているタイトルをリリースすることで、できるだけ早い時期の黒字化を目指す」(同)としていた。
 
(編集部:柴田正之)