ドリコム<3793>は、10月31日、第2四半期(18年7~9月)の連結決算を発表したが、四半期ベースでは減収・赤字幅縮小となった。発表した決算は、売上高26億9500万円(前四半期比QonQで5.9%減)、営業損益1億6100万円の赤字(前四半期実績は4億1700万円の赤字)、経常損益3億1100万円の赤字(同5億1200万円の赤字)、最終損益1億5000万円の赤字(同5億0400万円の赤字)となり、減収・赤字幅縮小となった。
内藤裕紀社長は、過去何度か業績的に苦しい時期を迎えて短期的に改善を行っており、3ヶ月から半年ほどの期間で業績改善を成功させてきたが、今回、過去と異なる点として、「enza」に継続的に大規模な投資を行っていることがあると述べた。このため、業績改善に時間を要しており、想定としては9カ月から12カ月で業績の改善を進めているとのことだった。
まず、売上高から見ていくと、前四半期比でQonQで5.9%減の26億9500万円だった。同社では、他社と共同で取り組むIPゲームに関して、開発フェーズで成果物を製作委員会などに納品している。これによって、売上高と同額の費用を計上しているが、この四半期ではその分が減ったという。前四半期では納品分の売上が多く計上されていたこともあり、運営中のアプリからの売上だけを見ると「むしろ伸びている」(内藤 裕紀社長)という。
アプリマーケットは市場規模が横ばいで推移する中、既存の人気タイトルとアジア系のタイトルのシェアが高い一方で、新規タイトルが入りづらい状況にあり、このトレンドは来年も続くと分析。こうしたなか、収益の良好な既存タイトルを中心に大型アップデートを行うなどサービスの改善を行い、収益性を高めてきたとのこと。不採算アプリについては収益性の改善を進めている最中にあるそうだ。
営業損益は1億6100万円の赤字となり、前四半期実績の4億1700万円の赤字から縮小した。採算性の悪いタイトルの改善や、収益性の高いタイトルの伸長などの取り組みが改善したことに加えて、研究開発費が大幅に減ったことによる。前四半期において、既存ゲームアプリの大型改修投資について、監査法人からの指摘で資産計上ではなく、研究開発費として費用処理していた経緯がある。
なお、気になるのは、「enza」の状況だ。プラットフォームの決済プロセスなどの改修を行っているという。かつてのAppleやGoogleのプラットフォームのように引き続き改善していく予定だが、直近の取り組みの成果もあって「数字上でも改善の結果が見えてきた」。そして「下期のどこかのタイミングでプロモーションを継続的にできるようになるのではないか」とした。これまでサービス改善を優先し、大きなプロモーション活動は行っていなかったが、徐々に収益化に向けた取り組みも強化するようだ。投資額(赤字額)については増えているが、第2四半期をピークとして次の四半期から下がっていく、とした。
このほか、経常損益については、営業損益の赤字幅学少々したことにより改善した。同5億1200万円の赤字から3億1100万円の赤字に縮小した。営業損益に比べて赤字幅が大きくなっているが、これはBXDの持分法投資損失が計上されたことによる。最終損益は、5億0400万円の赤字から1億5000万円の赤字へと大きく減ったが、経常損益の改善に加えて、ストックオプション関連で特別利益が発生したことによる。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793