コロプラ<3668>は、本日(8月13日)、『最果てのバベル』のセールスランキング操作、いわゆる「課金ブースト」に関する調査報告書を開示した。この調査報告書は、『最果てのバベル』に関して、同社従業員2名がセールスランキングの操作を目的として、自社費用でもって取引先が「課金」することを依頼し、実施していた件についての調査したものとなる。6月26日から8月12日まで、取引データと関連資料の閲覧、インタビュー、アンケート、ホットラインの設置などを通じて行なったとのこと。
報告書によると、マーケティング本部の本部長がかねてより取引先であったWeb広告会社に発注し、『最果てのバベル』について847万8000円の「課金」を依頼したという(発注額は税込みで1080万円)。発注にあたって、広告宣伝の一環として、ゲーム攻略サイトの立ち上げを発注したものとすればやりやすくなると考えたという。
Web広告会社は、配信翌日にiOS端末700~1000台を使用して一般のユーザーに近い動きになるよう、1台あたりのか金額を分散させようとしたところ、調達できたのはレンタル端末200台でそのうちIDが追加できたのは135台のみだった。そこにスタッフの私用端末14台を加えて合計149台を使ったとのことだった。また発覚しないよう従業員8名を選定して行なったという。また実際にゲームを進めながら課金するように指示したが、そのとおりに実行されず、精霊石も使用されなかった。
関係者の関与に関しては、マーケティング本部の2名はその内容について知っていたが、取締役1名が具体的な内容については説明を受けなかったものの、その内容についてはチャットなどのやり取りから事前に認識していた可能性が高いとした。また、この件が発覚したのは、匿名の情報提供がきっかけだったという。
法的評価については、景表法に関しては優良誤認表示の禁止に抵触する可能性があるが、実際のセールスランキングの動きを見ると、「著しく優良」といえるほど誤認表示をしたものとはいえないが、本件によって実際よりも好評なものと誤認させることになった可能性は否定できないとした。またApp Storeの規約に直接的に抵触するかどうかはともかく、不適切な行為と評価した。
もう一つ気になる点としては、他のタイトルで行なっていたのかどうか、という点だ。『プロ野球バーサス』と『PaniPani-パラレルニクスパンドラナイト- 』『ディズニーツムツムランド』『アリス・ギア・アイギス』『DREAM!ing』『バクレツモンスター』で、不正に使われたユーザーのIDや、そのIDに類似する行動を抽出し、他のタイトルでもデータ照合を行なったところ、類似した特徴を有するユーザー課金データは確認できなかったとのこと。
なお、今回の経緯について、マーケティング本部の本部長が他社で自己負担で「課金」を行い、セールスランキング上昇を狙った「課金ブースト」が海外系他社ゲームで恒常的に行われているとの風評を耳にし、機会があれば実施してみたいと興味を持つようになったことがあるという。ランキングが上がればゲームメディアで取り上げられることで注目を集めて話題にも上がりやすくなり、アーリーアダプター層の獲得につながると考えたことがあるとした。
また、原因としては、コンプライアンス意識の不十分さや、稟議手続きの脆弱さ、広告宣伝費の実際の使途が担当外メンバーから見えづらい環境にあること、業未記述書のプロセスに従わない発注行為などがあると指摘。再発防止のため、コンプライアンス教育や稟議手続きの見直し、内部監査室と担当取締役によるモニタリングの強化、ITシステムにおるモニタリングの強化などをあげた。
会社情報
- 会社名
- 株式会社コロプラ
- 設立
- 2008年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3668