【イベント】3000人以上が集まった『遊☆戯☆王』大型大会をレポート…『遊戯王 OCG』『遊戯王 デュエルリンクス』プロデューサーにこれまでの振り返りをインタビュー
コナミデジタルエンタテインメントは、11月3日、幕張メッセにて、『遊☆戯☆王』シリーズのイベント「YU-GI-OH! CHAMPIONSHIP SERIES JAPAN」、「遊☆戯☆王デュエリストフェスティバル」を開催した。
本イベントは二つの大型イベントが同時開催されており、「YU-GI-OH! CHAMPIONSHIP SERIES JAPAN」(以下、「YCSJ」)では抽選応募で集まった3,000名で繰り広げられる『遊戯王オフィシャルカードゲーム』(以下、『OCG』)のトーナメント大会となる。
また、「遊☆戯☆王デュエリストフェスティバル」では『OCG』の他、モバイルアプリの『遊戯王 デュエルリンクス』(以下、『デュエルリンクス』)の大会や交流会が行われた。
【特設サイト】
https://www.konami.com/yugioh/ycsj-df/
本稿では、3,000名以上が集まった会場を取材。20周年を迎えた『OCG』と3周年を迎える『デュエルリンクス』。今でも盛り上がりを見せる『遊☆戯☆王』シリーズについて『OCG』プロデューサー福田寛志氏と『デュエルリンクス』シニアプロデューサー片岡健一氏のインタビューを実施。その模様を紹介していく。
◼︎楽しみ方があった大会…3,000名以上のデュエリストが集まった大型祭典
本イベントでは、開場早々に多くのデュエリストが来場していた。会場では様々なコーナーが施され、デュエルを楽しむ人や物販列に並ぶ人、デュエリスト同士の交流を様々な層がいた。
▲会場の入り口付近には歴代キャラクターがお出迎え
午後からは「遊☆戯☆王デュエリストフェスティバル」の大会も開催された。開始前から参加者が多く集まり、『OCG』部門『デュエルリンクス』部門それぞれに長蛇の列ができていた。
大会形式はデュエルスタジアム方式という勝敗に応じたクラス分けにて進められていき、最後は予選上位8名によるトーナメントが実施された。
会場や配信にて観戦をしているものも多く見られた。
◼︎人それぞれの楽しみ方が見出せる環境を皆で築けたからこその『遊☆戯☆王』シリーズ
本イベント時に、SocialGameInfoでは福田寛志氏と片岡健一氏にインタビューを実施。『遊☆戯☆王』シリーズの振り返りや今後の展望について伺ってきた。
株式会社コナミデジタルエンタテインメント
『遊戯王 デュエルリンクス』
シニアプロデューサー
片岡 健一氏(写真右)
『遊戯王オフィシャルカードゲーム』
プロデューサー
福田 寛志氏(写真左)
――:今イベント全体を振り返っていかがでしょうか。
福田氏(以下、福田):今回のイベントは1日遊戯王でお客様に楽しんでいただくというイベントでしたが、朝から数多くのお客様にご来場いただき、本当にありがたいという一言ですね。
――:3,000名以上の来場者がいるそうですね。
福田:YCSJでは3,000名以上に出場いただいており、更に遊☆戯☆王デュエリストフェスティバルにお越しいただいている方もおりますので、かなり大規模なイベントになったと思います。
片岡氏(以下、片岡):私自身、YCSJは見たことがあったのですが、デュエリストフェスティバルは初めてなんです。これほどご来場いただくイベントだったのかと驚いています。自分たちが作ったゲームでこれだけ多くの人と直接会える機会は大変貴重ですね。作り手冥利に尽きます(笑)。
――:『遊☆戯☆王』シリーズでは全国大会など様々な大会がありますが、遊☆戯☆王デュエリストフェスティバルでは、世界大会との違いや位置付けはどのように考えていますか。
福田:Yu-Gi-Oh!World Championship(WCS)ではフィジカルとデジタルの部門共に、競技として世界一を決める趣旨ですが、YCSJや遊☆︎戯☆王デュエリストフェスティバルではもう少し幅広いお客様に遊戯王を楽しんでもらう大会イベントという位置付けです。
その特徴の一つとして、YCSJでは予選で勝ち抜く形式でなく、抽選による出場となっています。
もちろんNo.1を目指すという方もいますが、大会に初めて出た方が参加すること自体が楽しかったという声もいただけていますので、そういった機会も大切にしたいと思っています。
フェスティバルではもっと遊びの幅が広く、フリーで一日中デュエルを楽しんでもらえたり、『デュエルリンクス』を遊ばれている方ではリアルの場を楽しむことや他のデュエリストとの関わりを楽しんで頂けているかなと思います。
片岡:『デュエルリンクス』はオンラインのゲームなので、普段こうして顔を合わすことがないので、顔を見ながらオンラインゲームをするというのがある種新鮮かなと思います。大会でも決勝大会でないと直接相対することはないですからね。
福田:もちろんいろいろな目的の方がいらっしゃるので参加者の方それぞれで楽しまれていると思います。
――:『デュエルリンクス』は間も無く3周年、『OCG』では20周年になります。それぞれ振り返ってみていかがでしょうか。
福田:1999年の2月4日に『OCG』が生まれて、今年で20周年を迎えました。この10月にはカードが1万種を突破し、「20周年1万種突破」ということで本当にありがたいなと思います。こういったイベントに多くの方々が参加していただいたことでより実感できますね。
片岡:『デュエルリンクス』では、以前にインタビュー(関連記事)をしていただいた際は1,300万DLを突破した頃でしたが、先日1億ダウンロードを突破することができました。ゲーム内では海馬から"まだまだ"と言われていますが(笑)。
3周年を迎えるにあたってもっともっと面白いものを届けないといけないなぁと気が引き締まりますね。
――:昨今スマホゲームでは作品が長く愛される為の「ファンコミュニティマネジメント」というものが注目されています。その観点からのお伺いしたいのですが、『遊☆戯☆王』シリーズがここまで続いている要因というのはどうお考えでしょうか。
福田:高橋先生原作による世界観の深さと、アニメも続いていて多くのファンがいらっしゃるというのがもちろん大きいこともありますが、リアルでのコミュニケーションというものがフィジカルデジタル問わず求められているからだと感じます。
『OCG』のようなフィジカルの分野だと、販売店様もデュエルスペースといった遊ぶ場を長く作って維持していただいてきたからこそだと思います。ファンの方や販売店様など多くの人に支えられてきたからこそ、ここまで続けてきてこれたのだと思います。
――:リアルでの関わりが要因であり、販売店やファンの方々とその環境を維持してきてこれたからこそなんですね。
片岡:『デュエルリンクス』では良いタイミングで配信することができ、フィジカルとは良い関係で盛り上げていけています。社会人になって『OCG』を遊ぶ機会がなくなり、やりたくてもやれないという人がいらっしゃる中、スマホで遊ぶことができるようになったのは大きいと思います。
その背景から『デュエルリンクス』をリリースした当初はデュエルモンスターズシリーズを中心にしたクラシックなカードを展開しました。
多くの方が「懐かしい」と楽しんでいただき、こちらが伝えたかったことがうまく伝わったのかと思います。そこで多くの人が復帰してくれたりと、反響があったのが嬉しかったです。
――:『OCG』と『デュエルリンクス』のデュエリストでは、それぞれ違いや関係性はあるのでしょうか。
福田:それぞれを遊んでいるももちろんいらっしゃいますね。全体で見ると、どちらかに力を入れている方が多いと思います。ただ、『デュエルリンクス』が出たことで間違いなく『OCG』にも良い影響が出ていますね。
片岡:『デュエルリンクス』を出そうとした当時に、社内から懸念が挙がっていたのが、「『OCG』と競合するのではないか」という声です。
『OCG』のデュエリストや規模が落ちてしまうのでないかという不安があったのですが、実際はそんなことはなかったです。むしろ相乗効果を生み出している結果となり、デュエリスト人口の底上げが実現しました。
福田:片岡が言っている通り、子供の頃に『OCG』を楽しんでいた人たちが電車やちょっとした空き時間でも楽しめるようになったんです。そして、『デュエルリンクス』を遊んでいる方が『OCG』もはじめる。その逆に、『OCG』をやっている方が『デュエルリンクス』をはじめるという方も増えたんです。
片岡:実際に、本日も『デュエルリンクス』世界チャンピオンであるコバヤシ シュウヘイ選手がYCSJに参加しています。
――:コバヤシ選手も参加されているんですか。
福田:今年ドイツで開催された世界大会の『デュエルリンクス』部門チャンピオン(関連記事)ですが、彼もかつては『OCG』を遊んでいた一人です。世界大会時の『OCG』部門の対戦に触発されて再び始めたそうです。今回のYCSJでも出場しており、勝つこともできたそうです(笑)。
――:すごいですね(笑)。本当にフィジカルとデジタルを共に楽しんでいる方が増えたのですね。
福田:原作やアニメの世界観というベースもあり、様々なゲームを通じて楽しむことができることで、入り口が広がっておりそれぞれの遊び方で楽しんで頂けているのかと思います。
――:ひとつのコンテンツから様々な拡がりが出て、それぞれで楽しんで頂けているのは、作品として理想の形ですね。
福田:目的が一つじゃないということが長く続けてこられた理由でもあるのかなと思います。
世界No.1を目指したい方もいればデュエリスト同士の関わりが好きな方、カードをコレクションするのが好きな方。人によって色々楽しみ方を見いだせることができる環境を維持できているのは本当に熱い想いをもったファンの方々のお陰だと思っています。
▲対戦の他にも談笑で盛り上がるデュエリストもいた。
――:デジタルの分野ではeスポーツも盛んになってきました。先ほどのファンコミュニティとeスポーツとの関係性については感じることはございますか。
片岡:今年の世界大会で印象的だった場面があったんですけど、決勝戦でファイナリストの二人が対戦している中、それまでに敗れ去った18人がステージの前で応援しているんです。どちらが勝っても負けても盛り上がり、声を挙げて応援しているんですよね。
福田:世界各国の人が応援していましたね。
片岡:その場面がすごく印象的だったんです。普段、オンラインで顔を合わせないのに、まるで友達のように会話をし、対戦が終わってもお互いを称えあっているんです。
『デュエルリンクス』ではこれまでに実際に会ったことがなくとも、過去に何度もネット上で出会っているんですよね。そして、強いデュエリスト同士はお互いに情報は入っているので、会う前から知っています。なので、決勝大会は彼らにとって壮大なオフ会になっているんですよ。
――:会わずとも絆ができているんですね。
片岡:初めて会うんだけど、これまで何度も会っているかのような感覚があるんでしょうね。また、決勝大会で出場している人は一人で戦っている訳ではないんです。
――:一人ではないとおっしゃいますと。
片岡:彼らはコミュニティの代表者なんですよ。それぞれがチームに所属しています。なので、残りのメンバーが勝たせるために、対戦相手の分析も行っていたりしているんですよね。調査や分析を行って、出場選手にアドバイスをしているんです。
――:完全なチーム戦になっているんですね。
片岡:オンラインだからこその絆が生まれるという『デュエルリンクス』ならではの可能性をみることができました。ゲームの楽しみ方としても今後発展させることができるのではないかと思ったのが印象的でしたね。
福田:フィジカルで三人一組で戦うチーム戦があり、有名なプレーヤーは世界各国にもいて、皆がリスペクトしています。そういったコミュニティは大切にしていきたいですね。
片岡:eスポーツとしては、視聴コンテンツとしても楽しませる必要もあります。第三者から見て面白いと思える演出は必要不可欠だと思いますね。原作のような演出は日々研究しています。
福田:YCSJの64名のデュエリストが決勝トーナメントに進出しますが、その模様は生配信されています。将来的に原作のデュエルディスク・ソリッドビジョンのような演出も実現できれば、フィジカルの場でも見て楽しめる要素が大きくなると思います。
片岡:『遊☆戯☆王』はVRやARとはかなり相性が良いと思います。スマホはVRゴーグルとしても活用はできるので、その分野も研究していきたいですね。
――:それこそまた新しい楽しみ方が増えて、全体としても盛り上がるでしょうね。最後に一言いただけますでしょうか。
福田:改めて、20周年を迎えたのは長く愛していただいているファンの皆様のおかげだと思います。我々はその想いに応えていくのが絶対だと思いますので、これからも色々なニーズに応えられるような遊び方や商品を展開していきたいので、今後ともよろしくお願いします。
片岡:『デュエルリンクス』はアニメや原作が好きだった方でも楽しめるようにしています。5D’sシリーズ・シンクロ召喚まで展開していますが、これからも新しいシリーズなども提供していき多くの人に楽しんでいただけるようにしたいです。
またコミュニケーションの場も盛り上げていけるような場所や仕組みを作っていきたいと思います。その為にはファンの皆様の声が非常に参考になります。私たちはお客様相談室に寄せられたご意見なども世界各国のもの全て共有しています。
ファンの方の声もいただくことで一緒に『デュエルリンクス』を作っていきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします。
――:ありがとうございました。
©高橋和希 スタジオ・ダイス/集英社 企画・制作/KONAMI
©高橋和希 スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・NAS
©Konami Digital Entertainment
会社情報
- 会社名
- 株式会社コナミデジタルエンタテインメント
- 設立
- 2006年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 東尾 公彦/代表取締役社長 早川 英樹
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1940億1100万円、営業利益336億4700万円、経常利益348億9300万円、最終利益278億2800万円(2023年3月期)