2019年も残すところあと数日……。"5Gの時代が来る"と言われる2020年のスマートフォンゲーム業界は、どのように変化していくだろうか。これまで実現できなかった大容量通信により、遊びにも新たな革命が起きるかもしれない。先を見据えるためにも、ここで改めて今年1年でスマートフォンゲーム業界にどのような動きがあったのかを振り返りたい。しかし、可処分時間が少ないと囁かれる昨今、多忙な1年を過ごしてきて重要なニュースを見落としているかもしれない、という人も多いのではないだろうか。
そこで、Social Game Infoでは1年の締めくくりとして、2019年のスマートフォンゲーム業界の動向をおさらいする特集を実施。本稿では、2019年1月~12月のPVランキングTOP10を集計して気になった出来事を月別に振り返っていく。
アエリア<3758>の子会社だったアスガルドが解散したことを報じた記事が1位だった。アエリアは、サイバードやリベル・エンタテインメントなど買収した企業の成長で収益が大きく伸びたものの、エイタロウソフトのように、期待した成果をあげることができずにグループから外されて倒産してしまうケースもみられた。
また、2018年12月にリリースされたスクウェア・エニックスとアカツキ<3932>の新作『ロマンシング サガ リ・ユニバース』のほか、『Fate/Grand Order』における年末年始の各種施策が大きく注目された。また、サイバーエージェント<4751>が第1四半期(18年10~12月)で大幅な減益となったことも話題となった。
そのほか、直接的にゲーム業界に関するニュースではないものの、ドワンゴの「競馬予測AI Mamba 2nd Season」の結果を報じた記事に注目が集まったのも興味深いところだ。昨今では、バンダイの『ゼノンザード』など、スマホゲームにもAI技術を活かしたタイトルが登場しており、技術革新の面からもクリエイターたちの注目度が高くなっているようだ。
2月はBANDAI SPIRITSとバンプレストの合併によるバンプレスト解散を報じた記事に最も注目が集まった。両社ともにバンダイナムコホールディングスの傘下として、BANDAI SPIRITSは、ハイターゲット向けのフィギュアやプラモデル、コンビニエンスストアなど向けの景品事業を手がけており、バンプレストは、プライズゲーム用景品の企画・供給を行っていた。
また、運営8年目(当時は7年目)に入ったガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>の『パズル&ドラゴンズ(パズドラ)』において、第4四半期(2018年10~12月)のMAU(月次アクティブユーザー数)が急回復したことが多くの読者に驚きを与えたようだ。同社は、2018年10月末より開催したイベント「パズドラ大感謝祭」や、有名キャラクターとのコラボレーション等を好調の要因として挙げている。この四半期では、『ソードアート・オンライン』や『仮面ライダー』『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』などIPコラボを積極的に実施したことで、減少傾向にあったMAUが2016年並の水準に急回復したとの話だった。
そのほか、2019年2月下旬にはSNS上で突如、大量のクリエイターが「ゲーム会社を即日解雇になった」という旨のコメントを投稿して世間を騒がせた。これは、後にアルフリードゲームスであることが明らかとなった(関連記事)が、当時は社名が判明していなかったため、この出来事に紐付く形でゲオインタラクティブの『千年少女團~Millennium Sisters~(仮題)』や『宇宙戦艦ヤマト2199~最後の希望365~』が開発中止になっていることに注目が集まったものと見られる。
コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)の長寿タイトル『戦国コレクション』がサービス終了を発表したことを報じた記事が1位に。先の『パズドラ』と同じく、『戦国コレクション』も約8年間に渡り運営を続けてきたが、こちらは対照的な結末を迎えることとなった。なお、サービス終了の理由は諸般の事情によるものとしている。
そして、この月に最も話題となったのは、フォワードワークスと日本一ソフトウェア<3851>の共同開発タイトル『魔界戦記ディスガイアRPG』についてだろう。『魔界戦記ディスガイアRPG』は、3月19日よりサービスを開始したものの、サーバーが安定せず度重なるメンテナンスを実施。3月21日には「安定したサービスを提供するにはアプリの抜本的修正が必要」との判断を下して改善を試みたが、問題を解消するには至らず、長期メンテナンスへと突入することとなった。その後、新たな開発パートナーも加わるなど体制を強化し、11月27日に改めてリリース(関連記事)されることとなった。
3月に掲載された記事の中でもう1点注目したいのが『ロマンシング サガ リ・ユニバース』の活躍だ。新作タイトルの上位定着が難しいと言われる中、確実に人気を獲得・継続して1月から毎月ゲーム内キャンペーンやガチャ施策を取り扱った記事がランクインしている。そんな中、この月はSocial Game Infoでもレビューやインタビュー(関連記事)を掲載して同タイトルを大きく取り上げた。
前月の『魔界戦記ディスガイアRPG』を巡る騒動を受けて、日本一ソフトの株価が連日下落したことに注目が集まった。主な要因として、やはりメンテナンスの長期化が嫌気されたものとみられている。また、3月20日には年初来高値2169円を付けるなど年初から倍近くに上がったことに加えて、信用買い残が増えていたことから、売りが出やすい側面もあったようだ。
また、スマートフォンゲーム業界としては、この4月に限らず1年通じてホットなニュースとなったのがApp Storeへの反映遅延に関する問題だろう。App Store側での障害発生に関しては開発・運営から手が出せる範疇にないため、問題解消までメンテナンスの延長を余儀なくされる。さらに、問題解消の時間が読めないため、多くのタイトルがその煽りを受けていた印象だった。
ゲームタイトルとしては、ガチャ施策や大型リアルイベントに関する情報を発表したCygamesの『グランブルーファンタジー』や、エイプリルフール企画が好評だったバンダイナムコエンターテインメントの『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の記事が安定した人気を見せつけた。
任天堂がベルギーにおいて『どうぶつの森 ポケットキャンプ』と『ファイアーエムブレム ヒーローズ』のサービスを終了すると発表した記事が1位に。昨今、コンシューマーゲーム業界では国内産タイトルも全世界で評価される作品が増えてきたように思うが、スマートフォンゲームにおいては"世界で大ヒットした"と言えるタイトルはまだまだ数少ない。各社の海外展開に対する取り組みについては、今年もSocial Game Infoでも引き続き注目していきたい。
さらに、この月はミクシィやコロプラの現役、Aimingのリストラ決定などネガティブなニュースにアクセスが集中したのも特徴的だ。ガチャや育成を軸とした現在のフリートゥプレイのサービスモデルには新たなブレイクスルーが必要であるということは数年前から業界内でも囁かれているが、今に至っても全く新しい形となると見出せていないというのが実情である。こうして数字としても落ち込みが目立ってきた以上、ユーザーのマンネリ化を打破するためにも新たな発明が必要であり、レッドゾーンが目前まで迫ってきたということかもしれない。
また、アクセルマークの「終幕彼女(エンドロール)」開発中止を報じた記事にも業界の機微が表れている。開発中止の理由としては、自社単独での開発を予定していたが、今後の開発費やプロモーション費に多額の資金を要する一方で、JRPGの主軸がオリジナルモチーフからIPタイトルへと移っていく環境を踏まえた、と説明している。数年前は小規模開発がウリだったスマートフォンゲームも、今や開発規模が大きくなり、1社単独でのリリースが厳しくなりつつある。それを表すように、2019年は複数社が協業で取り組むタイトルも数多く見られた。
6月の首位は、コロプラの従業員が『最果てのバベル』のセールスランキングの操作を目的とした不適切な取引を行っていたことを報じた記事。不適切な取引は、同社の役職者を含む従業員2名が関与しており、セールスランキングの操作を目的として自社費用850万円をもって自社ゲームタイトル『最果てのバベル』に課金することを取引先に依頼し、2019年6月13日に取引先が課金を実施したというもの。同社は6月26日に特別調査委員会を設置(関連記事)し、8月13日に「課金ブースト」に関する調査報告書を開示した(関連記事)。なお、このニュースは2019年上半期の中でも最もアクセスを集めた記事となった。
また、FGO PROJECTの『Fate/Grand Order』iOS版が、6月1日のApp Storeセールスランキング(ゲームカテゴリー)で一時59位まで順位を落としたことが話題となった。特に、AppAnnieのデータでは、本作がTOP50圏外となるのはリリース以来、初のことで読者にも大きな衝撃を与えたようだ。一部では世代交代の噂も囁かれたが、その後はすぐに37位まで順位を回復。6月6日にはガチャ施策が功を奏して7位に浮上した。さらに、App Annieが公開した国内のモバイルゲームの売上ランキングでは8月に首位に浮上(関連記事)し、その人気は健在であることを示した。
ほか、セガゲームスの赤字転落を報じた記事や、バンダイナムコエンターテインメントの『テイルズ オブ』シリーズが声優・今井由香さんの引退に伴い、「ルーティ」役の新キャストを小松由佳さんに決定したことを報じた記事などが注目を集めた。
バンダイナムコオンラインの19年3月期が5億3300万円の最終赤字であることを報じた記事が1位に。同社は、オンラインゲームなどの配信を行っている会社で、2009年10月に設立された。『アイドリッシュセブン』や『グラフィティスマッシュ』『ガンダムオンライン』『SD ガンダムオペレーションズ』などの運営を行っている。また、新作ではPC向けオンラインアクションRPG『BLUE PROTOCOL(ブループロトコル)』の開発を行っており、こちらは8月に実施されたCaTでもユーザーの注目を集めていた。
そのほか、7月に目立つのはスクウェア・エニックス関連のタイトルについて掲載した記事が3本もランクインしていることだろう。まずは『叛逆性ミリオンアーサー』のサービス終了について。本作は、TVアニメでもおなじみのキャラクター達が登場する、シリーズ初の「アニメオンラインRPG」としてリリースされたが、開始から約10ヶ月で幕を閉じることとなった。続いて、『ドラゴンクエストライバルズ』では「ゼシカ」と「トルネコ」の水着衣装が登場したことが話題に。原作は衣装バリエーションがあるタイトルではないだけに、ファンとっても嬉しい追加要素となったようだ。さらに、コンスタントにアクセスを集めている『ロマンシング サガ リ・ユニバース』も、夏の新ガチャや新イベントの予告でファンの注目を浴びた。
前月に売上ランキングの操作を目的とした不適切な取引の問題が発覚した『最果てのバベル』は、ユーザーに心配をかけたことのお詫びとして精霊石2000個を配布したが、この対応に関してはSNSでユーザーから賛否両論の声が挙がる様子も見られた。
この月は、8月23日にAMAZONのクラウドコンピューティングサービス「AWS」で発生した大規模障害に関する記事が1位を獲得した。この日はAWSを利用しているスマートフォンゲームやSNS、ECサイトなど各種サービスで接続障害が発生し、サーバーの復旧を待つしかない状態が続いた。これにより、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』『バンドリ!ガールズパーティ!』『アナザーエデン 時空を超える猫』など、数多くのタイトルが煽りを受ける形に。なお、このトラブルは16時30分ごろに解消され、各タイトルも徐々に復旧を行っていった(関連記事)。
そんな中、企業としてはバンダイナムコエンターテインメントやコロプラ、Cygamesといった辺りのニュースに敏感な読者が多かったように感じる。特に、バンダイナムコエンターテインメントは、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の世界3億DL突破や新作『スーパーロボット大戦DD』のリリースに関する記事が注目されており、明るいニュースが多かった。また、リリースから2年目となるCygamesの『プリンセスコネクト!Re:Dive』も売上ランキング上位に定着し、『グランブルーファンタジー』や『シャドウバース』に続く3本目の柱として同社に大いに貢献している。
この2社に対して、ネガティブなニュースが続いたのがコロプラだ。同社は、立て続けに『ドラゴンプロジェクト』(6月27日)、『バトルガール ハイスクール』(7月31日)、『バクレツモンスター』(8月29日)のサービス終了を発表。先のセールスランキングの操作を目的とした不適切な取引が判明した件については、森先一哲氏の取締役辞任と従業員2名の懲戒処分が決定した。また、経営責任を明確にするため、馬場功淳社長と長谷部潤CSOマーケティング本部管掌の月額報酬10%を3ヶ月にわたって減額することも明らかにした。
「東京ゲームショウ2019(TGS2019)」や、国内最大のゲーム開発者向けカンファレンス「コンピュータ・エンターテインメント・デベロッパーズ・カンファレンス 2019(CEDEC 2019)」など、大型イベントが続く9月。1位を獲得したのは、バンダイナムコエンターテインメントの『アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ(デレステ)』に関するアップデート内容をお伝えした記事だった。また、『デレステ』はフェス限アイドル「北条加蓮」「喜多日菜子」の新登場を報じた記事も5位となっており、注目度の高いひと月となった。
先の大型イベントからも2つの記事がランクイン。「TGS2019」からは、バンダイナムコエンターテインメントの『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ アプリ(仮)』がステージイベントを行うことを発表した記事が4位に。スマートフォンゲームの新作発表は例年に比べて少なかっただけに、事前の出展告知に注目が集まったものと思われる。
「CEDEC 2019」からは、ポケラボ・池田博幸氏の講演「こっそり教えます!エフェクトデザインのイ・ロ・ハ」のレポートがランクインした。本講演では、『シノアリス』におけるエフェクトデザインについての詳細が語られている。講演内でも同氏が語っている通り、デザイナーの中でもエフェクトアーティストという希少性の高い分野に特化した内容だったため、多くの開発者の方々に興味を示してもらえたようだ。
そのほか、サービス終了を伝えた記事より、バンダイナムコエンターテインメントの『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドレコーズ Reversal』と『東京喰種:re invoke』の2タイトルが、新作からはアカツキ<3932>の欅坂46・日向坂46応援【公式】音楽アプリ『UNI’S ON AIR(ユニゾンエアー)』の事前DL開始を知らせる記事や、バンダイナムコエンターテインメントの『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトスポット(デレスポ)』の配信開始を伝えたニュースが人気だった。
9月12日に配信を開始した、スクウェア・エニックスの『ドラゴンクエストウォーク』や、本作の開発を担うコロプラ<3668>に関する記事がランキングの約半数を独占。特に、コロプラの2019年はここまで暗いニュースが続いていたため、ここにきて巻き返しを図る大きな一手となった。米国の調査会社Sensor Towerによると、リリースから30日間の売上高の推定は8600万ドル(約93億円)であると発表されている。
また、首位を獲得したのはAndroid端末でアプリの強制終了が多発した件について報じた記事。『パズル&ドラゴンズ』『プリンセスコネクト!Re:Dive』『ドラゴンクエストライバルズ』などで発生し、後に「Chrome」の特定のバージョンが影響していることが原因であると突き止められた。これには、多くのタイトルが「Chrome」を無効にすることで対応を行っていた。8月のAWS障害と同じく、固有のタイトルのみならずOS側でのエラーだったため、多くの読者から注目を集める結果となった。
珍しいところでは、ブシロード<7803>とCraft Eggの『バンドリ! ガールズバンドパーティ!(ガルパ)』において、作中に登場する「今井リサ」の家族構成に関する設定を変更するというニュースも。これまで、「今井リサ」自身がRoseliaや他のバンドメンバーと過ごしていく中で弟の存在をほのめかす言動がなかったにも関わらず、同時期に開催されたイベントストーリーにて弟が存在することを示唆するセリフが入っていたため、これまでの言動に矛盾が発生して混乱を招いてしまったという。この件について、ユーザーから様々な意見が寄せられたようだ。
1位は、『プリンセスコネクト!』の全メインストーリーがYouTubeで公開されたことを報じた記事が獲得。本作は2016年6月にサービスを終了していたためストーリーを見返すことは不可能だったが、一方で現在、運営中の『プリンセスコネクト!Re:Dive』とも内容が密接に関わっているため、ファンにとっては嬉しいニュースとなった。
また、コロプラの業績に関する記事がこの月も2つランクイン。同社は、7~9月の売上高が4四半期ぶりに100億円の大台に回復した。躍進の要因となった『ドラゴンクエストウォーク』に関しては、馬場社長が「業界全体で1年に1本出るかどうかのヒットと言って過言ではないのでは」とコメント。ゲーム内イベントやアップデートに関する記事にも注目が集まっており、リリースした前月からの好調ぶりがはっきりと数字にも現れた月となった。
さらに、KADOKAWA<9468>の大幅増益も大きな話題に。同社は、主力の出版事業と映像・ゲームが好調だったことに加えて、ドワンゴを中心とするWebサービスの収益改善が進み、前年同期1億円の赤字から15億円の黒字となった。
年の瀬の最後に1位を獲得したニュースは、ネクソン<3659>のgloops売却。同社は、2012年10月にモバイルゲーム事業戦略を加速させることを目的として、当時モバイル・ソーシャルゲーム最大手開発会社の一つであるgloopsを365億円で買い取って連結子会社とした(関連記事)。しかし、変化の激しいモバイル・ソーシャルゲーム市場に応じたゲームの開発・運用が当初の想定より困難な状況が続いていることから、安定的な収益獲得のために多くの経営資源を割く状況が今後も継続すると見込んでいるという。また、ネクソンは、自社IP(Intellectual property)を生かし、強みであるマルチプレーヤー型オンラインゲームに経営資源を集中し、市場シェアを拡大し、持続的な成長を図るため、今回の決定に至った、としている。
そして、独占情報を入手した『白猫プロジェクト』は、掲載から僅か1日で3位にランクインと勢いがあった。本記事では、「新春! 私立茶熊学園2020」に登場するキャラクター「ソアラ」のイラストを先行公開。ここで初出しの情報となったため、多くのファンからも注目を集めたようだ。
ほか、アニメ「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズの期間限定無料配信や、カプコン<9697>のオンラインゲーム『ドラゴンズドグマ オンライン』と、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ PC』のサービス終了に関する記事、SHOWROOMがジャニーズ事務所の子会社であるジェイ・ストームと資本業務提携を行うと発表した記事など、スマートフォンゲームに限らず多方面のエンタメニュースが人気を獲得した。
そこで、Social Game Infoでは1年の締めくくりとして、2019年のスマートフォンゲーム業界の動向をおさらいする特集を実施。本稿では、2019年1月~12月のPVランキングTOP10を集計して気になった出来事を月別に振り返っていく。
■1月
アエリア<3758>の子会社だったアスガルドが解散したことを報じた記事が1位だった。アエリアは、サイバードやリベル・エンタテインメントなど買収した企業の成長で収益が大きく伸びたものの、エイタロウソフトのように、期待した成果をあげることができずにグループから外されて倒産してしまうケースもみられた。
また、2018年12月にリリースされたスクウェア・エニックスとアカツキ<3932>の新作『ロマンシング サガ リ・ユニバース』のほか、『Fate/Grand Order』における年末年始の各種施策が大きく注目された。また、サイバーエージェント<4751>が第1四半期(18年10~12月)で大幅な減益となったことも話題となった。
そのほか、直接的にゲーム業界に関するニュースではないものの、ドワンゴの「競馬予測AI Mamba 2nd Season」の結果を報じた記事に注目が集まったのも興味深いところだ。昨今では、バンダイの『ゼノンザード』など、スマホゲームにもAI技術を活かしたタイトルが登場しており、技術革新の面からもクリエイターたちの注目度が高くなっているようだ。
■2月
2月はBANDAI SPIRITSとバンプレストの合併によるバンプレスト解散を報じた記事に最も注目が集まった。両社ともにバンダイナムコホールディングスの傘下として、BANDAI SPIRITSは、ハイターゲット向けのフィギュアやプラモデル、コンビニエンスストアなど向けの景品事業を手がけており、バンプレストは、プライズゲーム用景品の企画・供給を行っていた。
また、運営8年目(当時は7年目)に入ったガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>の『パズル&ドラゴンズ(パズドラ)』において、第4四半期(2018年10~12月)のMAU(月次アクティブユーザー数)が急回復したことが多くの読者に驚きを与えたようだ。同社は、2018年10月末より開催したイベント「パズドラ大感謝祭」や、有名キャラクターとのコラボレーション等を好調の要因として挙げている。この四半期では、『ソードアート・オンライン』や『仮面ライダー』『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』などIPコラボを積極的に実施したことで、減少傾向にあったMAUが2016年並の水準に急回復したとの話だった。
そのほか、2019年2月下旬にはSNS上で突如、大量のクリエイターが「ゲーム会社を即日解雇になった」という旨のコメントを投稿して世間を騒がせた。これは、後にアルフリードゲームスであることが明らかとなった(関連記事)が、当時は社名が判明していなかったため、この出来事に紐付く形でゲオインタラクティブの『千年少女團~Millennium Sisters~(仮題)』や『宇宙戦艦ヤマト2199~最後の希望365~』が開発中止になっていることに注目が集まったものと見られる。
■3月
コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)の長寿タイトル『戦国コレクション』がサービス終了を発表したことを報じた記事が1位に。先の『パズドラ』と同じく、『戦国コレクション』も約8年間に渡り運営を続けてきたが、こちらは対照的な結末を迎えることとなった。なお、サービス終了の理由は諸般の事情によるものとしている。
そして、この月に最も話題となったのは、フォワードワークスと日本一ソフトウェア<3851>の共同開発タイトル『魔界戦記ディスガイアRPG』についてだろう。『魔界戦記ディスガイアRPG』は、3月19日よりサービスを開始したものの、サーバーが安定せず度重なるメンテナンスを実施。3月21日には「安定したサービスを提供するにはアプリの抜本的修正が必要」との判断を下して改善を試みたが、問題を解消するには至らず、長期メンテナンスへと突入することとなった。その後、新たな開発パートナーも加わるなど体制を強化し、11月27日に改めてリリース(関連記事)されることとなった。
3月に掲載された記事の中でもう1点注目したいのが『ロマンシング サガ リ・ユニバース』の活躍だ。新作タイトルの上位定着が難しいと言われる中、確実に人気を獲得・継続して1月から毎月ゲーム内キャンペーンやガチャ施策を取り扱った記事がランクインしている。そんな中、この月はSocial Game Infoでもレビューやインタビュー(関連記事)を掲載して同タイトルを大きく取り上げた。
■4月
前月の『魔界戦記ディスガイアRPG』を巡る騒動を受けて、日本一ソフトの株価が連日下落したことに注目が集まった。主な要因として、やはりメンテナンスの長期化が嫌気されたものとみられている。また、3月20日には年初来高値2169円を付けるなど年初から倍近くに上がったことに加えて、信用買い残が増えていたことから、売りが出やすい側面もあったようだ。
また、スマートフォンゲーム業界としては、この4月に限らず1年通じてホットなニュースとなったのがApp Storeへの反映遅延に関する問題だろう。App Store側での障害発生に関しては開発・運営から手が出せる範疇にないため、問題解消までメンテナンスの延長を余儀なくされる。さらに、問題解消の時間が読めないため、多くのタイトルがその煽りを受けていた印象だった。
ゲームタイトルとしては、ガチャ施策や大型リアルイベントに関する情報を発表したCygamesの『グランブルーファンタジー』や、エイプリルフール企画が好評だったバンダイナムコエンターテインメントの『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の記事が安定した人気を見せつけた。
■5月
任天堂がベルギーにおいて『どうぶつの森 ポケットキャンプ』と『ファイアーエムブレム ヒーローズ』のサービスを終了すると発表した記事が1位に。昨今、コンシューマーゲーム業界では国内産タイトルも全世界で評価される作品が増えてきたように思うが、スマートフォンゲームにおいては"世界で大ヒットした"と言えるタイトルはまだまだ数少ない。各社の海外展開に対する取り組みについては、今年もSocial Game Infoでも引き続き注目していきたい。
さらに、この月はミクシィやコロプラの現役、Aimingのリストラ決定などネガティブなニュースにアクセスが集中したのも特徴的だ。ガチャや育成を軸とした現在のフリートゥプレイのサービスモデルには新たなブレイクスルーが必要であるということは数年前から業界内でも囁かれているが、今に至っても全く新しい形となると見出せていないというのが実情である。こうして数字としても落ち込みが目立ってきた以上、ユーザーのマンネリ化を打破するためにも新たな発明が必要であり、レッドゾーンが目前まで迫ってきたということかもしれない。
また、アクセルマークの「終幕彼女(エンドロール)」開発中止を報じた記事にも業界の機微が表れている。開発中止の理由としては、自社単独での開発を予定していたが、今後の開発費やプロモーション費に多額の資金を要する一方で、JRPGの主軸がオリジナルモチーフからIPタイトルへと移っていく環境を踏まえた、と説明している。数年前は小規模開発がウリだったスマートフォンゲームも、今や開発規模が大きくなり、1社単独でのリリースが厳しくなりつつある。それを表すように、2019年は複数社が協業で取り組むタイトルも数多く見られた。
■6月
6月の首位は、コロプラの従業員が『最果てのバベル』のセールスランキングの操作を目的とした不適切な取引を行っていたことを報じた記事。不適切な取引は、同社の役職者を含む従業員2名が関与しており、セールスランキングの操作を目的として自社費用850万円をもって自社ゲームタイトル『最果てのバベル』に課金することを取引先に依頼し、2019年6月13日に取引先が課金を実施したというもの。同社は6月26日に特別調査委員会を設置(関連記事)し、8月13日に「課金ブースト」に関する調査報告書を開示した(関連記事)。なお、このニュースは2019年上半期の中でも最もアクセスを集めた記事となった。
また、FGO PROJECTの『Fate/Grand Order』iOS版が、6月1日のApp Storeセールスランキング(ゲームカテゴリー)で一時59位まで順位を落としたことが話題となった。特に、AppAnnieのデータでは、本作がTOP50圏外となるのはリリース以来、初のことで読者にも大きな衝撃を与えたようだ。一部では世代交代の噂も囁かれたが、その後はすぐに37位まで順位を回復。6月6日にはガチャ施策が功を奏して7位に浮上した。さらに、App Annieが公開した国内のモバイルゲームの売上ランキングでは8月に首位に浮上(関連記事)し、その人気は健在であることを示した。
ほか、セガゲームスの赤字転落を報じた記事や、バンダイナムコエンターテインメントの『テイルズ オブ』シリーズが声優・今井由香さんの引退に伴い、「ルーティ」役の新キャストを小松由佳さんに決定したことを報じた記事などが注目を集めた。
■7月
バンダイナムコオンラインの19年3月期が5億3300万円の最終赤字であることを報じた記事が1位に。同社は、オンラインゲームなどの配信を行っている会社で、2009年10月に設立された。『アイドリッシュセブン』や『グラフィティスマッシュ』『ガンダムオンライン』『SD ガンダムオペレーションズ』などの運営を行っている。また、新作ではPC向けオンラインアクションRPG『BLUE PROTOCOL(ブループロトコル)』の開発を行っており、こちらは8月に実施されたCaTでもユーザーの注目を集めていた。
そのほか、7月に目立つのはスクウェア・エニックス関連のタイトルについて掲載した記事が3本もランクインしていることだろう。まずは『叛逆性ミリオンアーサー』のサービス終了について。本作は、TVアニメでもおなじみのキャラクター達が登場する、シリーズ初の「アニメオンラインRPG」としてリリースされたが、開始から約10ヶ月で幕を閉じることとなった。続いて、『ドラゴンクエストライバルズ』では「ゼシカ」と「トルネコ」の水着衣装が登場したことが話題に。原作は衣装バリエーションがあるタイトルではないだけに、ファンとっても嬉しい追加要素となったようだ。さらに、コンスタントにアクセスを集めている『ロマンシング サガ リ・ユニバース』も、夏の新ガチャや新イベントの予告でファンの注目を浴びた。
前月に売上ランキングの操作を目的とした不適切な取引の問題が発覚した『最果てのバベル』は、ユーザーに心配をかけたことのお詫びとして精霊石2000個を配布したが、この対応に関してはSNSでユーザーから賛否両論の声が挙がる様子も見られた。
■8月
この月は、8月23日にAMAZONのクラウドコンピューティングサービス「AWS」で発生した大規模障害に関する記事が1位を獲得した。この日はAWSを利用しているスマートフォンゲームやSNS、ECサイトなど各種サービスで接続障害が発生し、サーバーの復旧を待つしかない状態が続いた。これにより、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』『バンドリ!ガールズパーティ!』『アナザーエデン 時空を超える猫』など、数多くのタイトルが煽りを受ける形に。なお、このトラブルは16時30分ごろに解消され、各タイトルも徐々に復旧を行っていった(関連記事)。
そんな中、企業としてはバンダイナムコエンターテインメントやコロプラ、Cygamesといった辺りのニュースに敏感な読者が多かったように感じる。特に、バンダイナムコエンターテインメントは、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の世界3億DL突破や新作『スーパーロボット大戦DD』のリリースに関する記事が注目されており、明るいニュースが多かった。また、リリースから2年目となるCygamesの『プリンセスコネクト!Re:Dive』も売上ランキング上位に定着し、『グランブルーファンタジー』や『シャドウバース』に続く3本目の柱として同社に大いに貢献している。
この2社に対して、ネガティブなニュースが続いたのがコロプラだ。同社は、立て続けに『ドラゴンプロジェクト』(6月27日)、『バトルガール ハイスクール』(7月31日)、『バクレツモンスター』(8月29日)のサービス終了を発表。先のセールスランキングの操作を目的とした不適切な取引が判明した件については、森先一哲氏の取締役辞任と従業員2名の懲戒処分が決定した。また、経営責任を明確にするため、馬場功淳社長と長谷部潤CSOマーケティング本部管掌の月額報酬10%を3ヶ月にわたって減額することも明らかにした。
■9月
「東京ゲームショウ2019(TGS2019)」や、国内最大のゲーム開発者向けカンファレンス「コンピュータ・エンターテインメント・デベロッパーズ・カンファレンス 2019(CEDEC 2019)」など、大型イベントが続く9月。1位を獲得したのは、バンダイナムコエンターテインメントの『アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ(デレステ)』に関するアップデート内容をお伝えした記事だった。また、『デレステ』はフェス限アイドル「北条加蓮」「喜多日菜子」の新登場を報じた記事も5位となっており、注目度の高いひと月となった。
先の大型イベントからも2つの記事がランクイン。「TGS2019」からは、バンダイナムコエンターテインメントの『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ アプリ(仮)』がステージイベントを行うことを発表した記事が4位に。スマートフォンゲームの新作発表は例年に比べて少なかっただけに、事前の出展告知に注目が集まったものと思われる。
「CEDEC 2019」からは、ポケラボ・池田博幸氏の講演「こっそり教えます!エフェクトデザインのイ・ロ・ハ」のレポートがランクインした。本講演では、『シノアリス』におけるエフェクトデザインについての詳細が語られている。講演内でも同氏が語っている通り、デザイナーの中でもエフェクトアーティストという希少性の高い分野に特化した内容だったため、多くの開発者の方々に興味を示してもらえたようだ。
そのほか、サービス終了を伝えた記事より、バンダイナムコエンターテインメントの『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドレコーズ Reversal』と『東京喰種:re invoke』の2タイトルが、新作からはアカツキ<3932>の欅坂46・日向坂46応援【公式】音楽アプリ『UNI’S ON AIR(ユニゾンエアー)』の事前DL開始を知らせる記事や、バンダイナムコエンターテインメントの『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトスポット(デレスポ)』の配信開始を伝えたニュースが人気だった。
■10月
9月12日に配信を開始した、スクウェア・エニックスの『ドラゴンクエストウォーク』や、本作の開発を担うコロプラ<3668>に関する記事がランキングの約半数を独占。特に、コロプラの2019年はここまで暗いニュースが続いていたため、ここにきて巻き返しを図る大きな一手となった。米国の調査会社Sensor Towerによると、リリースから30日間の売上高の推定は8600万ドル(約93億円)であると発表されている。
また、首位を獲得したのはAndroid端末でアプリの強制終了が多発した件について報じた記事。『パズル&ドラゴンズ』『プリンセスコネクト!Re:Dive』『ドラゴンクエストライバルズ』などで発生し、後に「Chrome」の特定のバージョンが影響していることが原因であると突き止められた。これには、多くのタイトルが「Chrome」を無効にすることで対応を行っていた。8月のAWS障害と同じく、固有のタイトルのみならずOS側でのエラーだったため、多くの読者から注目を集める結果となった。
珍しいところでは、ブシロード<7803>とCraft Eggの『バンドリ! ガールズバンドパーティ!(ガルパ)』において、作中に登場する「今井リサ」の家族構成に関する設定を変更するというニュースも。これまで、「今井リサ」自身がRoseliaや他のバンドメンバーと過ごしていく中で弟の存在をほのめかす言動がなかったにも関わらず、同時期に開催されたイベントストーリーにて弟が存在することを示唆するセリフが入っていたため、これまでの言動に矛盾が発生して混乱を招いてしまったという。この件について、ユーザーから様々な意見が寄せられたようだ。
■11月
1位は、『プリンセスコネクト!』の全メインストーリーがYouTubeで公開されたことを報じた記事が獲得。本作は2016年6月にサービスを終了していたためストーリーを見返すことは不可能だったが、一方で現在、運営中の『プリンセスコネクト!Re:Dive』とも内容が密接に関わっているため、ファンにとっては嬉しいニュースとなった。
また、コロプラの業績に関する記事がこの月も2つランクイン。同社は、7~9月の売上高が4四半期ぶりに100億円の大台に回復した。躍進の要因となった『ドラゴンクエストウォーク』に関しては、馬場社長が「業界全体で1年に1本出るかどうかのヒットと言って過言ではないのでは」とコメント。ゲーム内イベントやアップデートに関する記事にも注目が集まっており、リリースした前月からの好調ぶりがはっきりと数字にも現れた月となった。
さらに、KADOKAWA<9468>の大幅増益も大きな話題に。同社は、主力の出版事業と映像・ゲームが好調だったことに加えて、ドワンゴを中心とするWebサービスの収益改善が進み、前年同期1億円の赤字から15億円の黒字となった。
■12月
年の瀬の最後に1位を獲得したニュースは、ネクソン<3659>のgloops売却。同社は、2012年10月にモバイルゲーム事業戦略を加速させることを目的として、当時モバイル・ソーシャルゲーム最大手開発会社の一つであるgloopsを365億円で買い取って連結子会社とした(関連記事)。しかし、変化の激しいモバイル・ソーシャルゲーム市場に応じたゲームの開発・運用が当初の想定より困難な状況が続いていることから、安定的な収益獲得のために多くの経営資源を割く状況が今後も継続すると見込んでいるという。また、ネクソンは、自社IP(Intellectual property)を生かし、強みであるマルチプレーヤー型オンラインゲームに経営資源を集中し、市場シェアを拡大し、持続的な成長を図るため、今回の決定に至った、としている。
そして、独占情報を入手した『白猫プロジェクト』は、掲載から僅か1日で3位にランクインと勢いがあった。本記事では、「新春! 私立茶熊学園2020」に登場するキャラクター「ソアラ」のイラストを先行公開。ここで初出しの情報となったため、多くのファンからも注目を集めたようだ。
ほか、アニメ「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズの期間限定無料配信や、カプコン<9697>のオンラインゲーム『ドラゴンズドグマ オンライン』と、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ PC』のサービス終了に関する記事、SHOWROOMがジャニーズ事務所の子会社であるジェイ・ストームと資本業務提携を行うと発表した記事など、スマートフォンゲームに限らず多方面のエンタメニュースが人気を獲得した。