DeNA、第4四半期のゲーム事業は「非常に好調」(守安社長) 『スラムダンク』や『ポケマス』貢献 新規事業投資やベイスターズのコロナ対応で赤字継続
ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、5月14日、2020年3月期の第4四半期(20年1~3月)の連結決算(IFRS基準)を発表するとともに、オンラインで決算説明会を開催した。通期では大きな赤字となったが、第4四半期に限ると、売上収益302億円(前四半期比17%増)、営業損益15億円の赤字(前四半期は492億円の赤字)、Non-GAAP営業損益10億円の赤字(同46億円の赤字)、最終利益10億円(同550億円の赤字)となった。
ngmocoののれんの減損で巨額の赤字を計上した前四半期との比較では大きく改善したものの、依然として赤字が続いた。新型コロナウイルスの影響で試合のできない状態が続くスポーツ事業の赤字幅が拡大したことに加え、「オートモーティブとヘルスケア、その他新企業への投資を積極的に拡大した」(守安 功社長)ことが主な要因だ。
こうしたなか、主力のゲーム事業は、守安社長が「非常に好調な四半期だった」とコメントしたように大幅な増収増益を達成。コイン消費が拡大し、売上収益が同25%増の237億円、セグメント利益が同166%増の53億円と大きく伸びた。前年同期との比較でもプラスとなった。
その主な要因として、守安社長は、『グランブルーファンタジー』など主要な既存タイトルが周年イベントなどで「軒並み高いパフォーマンスを発揮した」ことに加えて、中国における『スラムダンク』が順調に立ち上がったこと、『ポケモンマスターズ』のハーフアニバーサリーイベントが成功したことをあげた。
なお、足元の第1四半期については、セグメント利益は下がる見通し。前四半期からの反動などもあって、季節的な弱さが想定されるという。前年同期も下回る見通しだ。
ゲーム事業のトピックスとして、中国事業がある。中国の売上と利益が大きく伸びたそうだ。正確な金額は開示されていないが、ユーザー消費額が50億円に到達するとともに、営業利益についても1ケタ億円台後半に到達したようだ。「この何年かは損益トントンで推移していたが、昨年12月にリリースした『スラムダンク』が順調な立ち上がりを見せ、この四半期はフルに寄与した」。
『スラムダンク』については、中国国内で安定運用を行いつつ、今期(2021年3月期)は繁体字圏や韓国、東南アジアなど中国以外のリージョンでも展開していく考えで、さらなる貢献が期待される。
同社では、2006年に中国市場に参入し、長期に渡って投資を続けるとともに現地化を進めてきた。現地の組織は350名規模まで成長。日系のIPを獲得し、現地で開発・パブリッシングする戦略をとっているという。中国でいまもなお絶大な人気を誇る『スラムダンク』のIPの力も大きいが、長年の投資の成果がこういった形で出てきたといっても過言ではないだろう。
最後にスポーツ事業の状況だ。横浜DeNAベイスターズは、昨シーズンは成績、観客動員ともに非常に好調だった。横浜スタジアムのライトスタンドを改修し、キャパシティを増やしたものの、稼働率はさらに上がり98.9%となった。第4四半期はオープン戦と公式戦数試合を実施する予定だったが、実施することはできずに前年同期に比べて減収・赤字幅が拡大するなど収益が厳しい状況となった。
なお、横浜スタジアムは、2020年はレフトスタンドの改修も終えて3万4046人が収容できるようになった。横浜市庁舎の跡地活用事業の事業予定社として、ライブビューイングアリーナとエデュテインメント施設を担当し、2025年の開業を目指していく。今後はスポーツ興行していないタイミングでも街の賑わいをつくり、地域に貢献していく「横浜スポーツタウン構想」をさらに発展させていく考え。
(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
- 設立
- 1999年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2432