【レビュー】「ニーア」シリーズ最新作『ニーア リィンカーネーション』をプレイ…スマホの檻の中に凝縮された、儚くも美しい世界を堪能しよう


スクウェア・エニックスは、2月18日、スマートフォン向け新作アプリ『NieR Re[in]carnation(ニーア リィンカーネーション)』をリリースした。

本作は『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』『ニーア オートマタ』に続く、ニーアシリーズの最新作。コンシューマ向けアクションゲームだった前作から、スマホRPGとして新しく生まれ変わった。事前登録者数が100万人を突破するなど以前から注目されていた本作は、リリースされるとすぐさま100万ダウンロードを突破、App Storeセールスランキングで1位を取るなど、非常に大きな盛り上がりを見せている。そこで本稿では、どのような部分がユーザーにヒットしたのか、様々な観点からレビューしていく。
 

■自分の欠けたものを取り戻すために、白い少女は檻の中を駆け回る


物語は巨大な石の巨塔「檻(ケージ)」を歩く、謎の「白い少女」の視点からスタートする。色々なものを失っているという少女は、成し遂げたいある目的のために檻をひたすら進んでいき、不思議な生き物「ママ」と出会う。何かを知っているママは、少女を檻のさらに奥へと導いていく。



▲色味の無い世界を、ひたすらに駆け抜ける少女……。ギミックと共に映し出されるスタッフの演出によって、ゲームの世界へと一気に引き込まれる。


▲白い布のようなものをかぶっている、謎の生物・ママ。マスコット的な見た目とは裏腹に非常に大人っぽい声で話す、本作のキーパーソンだ。

「少女の失ったものを取り戻しに行く」とママに先導され、たどり着いた先にあったのは、檻の各所に点在する「黒いカカシ」と呼ばれる謎の彫刻。その手には武器が握られており、少女はこの中に吸い込まれていく。そこで見たのは、武器が記憶している「物語」と、それに干渉する謎の「黒い敵」だった。この黒い存在は物語に干渉して、内容を歪めてしまう存在のようだ。



▲武器の物語の中に入ると、絵本のようなビジュアルに切り替わり、ナレーションと共にシナリオが進んでいく。黒い敵が現れるとバトルパートに入り、勝利できれば物語をあるべき姿に戻すことができる。

黒い敵を退けた少女に、ママは「物語を正しい姿に戻すため、黒い敵を倒すこと」だと告げる。すべての黒い敵を排除すると、物語の結末を見届けた武器と、少女が失っていたもののひとつ「意志」を手に入れる。こうして、少女とママによる果てしない檻の中の旅が始まるのであった。


▲入手アイテムとして「意志」が表示される。こういった演出がスマホゲームで行われるのは珍しいと感じた。

本作のメインストーリーは、歴代ニーアシリーズや『ドラックオンドラグーン』シリーズにも存在した、武器に秘められた物語「ウェポンストーリー」がテーマになっているようだ。

主人公の使命は物語を歪ませないようにすることなのだが、守ったところで結末がハッピーエンドになるというわけではなく、その救いのないエンディングにやるせない気持ちになることがほとんど。しかし、これこそが一番の魅力なのだ。この陰鬱とした世界観と、壮大・神々しいようで切なさも感じる音楽が、なんとも言えない雰囲気を醸し出している。



▲武器の物語のひとつひとつは短いのだが、登場人物が他の物語とリンクしているなど、読み応えのあるものになっている。
 

■シンプル操作で華麗な技を繰り出せるコマンドバトル


ここからは、敵と戦うバトルパートについて解説していく。基本的に3人のキャラをベースに、それぞれに特殊な技を持つ武器やオトモなどを装備して編成し、バトルに挑む。



▲武器にはウェポンスキルという、バトル中に発動できる技を筆頭に、様々なステータスが設定されている。また属性の概念もあり、それぞれに得意・苦手な相性を持っているため、挑む敵に合わせた組み合わせを考える必要がある。


▲ぬいぐるみや人形の形をしたオトモを装備すると、バトル中に1回だけ使用できるオトモスキルが発動可能になる。

バトル中、キャラは通常攻撃を一定の間隔で自動的に繰り出す。それに合わせて、プレイヤーは武器が持つウェポンスキルや、キャラごとに独自に設定された必殺技のキャラスキルなどを適したタイミングで発動して、敵を攻撃していくのだ。


 
▲ビジュアルやエフェクトは派手というより美麗で、アクションもキャラが良く動くため見ごたえがある。


▲スキルでの攻撃は、連続してヒットするとコンボになり、繋げた回数によって攻撃力がどんどん上がっていく。スキルを使うタイミングを合わせると、ダメージが大きくなりやすい。

全体的にシンプルで、誰にでも遊びやすいバトルシステムにまとまっており、前作などとはまた違った楽しみ方で遊ぶことができる。なお、近年のスマホゲームでは一般的なオートモードや倍速モードも、もちろん実装されている。しかし、オートモード中はキャラスキルを発動できないので注意しよう。
 

■小ネタや隠し要素が至るところに


本作は、前述したストーリーパートとバトルパートに分けられるのだが、他にも楽しめる要素がいくつも存在する。

例えばホーム画面。一般的なスマホゲームのホーム画面と言ったら、UIが並んでいたりキャラの立ち絵を配置できたりといったイメージだろう。しかし、本作のホーム画面はメインストーリーと直結しており、そのまま次の目標にたどり着くまで、少女を操作して檻の中にある道を探索できるのだ。本作がいかに世界観を重視しているのがわかる仕様である。


 
▲こちらが本作のホーム画面。また、リザルトがこの画面にシームレスに表示されるのにもこだわりを感じる。


▲様々な項目へ移動できるショートカットもちゃんと存在するが、こちらもデザインが凝っていて面白い。

さらに、檻の中を捜索していると「黒い鳥」を見つけることがある。これはやりこみ要素のようなものであり、タップするとアイテムを入手できる。また、ママを100回タップするチャレンジミッションがあるなど、細かい小ネタや隠し要素がちりばめられているのが、非常にユニークで面白い。

 
▲わかりづらいかもしれないが、丸で囲んだ部分に黒い鳥がいる。檻の各所に点在しており、いたるところに隠されている。

魅力的な世界観を引き立たせられるようなギミックや要素を詰め込み、シンプルなバトルパートによって誰にでも触れられるように工夫されている本作。現在は『ニーア オートマタ』とのコラボ中に加え、2月28日からは新たなゲーム内イベントを開催。キャラの新衣装や新シナリオも追加される予定なので、本稿を読んで少しでも気になった方は、是非インストールしてみて、この独特かつ魅力的な世界に引き込まれてみてほしい。


 
(文 ライター:寺村一也)


 
■『NieR Re[in]carnation』(ニーア リィンカーネーション)

 

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設立
2008年10月
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売上高2428億2400万円、営業利益275億4800万円、経常利益389億4300万円、最終利益280億9600万円(2023年3月期)
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株式会社アプリボット
設立
2010年7月
代表者
代表取締役社長 浮田 光樹
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9月
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