『バンドリ!』プロジェクトは第3期に突入 コロナ下の仕込み活かし予想を越える展開と盛り上がりを生み出す ブシロード木谷会長とCraft Egg森川社長インタビュー

木村英彦 編集長
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「BanG Dream!(バンドリ!)」プロジェクトが2月28日に6周年を迎えた。プロジェクトの立ち上がりから現在まで、紆余曲折を経ながら展開してきたわけだが、今回、プロジェクト制作総指揮の木谷高明氏(株式会社ブシロード代表取締役会長)と、『バンドリ! ガールズバンドパーティ!(ガルパ)』を開発する株式会社Craft Egg社長の森川修一氏にインタビューを行い、これまでの振り返りと今後の展望を聞いた。


――:「バンドリ!」プロジェクトがついに6年を迎えました。おめでとうございます。これまでの動きを振り返っていただけますか。

木谷氏:「バンドリ!プロジェクト」は大きく3つの時期に分けられると思います。第1期はプロジェクトを開始した2015年から2017年のアニメ放送とアプリのリリース前日までです。全てが初めてのプロジェクトでしたので、最初の1年間はライブを中心に試行錯誤しながら、ゲームとアニメのプロジェクトを進めていきました。

そこでの試行錯誤があったからこそ、現在の展開があるわけです。例えば、2015年4月に開催した「Poppin'Party(通称ポピパ)」の旧1stライブでは、楽曲が十分用意できず、オリジナル曲が1曲のみでした。バンドですからカバー楽曲で対応することにしましたが、ライブが非常に盛り上がり、その後の『ガルパ』の展開に繋がりました。そんなことはたくさんありました。

第2期は、『ガルパ』をリリースした2017年3月16日から2021年3月15日までです。プロジェクトは、第2期に入って現在の形になりましたので、個人的には6周年より『ガルパ』4周年に大きな意味を感じています。そして今年の3月16日から第3期が始まります。昨年は新型コロナの影響に苦しみながら試行錯誤しましたが、それを結実させていく時期と考えています。

森川氏:『ガルパ』4周年から第3期が始まるという見方は同感です。これまでのプロジェクトではできなかったようなペースで劇場版の公開を行います。「BanG Dream! Episode of Roselia」など劇場版でしかみられないアニメに加えて、その後の「BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage」も用意しています。フィルムライブ2も前回から大きくグレードアップしています。

木谷氏:前回のフィルムライブでお客様からいただいたご意見やご感想、ご要望をできるだけ反映しました。MCやライブ感のある音作り、オーディエンスの声援など臨場感が増しており、別物と言っていいほど進化していることが確認できると思います。現実のライブをそのまま映像にしたような仕上がりになっています。



――:昨年は新型コロナでライブが延期を余儀なくされました。収益的なことだけでなく、プロジェクト展開上でも痛いことが多かったのではないでしょうか。

木谷氏:新型コロナでペースが狂ってしまったことが痛かったですね。昨年は、アニメ「BanG Dream! 3rd Season」を1月4週目と少し遅らせて放送を開始し、最終回を4月23日に設定しました。アニメ最終回から様々なイベントを用意してさらに盛り上げて5月3日のメットライフドームでのライブにつなげようと考えていました。

しかし、新型コロナの影響で計画していたことができなくなり、「あれ?」と調子が狂ってしまいました。予想外の事態に関係者もオロオロとうろたえてしまい、それ以降は立て直しに注力していた部分が大きかったと思います。と同時に、新しい取り組みも行うことにしました。



――:新しい取り組みとはオンラインライブなどでしょうか。

木谷氏:それももちろんですが、新型コロナであっても攻めのスタンスを忘れないため、オンラインライブだけでなく、できるだけお客様に来ていただいて、リアルライブをやっていたことも大きかったと思っています。同時に、将来に向けた仕込み、次の展開の準備を行ってきました。

その意味で、今年6月5日・6日にメットライフドームで「BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2021」振替公演ができるのは本当に良かったです。開催延期でお客様をお待たせしてしまっており、常に心に引っかかっていましたし、これをやっと実現できることで、プロジェクトは、本当の意味で次に進むことができます。



――:本当に良い日程ですよね。「Morfonica(モルフォニカ)」もオープニングアクトではなく、本出演になりました。

木谷氏:「Morfonica」は、バンドメンバーのレベルが非常に高くて、ボーカルの進藤あまねさんがどこまで成長してくれるかを見ていましたが、努力もあって見違えるようになっています。彼女はまだ16歳ですから、これからさらに成長していくでしょう。メットライフドームのライブが楽しみです。

森川氏:昨年10月のライブでもかなりの成長曲線を描いているなと感じましたね。

木谷氏:進藤さんは成長中ですよね。富士急ハイランド・コニファーフォレストで行われた「BanG Dream! 8th☆LIVE」夏の野外3DAYSで初めてステージに立って度胸がつき、10月の単独ライブMorfonica 1st  Live「Cantabile」でしっかりと力を発揮したんじゃないでしょうか。ボーカルは、心の持ちようがとても大事なんです。歌い手としての技量を伸ばすなか、大きな舞台を経験したことで心理的に強さが出たんだろうと思います。

これからは我々が何も言わなくてもどんどん吸収して成長していくでしょう。若いというのは武器です。アニメーターやイラストレーター、漫画家は十代にどれだけ描き込むかが重要ですが、歌い手や声優も同様なんです。本当に楽しみにしています。



――:新しいバンドでは「RAISE A SUILEN(以下RAS)」も評価が高いですよね。

木谷氏:あるアニメサイト(※アニメ!アニメ!)で実施した、紅白歌合戦に出てほしいアニソン歌手という投票で、「RAS」が3位に入りました。投票した方は、アニメファンだけでなく、広く世間一般に注目してほしいという思いを込めていただいているのかなと思います。RASは近年、海外のライブやロックフェスから出演の打診もいただけるようになりました。作品の枠を超えてバンドとして純粋に注目されているんだろうと思います。


――:森川さんにとってのこの1年はいかがでしたか。

森川氏:ゲームを運営する立場からみると、『ガルパ』にとって、リアルライブがいかに重要かを再認識した1年でした。「このタイミングでライブができていたら、ゲーム内のイベントはもっと盛り上がっていたんだろうな」と考えたり、「もっとこういう取り組みができたんじゃないか」などとも考えたりしました。

メットライフドームのライブの延期以来、『バンドリ!』プロジェクトの中でライブという大きなものが欠けている状態が続いていた気がしています。そして、フィルムライブも含めた劇場版の展開なども相まって、これからプロジェクトの勢いがでてくると考えています。今年は本当に楽しみです。



――:昨年はメットライフドームに合わせて連動イベントを用意されていましたよね。

森川氏:はい。ライブと連動した「VIVA LA LIVE!」を用意していましたから、ライブの延期は我々にとってもショックでした。

ただ、昨年の前半は、「Morfonica」と「RAS」が新バンドとしてゲームに登場しました。3周年をきっかけに登場した「
Morfonica」と、アニメやライブで人気のあった「RAS」は、多くのガルパユーザーの皆様にも応援していただけました。

もう一つの大きな取り組みとして、バンドストーリー3章を実装しました。物語の展開やミュージックビデオ、動くイラスト、シナリオの表現など新しい取り組みを行ったのですが、お客様に十分伝わりきらなかった部分もあったと反省しています。

発表会でもお話しましたが、大きな不具合を出してしまったことも反省点です。そのリカバリーにリソースを割いてしまい、良質なアップデートが十分でなかったこともありました。

こうした反省から、4周年以降に控えているアップデートでは、お客様に信頼していただける、安定性の高いサービスを提供することが大前提ですが、新しいリズムアイコンや新しい形式のイベント、新しい楽曲ジャンルなど「攻め」もきちんとやっていきたいと考えています。それ以外にも軽量モードの改修、リトライ機能など、お客様から普段寄せられているご要望にもちゃんと応えていきたいです。



――:今回、色々と発表されましたが、プロジェクト全体として一部であるともお話をされてました。これ以外にも新しい展開を用意しているんでしょうか。

木谷氏:もちろんです。これでもだいぶ絞ったほうなんです。プロジェクト全体としてはもっともっと発表したいことがありましたから。「早くお伝えしたい!」という気持ちが強いですね。

森川氏:そうですね。まだまだあります。今年からは、周年以外でも、お客様と一緒に盛り上がれるようなタイミングを作れたらと思っています。色々と控えておりますので、また大きな発表ができることを楽しみにしています。イベントや劇場版など目白押しですし、昨年までと異なり、ゲーム側も年間を通じて盛り上がりが作れると期待しています。



――:今回の発表で、両社としてもプロジェクトに引き続き力を入れていくことを内外に示せたと思うのですが、今後の抱負や夢があればお願いします。

木谷氏:今後は、10周年でドームツアーをやりたいですよね。あとは海外に行けるバンドはどんどん送り出したいですね。さきほどお話しましたが、特に「RAS」は海外からイベント出演の打診もいただけるようになっているので。

森川氏:実はCraft Eggにも海外からライブへの要望が結構届くのです。お付き合いのあるアジアのパブリッシャーさんから、「ポピパ」や「Roselia」に現地でライブしてほしいといわれます。こういうご時世ですのですぐには難しいですが、非常に強い熱意を感じています。

木谷氏:今後、海外でライブができったら面白いと思っています。ゲームやアニメに出てくるバンドが実際にライブをやることは世界的に見てもとても珍しいことですから、現地のお客様にとっても新しい体験として喜んでいただけるはずです。



――:海外のファンも多いですから楽しみですね。

木谷氏:海外だけでなく、日本国内に目を移すと、地方ライブもなんとか実現できないかと考えています。感謝キャラバンや劇場版の舞台挨拶などを通じて、全国各地のお客様に感謝の気持ちをお伝えしていますが、プラスアルファで行いたいのです。バンドのライブは、声優ユニットなどのライブに比べて、多くの機材を用意する必要があるので簡単にはいかないのですが、何かいい方法はないかと模索しています。


――:『バンドリ!』ほどのコンテンツになると、ライブを行うにもかなりの準備が必要になるでしょうね。

木谷氏:そうなんです。ただ、もうちょっと気軽にできる方法も考えたいですね。プロジェクトの規模が大きくなっているので仕方ないのですが、何をするにも仰々しくなってしまっています。全体を軽くする必要はないのですが、軽い要素も取り入れていきたいですね。


――:森川さんはいかがでしょうか。

森川氏:先程もお話しましたが、『ガルパ』の4周年以降は、お客様の想像を越えるような、もう一段攻めた展開ができたらと思っています。色々と仕込んでおりますので、今後、その情報を出せることをワクワクしています。「早く言いたい!」という思いでいっぱいですね。まだお話はできないのは残念なのですが、ぜひご期待ください!


――:ありがとうございました!


 

■『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』

 

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株式会社ブシロード
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会社情報

会社名
株式会社ブシロード
設立
2007年5月
代表者
代表取締役社長 木谷 高明
決算期
6月
直近業績
売上高462億6200万円、営業利益8億8200万円、経常利益18億9800万円、最終利益8億400万円(2024年6月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
7803
企業データを見る
株式会社Craft Egg
http://www.craftegg.co.jp/
人生を豊かにするコンテンツをつくる。
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会社情報

会社名
株式会社Craft Egg
設立
2014年5月
代表者
森川 修一
決算期
9月
直近業績
非公開
上場区分
未上場
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